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ブログ/2012-09-02

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救急車で搬送、更に別の病院に転送という経験をしました

救急車で搬送

 昨日は、救急車に2度お世話になってしまいました。本当は、那須の家で農作業の予定だったんです。那須行きの支度を済ませ、妻が隣町久喜市に住む娘にその旨伝えるため電話をしたんです。3日前、木曜日に娘の旦那を私が病院に連れていったので、その後の病状経過を聞いたところ、「自分では医者に行けない」と言っているというんです。大の大人が自分で車の運転をして行けない?・・大袈裟なとは思ったんですが、何か嫌な予感がしたので、那須行きを数時間ずらせ、私が医者に連れていくことになったんです。木曜日に5種類ほど飲み薬をもらっており、それを飲んでも、さっぱり効かないと言ったからです。
 連れていったのは開業医です。2時間ほど待たされた後、私も中に入るように促され説明を聞いたところ、「胆嚢が3倍から4倍くらいに腫れている。こんなに腫れている胆嚢を見たことがない」とのこと。更に、「当病院では、処置しきれない。至急、栗橋済生会病院に行って欲しい。救急車がすぐ来る。家族も救急車に同乗してほしい。」と言うんです。
 私は車で来ていたので、救急車の後を追いかけますと言うと、「救急車の後を追うことはできません」とのこと。それほど遠くはないので、急遽、自分の車で済生会病院に駆けつけました。

更に自治医大病院に転送

 済生会病院に到着し、待つこと暫し。約1時間強も待ったでしょうか。担当医から説明を受けました。「肝臓から相当の出血をしています。このまま放置することはできません。生憎く、当院は本日休診のため、肝臓の執刀医がいません。そこで、肝臓の執刀ができる自治医科大学病院に連絡を取り、転送することになりました。家族の方も同乗してください。私も同乗して行きます。」とのこと。

画像の説明

 そこまで深刻な状況とは思っていなかったため、何の準備もしていなかったんですが、やむなく、私が同乗することになりました。後で調べたら、自宅から45kmもあるんです。当日は、気候の変化が激しく、自治医大病院に着くまでの間、雨が降ったり、晴れたり、更に又豪雨になったりとめまぐるしく天気が変わりました。車内には、心拍数とか血圧などの表示がなされ、刻々の変化が読み取れるようになっています。同行の女医が「少し血圧が下がってきましたね~」などと言うと、こちらもドキッとし、「救急車の中で息を引き取りました」なんてことにならないように、と心から念じたものです。
 救急車のサイレン音で道の端に寄ってくれる車の方々にも、心の中で「ごめんなさい、有難う」と感謝の念を捧げたものです。身内にこのような事態が生じると、素直に感謝する気持ちになりますね。

担当医から重篤の説明

 自治医大の救急救命センターに搬送され、後からタクシーで駆けつけた妻と娘ら子供2人(6歳男と5ヶ月の女の子)が合流。即入院、手術となるかと思ったら、とんでもない。入口のところのソファーで待つこと4時間。いい加減、痺れを切らしていたところ、担当医の倉科先生から説明となりました。
 説明によれば、CTスキャンで断層撮影をした結果、肝臓に黒い円形状の斑点ができている。更に、肝臓の別の部位4分の1位を水か膿のようなものが覆っている。この障害によって肝機能が極端に低下しており、腎臓や肺、胆嚢など他の臓器にも大きく悪影響を及ぼしている。このような症例はこれまで見たことがない。至急手術をする必要があるが、生憎く、今、妊産婦が脳内出血をして担ぎこまれた。緊急手術で先ず、赤ん坊を至急取り出し、その後に妊婦の頭部の手術をしなければならない。そちらの手術を優先させている。それが長びくなるようであれば、再度、宇都宮の済生会病院か、宇都宮独協大学病院に転送せざるを得ない。一応心づもりをしておいていただきたい。というような説明を受け、全員落ち込んでしまいました。
 その間にも、救急車でいろいろな患者が次々と運び込まれてきます。警察の検視員と思しき男性が3人、受付に小声で「検視に来ました」と、日常茶飯事の業務のように事務的なあいさつをして通り過ぎていきました。文字通り、「救急救命隊24時間密着取材」というTV番組でも見ているような風景が展開されていたんです。大人は誰も口には出しませんでしたが、「(私の娘は)幼子2人を抱えたまま未亡人になってしまうのか・・・」と、強い不安に苛まれていました。娘は時々、外に出て泣いていたようでした。私も、8割位命はないものと覚悟せざるを得ませんでした。
 その間にも救急車で次々と運び込まれる患者を見る度に、「もう来なくてもいいよ。何でこんなに患者が多いんだ。」とイラついたり、高齢者が運び込まれると、「年寄りより、乳飲み子を抱えた若い人の命を優先してよ」という想いが、心の中をよぎったりしたものでした。(下の写真は、自治医科大学病院です。)

画像の説明

急遽、手術を開始

 再々転送するのか、手術をするのか、とにかく早くしてほしい、と心がせいていたところ、急に8時10分から手術を開始するとの知らせが入りました。手術が始まったら大手術になるので8時間はかかる。先生から、「最後の面会をして下さい。子供さんはダメです。」と言われ、已む無く、家内と娘の2人だけ面会に向かい、私と6歳の孫、それに5ヶ月の乳飲み子3人が留守番。最後になるかもしれないというのに子供に面会をさせないなんてそんな不条理があるか、と腹立たしくなり、敢えて立ち入り禁止のラインを越えて、6歳の孫を小さな窓越しに室内を見させました。面会している様子が見てとれました。
 後で妻から聞いたところによると、娘は、重篤な病状説明を受けていたので、今生の別れのような心境で泣きながら面会を済ませたそうです。
 手術が始まれば8時間は手術中となり、それだけで明け方近くになる。その後、麻酔が引くまでの時間を考えると、今晩、病院内に留まっても全員が皆疲れるだけ。そこで私一人が残ることにし、他の4人はタクシーで、久喜の自宅に帰らせました。みんなが疲れて共倒れになっては元も子もないからです。

1人待合室で待機

 「手術後は、ICU(集中治療室)に戻ってくるので、ICUの決まり事などの説明をします」と言うので、神妙にナースの説明を受けました。面会は2人ずつ、入室前に備え付けのガウンを着用し、洗浄液で手を洗う、など、いくつかの決まりごとがありました。その後、8時間、連絡があるまで家族待合室で待つようにと別室に案内されました。つまり、朝の4時頃までここで待てということでしょう。私は、長期戦と覚悟を決めました。
 こういう場所で待っている心境というのは、不思議なもので、本や新聞、音楽など何も読んだり聞いたりする気が起こらないものです。ただひたすら早く時間が過ぎてくれることを祈るばかり。でも、時間はなかなか経過しない。疲れているはずなのに、横になっても、少しも睡魔が襲ってきません。心配が募り、ただひたすら、目が開いているんです。

画像の説明

 11時前頃だったと思いますが、一度、室外に出て館内をうろついてみたんです。深夜の大病院というのは、何となく陰気で不気味な雰囲気が漂っていました。考えてみれば、そこは重篤な患者で溢れているわけだし、命を落とされた方々も沢山いるわけですから当然ですよね。人っ子ひとりいないような廊下を進み、廊下を曲がった時に一瞬「ギョッ」としました。薄暗い廊下の向こうから、痩せこけた老人が足をカクンカクンとさせながらこちらに向かって歩いてきたんです。病院だから当たり前ですが、深夜でしかも節電の影響なのか薄暗く、人がほとんどいないような場所です。こちらの気持ちも「なんだか気持の悪いところだな~」という不安心理があり、すれ違うだけでも思わず身構えてしまうような不気味さがあり、結局、顔を直視することも出来ませんでした。

深夜、担当医に遭遇

 11時過ぎですから、3時間を経過した頃、先に帰った家族に何の連絡をしていないことに気付き、携帯でメールをしようかと携帯をみると、「圏外」との表示。一切何の連絡もなしでは家族も寝付けないだろうと、どこか携帯の使える場所を探しに部屋を出たんです。すると近くで、医師2人が自販機でジュースか何かを買っているのを見かけたんです。
 その医師に携帯のかけられる場所を尋ねると、「窓の近くによればかけられます」との返事。早速、細長い空間の奥にある窓際に寄ってメールを始めたところ、先ほどの医師の1人が近づいてきて「遠田(娘の嫁ぎ先の姓)さんのご家族の方ですよね」と言ったんです。よく見たら、重篤の説明を受けた倉科医師だったんです。
 倉科先生は、「今手術が終わりました。医師団で最終的に下した判断は、肝臓手術の前に、肝臓の横の肋骨部分から管を挿入し、遠隔操作で出血した血や膿を抜いて経過を見てみようということになりました。先ほどその手術を行いました。今はまだ順調に抜けているとは言い難い状況にありますが、少しずつ体外に出ています。順調に出てくれれば、もしかしたら肝臓の手術をしないで済むかもしれません。いずれにしろ、今日は経過を見るだけですから、今夜はお帰りいただいて結構です。」とのお言葉。
 深々とお礼を言って、タクシーで帰宅しました。家を出る時にまさかこのような事態になろうとは想定していなかったので、とにかく帰ることにしました。栗橋済生会病院に置いたままの車をとりに深夜の国道4号線をタクシーで飛ばしました。家に着き、缶ビールと日本酒で疲れをとり、2時過ぎに寝床にもぐりこんだという次第です。今日は本当に長い一日でした。
 
 

 



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