時事寸評 書評コーナー

welcome to shimada's homepage

大阪維新の会「維新八策」考~その3~

大阪維新の会「維新八策」考~その3~

道州制について

 道州制については、かなり前から論じられてきたテーマです。道州制を初めて言い出したのでは、大前研一氏ではないかと思います。私は嘗て大前氏の「平成維新」という本を読んだときに、なるほどそういう考え方もあるのかと感心した記憶があります。その当時は、まだ日本にも活力が残っていましたから、道州制を導入しなければいけないという差し迫った状況でもありませんでした。
■ 大前研一氏の平成維新については、⇒こちら

画像の説明

 しかし、時代は大きく変わり、今は長期デフレの呪縛から脱出することができず、多くの国民がもがき苦しんでいます。歴代の総理も、人格・識見や古今の素養に乏しく、泰然とした度量の大きさを感じることができません。しかも、外国からは「回転ドア」と揶揄されるほどに、1年か2年で次々と総理の首のすげ替えが行われています。金融を担当する日銀総裁も、石橋をたたいてもなお渡らない、謹厳・実直がそのまま額縁に納まったような人物で、いつまで経っても活気が生まれそうにありません。

 このような原状を前提にするならば、「道州制もあり」と考えざるを得ません。嘗ては機能した中央集権体制も既に綻び、社会発展の足かせとなっていると認めざるを得ません。言うまでもなく、道州制は、日本の国土を7つか8つ程度の州に分割し、それぞれの州が独立した立法、司法、行政の権限をもつ統治機構です。国に残るのは、外交と国防と治安といった国家としての基本機能に限定されます。
 このような道州制を敷くことによって、各州間の独自性が発揮されることになるでしょう。その結果、州間の競争意識が芽生え、経済の活性化にもつながることが期待されます。北海道ならば、冷涼な気候と広大な原野は、一大観光地になる可能性を孕んでいます。また、広大な耕地は大規模農業に適しており、農業立国の未来像を描くことも可能でしょう。九州ならば、中国、韓国に近いという地の利を生かせば、観光客誘致による観光立国や輸送コスト低減による産業振興の青写真を描くことも十分に可能でしょう。教育制度の改革や税財政の改革に独自色を出す州も出てくるでしょう。
 いずれにしろ、国の権限を各州に委譲をすることによって、地方が活性化することは間違いないと思います。大きな権限を与えれば、やる気が起き、能力を発揮するというのは、人の習性、本能といってもいいと思います。企画構想力は後から自然についてきます。
もちろん、一部に弊害も出てくるでしょう。税金が安い、教育レベルが高いなどの理由によって、魅力ある施策を打ち出した州に人が集中し、逆にそのような施策を打ち出せなかった州の人口が減少するということも起きるかもしれません。また、人目を引く施策にばかり目が行き、限界集落のように運営効率の悪い地域や作物が切り捨てられるといった可能性も否定できません。しかし、それらのことも含めて、道州制なのです。プラスとマイナス両方を斟酌して、プラスの方が多いと考えるならば、そちらを選択すべきだと思います。国際的な競争が激化した今日においては、道州位の大きさの方があらゆる問題の解決のために迅速に対応することができる、という点で優れた統治機構であると思います。
 シンガポールという国があります。日本で言えば、淡路島の面積しかない国です。そのシンガポールが、国際的にどれ程の存在感をもっているかを考えれば、ハンドリングのしやすさという点も見逃すことができません。北欧のように、高福祉高負担を実現する一方、国民には重税感がないという国もあります。これらの国に共通しているのは、国土の面積はさほど大きくなく、人口も少ない、ということです。要するに人間には、「ハンドリングしやすい単位」というものがあるように思います。交通体系や水問題など、広域的な考察を要する問題もあることを考えると、余り細分化することは適当でないと思います。道州程度の面積と人口であれば、かなり容易にハンドリングができるのではないでしょうか。その意味で、維新八策の道州制には賛意を表しておきたいと思います。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional