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中国、昆明駅前の大量殺りくを報じないメディア

中国、昆明駅前の大量殺りくを報じないメディア

事件翌日に報道なし

 5月1日、中国南部の昆明市の駅で無差別殺傷事件が発生しました。死者は29人、負傷者は140人以上という。犯人グループは、黒色の服装をし、10人位だったとされています。中国当局は、新疆ウイグル自治区の独立勢力による犯行と断定したとのことです。

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 これだけの大事件ですから、当然、日本メディアも即座に反応したかと思いきや、何の反応も示しませんでした。翌日、2日は日曜日。関口宏氏が司会をするTBSサンデーモーニングでも、一切触れることはありませんでした。また、他の局すべてをチェックしたわけではありませんが、日曜日は当事務所の休業日ということもあって、比較的のんびりとテレビの前に座っていましたが、他局でもこの事件が取り上げられることはなかったように思います。

ミヤネ屋のMrサンデーが初めて取り上げ

 この事件を知ったのは、夜10時、フジテレビの「ミヤネ屋のMrサンデー」という番組です。事件発生から24時間は経過していたはずです。単なる自爆テロではなく、10人ほどの集団が各々手に刀をもって犯行に及んだというんですから、ただ事ではありません。

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 社会に与える影響も少なくないはずです。それだからこそ、中国当局は、即座に現場を清掃し、恰も何事もなかったかのように覆い隠そうとしました。事件翌日の2日には、警察官こそ多数出動していましたが、事件現場はすっかり綺麗になっていました。要するに何事もなかったかのようにです。
 この手法は、新幹線の事故の際に即座に脱線した車両を土に埋め、覆い隠そうとしたあの事件や天安門広場に突撃し炎上した事件をもみ消そうとしたいつもの手法と全く同じです。
 犯人側は、中国は日本の国会に相当する全人代(全国人民代表大会)開幕を5日に予定されていたことから、習近平政権に打撃を加えることを意図していたことは明らかでしょう。だからこそ、当局側からすれば、これを小事として押さえ込まなければならない。当然、中国版ツイッター「微博」での書き込みや現場での混乱、凄惨な写真などは、検閲当局によって一斉に削除されてしまいました。

なぜ報道しないのか

 それにしても不思議なのは、2012年11月の習近平体制の発足以降、都市部で最悪の殺傷事件となったというのに、夜10時、Mrサンデーの放送時間帯まで、なぜどこの局もこの大量殺傷事件を取り上げなかったのでしょうか。私には、不思議でなりません。インテリジェンス専門家の佐藤勝氏や手嶋龍一氏に是非とも意見を聞いてみたいところです。
 これは私の勝手な想像ですが、各テレビ局とも、「中国の顔色を見ていた」のではないかと推測します。率先して報道して、中国から出入り禁止など嫌がらせをされるのは困る、といった配慮があったのではないでしょうか。特に、6チャンネル(TBS)や5チャンネル(テレビ朝日)には、「親中国、親韓国、反政府」という共通項がありますから、率先して報道したくないということはすぐに理解できます。
 そこで率先して報道したのが、それらの色に余り染まっていないフジテレビというわけです。しかも夜遅い10時という時間帯にです。
 

フジテレビに続け

 TBSやテレビ朝日は、他局の出方を見ていただけですから、フジテレビが報道した途端、翌朝の報道では安心して、堂々と報道していました。先陣さえ切っていなければ、中国から睨まれることはないという目算でしょう。

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 このように中国や韓国、特に中国の事件に関するテレビ局の報道姿勢は、常に他局のニュースに追随していれば安心という、報道に携わる者として許しがたい態度をとるのが特徴です。そのくせ日本政府に対しては、ろくに事実関係すら調べもしないで一斉に攻撃を加える。これもひとつの特徴です。日本政府は、言論機関に対して厳しい取り締まりをしないことを百も承知だからです。
 例えば、嘗ての教科書問題。侵略を進出に書き換えたというあの問題です。一社が「書き換えた」と報道したら、一斉に「けしからん」のブーイング。当時の大陸侵攻が侵略だったのか進出だったのかのという事実問題に関する議論は全くなされず、単に書き換えたという事実が許せない、というわけです。しかも、そのオチは、上智大学の渡部昇一教授が全教科書を仔細に点検した結果、「書き換えた教科書は一冊もなかった」ということが判明し、急速に萎んだあの事件です。
 あの時にはっきり分かったことは、報道機関に携わる者全員が、「直接、事実に当たって検証などしていなかった」という事実です。何と言うことでしょうか。私は、個人的には侵略ではなく、進出で良いと思っていますが、この点はさておくとして、そのような事実に当たって検証しないという報道記者のプロ意識の欠如が気になって仕方がありません。
 今、国会で問題になっているNHK会長問題も、同根です。「従軍慰安婦問題の真実は何か。本当に軍の指示や要請があったのか」という歴史の真実が一切語られることなく、「NHK会長が発言した」ことが問題だ、というわけです。だったら聞くなよ、ということです。会長の発言は、記者からしつこく聞かれたから已む無く答えたことであって、自ら率先して発言したわけではありません。しかも、発言を強要するから「個人的見解」とわざわざ言ってから発言したんです。答えを要求した記者は、会長の発言の撤回すらも認めませんでした。こういうのを傲慢と言わずして、何と言うのでしょうか。

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 そもそも従軍慰安婦問題についての回答は、三つしか選択枝がありません。軍の指示や関与を認めるのか認めないのか、或いは分からないかです。仮に、会長が「従軍慰安婦に関し軍の関与があった」と回答したらどうなったのでしょう。それはそれで大いに問題になったのではないでしょうか。親中国、親韓国、反政府のメディアは喜んだかもしれませんが、過半の日本人は怒ったはずです。
 歴史の真実を知れ、というなら、どのような経過をたどって河野談話が作成されたのか、もう一度その真実を検証してみましょうよ。これだけ韓国から一方的に非難されているんですから、非難される側の権利として当たり前でしょう。
 嘗て、中国に文化大革命の嵐が吹き荒れた時期がありました。その時に、朝日新聞だけは、中国国内で堂々と取材が許されていましたが、産経新聞など他紙は中国での取材が許されませんでした。朝日新聞は、文化大革命を礼賛し、紅衛兵を賛美したからです。同紙には、紅衛兵の写真が連日のように、大きく掲げられていたものです。なぜそれを知っているか。その当時、私も若気の至りで、朝日新聞や朝日ジャーナルなどを購読していたからです。
 この文化大革命中、中国の各地では大量の殺戮が行われ、その犠牲者の合計数は数百万人から1000万人以上ともいわれています。またマルクス主義に基づいて、宗教が徹底的に否定され、教会や寺院・宗教的な文化財が破壊されました。特にチベットではその影響が大きく、仏像が溶かされたり僧侶が投獄・殺害されたりしました。このような文革を賛美した記者たちは、今どのような生活をしておられるのでしょうか。
 今回の昆明での大量殺傷事件をめぐる報道などを見ていると、報道機関に携わる人々の事勿れ主義が透けて見えてしまうのは、私だけなのでしょうか。
 

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