時事寸評 書評コーナー

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養育費と教育費を国債で賄えば日本の未来は明るい

養育費と教育費を国債で賄えば日本の未来は明るい

日本が抱える大問題

 今の日本は、少なからぬ閉塞感に包まれています。国民の多くが日本の将来についてかなり悲観的になっているように思われます。その原因は何なのでしょう。考えられる原因としては、漠然としてではありますが、次のような事柄が意識の底流にあるのではないでしょうか。
① 国の借金は1,053兆円に達し、1人当たりの借金額は830万円になる。国債発行額も既に918兆円になる。このままで日本は大丈夫なのか。

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② 日本経済は長期間低迷しており、容易にデフレ脱却ができない。個人消費は伸びず、国全体の需給ギャップは年15兆円にも達している。このため、企業も投資意欲が乏しく、将来リスクに備え内部留保を増やすばかりだ。
③ 子どもの教育にお金がかかり、家計が苦しい。家計をやりくりするため、パート労働などに出ようとしても、保育園などの施設が足りない。このため、日本の人口は、嘗て人類が経験したことがないほどの速さで減少しつつある。
④ やっと大学に入学し、奨学金をもらうこともできたのに、卒業時には平均で400万円にものぼる借金として残り、就職と同時これを返済しなければならない。現在、奨学金返済の滞納者は30万人にも上る。滞納するくらいだから結婚もできない。何とか安月給からこれを返済しているが、結婚など夢のまた夢。
⑤ 道路や川、橋、上下水道、小中学校など公共施設の老朽化が問題となっているが、国や自治体の予算が足りず、必要な維持補修が進まない。
⑥ 毎月引かれる年金の掛け金は毎年上がるのに、それに見合う賃金上昇はない。しかも、年金は賦課方式だから、自分の払った掛け金は現在の高齢者に支払われるだけ。出生数が少なく、将来の年金確保は絶望的だ。
⑦ 労働者も不足している。特に建設現場や介護施設など、3Kと言われるような職場には、必要な労働者が集まらない。

外国人労働者の受入れで問題は解決するか

 人口が減り、労働者が不足しているなら、手っ取り早く外国人労働者を入れればよいではないか、という意見があります。しかし、そのように意見は、余りにも短絡的だと思います。
 ヨーロッパなどでも見られるように、治安の悪化はもちろんのこと、言語や習慣の違いに基づく地域の人々との軋轢、更にはテロの心配など、大量に外国人を受け入れた国がどれほどもがき苦しんでいるのか、多くの説明を要しないでしょう。特に、日本の場合、労働者受け入れのハードルを低くすると、中国や韓国など、反日教育を受けて育った隣国の人々が大量に流入する可能性があります。その結果、大きな社会的混乱を招くと思われます。

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 更に問題なのは、外国人労働者を大量に受け入れると、折角雇用が改善しようとしている矢先に、それが腰折れしてしまうことです。これは、既に私のこの「時事寸評」欄でも書いたことでもありますが、日本は総人口が減少しつつある一方、15歳から64歳までの「生産年齢人口」の落ち込みがひどいのです。総人口の落ち込みよりも、生産年齢人口の落ち込みの方が5倍以上も大きいという状態が、今後、20年ほどの間続くのです。
 このことが何を意味するのか。需要を賄う労働力が異常に足りないという状態=超人出不足の状態が今後20年程度続くということです。日本は、今まさにインフレギャップの時代に突入しています。経済の専門家は、失業率が3.2%くらいになれば、賃金は急激に上昇に転じると主張しています。賃金を上げなければ、人が集まらないからです。今年2016年の失業率は3.18%ですから、日本は、いま正にその分岐点にいるのです。外国人労働者さえ入れなければ、放っておいても、賃金が上昇する局面を迎えているのです。そのチャンスを、みすみす手放す必要などありません。
 

教育への重点投資

 上に述べたような問題を根本的に解決する方法はないのか。結論から言えば、あります。その方法は、新たに国債を発行し、それを養育費と教育費に重点投資するのです。

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 周知のことですが、日本は無資源国です。唯一、資源があるとすれば、人材です。人という資源です。この資源しかないというのに、その貴重な資源を大事に使おうとせず、上に述べたように、幼少期から貧困の連鎖を生じさせたり、幸運にも卒業まで漕ぎつけた学生には400万円にも達する借金漬けにしたり、とても教育に力を入れている国とは言えません。
 これまで少子化担当大臣が何人就任したでしょうか。専任の担当大臣がいるというのに、何か効果がありましたか。少なくとも結果から見れば、何も効果はなかったではありませんか。
 この長期投資、100%国民に投資額以上の富と満足、幸福感をもたらすんです。この分野に長期に投資できないような国は、到底文化国家とは言えないと思います。
 もちろん、公共事業費、科学の基礎研究費にも長期投資すべきだと思いますが、この4つを同時に述べると話が長くなってしまうので、ここでは養育費を含む教育費に絞って説明したいと思います。

養育費・教育費にかかる費用

 では、教育にどのように投資をするのでしょうか。小学校から大学卒業まで基本的にすべての養育費と教育費を無償化、タダにするのです。こんなことを言うと、とうとうお前は気が狂ったのか、と言われるのは覚悟のうえです。
 負担の前提として、養育費、教育費にどれくらいのお金がかかるのかを考えてみましょう。ひとりの子どもにかかる教育費(学校教育費、給食費、塾や参考書代など含む)は、幼稚園から高校まで公立の場合で約504万円ほどかかります(文部科学省「子どもの学習費調査(平成24年度)」)。
 一方、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成26年度)」によれば、大学生の教育費総額は、国立大学(4年間)で511万円ほどかかるとのことです。
 つまり、高校まですべて公立、大学は国立の場合で教育費は1,015万円ほどかかるということです。さまざまな進路パターンがありますが、仮に幼稚園から大学まで私立で、大学は私立理系(4年間)の場合ですと、約2,465万円にもなります。ここからいえることは、子供ひとりに対する教育費はトータルで低い方で1,015万円、高い方で2,465万円ほどかかるということになります。これに養育費約1,640万円を加算すると、子どもの誕生から大学卒業まで、2,655~4,105万円かかるということになります。

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 仮に、高い方の4,000万円かかるとして、この費用全額を国で負担するという前提で考えてみることにしましょう。ストレートで大学に入り卒業するのは22歳ですから、単純平均で、養育費、教育費合わせて、ひとりあたり年間181万円かかっていることになります。毎月15万円です。子供が2人いたらそれだけで毎月30万円です。相当な収入がなければ、家計は火の車になり、夫一人の収入では支えきれないというのは、十分に理解できます。
 未成年者の人口は、総理府統計局の資料によれば、平成21年の資料で約2,308万人となっています。各年の生徒数は平均で115万人ということになります。
 つまり、今後、毎年生まれてくる子供の養育費、教育費の全額をすべて国が負担することとした場合に要する費用は、181万円(年)×115万人ですから、総額で2兆815億円となります。アバウト2兆円強の負担ということになります。
 国が毎年、2兆円強を負担することにすれば、子供の養育費、教育費はすべて無償化できるということになります。もちろん、この2兆円は、22年間毎年必要になる金額です。
 この費用をすべて国債発行で賄うこととした場合、新発国債は22年経過するまで、毎年積みあがっていく、ということになります。つまり、初年度は2兆円で済みますが、2年目は4兆円、3年目は6兆円の国債発行が必要ということになります。最終年、制度発足時の赤ん坊がめでたく大学を卒業するときには、毎年欠かさず44兆円の国債発行が必要という計算になります。人口が増えないという前提なら、毎年44兆円の国債発行で頭打ちになります。

国の借金は増えていくのか

 では、それによって、国の借金は、またまた膨れ上がっていくのか。財務省的発想ではそういうことになります。この役所は、常に借金のこと、バランスシートの右の欄のことしか言わないからです。負債の額だけ言って大変だ大変だと言い、1人当たり借金の額はいくら、なんていう言い方をします。そのくせ外国に対しては、日本の財務状態は健全だと主張する二枚舌官庁なんです。
 つまり、財務省はうそを言う役所だと認識することが大事です。マスコミも、この二枚舌官庁の提灯もちが多いので騙されてはなりません。
 結論を言えば、養育費、教育費に対する投資は、すべて回収可能なのです。返済不能の借金ではないのです。国が養育費、教育費にかけたお金は、子供たちが22年後、大学を卒業した段階で、今度は、労働者として働き、所得税や法人税、住民税、消費税など、各種税金の担い手として、国に還元してくれるんです。
 つまり、子供は将来の納税者です。経済的な視点で見れば、彼らは、長期投資の対象となる資産と考えることができるのです。しかもこの資産、100%取りはぐれのない優良資産なのです。彼らは国の将来を担う宝であり、大事な資産なのです。しっかりした教育をせずに社会に放り出せば、将来、生活保護に頼ったり、ひきこもりや結婚できないニートなどを量産し、社会の劣化を招くことになるのです。金食い虫の出来損ないを大量に生産するか、立派な社会人を大量生産するかの違いです。一番上の漫画で示したように、「貧困の連鎖」を選択するのか、「富の連鎖」を選択するのかの違いなのです。

国の貸借対照表では資産と負債両方に計上

 この養育費、教育費は、国の貸借対照表(バランスシート)上、どこに計上するのか。これまでの国のバランスシートに加え、新たに資産と負債の部に同額の金額を書き加えればよいのです。
 初年度は、国債発行によって負債の部に「養育・教育国債費 2兆円」、資産の部には長期優良資産である「養育・教育長期投資 2兆円」を付加すればいいんです。資産と負債が見合っていますから、バランスシートを痛める、つまり負債のみが一方的に増えるということにはなりません。
 この論理は、企業でも同じです。企業は必ずバランスシートを作ります。借入金に見合う資産が計上できるなら、赤字にはなりません。例えば、銀行から100億円を借りた場合、それに見合う工場用地や機械設備、人件費、未払金等が計上されますが、決して赤字になるわけではありません。これらの見合い額は、将来、商品の販売によって回収されれば何の問題もないのです。借り入れから商品販売までの期間を、懐胎期間と呼ぶこともできるでしょう。花が咲くまでには一定の期間が必要であるように、どのような業務・事業にも一定の懐胎期間が必要です。
 この企業的発想から見ても、子供への長期投資は回収可能な優良な投資だと考えることができるのです。

本当に絵空事ですか?

 私のこの考え方を絵空事だと思いますか?子供たちを長期投資の対象と考えることは少々不謹慎かもしれませんが、経済学的側面から見れば立派な投資対象となる資産です。子供を国の富を生み出す国の宝、資産と考えるのは世界の常識です。だからこそ、北欧やシンガポールのように、成長している国はどこでも教育に力を入れているのです。
 子供たちの教育を充実させることは、「国民の将来の所得を増やし」「将来の失業を減らす」ことと同義なのです。その教育のために国債を発行することが認められない、という理屈はありません。
 このような教育国債を発行するためには、一応、法的な裏付けも必要になるかもしれません。財政法第4条には次のような規定があります。

第4条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
②前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。

 単純にこの規定を読むと、第4条但書により国債(法文上の公債)を発行できるのは「公共事業費、出資金、貸付金」の3つだけ、ということになります。しかし、嘉悦大学教授の高橋洋一氏によれば、教育費もこの第4条の解釈で読めるというのです。
 その根拠については、小村武・元大蔵事務次官の「予算と財政法」(三訂版)の101ページに次のように解説されている、というのがその理由です。

 「財政法第4条第1項ただし書きは、公共事業費、出資金及び貸付金の財源となる場合に例外的に公債発行又は借入金を許容している。これらはいずれも消極的支出ではなく、国の資産を形成するものであり、通常、その資産からの受益も長期にわたるので、これらの経費については公債発行又は借入という形でその財源を賄い、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めることを許しているものと考えられる。」(アンダーラインは筆者)

 この解説書の著者は、元大蔵次官の個人名になっていますが、財政法の逐条解説として、財務省主計局のバイブルとされてきたものです。しかも、その後も逐次改訂されており、事実上の公的見解と言ってもよい、と高橋氏は述べています。役所には「有権解釈」という用語があります。法律を所管しているのは役所です。その法律の解釈権限は、原則としてその法律を所管している役所にある、ということです。もちろん、法文解釈に疑義がある場合は、最終的に裁判所に訴訟うという形で異議を申し立てることもできますが、通常は、有権解釈で足ります。
 そして、その有権解釈の大きな根拠は、所管省庁が作成した「○○法解説」といったもので、通常、コンメンタール形式、つまり逐条解説書が発行されているのです。法律上可能か可能でないのかといった法的判断は、通常、この逐条解決に依って判断しているのです。

 このような前提に立つならば、養育費、教育費、科学の基礎研究費は、公共事業と同じく、「懐妊期間が長く、大規模で広範囲に行う必要のある投資」と位置付けることができ、国債発行で賄うのが適当ということになります。私には、「公共事業ですら!」国債発行が可能と明記されているのに、教育費が明記されなかったことが不思議でなりません。しかし、この「予算と財政法」の解説に基づけば、公共事業と同様に、国債によって賄うことは十分に可能と言えます。
 教育期間は22年という超長期の期間を要しますが、逆に、22歳で卒業すると同時に、65歳の定年に至るまで、長期にわたって国に借金を返済してくれる超優良の借主なのです。これほど「貸しっぱぐれのない」長期投資はないのです。

国債発行による功罪

 問題は、このような教育投資がなされた場合、どのような問題が生じるのかです。想定上、プラス効果とマイナス効果の両方が考えられます。
■プラス効果
① 子供の養育費、教育費が無償となれば、子育て期の家庭は、経済的負担から解放され、生活は大幅に余裕が出ます。欣喜雀躍と言ってもよいでしょう。当然、消費の大幅な拡大につながります。若者の方が消費意欲が旺盛だから当然です。その結果、経済活動は格段に活況を呈することになります。
② 養育費、教育費にお金がかからないならば、子供を産む動機づけになりますから、当然、出生率は大きく改善します。劇的に改善すると断言してもよいでしょう。
③ 経済的に恵まれない家庭で育つと、同じように貧困に悩むという「貧困の連鎖」は、これまでも日本社会が抱える大きな問題でした。東大に進むには官僚か大企業の社員の子弟でなければ不可能、という状態はまともな社会とは言えません。
④ 子供の数が増えれば、持続的に維持する必要のある公的年金制度は安定します。世代間扶養を前提とする現在の賦課方式による年金制度を維持するためには、この方式しかないと言っても過言ではありません。安心して子供を産めるという社会的システムが必要なのです。
■マイナス効果
① 社会的な不公平感が生じることです。子供のいる家庭はこれによって潤いますが、子供のいない家庭は、恩恵を受けられないという不満が生じるかもしれません。しかし、社会の安定化、年金制度の安定化、経済の活性化などによって得られる受益は、何も子育て中の家庭だけのものではありません。社会全体が等しく恩恵を受けられる、と考えるべきなのです。
② 22年間、利益が還元されない長期投資に社会が耐えられるか。→負債と考えるから耐えられるかという議論になるのです。負債と資産が見合っているのですから、耐える必要はありません。
③ 毎年国債発行が増えることによるインフレ効果を抑えることができるか。

国債は消化できるのか

 毎年新たに44兆円も発行して、一体、国債は消化できるのか。誰でもが疑問に思うでしょう。でも、現在の国債発行残高は918兆円です。これに加えて新たに44兆が加わるレベルです。現在の発行残高の5%にもなりません。しかも、この44兆円、毎年資産の部と負債の部に同時に発生し同時に消えていきますから、これ以上増えることはありません。南極の氷が増え、その増えた分が海面に没していくあの状態と同じ構造です。
 現在、国債は市場から求められています。中国のように国が買うことを強制しなくても十分に買われているのです。買われているということは需要があるということです。需要の高さは、国債の金利、つまり利率を見れば分かります。新たに発行する日本国債の金利は、マイナスです。100万円で買った国債が1年後に98万円になって戻ってくるというのに、奪い合うようにして買われているのです。異常ともいえます。市場に出回る国債が不足しているということの何よりの証拠です。これでも、市中で消化できないと言うのでしょうか。
 養育費、教育費に比べれば、科学研究のための基礎研究費なんて、一桁単位が違います。因みに、平成26年度の科学研究費は2,300億円です。これに加えて、新たに2,300億円加えること、つまり倍増するとしても、44兆円+0.23兆円というレベルです。それによって、日本の科学技術が大いに発展するならば、十分に元が取れます。しかもバランスシートを一切傷つけないのです。
 日本は科学立国の国です。教育と科学に力を入れることは、十分に国民の理解を得られるはずです。そのために発行する新発国債程度は、市中で十分に消化できるボリュームなのです。
 

インフレにならないか

 今の日本経済は、消費税率を8%に引き上げたショックから脱していません。インフレどころか、日銀の黒田総裁は2%のインフレ目標さえ達成できず、3回も達成目標の期限を延長したというのに実現できませんでした。中国経済の減速や石油価格の下落など、外的要因を言い訳の理由にしていましたが、事実上、白旗を出して降参してしまったと言ってもよいでしょう。要するに、程よいインフレすら実現できていないのです。
 養育費、教育費から解放された社会においては、若者世代の経済活動が極めて活発になることは火を見るよりも明らかです。他方、高齢者世代は、直接の恩恵は受けませんから、インフレ増進効果は生じません。つまり、若者世代によるインフレ喚起要因と高齢者世代による抑制要因とが相殺され、極端なインフレは生じないと考えられます。
 もちろん、国債発行によって市場に出回るお金の量は増えますから、インフレ傾向が生じるのは間違いありません。しかし、仮に3%を超えるようなインフレが生じるようであれば、公定歩合の引き上げなど金融政策によって、インフレを抑え込むことは十分に可能です。それに我が国は嘗て、物価が7%も8%も上昇した時代も経験しています。住宅金融公庫の金利5.5%が安く感じられた時代があったのです。当然、3%程度の物価上昇を抑える技法は学んでいるはずです。黒田日銀総裁が2%上昇の目標すら達成できずに苦しんでいる。先ずこの現実をよく見るべきではないでしょうか。

プラス効果は計り知れない

 繰り返しますが、養育費と教育費を無償化することの効果は、絶大です。先ず何より、若者世代が狂喜乱舞します。経済的負担から解放され、精神的にも高揚感に包まれるはずです。経済的な理由で結婚をためらっていたカップルの後押しをすることにもなるでしょう。また、子供を産むことをためらっていた夫婦も、2人目3人目を心置きなく生めるようになるでしょう。子供たちが増えれば、年金財政にプラス効果が働くのは前述したとおりです。

人手不足への対応

 現在は、生産年齢人口の減少期に入っています。このような減少傾向は、今後20年間も続くのです。このような人手不足の時代を外国人労働者を当てにせず対応するためには、労働者一人当たりの生産性を高めることが必要です。これからの時代、生産性をためるためには、必然的にAIの活用やビッグデータの活用、IOTによる第4次産業革命の方向に進むことになります。好き嫌いの問題ではありません。
 社会の在り方が根本的に変わろうとしているのです。過去を振り返っても、駅の切符切りの改札員やバスの車掌はいなくなりました。工場の生産ラインからも、労働者はほとんどいなくなりました。
 人工知能の発達により、膨大なデータを瞬時に読み取り、処理し、適切な解を見出す能力は人間よりもコンピュータの方が遥かに優れています。将棋のチャンピオンよりもAIの方が強い、というのはもはや常識です。囲碁の世界もそれに近づいています。医者や弁護士もこれからはAIを活用した方が正確な判断が下せる、という時代はすぐそこまで来ています。
 車の自動運転も同様です。近い将来、タクシードライバーやバス、トラックの運転手が大量に失業するでしょう。つまり、殆どの仕事はAIにとって代わられようとしているのです。介護のような分野でさえ、近い将来、ロボットやAIが大活躍する時代になるでしょう。人間は、イノベーションの源泉である「ヒト」「モノ」「カネ」をうまく結び付け、どうやってこれらを活用するか、といった分野で活躍することになるでしょう。
 これらのことを考えると、人手不足の一方、必ず余剰となる分野も出てきます。余剰となった人員をこれらの不足する分野に回すなど、労働市場の流動化が必要になりますが、わざわざ外国人労働者を大量に入れ、社会の混乱を招く必要など更々ないのです。

科学の基礎研究にも応用可能

 ここでは、主に養育費及び教育費に焦点を当てて説明しましたが、この考え方は、前述したように、科学の基礎研究にも適用可能です。科学の基礎研究も、「その資産からの受益が長期にわたるもの」であり、「その元利を通じて将来世代に還元してもらう」という考え方は、全く同じだからです。公共事業は正面から認められているのですから、制度上の問題はありません。
 科学の基礎研究は、何もノーベル賞の獲得を目指すものではありません。人的資源以外の資源を持たない日本社会が、長期的に発展していくために必須のものだからなのです。

結 び

 冒頭に述べたように、今の日本は、人類が経験したことのないような速さで人口減少が進んでいます。このため、将来、年金を負担すべき子供世代も減少しつつあり、このことが社会に暗い影と歪みをもたらしつつあります。国民は、この閉塞状況を打破し、国民みんなが将来に対して、明るい希望を持てるような抜本的な施策を必要としています。その期待は、アベノミクスに託されましたが、その成果は未だ十分でありません。

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 このような状況下で、今実行すべきは、養育と教育の完全無償化と公共事業のテコ入れです。また、科学の基礎研究も、日本の確固たる土台作りという観点から国債発行によって支えるべき分野です。
 公共事業も、既存の事業に加え、国や地方公共団体が予算不足によって実施できない維持補修を徹底して行う必要があります。しかもそれは期間限定ではなく、恒常的に行うことが重要です。そうでなければ建設会社は長期的な視点で会社の運営をすることができないからです。社会の基礎的インフラを確固たるものにすることによって、社会の便益は増します。社会的な損失も生じません。国のバランスシートを毀損することにもならないのです。
 以上、私が述べた施策の実行は、今がラストチャンスだと思っています。なぜなら、第2次安倍政権は、政権基盤が安定しており、且つ、これまでの内閣に比べ実行力もあるからです。恐らく、以後の政権では、これほどに強力な政権は期待できないでしょう。安倍総理には、是非、教育投資に大英断を振るってほしいものです。(H26・12・2記)

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