時事寸評 書評コーナー

welcome to shimada's homepage

またしても警察の大失態

またしても警察の大失態

なくならない誤認逮捕

 またしても警察の大失態である。流山女性強盗殺人事件である。警察官のことを悪く言いたくはないが、「本当にどうなっているのか」と思わざるを得ない。
 この流山事件は、千葉県流山市で女性会社員田島由美さん、当時24歳が刺殺された事件である。千葉県警はこの事件で、被害女性の祖母と姉夫婦の3人を逮捕したのだが、別の真犯人が見つかったため、結果的に誤認逮捕であったことを認め公式に謝罪したのである。この時逮捕された祖母は、亡くなるまで「私はやっていない」と言っていたそうである。
 若い女性が殺害された時に、その祖母や姉夫婦を逮捕するからにはよくよくの事情があるはずである。相当程度明白な客観的な証拠がなければ逮捕などできないはずである。少なくとも極めて慎重であるべきである。肉親であれば、指紋などの事実証拠はいくらでも採取できるからである。

画像の説明

祖母を連日聴取

 当時、足の悪かった祖母を県警が「面倒を見ますよ」と言って連れて行き、深夜に及ぶ任意聴取が約2週間続き、祖母が自白したのだという。私自身、任意聴取という形でも、2週間、毎日朝から深夜に至るまで「お前がやったんだろう」と責め続けられたら、断固として否認し続ける自信はない。この祖母の自供をもとに、姉夫婦も逮捕されたのである。祖母は、高齢だから、執拗に責め続ければ「落としやすい」と考えたのだろうか。そうだとすれば、本当に残酷な話である。亡くなるまで「私はやっていない」と言い続けた祖母の無念さに警察は想いをいたすべきだろう。警察は、これまで「あのお婆さんは本当に孫を殺したのだろうか」、という強い疑念の想いをもつことができなかったのだろうか。

事件の見直し

 今回、真犯人を見つけることになった契機は、2010年になされた凶悪事件の時効廃止である。時効の廃止により、改めて防犯カメラの映像を最新技術で解析した結果、別の強盗傷害事件で服役中の男が浮上し、現場の遺留品とのDNA鑑定で、この男の犯行と断定されたというのである。
 要するに、この再捜査がなければ、祖母たち3人は、永遠に犯人の汚名を着せられたまま、亡くなっていかざるを得なかったのである。いくら否認しても認められないという今の捜査のあり方を根本から、改めて欲しいと願うばかりである。そうでなければ、警察に対する不信感を拭い去ることはできない。

証拠の全開示が必要

 取り調べの可視化も絶対に必要である。それと、「収集した資料はすべて提出する」、これも基本原則にする必要がある。そうでなければ、警察は都合の悪い資料は隠し、有罪にするために都合のいい資料だけを法廷に提出するからである。これでは有罪の汚名を着せられた市民はたまったものではない。国家権力(=税金)を使って証拠資料を集め、有罪にするために有利な証拠だけを開示するなら、有罪率が高まるのは当たり前のことである。警察の真の役割は、何が何でも犯罪者を作りだすことではない。100件の事件を解決しても、1件で無罪者を無理やり犯人に仕立て上げるならば、そちらの方が罪が大きい。

画像の説明

 収集した証拠をすべて開示し、検察側、弁護側双方に公平に証拠が開示され、両者が対等の立場で、有罪か無罪かを立証する。そのような客観性のある公正な裁判制度でなければ、今後も「無実の犯罪者」を生み続けることになるだろう。

 偶々昨日、警察官が手柄たてるため、友人に依頼し自転車泥棒をしたことにし、これを捕まえ手柄にしたというニュースがあった。お粗末の極みである。検挙をすることが手柄になり、自分の出世に影響するという今の警察のシステムを、見直す必要があるのではないか。

かすかな望みも

 今回の事件での唯一の救いは、「警察が再捜査をした」ということである。今までの古い警察の体質なら、過去の事件を洗い出して自らの恥を晒すようなことは絶対になかったはずである。この点で、微かに警察に対する信頼の糸がつながっているように思う。再捜査の決断をした捜査担当者、カメラの最新技術で解析した担当官、これこそが真に顕彰に値する警察官の大事な仕事である。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional