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日本は本当に借金大国なのか

日本は本当に借金大国なのか

どうやって返すのか

 日本の借金に関するニュースは、しばしばマスコミに登場します。そこに登場する数字は、日本の借金はついに1,000兆円(正確には、2015年度末で1049兆円)を突破した。赤ん坊や高齢者を含めた1人当たりの借金は826万円だ、というわけです。これらのニュースを見ていると、何だか暗澹たる気分になったりしませんか。

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 826万円を返済するといっても、家族4人なら3,304万円です。赤ん坊や小中学生、高齢者が返せるはずがありませんから、一家の大黒柱がまとめて返済するということになります。サラリーマンの平均年収は414万(2013年国税庁調査)程度ですから、全額を返済に充てたとしても、約8年かかることになります。収入の全額を返済に充てることなどできるはずはありません。せいぜい収入の10%くらいでしょう。とすれば、返済期間は何と80年が必要です。人間が生まれてから死ぬまでかかって、やっと借金が返済できるという途方もない計算になります。3世代が総がかりになってやっと返済するレベルです。しかも、この計算の前提は、金利を勘案していません。金利の上乗せがあれば、返済期間はもっと伸びることになります。

20年で返済するとすれば

 科学者の武田邦彦氏は、分かりやすく模式図的に次のような事例で説明しています。

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 80年もかかって返済するのではなく、短縮して20年で返済すると考えた場合を想定しているんです。数字を丸めて1,000兆円の借金を20年かかって返済するという想定です。単純計算で、毎年50兆円ずつ返済するということになります。(単位:いずれも兆円)

図1

 
この歳入を前提にすると、毎年50兆円を返済に回したとすれば、毎年の歳出は、次のように変わります。
        

図2

このことは何を意味しているのでしょうか。
 先ず、政府の事業は2/3以上がカットされます。事業が大幅に減少するわけですから、市中に流れるお金の量も大幅に減少し景気も大幅に悪化します。政府の仕事が2/3以上も減額されれば、教育費はもちろん、公共事業、医療費、社会保障などすべてカットとなります。一部カットではなく、全額カットのレベルです。残るのは、治安のための警察、国防予算、公務員の賃金くらいでしょうか。いや医療や社会保障が優先だとなれば、治安も国防予算も維持できなくなります。中国からの侵略にも全く無防備という状態になります。
 しかも、この状態が20年も(!)続く、というんです。こんな異常事態、我慢できます?そんな政権は、それを提案した途端に、直ちに退場となるでしょう。
 でも、財務省の主導する通り、真面目に国の借金を返すとなれば、こういうことになってしまいます。
 私が直接記事を確認したわけではありませんが、日経新聞10月9日の7ページに、「日本国債、借金膨張歴代政権に罪 命懸けの増税恐れるな」というタイトルで、大増税キャンペーンの記事が掲載されたそうです。
 その内容は、「政府の借金はなぜ1000兆円まで膨らんでしまったのか。安倍政権はなぜ日本国債の累増や日銀による異次元の金融緩和政策に潜在するリスクに目をつぶっていられるのか」というものだったそうです。確かに、このような財務省の見解に沿った意見や書籍もしばしば目にすることがあります。
 要するに、天下の経済紙、日本経済新聞が「早く(消費税)増税をして税収を増やし、財政を健全化しなければ国の財政がもたない」、端的に言えば破綻してしまう、と主張しているわけです。

財政破綻論者の論拠

 日本の財政は破たんする、と主張する人の論拠の一つにギリシャの例を挙げる人がいます。日本政府の借金(国債残高)は、2012年現在で対GDP比で200%を超え、ダントツで世界最悪ともいえます。

図4

 この数字を根拠にして、日本の財政はあのギリシャよりも悪い。世界最悪だ。だから財政破綻する、というわけです。でも、ギリシャと日本では、事情がまったく異なります。ギリシャはユーロ圏に属し、使用通貨は共通通貨のユーロです。元々の通貨であるドラクマではありません。ですから通貨危機に陥っても、自国通貨であるドラクマを印刷して支払うことはできません。
 日本の場合は、自国通貨の円を印刷して支払いに充てればいいわけですから、支払い不能になる、つまり破たんするということはあり得ません。
 嘗て、ロシアやアルゼンチンなどが財政破綻したことがありましたが、それは国債が米ドルなどの外貨建てでも発行されていたからです。日本にはそのような事情はありませんから、破たんはあり得ないということになります。

何かがおかしい

 それなのに財務省や日経新聞は、日本はこのままでは大変だ、沈没してしまうと言っているわけですが、現実の経済はどうなっているのでしょうか。大変不思議なことが起きています。
◎不思議なこと、その1
 国が1000兆円以上もの借金を抱え、しかもその借金が膨らみ続け、世界最悪だというのに、日本の国債は依然として暴落していません。それどころか、国債の金利をマイナスにするというのに、それでも国債は売れに売れています。国債を買ったとたんに損するというのに売れているのです。銀行はもっと国債が欲しいと言っています。

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◎不思議なこと、その2
 日本の円は年々高くなり、暴落する気配は全くありません。それどころか、世界に何らか不安要因が生じると、すぐに円が買われます。「安全資産」というのがその理由です。安全資産でなければ、世界的な不安要因がある時に円など買うバカはいません。日本丸が借金漬けで、返済もできないというのに、なぜ日本の国債が買われ、円も買われるのでしょうか。
 「日本経済は破たんする」と言われてから、既に20年くらいは経っています。私も嘗ては、これら破たん説の立場に立つ本を何冊か読んだことがあります。その当時は、「これは大変だ」だと思いましたが、それ以来、一向に破たんする気配はありません。それどころか、金利は高騰せず、円も暴落どころか、円高方向に張り付いています。破綻を前提とするなら、金利は高騰し、円も円安に振れなければなりません。この経済の常識が通用しない状態が20年も続いているなら、誰だって、「これは何かが変だ」と思うのは当然です。
 この当然の疑問に、財務省や日経新聞などマスコミは答えていません。それどころか、前述したように、相も変わらず、「増税しなければ日本の財政は破たんする」、と言い続けているのです。
 私たち国民は、財務省やマスコミの解説は、何かが間違っている。そうでないとするなら、間違いを知りながら、意図的に嘘の情報を流し続けている、そう考えるのは当然です。

国の借金は本当に国民の借金なのか

 そもそも国の借金とは何でしょうか。財務省は、税収が足りないからその分国債を発行した、従って、その不足分、すなわち国債発行分は国民の借金だと言います。でも、この理屈おかしいですよね。国債を買ったのは国民や銀行や企業です。
 国民が国債を買ってあげたら、それが国の借金になった。だから、国民がその穴埋めをする・・・??疑問符が3つも4つもつきませんか。国民がせっかく国債を買ってあげたのに、それは国の借金だからまた国民がその借金を払わなければならないなら、国民は国債を買わない方がいいということになります。
 また、銀行だって、銀行に預金をしているのは国民です。国債は、私たち国民が預金したお金で買っているにすぎません。つまり、銀行という機関を通して国債を買っているんです。いずれも、国民のお金が前提になっているのです。
 要するに、国債は、それを買った国民の側から見れば「資産」です。銀行だって、国債を購入すれば、貸借対照表の資産に計上しています。逆に、国は、国債発行により資金を調達しているわけですから、将来返済すべき負債です。国民から借金をしているということです。お金を借りた相手に対して、「あなたから借りたお金を返せない。だからあたなはその責任を取って、その分のお金を払ってください。」と言ったら、ぶん殴られます。
 つまり、国債を発行したことによる国の負債は、「国民の借金ではなく国民の資産である!」。 まず、このことをしっかり押さえておくことが重要です。

お金の収支はバランスシートでみる

 私たちが住宅を買ったり建てたりする場合、資金が必要になります。その場合、銀行から3,000万円借りれば、それは借金になります。しかし、それに見合う住宅という資産を保有することになります。その住宅が目減りすれが大変ですが、値上がりすることもあります。借金に見合う資産があれば、必ずしも「借金で大変だ~」ということにはなりません。どうしても返済できなくなれば、住宅を売却すれば済むからです。
 企業だって同じです。商品を生産し販売するためには、工場用地を取得し、工場を建設し、従業員を雇い、原材料を購入し、製品の生産を始めます。一連の費用として数百億円の資金が必要になるかもしれません。そのために必要な資金を銀行から調達します。この場合、銀行からの借り入れだけに着目して、「大変だ~」と騒ぐ人はいません。その工場から、借り入れの返済に見合う商品を生産して販売し、逐年で返済していけばよいからです。
 企業の場合、これらの資金の有り様を「貸借対照表」、つまりバランスシートで表します。このバランスシートが健全であれば、財務上は何ら心配ありません。借金が数千億円あっても、それに見合う生産と販売と資産がある限り、何の心配もありません。
 株主は、このバランスシートを見て、財務上健全な会社か否かを判断します。もちろん、株を取得するような場合には、企業経営者の資質や経営方針、経常収支の動向など、勘案すべき事柄は多々ありますが、基本は、「儲かっている会社か否か」です。儲かっている会社か否かは、すべてバランスシートで判断するということになります。

国のバランスシートはどうなっているのか

 このように、家庭であれ企業であれ、すべてのお金の動きはバランスシートに集約されます。一般の家庭では、わざわざバランスシートなど作りませんが、企業の場合は、必ずバランスシートを作ります。第三者、特に投資家が企業を評価する場合の尺度になるからです。巨額のお金の出入りが伴う国においては、なおさらです。バランスシートがなければ、その国を財政面で評価することなどできません

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 ところが、わが日本国の財務省は、国民に対してバランスシートをはっきり示そうとしません。財務内容を言う場合は、なぜかバランスシートの右側だけ、つまり「負債の部」のことだけしか言わないのです。天下の日経新聞も全く同じです。
 こんなバカな話はありません。一番お金の出入りの量が多いところが、バランスシートの全体像を示さず、負債の部分だけを言うんです。これはもはや国家的な詐欺と言ってもよいでしょう。
 元財務省幹部だった高橋洋一嘉悦大学教授は、自分で作成した国のバランスシートを下図のように示しています。

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 ここで「徴税権」というのは、毎年の税収を資産として評価した場合、いくらに評価されるか、という金額です。国の税収は、単年度の収入だけでなく、毎年、この程度の税収を見込めます。その税収の権利(=徴税権)を第三者が買うことができるとした場合、いくらと評価されるか、というものです。
 民間企業でも、企業買収に当たっては買収対象となる企業の資産評価を行います。例えば、マクドナルドを買収する場合、売上高、経常利益、純利益、一株当たり利益などを見、併せて「マクドナルド」というブランド(=商標)を評価し、総合評価としていくらでなら買収可能かを判断します。
 国の場合、毎年徴収される税収は大変な資産価値を持っています。しかも、この資産、憲法で徴税権が保証され、納税は国民の義務とされているんです。資産価値が高いのは当然です。
 高橋教授は、通常、この資産価値の倍率を10倍から15倍と評価するのが普通だと言います。これを国の税収に当てはめてみると、毎年の税収(一般会計予算)は約65兆円ですから、徴税権評価額は650兆円から970兆円ということになります。高橋教授の示した750兆円は、税収の約11倍相当ですから、極めて低めに評価したということになります。

資産とは何か

 また、表で示した資産は、年金積立金の運用寄託金(121兆円)、 道路・堤防等の公共用財産、 外貨証券(82兆円)、財政融資資金貸付金(139兆円)、出資金(58兆円)などで構成されています。
 財務省は、公共財産について、「公共の用に供されているものであり、また、収益を生むわけでもないので、買い手はおらず、売却の対象とはなりません」などと、各資産について、いちいち言い訳をしていますが、道路交通の用に供するなど、国民に多大な便益を提供しているんですから堂々たる資産です。
 民間企業だって、工場や機械、商標権など、直ちに売却するものでなくとも、資産価値のあるものはすべて貸借対照表の資産の部に載せています。直ちに売却できないという基準でいうなら、鉄道会社だって、駅舎や鉄道のまくら木や信号機など、売却できないものであっても、資産であることに何ら変わりはないのです。
 当然、日銀が保有している国債も資産です。国が発行した国債を民間銀行から購入したものは資産でない、という考え方もありますが、日銀と言えども民間の法人です。しかも国がその55%の出資証券を保有しています。つまり、国の子会社なのです。民間企業だって、子会社については連結決算にすることを求められます。資産隠し、負債隠しなどに利用されないためです。国と日銀の関係も全く同じで、連結決算が可能なのです。むしろ、連結決算をしない方がおかしいのです。
 子会社である日銀は、その保有する国債の買取りを国に求めることは「絶対に!」ありませんから、超優良な子会社を抱えているのと同じなのです。

財務省も本当は破綻しないと断言

 財務省は、国債の格付け機関であるムーディーズとS&P(スタンダード&プアーズ)が日本国債の格付けを引き下げたことを不服として、文書で次のように反論しているのです。

外国格付け会社宛意見書要旨等について(2002・5・3)

◆  ◆  ◆

 貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。
 従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。

(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高


(筆者:注)更に、同文書では次のようにも述べ反論しています

(1)日本国債は現在95%が国内でかつ低金利で消化されている。また、2001年は、一般政府部門の赤字32兆円に対し、民間の貯蓄超過は42兆円である。更に、当面経常収支の黒字は継続し、資本逃避のリスクも大きくない。従って、資金フロー上の制約はない。
(2)近年自国通貨建て国債がデフォルトした新興市場国とは異なり、日本は変動相場制の下で、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。更に、ハイパー・インフレの懸念はゼロに等しい。

 このように、財務省は、外向けには日本の財政は健全だ、デフォルトの心配などない、ハイパーインフレの懸念もゼロに等しい、と言っているのです。にもかかわらず、同じ口で国内向けには、日本の財政は大変だ、増税をしなければ財政破綻する、などと真逆のことを言っているのです。私たちは、先ずこの事実をしっかり押さえておく必要があります。

財政破綻は増税のための言い訳

 このように、財務省が外向けと内向けに行う説明が真逆になるのはなぜでしょうか。それは、消費税の引き上げをしたいからにほかなりません。
 では消費税を引き上げればどうなるのか。これは橋本政権時に、既に実証済みです。橋本政権下で行った消費税増税により、消費税収は年間で4兆円程度増えましたが、デフレ悪化のため所得税と法人税は下降線を辿りました。平成11年度には平成9年度に比べ、合わせて6兆5千億円も減ってしまったのです。

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 つまり、消費税率アップにより消費税収は増えましたが、税率アップによる景気の悪化により、税収全体が減少し、財政はかえって悪化してしまったのです。その結果、日本経済はゼロ成長に陥り、その翌年はマイナス成長に陥ってしまったのです。自殺率もいきなり1.5倍に増加し、失業率も跳ね上がり、さらに平均給与も減少するという散々な日本に変わってしまったのです。
 そうなるのはいわば当然です。買い物をするたびに、罰金のように消費税を上乗せされる。その税率がアップしたとなれば、消費をより一層控えようとするのは当然です。財務省は、このような消費者の心理というものを理解していない雲上人、お公家様と言ってもよいかもしれません。
 それにも関わらず、財務省は依然として増税への執念を燃やし続けています。これを狂気の沙汰と言わずして何と表現すればよいのでしょう。税金というものは、嫌がる人から無理やりに取り上げるのではなく、儲かって嬉しくてニコニコしている状態で、とられてこそ増えるものです。バブル期に「札びらを切って」いたあの状態です。
 つまり、景気が良くなれば、放っておいても税収は増えるんです。それなのに、税率さえ引き上げれば税収が増えると思っている、その感覚、私には全く理解できません。

木を見て森を見ない財務省

 このように大局を見れば、消費税アップなどもはや全く不要な政策であるにも関わらず、依然として消費増税に拘る財務省の意図は何なのでしょう。
 それはまさしく悪しき役人根性に根本の原因があります。財務省の役人にとって、予算とは「入るを図って出ずるを制す」ことにあります。差配できる予算額が増えることが最大の飯の種、生き甲斐なのです。そこでは国民の福祉とか経済の発展などは、二の次です。目先の税収を増やし(本当は増えない!)、それを種に陳情団や国会議員に恩を売る。はたまた、天下り先の確保につなげる、というわけです。
 大局を見るならば、むしろ逆に消費税を減らすか廃止し、経済の活性化を図る方が遥かに税収全体の増大につながり、国民全体がハッピーになれるのです。それなのに、睨みを利かせて目先の税金を取ることばかりに腐心する。財務省の意図は、正しく木を見て森を見ずの小役人的発想と断言してもよいでしょう。(H28・11・9記)



<参考>「国の借金」に関連するYOUTUBEサイト

◎日本国家は世界一の純資産を持つ(高橋洋一)▶▶▶こちらから
◎日本は世界一の金持ち国(三橋貴明)▶▶▶こちらから
◎日本の重大問題「国の借金」(武田邦彦)▶▶▶こちらから

 
 

 

 

 

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