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男性議員の育休宣言、勘違いしてませんか?

男性議員の育休宣言、勘違いしてませんか?

議員の育休は悪い冗談

 自民党の宮崎謙介議員(京都3区)が来年2月に子供が生まれるのに合わせ、1ヶ月程度の「育児休暇」を取る意向を明らかにした、ということがちょっとした話題になっています。

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 育児は、母親だけに押し付けるものでなく、夫も互いに協力すべきものですから、そのこと自体を批判するつもりは全くありません。国全体としては、その方向に向かうべきものだと思います。
 ただ、宮崎議員の育休宣言に首をかしげるのは、宮崎議員は、「育休を取っても経済的に何も困らないし、身分も100%保証されている」からです。しかも、奥様も同じ衆議院議員ですから、議員報酬だけでも2倍になるんです。

手厚い身分保障と報酬

 国会議員の歳費、つまり給料は法律で決まっています。その月額は129万4,000円。このほかにいわゆるボーナスである期末手当が約635万円支給されますので、年収ベースの総額は2,200万円ほどになります。これが本来の国会議員の給料です。
 議員にはこれ以外にも手当がたくさん支給されます。その一つが「文書通信交通費」。月額100万円で非課税、しかも領収書を提出する義務は一切ありません。
 政界では文書通信交通費を一切経費にあてず、議員個人の口座に全額振り込んでいる事務所もあると聞きます。本当に必要な経費なら堂々と領収書を提出し、国民に内訳を明らかにすればいいだけの話。それすら求めないという現在の文書交通費のあり方には多くの疑問がありますが、ここでは一応議論の対象にはしません。
 さらに国から「政党交付金」として議員一人当たり年間約4,000万円(!)、立法事務費として月額65万円が会派に支払われます。もっとも、このお金のほとんどは政党が使い、議員個人に支給されるわけではありません。しかし、政党によって異なりますが、政党交付金の一部、年間数百万円から1,000万円程度は各議員に支給されているとされています。
 こうした経費を含めると、仮に政党交付金が年間1000万円だとして、年間1人4,400万円ほどのお金が議員本人の口座に振り込まれているのです。笑いが止まらないほどに、優遇されているのです。

議員は労働者ではない

 宮崎議員は、奥様も衆議院議員ですから、2人合わせて年間8,800万円、つまり世帯年収が1億円近くあり、しかも育休を取ろうが取るまいが、絶対に首になることがない安定した身分の議員です。その議員から、「率先して男性も育休を取りましょう。私がその見本をみせてあげましょう」なんて言われても、白けるばかりです。誰も立派のな行為だなんて言わないでしょう。洟じらむとは、こういうことです。
 そもそも国会議員は、労働基準法で定めるところの「労働者」なのでしょうか。労働基準法では、労働者の定義を定めています。「労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」(第9条)と定められています。国会という場は、事業又は事務所に該当するのでしょうか。少なくとも事業には該当しません。ならば事務所に該当するのでしょうか。同法では、「事務所」の定義はありませんが、少なくとも労働の場であることは間違いないでしょう。
 

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 労働基準法は、使用者と労働者という対立概念を前提として定めれらています。労働者は使用者に雇用される、ということが前提なのです。国会議員は、誰に雇用されているのでしょうか。国会議員の歳費は、賃金なのでしょうか。労働者だというなら、国会議員全員で労働組合を結成することが可能になるということになりますが、本当にそんなことができると考えているのでしょうか。深夜の審議は、労働基準法に抵触するなんて言って、ストライキができるのでしょうか。労働者だというなら、雇用主と労働契約を結んでいるのでしょうか。労働条件としての労働協約、就業規則は定められているのでしょうか。それらが定められていないというなら、労働基準法違反ということになりますが、立法府たる国会議員は、そのことを追求したことがありますか。
 国会議員なら、ちょっと考えれば分かりそうなものです。要するに、国会議員は、労基法で定めるところの「労働者」ではないのです。従って、育休を権利として主張することはできないのです。
 そんなひどい職場ならやめる、というならいつでもやめて、普通の会社で勤務すればいいのです。きっと賃金は10分の1の400万円くらいはもらえる筈です。

育休法

 育休に関しては、育児介護法(正確には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)という特別法が定められていますが、労基法が定める使用者、労働者という基本的な対立構造を変更するものではありません。
 同法では、いわゆる日雇い労働者以外の労働者に関し、育児休暇の制度を定めていますが、国会議員は同法で定める「労働者」でない以上、同法の適用はありません。
 要するに、国会議員は、わざわざ法律を作ってまで保護する必要などないほど、十分に保護されているのです。

労働者が育休をとれるようにするのが先

 私は、議員は、育休を取るようなパフォーマンスをとる暇があるなら、先に、普通のサラリーマンでも安心して育休が取れるような法制度を整備せよ、と言いたい。一般のサラリーマンは、制度はあっても休めないんです。「仏作って魂入れず」の状態になっているのです。
 制度上、育休が取れるようになっていても、サラリーマンの大部分はこれを取らない。いや、正確に言えば、取りにくい又は取りたくても取れない。これが現実なのです。
 だったら、どうすれば取れるように出来るのか。その企業に対して、罰則的な課税方式を検討するとか、逆に、育休を取った場合には、企業にそれ以上の見返りを与えるとか、何らかのインセンティブを与えるような制度設計を考えるのが国会議員の役割なんじゃないでしょうか。宮崎議員の仕事は、その立法作業をすることが一番大事な仕事なんです。
 それをせずして、身分保障、経済的保障が100%完備した自分が労働者に先んじて休んでみせる。こういうのをパフォーマンスと言わずして何というのでしょうか。その愚かさに気づくべきです。有り余る収入で、家政婦を雇いなさい!

(蛇足ながら、私は、出産した国会議員たる母親が、母体保護や育児のため、一定期間休暇をとることに異を唱えるつもりはありません。)



<後日記>

 上の記事を書いたのは、昨年末12月25日でした。その後、宮崎健介議員には思わぬ展開が待ち受けていました。テレビ報道で既にご存知のことですが、不倫騒動が持ち上がったのです。育休宣言をして有名になっていなければ、いち議員の不倫など、不問に付されていたかもしれません。

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 両論あるにしても、彼は育休宣言によって、既に有名人になっていました。有名人にゴシップはつきものです。元タレントとの不倫騒動が報じられた途端、文字通りボコボコにされてしまいました。「物言えば唇寒し」とはこのことでしょうか。今は、魯迅のいう「打落水狗」、水に落ちた犬を打ての状態です。
 でも、私は、水に落ちた犬まで打つ気にはなれません。議員辞職をしたんですから、一応、それでいいではありませんか。水に落ちて困っているところを叩くのは、中国や韓国の文化です。日本の文化ではありません。魯迅も中国人だから、このような発想になるのでしょう。
 それにしても宮崎議員殿、奥様の出産時に彼女を自宅にまで連れ込むなんて、いくら何でもやりすぎです。男だから一応(「一応」ですよ)浮気は理解できます。でも、浮気はお外で密かにやることです(多分)。もう、「禊が済んだらまた出馬したい」なんて言わないでくださいね。(後日記のみ、H28・2・18)

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