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経団連会長、あなたおかしいですよ

経団連会長、あなたおかしいですよ

デフレでサラリーマンは賃金が上がった発言

 1月29日に経団連と連合が会談しました。春闘の幕開けですね。連合が例によって賃上げや定期昇給のアップを求めるのは、組織としての存在意義に照らし、その立場は一応理解できます。他方、経団連側も、経営者という立場から、これを抑制する方向で意見を述べるのも、それなりに理解できます。「お金がほしい」、「お金はやりたくない」ということですから、当然ですね。

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 しかし、米倉弘昌会長が述べた「デフレの進行で実質賃金が上昇している」という発言、これには驚きました。確かに、統計的には、デフレになれば、相対的に賃金が上昇したのと同じ経済効果は得られます。しかし、デフレ下においては、デフレの進行により、生産の抑制→賃金の下落→買い控え→値下げ競争→企業採算の悪化→更に賃金の抑制、という負のスパイラルにはまり込んで、経済は縮小再生産、国民の生活は悪化するばかり。国の税収も当然悪化します。他方、少子高齢化は、否応なしに進行します。国も、企業も国民も、誰も得をする者がなく、みんながもがき苦しむ、それがデフレ社会の本質です。

安倍政権に希望の星を見出した

 だからこそ、安倍新政権になって、これまでの政策の大転換を図り、日銀法の改正をチラつかせてでも、日銀に2%のインフレターゲットを強引に認めさせたのです。国民は、そこに安倍政権の並々ならぬ強い姿勢を感じ取りました。つまり、これからは、長く辛かったデフレ状況を脱することができるのではないか、と感じたんです。

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 国民は、安倍政権の本気度をみて、これなら日本の景気も本格的に上向くのではないかと期待しているんです。景気が上向くためには、市場に潤沢な資金が供給され、企業活動が促進され、企業の収益も改善する。労働者の賃金も増え、消費も拡大していくという、プラスの循環が期待されます。
 経団連会長の発言は、最初から、「デフレ効果によって、実質賃金は上昇している。だから賃上げは必要ない。」と言っているのと同じです。この好循環の環を最初から断ち切ってしまおうというわけですから、米倉発言では、とても前向きの明るい展望は開けません。せっかく、安倍新政権が「景気の拡大」を最大の政治テーマにしているんですから、経済界のトップなら、それに呼応して、「この際、企業の内部留保を思い切って削減してでも、労働者の賃金を増大する方向に舵を切りたい」位の発言があってしかるべきではないでしょうか。それが「大局的判断」が求められている、経団連会長の職責なのです。

 政治と経済はある意味で一体です。長期のデフレに苦しんで、企業倒産の憂き目にあった経営者は数知れぬというこの時期に、デフレを容認するかのような発言は、どう考えても納得できません。もちろん、経団連会長は、政治におもねるべきだと言っているわけではありません。今のような長期不況の時だからこそ、安倍政権は経済浮揚を錦の御旗を立てているんです。そういう大事な時期には、経済界の代表なら、後ろから一緒に車を押してやる位の発言をすべきところでしょう。それなのに、頭から冷や水をかけ、デフレを容認するかのような発言をするような人物は、経団連の会長として、適任ではありません。

尖閣諸島でも問題発言

 経団連会長として適任ではない、という表現をして思いだしたことがあります。この米倉会長は、かつて中国に滞在中、尖閣諸島の領有権問題をめぐって、とんでもない発言をしたことがあります。

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 彼は、昨年の9月27日、北京訪問の真っ最中に、現地で「尖閣諸島は日本固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しない」という日本国政府の公式見解を批判し、「中国がこれほど問題視しているのに、日本側が問題がないというのは理解しがたい。民間の交渉なら通らない。あまり仰ってもらいたくない。」という発言をしているんです。
 このような国益に反する発言をする人物が経団連の会長をしているということに、その当時でも衝撃を受けたものです。実は、この米倉会長、元々住友化学の会長をしており、対中ビジネスにどっぷりつかっている、という背景があったのです。

自社の利益のために売国的発言

 しかし、それにしてもひどすぎます。「中国側が問題視していたら、日本も問題視しなければいけない」。一見もっともらしい発言に聞こえますが、これまでの中国のやり方は、「人の物は俺の物、俺の物は俺のもの」という考え方で終始一貫しています。道端でごろつきが突然、「お前の持っているものは俺のものだ。俺がそれを問題にしてるんだから、問題なんだ」と言いがかりをつけているようなものです。こういう場合、我々の社会では、「こういう馬鹿は相手にしてはいけない」として、無視するのが常識です。こんな馬鹿を相手にして、時間と労力を費やしても何にも得るものがないからです。まともに相手にしたら、こちらが根負けして、「もういいや」となってしまいます。日本人はそれだけ良心的な国民だからです。
 国家間の交渉は、経済のように、単に損得だけの問題ではありません。南沙諸島の問題だって、軍事力を背景にベトナムやフィリッピンの漁民を追い出し、一方的に自国の領土だと宣言しているに過ぎません。そのような拡張主義の国家と渡り合うのは並大抵のことではありません。

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民間の交渉なら通らない?

 「民間の交渉なら通らない。あまり仰ってもらいたくない」。何と不謹慎で横柄な言いぐさでしょうか。領土問題は、単に損得の問題ではありません。国家の存立、国家のプライド、国家の矜持の問題です。経済の損得勘定だけで動いている経済の論理を、政治の世界に持ち込むな、と言いたいですね。
 「あまり仰って欲しくない」という発言も、そのまま熨斗をつけてお返ししましょう。「自社の利益だけで動くような人物には、あまり仰ってほしくない」。こういう個人の利益、自分の会社の利益のためには国家の利益を考えない人間のことを、普通の日本語では「売国奴」と表現します。私は、戦後、最悪の総理は鳩山由紀夫、戦後最悪の経団連会長は間違いなく米倉弘昌だ、と断じて憚らないのですが、皆様はいかがでしょうか。(H25・2・4記)

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