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ブログ/2012-01-17

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映画「マイウエイ」

 今日もまた映画を見てきました。映画は見始めると、癖になりますね。

日韓合作映画

 日本統治下の朝鮮。今の韓国ソウルを舞台に映画はスタートします。オダギリジョーというカタカナ名の俳優を私は知りませんでした。しかし、映画を見て顔に見覚えはありました。このオダギリジョーとチャン・ドンゴンという日韓実力派スターの共演です。第二次大戦中に、数奇な運命をたどった東洋人の実話をもとに、映画化したものだそうです。実は、私はこのような実話があったということを、寡聞にして知りませんでした。このような戦争中の逸話は、おそらく他にいくらでもあったのかもしれません。ナチスドイツに迫害されたポーランド難民を、本国からの訓令に反してまでビザ発給を行った、誇るべき日本の外交官・杉原千畝の逸話も、国民はつい数年前まで全く知らされていませんでした。

画像の説明

辛辣な帝国陸軍の描写

 それにしても、帝国陸軍の描かれようは厳しいですね。見ていて本当に反吐が出そうになる位に帝国陸軍は始末が悪い(ように、描写されている)。監督がカン・ジェギュという韓国名だから、日本側から見た目と違い、一切容赦がありません。日本人としての自信も誇りも吹き飛ばされそうなくらい、率直な表現なんです。
 もっとも、日本人のメンタリティというのは、この当時から、「精神論」、いや「精神論という名の暴力」が国民を支配していたのかもしれません。戦争は、人間同士が殺し合うものですから、一種の精神の病に罹ったようにでもならなければ、とても遂行出来ないことだったのかもしれませんね。そうでもなければ、戦車など圧倒的な重火器で武装した敵軍に、銃剣一つ持って突進していくような気迫は、生まれてきませんよね。

過去に学んでいない日本軍

 この映画を見て思い出したのは、乃木希典が指揮を執った旅順攻防戦とノモンハン事件です。乃木希典率いる日本軍は6万4千人、ロシアの守備兵は3万5千人、兵力こそ日本軍が圧倒的に多いですが、203高地で機関銃を始め豊富な重火器で守備するロシア軍に対して、日本軍は殆んどが小火器を持って下方から攻めのぼる。誰が見ても圧倒的に日本側が不利です。一説によれば、日本側戦死者は1万5千人、ロシア側死者2千~3千人。死者累々の墓標と引き換えに、形だけの勝利をもぎ取ったと言っても過言ではありません。もうひとつのノモンハン事件も、悲惨でした。私は、半藤一利氏の「ノモンハンの夏」を読むことによって、激戦の実態を知ったのです。この時も日本は、精神主義に基づく人海作戦でした。ソ連軍の制空権を抑えられ、戦車部隊、航空機部隊によって日本兵は虫けらのように蹂躙されていくんです。砂地に掘ったタコ壺に逃げ込んだ日本兵を戦車で上から何度も踏みつぶすシーンなんて、本当に読むに堪えませんでしたね。
 今日の映画でも、日本軍の精神主義は、基本的にほとんど変わっていなかったのだということに気づかされます。戦争は勝たなければ殺されるという世界なんですから、本当は一番合理的判断こそが重んじられる世界であるべきですよね。勝利に導く政治・外交活動、敵の行動を探知する諜報活動、人的・物的損害を最小限に抑えるための戦術科学の陶冶など、精神論以外の分野をもっともっと重視すべきであったのではないでしょうか。日本の戦争は、常に精神主義が先になり、このような合理的知見が封殺されてきたということなのでしょうか。

歴史に学ぼう

 このような苦い歴史をもった日本は、今、合理的な判断が国是にに据えられているでしょうか。私にはどうもそのようには思えません。外交・国防、税金の使われ方、日本の進むべき方向、震災や原発への対応等々、政治家の胆力の衰えを感じざるを得ません。嘗ての吉田茂や池田隼人、佐藤栄作など、この人に国を任せれば何とかしてくれる、という信頼感が湧いてきません。どの政党も政治家も、ポピュリズムに流されすぎています。タイタニック号が今まさに流氷に激突しそうになっているその時に、船上では、船長を含め船員同士が掴み合いを演じている。この映画を見て、ついそんなことを夢想してしまいました。

映画のオフィシャルサイトは、こちら⇒オフィシャルサイト



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