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飛ぶボール、コミッショナーより事務局長が責任とるべき

飛ぶボール、コミッショナーより事務局長が責任とるべき

コミッショナーはお飾り

 飛ぶボール問題。そう、プロ野球で使われているボールが、去年よりも大幅に飛ぶようになっていたという問題です。テレビなどを見ていると、「コミッショナーはケシカラン。知らなかったはずはない。コミッショナーは責任をとるべきだ」という意見が、多く聞かれます。

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 しかし、私は、真っ先に事実を隠蔽した日本野球機構の下田邦夫事務局長を首にすべきだと思います。こっそり飛ぶボールに変えたのは、下田事務局長の独断だったと思うからです。従来からそうですが、コミッショナーというのは、はっきり言って「お飾り」、「御輿の上の人」に過ぎないのです。だって、コミッショナーというのは、全く異質の分野から落下傘で舞い降りてくる雲上人です。どこかの省庁の事務次官を務めたとか、最高裁や高裁の長官を務めたとか、功成り名を遂げた人ばかりです。加藤良三コミッショナーもその例にもれず、元々は外務省の外交官として、アメリカ合衆国特命全権大使を務めた後、現在のコミッショナーに就かれた方です。そんな人物が、プロ野球の内実を知っているはずはありません。
 事務局の立場からすれば、「お飾り」は「見栄え」こそ命。見栄えが良ければよいのであって、お飾りが下手に口出しなどしてほしくないというのが本音なんです。だから、加藤コミッショナーが言ったように「昨日まで全く知りませんでした」というのは本当だと思います。皆さんの反応は、「そんな大事なことをコミッショナーが知らないうちに決められるはずがない」とか言いますが、組織の実態というものを知っている人間からすれば、「何を馬鹿なことを言ってるんですか」と言うことです。こんなことは、組織では日常茶飯事の出来事なのです。

異分子は排除されるもの

 つまり、これはどこの組織でも同じですが、異分子が入ってくると、本能的に排除しようという意識が働きます。人間の体ですら、異分子が入ってくると、本能的に防御しようと拒絶反応を示します。
 税金で飯を食っている役人の世界でも同じです。建設省と運輸省が統合しましたが、人事課長のポスト一つでも、旧建設省と旧運輸省出身者が交代交代でそのポストに就く。要するに、なかなか融合できないんです。民間だって似たようなものです。みずほ銀行は、富士銀行、第一勧銀、日本興業銀行が合併してできた銀行ですが、未だに役員は、これら旧銀行の出身者が代わる代わるそのポストに就く、と言われています。

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 日本野球機構は、コミッショナーだけが異分子ですから、事務局長は実質的に最高権力者であることは容易に想像できます。下の人間は、コミッショナーの言うことを聴くよりも、事務局長の言うことを聴いた方が得。長年同じ釜の飯を食い、しかも、今後とも自分の人事の差配するのは、事務局長以下の幹部達だということをよく知っているからです。
 このような組織の実態から考えると、組織の長だからと言って、コミッショナーの首をすげ替えたって、体質改善には何ら貢献しません。むしろ、我々観客側の人間は、コミッショナーを擁護し、そのポストから引きずり下ろさせないようにすることの方が正しい選択だと思います。
 もちろん、コミッショナーに全く責任がないわけではありません。しかし、その責任は、せいぜい部下の監督不行き届きに対する責任程度のものだと思います。

どちらのボールでもいい

 飛ばないボールと飛ぶボールがある場合、そもそもどちらのボールがいいのかは、即断できません。プロ野球が日本国内だけで運営されているものであるならば、どちらのボールを採用しても何の問題もありません。よく飛ぶボールなら、ホームランが量産され、見ている方も楽しいし、打者も嬉しい。しかし、ピッチャーにとっては堪らない。飛ばないボールはその逆の結果になる。

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 今やプロ野球はWBCなど、世界を相手に戦う場面が少なくありません。また、多くの選手が大リーグに雄飛する時代になると、世界標準のボールに変えておくというのは立派な見識でしょう。昨年はそういう観点からWBCと同じ統一球を使っていたはずです。
 従って、時計の針を逆回しにするならば、きちんとそのことを公表するのは当然のことです。選手にとって、ホームラン1本につき報酬がいくら、と決められるとのこと。要するに生活がかかっているんです。飛ばないボールなら、どういう風にすればすればより遠く飛ぶようになるか。ホームランを狙わずに、コツコツとヒット量産作線で行くか、それぞれに智恵を振り絞ることになるでしょう。この観点からも、そのための情報を隠しておくことは絶対に許されないと思います。
要するに、飛ぶボールであろうと、飛ばないボールであろうと、どちらを使うかは「決めればいいだけ」のこと。それを隠しておくことが許されない、というそれだけの問題なのです。

判決

 今回の騒動の責任に対して判決を言い渡します。①コミッショナーは部下の監督不行届として、減給3割3ヶ月、②事務局長は解任、又は罪一等を減じ2階級降格、とします。

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