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国民幸福度日本は21位、納得できますか?

国民幸福度日本は21位、納得できますか?

評価項目に異議あり

 経済協力開発機構(OECD)が発表した国民幸福度調査の結果によると、日本は21位だったそうです。21位ならまあまあいいんじゃない、と思うも知れません。でも、この順位は後ろから数えた方が早いんです。36ヶ国中の21位ですから。
 この36ヶ国には、国民の幸福度ナンバーワンと言われるブータンも入っていませんし、もちろんお隣の中国や北朝鮮なども入っていません。北朝鮮を加えたら、ダントツの1位になるかもしれませんね。なにせ「自分の国はすばらしい国だ」と言わなければ銃殺か強制労働が待っている国ですからね。そういう意味で、国民の幸福度というものを数量的な尺度で測るのは難しいことだと思います。
 ですから、私は、このような調査結果が出るたびに、「大きなお世話だ」と思ってしまいます。この国民幸福度というのは、国民生活の豊かさを表す指標として、昨年OECDが独自に開発した「より良い暮らし指標(ベターライフインデックス=BLI)に基づいて作成した指標なんだそうです。OECDが採用した指標というのは、次のような項目です。

大枠主な項目
経済社会状況子供の貧困率、高齢者の孤独死数、育児休暇の取得率、水質・大気の質、放射線への不安
心身の健康自殺者数、平均寿命、家族への医療・介護体制への満足度
(家族や社会との)関係性地域との関わり度、家族生活満足度、家族・友人との接触密度

 これらの項目をじーっと見ていて思うのは、この程度の指標で人間の幸福度が測れるのだろうか、いやとてもこのような項目で測れるものではない!と思ってしまいます。
 例えば、些細なことですが「チップ」というものを考えてみましょう。外国旅行をした人なら誰もが経験していることですが、ホテルのベルボーイにチップ、ベッドメーキングをしてくれる人にチップ、タクシーに乗ればドアを開けてくれたボーイにチップ等々、この煩わしさは文字通り半端ではありません。日本に帰ってくるとこの煩わしさから解放されるだけでも、本当にほっとします。こういった些細なことでも、日本人にとって極めて煩わしいと感じるような習慣の違いが評価項目に入っていない。それだけでもこの幸福度指標は信頼するに値しません。
 また、治安の良さというような重要な項目が評価指標に入っていないのはなぜでしょうか。夜、女性が一人歩きできるのは日本位だけだと言われています。女性が夜でも1人で自由に歩けることがどんなにすばらしいことであるのか、外国に行ってみればすぐに分かります。外国に行けば、男だって夜の一人歩きは怖いですよ。薄暗い夜道で、黒人がたむろしているところを通り過ぎるのは、正直怖いです。自由に一人歩きできる環境が整っている日本って、何とすばらしいことなのかと思います。こういう項目が指標に入っていない幸福度調査って、全く理解できません。
 また、日本のような単一民族国家というのは、住むのにとても楽です。風俗・習慣、言語の違う異民族が国の中にほとんどいない日本は、肩がこらず、それだけでも本当に住みよい国だと思います。幸福度というなら、こういった項目だって極めて重要な要素になるはずです。
 更に、身近にある山や川、そして海など、山紫水明に恵まれた自然の景観は、ニュー時ランドやカナダに比肩できるレベルだと言われています。日本全国どこに行っても、もてなしの心で迎えてくれる温泉など、生活環境の質も重要な要素であるはずです。食べ物だって日本の食べ物は恐らく世界一です。日本人が確立した食文化は世界のグルメにも評価が高く、五つ星のお店は本家フランスよりも多い位です。もちろん五つ星になったからよいというわけではありませんが、肉やコーンフレークでブクブク太った欧米人の食事より、健康食であることは間違いありません。こういったさまざまな要素が何も入っていないこの「幸福度」調査って、一体どのような意味があるのでしょう。

ワークライフバランスなぜ34位?

 日本女性は就労率が低く、男女格差に20%の開きがあるそうです。OECDの平均格差は13%なので、この平均よりも大幅に低く、これがワークライフバランスという評価項目で34位という低い評価になった原因なんだそうです。
 つまり、女性の就労率が低いと幸福度も低くなるというんですが、皆さんは納得できますか?私は、女性の就労率が高くなり、100%就労できるようになれば、幸福度100%と言うような考え方に納得がいきません。
 そもそも、専業主婦として、家事だけをしていた明治、大正、昭和の主婦は不幸だったんでしょうか。ダンナ1人の稼ぎでは食っていけなくなり、仕方なく共稼ぎが増えた今の時代、より幸福度がアップしたと言えるのでしょうか。外で働きたいのに働く職場がないというのは不幸かも知れませんが、外で働きたくないのに働かざるを得ない方がよほど不幸なのではないでしょうか。労働というのは、汗水たらして働き、その対価としてもらうのが賃金で、基本的に労役です。だから生活に余裕のある人は決して労役なんてしません。
 OECDの評価は、「女性は外で働きたい性である」という前提に立っているような気がしてなりません。私に言わせれば、「家事だけこなし、ダンナの給料は全額銀行振込で、家計を握っている日本の主婦」ほど、恵まれた存在はないと思っています。近所の主婦同士、昼からランチと称してお茶している姿は、贅沢そのものです。ウソだと思うなら豪華ランチで有名なスポットを覗いてみて下さい。男どもの姿はほとんどなく、専業主婦で溢れています。できることなら、私もそのような「専業主夫」になりたいものと思いますが、年齢との競争には勝てず、とても実現できそうにありません。
 それなのに、OECDの方で勝手に女性の就労率が低いから幸福度も低いと言われたのでは、暗闇でパンチを食らったようで、何が何だかさっぱり訳が分かりません。 

マスコミ報道に毒されている面も

 もっとも、今の日本人は、このように大変恵まれた環境に住んでいるにも拘わらず、「不幸だ不幸だ」と思い込んでいる節があります。それはマスコミの影響も大きいと思います。テレビや新聞など、マスコミの垂れ流す報道を見ていれば、政治は最低最悪、経済は円高に加えデフレ、社会では凶悪な犯罪の増加と社会のモラルの低下、自殺者は毎年3万人を下らない、高齢者の孤独死。新卒者に仕事がない。高齢者は増加の一途で年金は減る一方。生活保護受給者の激増。追い打ちをかけるように東日本大震災と原発の大事故。しかも復旧は遅々として進まない。「今の日本は一体どうなっているんだ。政治も社会も病んでいる!将来に希望が持てない!」というような報道で溢れかえっていますから、悲観的になるのも無理からぬところです。ですから、毎日マスコミ報道だけを見ていたら、日本人であることに誇りが持てなくなり、自信喪失に陥り、外国に住みたい、というような気持ちになるのでしょう。
 ところがどっこい、上でも述べたように、私は、日本という国を冷静に見てみれば、本当はまだまだすばらしい要素が沢山残っており、幸福な国だと思います。敢えてナンバーワンとは言いませんが、それに極めて近いとさえ思っています。言論の自由のある民主主義国家。日本全国津々浦々に至まで道路は舗装されており、水も空気も美味しい。至る所に温泉があり、食事も美味しい。もてなしの心もまだまだ廃れてはいない。治安は最高で追いはぎの心配はしたことがない。言葉は日本語があればすべて通じる。春夏秋冬の節目がはっきりしているのは日本人だけの特権です。春には桜、夏にはツツジ、秋には紅葉、冬にはスキーが楽しめます。今は全国どこの公園でも四季咲きの草花が憩いの空間を演出してくれるようになりました。
 こんなすばらしい日本のどこが、後から数えた方が早いと言えるのでしょうか。OECDさん教えて!

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