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ブログ/2013-07-18

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埼玉県行政書士会春日部支部夏季研修会に行ってきました

参加者は30人

 今日は、春日部で開催された「埼玉県行政書士会春日部支部夏季研修会」に行ってきました。

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 参加者約30名。春日部支部の所属人数は、会員名簿に掲載されている人だけでも40人ですから、まあまあの出席率と言えるでしょうか。
 本日のメインテーマは、「偉大な上司のもとでの貴重な体験について」というもので、元宮代町の町長で、現在、行政書士としても活躍されている榊原一雄氏と小山支部長の対談です。
 榊原氏は、4期16年間にわたり宮代町の町長として活躍された方です。「人と自然」、「都市と農村」が共生する美しい景観の町づくりに尽力された方です。メインテーマに掲げた「偉大な上司」というのは、元宮代町の初代町長の故斎藤甲馬氏のことで、榊原氏は、同町に採用されて以来、斎藤町長が現職のまま亡くなるまでお仕えしたという訳です。
 そのような経緯から、名物町長と言われた斎藤甲馬氏を話題の中心に据え、質疑応答形式形式で話を進めようというわけです。

斎藤甲馬町長とは

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 斎藤甲馬氏と言われても、「知ってる人は知ってるが、知らない人は全く知らない」でしょうから、ここで、彼の人物像について、ここで若干説明することにしましょう。
 同町長は、埼玉新聞の評するところによれば、「至誠温厚、柔和慈顔、円満公平-。公職にたずさわる者はすべからくかくあらねばならない、というお手本のような町長」であられたそうです。8期31年の長きにわたって町長の座にあり、昭和57年2月、現職中に病に倒れ、87歳でその生涯を閉じたという方です。
 すごいですね~。昭和の時代に、31年間も町長を続けたということは、それだけ町民からの信頼が絶大であったという証左でしょう。彼の在職中は、「役場に役職者のいない町」として有名だったそうです。彼は、「課長・係長は置かない」「人事異動はしない」という方針を貫いたんだそうです。役所という組織で人事異動がなければ、それぞれがその部門のエキスパートになるのは当然で、町長は、むしろ、職員全員がエキスパートになることこそ、最大の町民サービスだと考えていたんでしょうね。

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 これは、町民目線で考えれば、大変立派な考えだと思います。反面、一つのポストに何十年も在籍するわけですから、業者との癒着や公金横領のような事態が生じる危険性も伴います。また、町全体のことを考えず、自分の部署のことばかりが優先されるという弊害もあるかもしれません。職員は、出世階段を上っていくという通常のサラリーマンコースの夢が描けないばかりか、「うちのお父さんは50歳になっても平職員」ということで、家族からも冷たい目で見られ、職員の士気に影響したかも知れません。
 一つの円錐形でも、横から見れば三角形、上や下から見ればただの円、斜角から見れば立体形。物事すべて、どの角度から見るかによって異なりますから、おそらく甲馬氏の評価は分かれるでしょう。多分、これからはこのような飛びぬけて出色の町長は、出ないことでしょう。よき時代の話として、長く語り継がれることでしょう。

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支部長と榊原氏との対談

 今日の表題は、「対談」となっていますが、実際には、予め支部員から募った質問事項に沿って支部長から榊原氏に質問し、同氏がそれに答えるという形式で進められました。右の写真は、司会を務められた研修部長の布目かよ子氏です。
 榊原氏って一体だれ?という疑問も当然出るでしょう。当然です。宮代町の住民でなければ知らないのは当たり前でしょう。同氏は、前述したとおり、4期16年、宮代町の3代目町長として町政を取り仕切った方です。

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 榊原町長が就任した当時は、バブル経済崩壊後の先行き不透明な状況の中で、宮代町もさまざまな課題を抱えていた時期でもありました。宮代町というのは、町内に和戸、東武動物公園、杉戸高野台という3つの駅を抱える交通線路に恵まれた町です。埼玉県広しといえども、同一市町村で3つの駅を有するのは、さいたま市くらいのものではないでしょうか。
 その宮代町を取り仕切ったほどの方ですから、我々行政書士として傾聴に値する話を沢山聴くことができました。同氏は、現在、我々行政書士の仲間として活躍しておられますが、行政書士になった理由は、「世の中のために尽くしたい。少しでもいいから恵まれない人の手助けをしてあげたい」、そういう心境から、行政書士になられたんだそうです。我々行政書士としても、他山の石として肝に銘ずべきではないでしょうか。

研修会の後は懇親会

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 研修会の後は、恒例の懇親会です。飲むほどに、酔うほどに、座が乱れ、カラオケなども飛び出してきました。研修会の方は私どもの担当でしたが、この懇親会は、別の厚生部の担当です。
 こちらの担当者には芸達者がおられるのでびっくりしました。写真でご覧頂けますように、カラオケばかりでなく、チョンマゲのカツラを被ってのご披露です。生憎舞台が狭くて、大立ち回りはできませんでしたが、舞台が広ければ派手な殺陣の腕前でも見られたのではないかと推測します。
 後で支部の組織図を見たら、私も厚生部の一員ということになっていました。ということは、今度は、敵役にでもなって、切られなければいけないんでしょうかね~。(^^!
 懇親会の場では、新人の紹介もありました。今回は、お一人だけでした。ご覧のように、春日部支部は、男性が圧倒的に多いですが、最近の試験の難化に伴い、女性の合格者も増えているようです。今日出席された女性も、若い方の姿が目立ちました。

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 特に感銘を受けたのは、若い女性が春日部市内に単独の独立事務所を開き、営業を開始したということです。男でも、単独事務所を開くには二の足を踏み、自宅で開業する人が圧倒的に多い中、このように敢然として自立を目指す女性が出てきたというのは、誠に頼もしい限りです。
 私は、率直なところ、常々、女性の方が行政書士業に向いているのではないかと考えていました。行政書士の仕事は、大半が書類の作成業務です。慎重で緻密な書類作成業務は、どちらかと言えば、女性向きの仕事だと思うからです。お客の立場から見ても、無骨な男性と笑顔のきれいな女性の二人が並んでいたら、どちらに仕事を依頼したいと思うでしょうか。その答えは言うまでもないでしょう。何も天下の大事を相談するわけではありませんから、女性の方がかなり有利だと思います。

行政書士だけで飯が食えるのか?

 ここで、今日の研修会とは関係がありませんが、ついでに「行政書士だけで飯が食えるのか?」というテーマについて考えて見たいと思います。

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 私は、支部長から直接聞いたことがありますが、「最初の6年間は赤字」だったそうです。私も、昨年10月に独立の事務所を開業して以来、既に8ヶ月を経過しましたが、当然のように赤字です。収入は、事務所の家賃にさえ届きません。ならば、どうして生活ができているのかといえば、一つは年金収入。二つ目は、昔購入したマンションを賃貸することによって得られる収入。三つ目が、都心に電話相談員として、出稼ぎに行くことによって得られる収入。
 この三つの収入源があることによって、何とか事務所の運営がなされています。しかし、これは、行政書士業としては本末転倒。愚策です。行政書士ならば、その収入だけで、きちんと収入を確保する。それは士業として当たり前のことです。でも、実際には、それができていない。それはなぜなのか。私は、日々煩悶しています。これでは、後に続く人がいなくなってしまう。恒常的に収入の得られる方策、これを行政書士会としても真剣に考える必要があるのではないか、と思うのです。
 そんなことは、個々の行政書士がそれぞれ考えるべきことであって、行政書士会の問題ではない、という突き放した言い方もあるでしょう。しかし、実際に毎日、事務所を開き、お客の到来を待っている立場からすると、そうきれい事ばかり言ってはいられません。

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 現に、私の息子も、父親が行政書士になったというので、自分も「行政書士試験に挑戦しよう」という気持ちになったそうです。昨年受験したようですが、失敗したようです。「ようです」というのは、直接本人から聞いてはいないからです。
 でも、息子がこっそり母親に「お父さんの行政書士の仕事は儲かっているの?」と聞いたんだそうです。妻は、正直に言うべきか迷ったようですが、嘘を言うわけにはいかないので、正直に言ったそうです。そしたら、「そうか~」と、ガックリしていたそうです。こういう精神状態では、真剣に受験に取り組もうという意欲は、大きく削がれてしまいますよね。

 ここで私見を述べてみたいと思います。

どの士業も苦しい時代

 今、あらゆる士業が、「苦しい」時代であると言われています。弁護士の知人も何人かいますが、弁護士の世界も今は大変厳しいそうです。折角弁護士になったのに、年収200万円にも満たない弁護士がゴロゴロいるという時代になったのです。
 行政書士は、もともとそれほど儲かる職業というわけではありませんでしたから、尚更です。今は、各士業がお互いに少ないパイの奪い合いをしているという時代なのかもしれません。

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 税理士も、これまでは顧問企業を多数抱え、悠々自適の生活をしているといったイメージがありましたが、今はかなり様相が違ってきています。「税金の計算をする」のは、法によって税理士の独占業務とされていますが、機能の優れた会計ソフトがその職域を脅かしつつあります。また、税金の計算以外の「帳簿をつける」「給料計算をする」「決算書を作る」「税金の相談に乗る」といった業務は、税理士の独占業務ではありません。これらの分野は、それこそ士業ですらない人達によって食い荒らされつつあります。

 司法書士も、登記をするのが専門業務と思っていたら、高利貸業者に支払った金銭を取り戻す貸金返還取り立て業者に変わってしまったのか、と思えるほどに業態が変わりつつあります。そして今は、これまで行政書士の分野とされてきた遺言や相続の分野にも進出しつつあります。登記申請の方法は、登記所でも懇切丁寧に指導してくれるので、簡単な所有権移転登記など、登記の素人でもできるようになりました。「やさしい行政」は、国のめざす基本方針だからです。このため、業務量が減少したことなども影響しているかもしれませんね。

 こういった外部環境の変化を踏まえ、行政書士の世界も、もう一度改めて自らの地盤を見直す必要があるのではないでしょうか。経験年数が長く、すでに多くの顧客を確保している老練な行政書士なら、余り問題意識を持たないのかもしれません。しかし、私のように、長年勤めたサラリーマンを退職し、新規開業したばかりの新人書士にとっては、深刻な問題なのです。
では、どうすれば展望が開けるのか。新人の私には、次のような二つの方向性が見えてきます。

目指すべき1つ目の方向

 1つは、自分の専門性を深め、あくまでもそこにこだわり続けること。二つ目は、同業の行政書士や他の士業との連携を深めること、この二つではないかという気がします。

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 最初の、専門性を深めることというのは、他の行政書士のホームページなどを逍遥してみると分かることですが、専門性を極めているというのが一つの特徴であるように思います。我々は、医者に行く時には、専門医のところに行きます。 一人の医者が、外科も内科も耳鼻科も眼科もやっていますよ、さあいらっしゃい、と言われたら決して信用しません。医者の側からすれば、なるべく広く顧客を取り込みたいということでしょうが、それでは逆に、客からは敬遠される原因になってしまいます。
 我々行政書士の世界でも、専門性を高めるというのは、1つの方向性ではないかと思います。繁盛している行政書士に共通してみられるのは、偏執狂ではないか思う位に専門性を高めている方が多いように思われます。
 家系図を作成するのに、登記制度すらなかった鎌倉、徳川の時代まで遡って調査をしているなんていう行政書士がいます。これなどはその一例と言ってもよいでしょう。ニーズがあるなら、とことん付き合ってあげましょう、という姿勢が客の心を捕まえているのでしょう。このような専門性の高さを追求するのは、明らかにこれからの行政書士の向うべき、1つの方向性を示唆していると思います。

目指すべき二つ目の方向

 2番目の、同業や他の士業との連携を深めること、これもこれからの行政書士が向うべき方向性を示しているのではないでしょうか。
 行政書士のカバーすべき分野は余りにも広すぎます。広すぎるゆえに、一般市民の立場からすれば、「行政書士っていったい何をやってるの?」という疑問にもつながっているんだと思います。弁護士でも、昔は、民事を専門する方と、刑事を専門にする方という程度の分類でしたが、社会構造の複雑化に伴い、労働法を専門にする方、医療過誤や薬害を専門にする方、交通事故を専門にする方など、かなり専門化が進んでいます。

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 行政書士の分野でも専門化は進行しつつあります。なかでも、高齢化社会の進展に伴い、遺言や相続を専門にされている方が増えつつあるように思われます。それはいいとして、それ以外に、専門性を高めようとしても、一人の力ではおのずから限界があります。何せ行政書士の扱う分野は、1万種類位あるとも言われている位に多種多様だからです。
 専門性を極限まで高めるとすれば、通常は一つ、多くてもせいぜい二つか三つの業種に限られるでしょう。でも、これでは、行政書士会がPR広告で言うところの「街の法律家」にはなりません。街の法律家のイメージは、「あらゆる法的な相談に応じます」という位のイメージですから、書士会の方向性と合致しません。
 そもそもお客様からお金を頂いて、なにがしかの成果をお渡しする以上、「何でも屋」では、お金は頂きにくいと思います。さればと言ってすべての行政書士が、一つか二つの専門業務に特化するということになれば、そもそも行政書士といはいったい何者なのか、ということにならざるを得ません。

結論

 結論を言えば、これからの士業は、相互に業務連携を図っていく時代になったのではないかということです。行政書士は、行政書士同士で、それぞれ一つか二つ、専門業務を持ちつつ顧客ニーズに応える。他方、弁護士や税理士、社労士や司法書士といった他の士業とも連携していく。
 士業の垣根を超える場合は、「紹介」という形の連携になりますが、同業の場合は、「パートナー」という考え方が成り立つと思います。パートナーとは、相互に報酬を分け合う関係です。そうすれば、10程度の業務分野でなら相互協力が可能になるでしょう。特に、我々行政書士は、業務量そのものが少ない訳ですから、同業同士の連携には特に力を注ぐべきではないでしょうか。

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 1人の行政書士に5人の相談者が来たとして、4人は自分の専門業務ではない。当然、4人の顧客をみすみす取り逃すことになります。しかし、業務を連携することにより、取り逃がした4人のうち、3人は他のパートナー行政書士と連携することにより、業務の遂行が可能になるかもしれません。このようにすれば、全体のパイは確実に大きくなります。
 パートナーとの報酬配分の方法などは、予め、きちんと決めておけば済むことです。このことにより、取り逃がす顧客の数は大幅に減少するはずです。自分ではできないけれど「取りあえずお引き受けする」ことが可能になるからです。もちろん、この場合、顧客から預かった委任状や戸籍謄本など、委任関係や個人情報の取り扱いなど、十分に注意する必要がありますが、これらも基本的には技術上の問題にすぎません。現行法の枠の中で、違法性のないように処理をするにはどうすればよいか、きちんと議論し詰めておけばよい問題です。
 今は、インターネットの時代ですから、本来、物理的距離は関係ありませんが、システムの構築と相互信頼の醸成のためには、相互に意思疎通と情報交換を図ることが重要なので、時々は顔を合わせることができる程度の距離感というのも大事なのではないでしょうか。
 私は、このような観点から、今後、他の行政書士の方達と業務連携を図るべく模索していくつもりです。

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