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ブログ/2013-08-10

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非電化工房の見学会に行ってきました

非電化工房とは 

 非電化工房なんていう言葉を聞いてピンとくる人は、相当に勘がいい人かエコ派の人ではないでしょうか。

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 非電化、そう、文字通り「非」電化。電気を使わない生活を志向するという考え方を実現しようという方が運営する工房の見学会です。この非電化によるエコロジーな生活を実現しようというのは、藤村晴之さん(右写真)です。1944年生まれ、工学博士、日本大学工学部教授という立派な肩書きもお持ちです。それだけでなく、科学技術庁長官賞、発明功労賞なども受賞されている技術者でもあります。
 この方が、那須に「非電化工房」を設立され、エネルギーに依存しない社会システムやライフスタイルを実現しようとさまざまな取り組みをされているんです。
 

見学の動機

 私は、行政書士業務の傍ら、NPO法人の代表も務めています。このNPO法人、理想は高いんですが、なにせ先立つものがついてきません。現在、ヨガ教室を運営していますが、この教室も、ボランティアによって支えられ、何とか赤字にならずに済んでいますが、ボランティアの人達の寄与分をゼロとして計算していますから、実質赤字と言ってもいいでしょう。

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 ボランティアというのは、確かにその精神は立派ではありますが、決して長続きはしないと思います。手伝って下さる方々に対して、世間並みの時給は無理だとしても、せめてその半分程度でも差し上げたいと思うのは、人情というものです。
 そのような悩みを抱えていたときに、U-TUBUで「月3万円ビジネス」の本を紹介していたんです。月3万円でもゼロよりはマシと興味を惹かれ、早速アマゾンで購入し一読しました。

◆非電化工房の紹介をしていたU-TUBUは、こちら→あおば会計税理士法人

 内容に興味を持ったのは当然ですが、著者の非電化工房が、私の故郷である那須にあるというではありませんか。しかも、毎月少人数による見学会がある。これは是が非でも行かねばなるまい、というのが私の参加の動機でした。

全国で死者が出るほどの猛暑

 当日、10日はとてつもなく暑い日でした。単に暑い日なんていう表現では足りず、地獄の「獄暑」という表現を使いたくくらいの猛暑でした。

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 写真でご覧のように、多くの方が傘をさしていますが、これは決して雨除けではありません。あまりの暑さに耐えきれず、日傘の代わりに雨傘を借りてさしている絵なんです。
 説明者は、藤村氏の息子さんです。各施設を巡りながら、丁寧に説明をして下さいました。父上の遺伝でしょうか、息子さんも、大変温厚そうな人柄でした。(以下の記述では、単に「息子さん」と呼ばせて頂きます。)
 
 早速ですが、画面左の方に見えているのが、非電化冷蔵庫です。決してスマートな姿ではありませんが、これでも立派に冷蔵庫の役割を果たすんだそうです。もちろん、冷蔵庫といっても「電気冷蔵庫」ではありません。
 言葉で説明するのは難しいんですが、要するにこの箱の中の貯蔵室の廻りに水を満たしておくんですね。この冷蔵庫は、水の「放射冷却」の力を利用して水を冷やすんだそうです。放射冷却というのは、物の表面から赤外線が放射(輻射)されることだそうです。
 この冷蔵庫、電気を使わないで冷蔵庫と同じ機能を有していますが、家の中では使えないんですね。放射冷却作用を利用するため、屋外に設置する必要があるからです。作る材料代は安いものの、「屋外設置」が絶対条件というのが最大の欠点と言えるかもしれません。

ムーミンハウス

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 息子さんが説明している後ろに見えるのは、ムーミンハウスと言われるものです。オランダかどこかあの辺の国から北欧から輸入した建材を使用しているんだそうです。最初から、建材が組み立てられた状態で輸入されるので、建築の素人でも、パネルを組み立てる要領で簡単に組み立てられるんだそうです。素人の大人が3人で3日くらいかかると説明したような気がします。
 太陽電池と直流照明によって必要なエネルギーを得るので、電気代はゼロだそうです。数十万円のコストで十分に完成できるそうですから、興味のある方はこの工房に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

ストローベイルのB&B

 下の写真は、藁(わら)のブロックと土で作った簡易宿泊施設です。藁のブロックだからストロ-ベイルというわけです。B&Bというのは、Bed & Breakfastという意味です。つまり、宿泊と朝食だけを提供する宿泊施設のことです。
 この家、構造は極めて単純で、ストロ-ベイルつまり藁のブロックを積み重ねて作ります。内側と外側に土を厚く塗り、表面に漆喰を塗って仕上げます。基礎や柱や屋根は木で作ります。要するに、土と木と藁で作る家です。この家は断熱性抜群、夏は涼しく、冬は暖かい自然素材の家というわけです。

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 息子さんの説明によれば、このような家は一軒30万円ほどで出来るそうです。朝食だけを提供する宿泊施設として提供すると、一泊1万円で結構宿泊客はいるんだそうです。海外の事情はよく分かりませんが、外国人は、こういう施設に大変興味があるらしく、宿泊客を捜すのに苦労などいらないらしいんですね。なぜなら、今はインターネットの時代ですから、ネット検索で探し出し、世界中からお客さんが来るんだそうです。
 確かに、日本人だって、こういう施設があったら、泊まってみたいという興味が湧きますよね。温泉付のホテルがあるのに、敢えてこういう施設に泊まる人の気が知れないという言い方もあります。しかし、その疑問は、冷暖房完備の我が家というものがありながら、敢えてテント持参で野山にキャンプに行く人の気が知れない、というのと同質の疑問ではないでしょうか。

ピザを作る石釜づくり

 次に見学したのが、パンやピザを焼く石釜です。ピザなんて誰が作っても同じようなものと思いがちですが、決してそうではありません。下手な人が焼いたものとプロが焼いたものでは全く違います。個人的には、東京銀座で食べたピザと、神戸に行ったときに食べたピザが、私の心の中での双璧です。

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 つまり味音痴な私でも、ピザのうまいマズイ位の区別はつくということです。でも、こういう手作りの釜で焼いたピザなら、もっと美味しいものが食べられるのではないでしょうか。
 本格的な石釜を業者に発注すれば100万円程度はかかるそうです。でも、自分達で愉しみながら作れば、材料費の10~20万円だけで済むとのことでした。
 この非電化工房で身につけた力で毎月1基ずつ作り、毎月3万円の収益を得ている人もいるそうです。仕事はいくらでもあるんですが、敢えてそれ以上の注文はとらないんだそうです。石釜づくりは、金儲けのためにするのではなく、「愉しみのため」「いいことをするため」にするからです。
 70歳の私やNPOを支えてくれている方々でも作れるかも知れない、と密かに興味を持った次第です。

月3万の収入を生み出す鶏小屋

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 私が興味をもったものは、鶏小屋です。一見すると、キャンプ用のテントのようにも見えますが、決してテントではありません。この中で鶏を6匹程度飼うんです。
 卵の値段は、かなり安いですよね。1個15円位です。これはケージ飼いだからです。窓もない建物の中で週十万羽、時には数百万羽もの鶏が電気照明の下で飼われています。年間を通じた産卵率は95%だそうです。
 でも、その一方で、平飼いで健康に育てられた鶏の卵も、1個35円から60円位で、結構売れているそうです。
 少々高くても、安心できる卵を食べたいというニーズも、確実にあるということですね。ここでお示しした鶏小屋は、非電化工房が作成したものですが、外国のお客さんも集まる国際的な展示会に出したことがあるそうです。決して希望して出したのではなく、主催者側から是非展示してほしいと言われて展示したんだそうです。その時、実物を会場で組み立てて展示してほしいと言われたけれど、そんな面倒なことはしたくないと拒否したそうです。そしたら、設計図を送ってくれればこちらで作るというので、図面だけ送付したそうです。第三者が図面だけ見ながら組み立てた鶏舎が、結果的に東京での展示会で一番の人気を博したんだそうです。
 主催者からは、キッドにして売り出せば、日本だけでなく世界でも大量に売れるからどうだと言われたそうですが、「そんな面倒なことはしたくない。特許とか面倒なことは言わないから、勝手に作って自由に販売してもらって結構」、と言って断ったんだそうです。

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 こんな小さな鳥小屋でも、残飯や野菜くずを食べてくれる。そのうえ、新鮮な卵も産んで、その販売もできる。月に3万円程度のお小遣い稼ぎにもなる。結構な話ではありませんか。庭にちょっとしたスペースがあれば、どこの家でも十分に建築可能です。鶏は朝早くから鳴いて近所迷惑と誤解されている方もいると思います。でも、鳴くのは雄鶏だけで、雌鶏は鳴かないのでご安心ください。
 留守にするときは、ご近所の方に残飯や野菜くずを放り込んでもらい、「その代わり、卵はご自由にどうぞ」、というバーター取引なら十分に成立すると思います。あなたの家でも、是非試してみてはいかがでしょうか。

発明品の数々を見学

 最後に、非電化工房のさまざまな発明品を展示しているアトリエの内部を見学しました。ここでは、試作の実験装置や非電化製品などが展示されています。写真でご覧頂きますように、さまざまな製品が展示されているほか、実際の活用方法なども説明して頂きました。冗長になりますので、ここでは、ほんの一部だけの説明に限らせて頂きます。

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 そのなかで、私が興味を持ったのは、次の2つです。
①1つは、コーヒー焙煎器です。
 この焙煎器、写真でご覧頂きますように、極めて単純素朴。何の変哲もないような器具です。全く宣伝もしないのに、勝手にお客の方が情報を仕入れてきて、申し込んでくるんだそうです。それで勝手に1万本売れたんだそうです。世の中分からないものですね。人様の懐を計算するなんて浅ましいことですが、5千円×1万本か・・・と、貧乏NPOの経営者としては思わずため息をついてしまいました。

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 私も、帰り際に生豆と一緒に1本(5,000円)購入しました。まだ、このブログを書いている段階では試飲していませんので、味の感想は書けません。しかし、コーヒーメーカーなど、世の中には洗練された格好のいい家電焙煎器がいくらでもあるというのに、この素朴で洗練されていない、どちらかと言えば武骨な器具がそれ程の売り上げを挙げることができる。そのことに、ため息を漏らすとともに、何か今の時代を映すヒントが隠されているような気がしてなりません。
②非電化コンポスト
 コンポストとは、文字通り、生ゴミを分解する装置のことです。私は嘗て、テレビを見ていて、東南アジアで大好評だったというポリ容器状のコンポストを購入したことがあります。テレビで見たときは、一晩か二晩で、驚くように野菜クズが消えてしまうくらいに威力があるということだったんです。
 早速、購入して試してみたところ、1週間経っても2週間経っても野菜クズの形は残ったまま、そのうち虫も湧くようになって、「騙された」ことに気づいたことがあります。藤村先生にそのことを尋ねると、「その容器では数種類の粉末を混ぜ合わせなければ、分解は進みません。非電化コンポストでは、粉末を混合する必要はありません。野菜クズは、空気に触れることによって分解が進むからです。一日数回クルクル回してやればいいんです。」とのことでした。
 この非電化コンポストの原理は、太陽熱を潜熱蓄熱材に蓄えることにより、寒冷地でも生ゴミを分解するというものです。潜熱蓄熱ですから、一定温度で大量の熱を蓄えることができるというわけです。生ゴミはサイドから投入し、下部から排出します。
 ドラムは手でくるくると回す原始的なシステムです。生ゴミというのは、高温状態で空気に触れることによって腐敗が進行しますから、原理は十分に理解できます。それにしてもこの単純な装置。効果が高いものだとすれば、これまで誰も開発しなかったのかしらと、不思議でなりません。

山の中なれど景色は最高

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 この非電化工房、那須の山の中にあるので、1年の内、5ヶ月は雪のため屋外の作業ができないそうです。発明器具は、その時期に大活躍するのかも知れません。
 それにしても景色は最高です。敷地内にある池は、最初はなく、皆で水路を堰き止め人工的に作った池なんだそうです。植木の水やりなどには好都合とのことでした。ムーミンハウスやストローベイルB&Bからの眺望も、最高でしょうね。
 この非電化工房、藤村靖之氏が立ち上げた施設ですが、研修生名目で毎年1年限りで4人程度を受け入れているんだそうです。1年経つと、嫌でも追い出し(?)、次の研修生を受け入れるんだそうです。1年休学して参加している学生さんが主体になっているようでした。皆さん礼儀正しく、大変好感の持てる好青年少女でした。

最後の交流会にも参加

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 最後に交流会という名目のお食事会が開催されました。お食事会といっても、カレーライスがでただけですけどね。写真は、池のそばのデッキで食事をしているところです。日中は焼けるほどの暑さでしたが、日が西に傾く頃には、急に温度も下がり、こうして外で食事が出来るようになったんです。
 参加者は、我々夫婦を含めて13人でした。他の方は、宿の都合や帰京のためという理由で先に帰られました。
 参加者の自己紹介によると、日本語教師の方やコンピュータシステムの構築に携わっていらっしゃる方、農業従事者など多彩な顔ぶれでした。東京、群馬、埼玉の方が多かったですね。
 この非電化工房では、現在、「地方で仕事を創る塾 第10期生を募集中」ですから、興味のある方は是非参加されてはいかがでしょうか。ホームページは、「那須の非電化工房」で検索できるはずです。

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