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野田総理の真の狙いは核開発能力の温存

野田総理の真の狙いは核開発能力の温存

野田総理が再稼働を決断

 野田総理が大飯原子力発電所の再稼働を正式決定しました。その理由は、大飯原発の安全性が確保されたからだそうです。多くの国民は「え!?どのような安全性が確保されたの?」と思うはずです。それはそうです。具体的にどのような安全性が確保されたというのでしょうか。大飯原発のある地域には、活断層があるということが、専門家の調査によって明らかにされています。その活断層はどこかに引越しをされたんでしょうか。防潮堤建設までまだ数年はかかるというのに、その建設まで待てない理由とは一体何でしょうか。非常時における代替電源は、どこにどのように新規に設置されたというのでしょうか。福島原発で全く役に立たなかったオフサイトについて、どのような見直しがなされたというのでしょうか。
 これらの初歩的な質問には何ら答えることもなく、再稼働を決断したんだそうです。他のことでは決断できない、決められない総理が、再稼働だけは決断しました。示されたのは、「原発を止めたままでは日本の社会が立ち行かなくなる」という、ただそれだけの理由でした。原子力の安全性に関する技術的な説明が、総理の口から直接、国民に語られることはありませんでした。しかし、今、国民が求めているのは、原発の安全性の問題です。福島原発の事故の反省と全国に54基(世界第3位)もある原発の安全性を検証をすることなしに、再稼働させることは危険すぎる、と多くの国民は肌で感じているはずです。

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早すぎた終息宣言

 昨年、野田総理は、まだ原発から放射能が漏れ出ている最中に、福島原発の「終息宣言」を行い、国民からはもちろんのこと、海外からも失笑を買いました。吹き飛んだ建屋に入ることすらできない段階で、どうして終息宣言なんてできるの?と多くの国民が思ったはずです。福島の4号機に初めてカメラが入ったのは、今年、平成24年5月です。それに先立つ半年も前に終息宣言が出されていたなんて、悪い冗談としか言いようがありません。この4号機には、使用済みの核燃料棒が1,535本、不安定な状態で水に浸かっていました。テレビカメラを通じてこの実情を見た多くの国民は、ここに再度、大きな地震が来たら一体どうなるんだろう、と思ったはずです。それはそうです。破壊された建屋の中で、水槽の中で何とかバランスを保っている核燃料棒をみれば誰でもそう思うはずです。
 ところが、この時も、細野原発担当相は、「安全は確保されている」と言い切りました。これまで民主党政権の関係者は、常に「直ちに健康に影響を及ぼすレベルのものではない」などと、子供だましの言説を繰り返してきました。
 国民は、マスコミによって多くの情報を得ています。過去に原発の専門家と言われる人達が、どのようなことを言ってきたか知っています。政府や専門家の言ってきたことが、いかにまやかしや虚偽に満ちたものであったか、既に国民は見抜いています。福島原発事故調査委員会の調査報告書によっても、事故当時、いかに政府が混乱し、しかも情報不足に陥っていたかが明らかにされています。要するに、国の中枢にいた人間でも、我々一般の国民とほとんど同レベルの情報しかもっていなかった、ということがあの報告書から読み取れます。そのような情報のない中で「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」などの「政府説明」が繰り返されてきたんです。

核保有国に包囲される日本

 今回の原発再稼働決定について、私は、その根底に「核開発能力を温存したい」という狙いが秘められている、と睨んでいます。ですから、原発を再稼働すること自体には私は賛成です。なぜならば、原子力というものは、人類の到達した英知の中でも特筆すべき重大な発見です。放射能を発見したベクレルやキュリー。そして、原爆開発の研究を行ったアインシュタイン。彼は、生前、自分の研究が世にも恐ろしい核爆弾へと変化を遂げてしまったことに深い悔悟の念を表明していたといいます。純粋に学問的動機に基づく研究の成果ではありますが、彼のような天才でも、原子力の活用には人類に福音をもたらす作用があると同時に、悪魔の兵器として人類に災禍をもたらす恐ろしい兵器に変身する可能性を持つという二面性にまでは思いが至りませんでした。

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 お隣の国中国は、原発を積極的に推進するとともに、既に核兵器開発も完了しています。北朝鮮も、実験段階ではありますが、ほぼ核兵器の製造能力を獲得したと言ってよいでしょう。そして、近い将来、北朝鮮は必ず崩壊します。資本主義化が進み、科学技術も高度に進んだ国々に取り囲まれた国が、一人、明治時代のような生活を維持することはできないからです。体制崩壊のXデーは5年以内とみていますが、後は時間軸だけの問題です。北朝鮮に利害をもつ中国が干渉しますから、米国やロシアとの間で相当の軋轢を生じますが、結果的には、南北統一が実現すると見るのが合理的でしょう。ということは、韓国も核兵器保有国になるということです。
 気がついたときには、日本はロシア、韓国、中国という核兵器を持った国々に包囲されているという状態になります。平和日本を唱道していれば外国は絶対に攻めてこない、と言っていた能天気なおばさんがどこかの国にいましたが、国際社会はそんなに甘い世界ではありません。座るところがない人に、日本人的好意でほんの僅か席を譲ってあげたら、今度は尻を押し込んできて、「ここはもともと俺の席だ」と声高に主張する国が世界にはいくらでもある、という国際感覚を持たなければいけません。
 仮に、尖閣諸島に中国の漁民が大挙して上陸したときに、我が国は如何なる対抗措置がとれるのでしょうか。そのうちの何人かを逮捕するとことは可能でしょうが、圧倒的な数の漁民を排除することはできません。中国政府は間違いなく、「自国の領土内での日本の違法行為を許さない」、「自国民を保護する」という名目の下に、軍事行動を起こし、直ちに実効支配するでしょう。最後は、核兵器の使用までちらつかされたら、弱腰の日本政府では、到底対抗することはできません。
 もちろん、現時点では米国の庇護の下にあるため、中国も今すぐに侵略することはないでしょう。しかし、世界情勢はどのように変転するか分かりません。中国は米国債をしこたま買い込んでいます。橋本元総理が「時々米国債を売りたい衝動に駆られることがある」と発言して、米国から袋叩きに会いました。しかし、中国は違います。いつでも米国債を売却するなど、アメリカ経済をいつでも撹乱することが可能です。つまり、アメリカも、表向き中国と友好関係を維持しなければなりません。尖閣諸島を体を張って本気で守る意思のない日本をどこまで守ってくれるのか、大いに疑問です。

ハリネズミ国家をめざすべき

そういう事態に備えて、日本も小さい島国ながらも、叩いたらその何倍もの反撃があるという状態を作っておくことが、パワーバランスの上からは極めて重要だと思います。そのために一番有効な手段は何か。それは核兵器を保有することです。今の日本で、核兵器保有を言うのは荒唐無稽に聞こえるかもしれません。しかし、核兵器こそ、これからの日本を守る最大の手段であると思います。嘗ての冷戦時代、世界各地で小紛争は度々起きましたが、核戦争はただの一度も起きていません。米ソは互いに数千発の核兵器を保有して睨みあっていましたが、遂にそれを使うことはありませんでした。どちらかがそれを使えば、双方が壊滅的な被害を受けるからです。つまり、核兵器こそ、最大の戦争抑止効果を持っているのです。悲しいけれど、これが世界の現実です。

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 日本は、世界に冠たる高度な技術力を誇っています。その日本が核兵器を持っていたとしたら、その日本をあなたは侵略しようと思いますか。現在、日本は原発稼働によって生み出されたプルトニウムを10,063kg保有しています。これは世界全体が保有している量の21%に相当する膨大な量です。これを核兵器に転用することは日本の技術力からすれば容易なことです。だからこそ、米国も日本が密かに核兵器を開発するのではないかと不安視し、核拡散防止条約(NPT)に基づき、査察官が年に300回以上も(!)、原発関係者に対して抜き打ち検査を行っているのです。(詳しくは、Podcast、外交ジャーナリスト手嶋龍一の「ラジオ版学問のススメ」をご参照下さい)

野田総理の真の狙い

 野田総理が性急に原発再稼働を決定したのは、「日本の社会が立ち行かなくなる」という単純な理由ではないと思います。経済レベルでの議論なら、要は日本のエネルギー源をいかに確保するかという問題ですから、早急に代替エネルギーの開発を促すようにすればよいのです。太陽光、バイオ、風力、水力、火力、天然ガス活用の分野で、日本人特有の開発能力を持って取り組めば、弾みがつき急速に開発が進むはずです。そして、関連産業も勃興してくるでしょう。関電は今夏の電力不足を喧伝していますが、本当は電力は十分に足りています。東京電力のように代替エネルギーの開発に本気で取り組まなかったというに過ぎません。それに電力会社は一般家庭と異なり、商工業用電力とは、非常時に電力供給を抑制できるという契約を個別に結んでいますから、本当に電力不足に陥りそうになった事態になれば、各企業に対して節電を強制すれば済むことです。
 このようにみてくると、原発問題の舞台裏には、「原発を稼働することにより、原子力技術に関する知識・経験を温存し、来るべき核兵器開発につなげるための布石」と見るのが、妥当だと思いますが、諸兄はいかがお考えになりますでしょうか。野田総理がそのような狙いもなく、電力会社と地元民、それに読売新聞など一部マスコミのために原発再稼働を決めたとするならば、単なる「脳なし総理」ということになります。果たして、深読みの総理なのか、脳なし総理なのか、これからじっくりと見極めていきたいと思います。

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