霞が関ＣＣの女人禁制は会員が自由に判断すべき問題です
霞が関ＣＣの女人禁制は会員が自由に判断すべき問題です
地元に貢献している
２０２０年に開催されるオリンピックのゴルフ会場として霞が関カンツリー倶楽部が候補に挙がっているようです。テレビ報道によると、このゴルフ場が、女性に正会員資格を認めていない、ということで反発する声が上がっています。反発しているのは、小池都知事や丸川珠代五輪相たちです。
そもそもこのゴルフ場、霞が関なんていう名前がついているため、霞が関の役人のためのゴルフ場と勘違いする人がいるかも知れません。それは全くの誤解です。たまたま同じ地名なだけで、役人が跋扈する霞が関とは縁もゆかりもありません。
霞が関カンツリー倶楽部は、霞が関から遠く離れた埼玉県川越市にあり、東京から電車で１時間近くかかります。何と「霞が関」なんていう駅もあるんです。多分、ここの駅から都内に通う人の中には、霞が関駅から霞が関駅なんていう定期を使っている人もいるはずです。私も同じ埼玉県に住んでいますが、一度もプレーしたことがありません。こんな名門クラブ、私のような貧乏人はとても相手にしてもらえません。
それはともかく、その昔、ここの土地を持っていた大地主が、是非この地にゴルフ場を作りたいと希望し、昭和４年から建設をはじめ、僅か８か月でこのゴルフ場を完成させたんだそうです。スタート時の会員数は３１０名でした。
同クラブのホームページによれば、この倶楽部は、地元の自治体の教育委員会や体育協会などが主催する健康・体育・文化事業と連携して、コースを開放しているそうです。具体的には、日本ジュニア選手権、全国健康福祉祭(ねんりんピック)及び県民総合体育大会、市町村対抗ゴルフ選手権、一般のゴルファーが参加する川越、狭山、日高、鶴ヶ島の市民ゴルフ大会等々に会場として施設を提供しているそうです。
また、４１万坪に及ぶ広大な敷地と約１万本余の樹木を管理し、周辺地域との調和を図るため、環境保全と緑地保護にも努めているそうです。近隣の幼稚園や保育園の園児あるいは養護施設の人々に、自然のなかで遊戯や散策を楽しめるよう、情操教育やレクリエーションの場として休業日に施設を開放したり、地元中学校生徒の職場体験活動の受け入れも行っているとのことです。
正会員を認めていないだけ
なぜ女性会員を認めないこととしたのか、その理由は分かりませんが、パブリックのゴルフ場ではありませんから、会員資格をどのように定めるかは、基本的に会員同士で決めるべきことです。
実際のプレーは、男女を問わず、かなり自由にできるようです。平日は会員の同伴または紹介状が必要ですが、会員1名につき11名まで連れてくることができます。また、土日祝日は会員の同伴が必要ですが、会員1名につき3名まで連れてくることができるそうです。
つまり、基本的に、女性でも正会員以外は会員となることが認められていますし、プレーすることも認められています。
何でも男女差別と言うのはおかしい
あくまでも一般論ですが、女性は肉体的に非力です。男女が同じルールでラウンドすると、圧倒的に女性の方がスコアは悪くなります。このため、女性には、ハンデをつけ、ティショットは１０ヤードから３０ヤードくらい短い「レディスティ」から打たせるというのが普通です。厳格に男女同権を言うなら、こういうハンデも一切与えないことが正しいということになります。
実際にコースを回るとき、前の組が女性だけの組の場合は、プレーが遅いためイライラしたという経験をお持ちの方は少なくないと思います。勝手な想像ですが、土日祝日は、より多くのお金を出した正会員特典として、これら非力な女性の数を減らし、イライラせずにプレーをしたいという狙いがあったのかもしれません。これはあくまでも推測です。
そもそも女人禁制は、歴史のある名門クラブでは決して珍しいことではありません。ゴルフ発祥の地イギリスでは、ミュアフィールドリンクスのほかに２つのゴルフ場が女性の会員を認めていません。
全英オープンが１６回も開催されたこのゴルフ場は、世界最古の倶楽部形式のゴルフ場です。１７４４年に世界ではじめてゴルフルール１３か条が定められた由緒あるゴルフ場です。このゴルフ場が全英オープンの会場となることに反発する声があったため、会員に投票で規約改正の賛否問うたそうです。結果は３８７人の賛成、反対２１９票で、３分の２以上の賛成が得られなかったとして、会員規約の改正はされなかったそうです。
このため、全英オープンの主催者の方針により、今後は、このコースで全英オープンは開催されないことになりました。ゴルフ場が会員の出資によるプライベートな施設として運営されている以上、これは仕方のないことだと思います。
アメリカのオーガスタナショナルＧＣも、同様の理由で、マスターズが開催されないことになりました。これも会員による判断の結果です。
各分野にはそれぞれの歴史と伝統がある
一般受けするからでしょうか。女性を締め出している事例があると、条件反射のように、口をとがらせて文句を言う人がいます。私はこれを田嶋陽子現象と言っています。しかし、世界の歴史や日本の歴史は、ある日突然にできたものではありません。スポーツや芸能、食文化などには、それぞれ異なった歴史と伝統があります。
例えば、日本には歌舞伎という伝統芸能があります。今から４００年以上前、徳川家康の時代が発祥とされています。安土桃山から江戸時代に移る頃、秀吉に仕えた豊臣家の残党を中心に、仕事もなく路頭に迷っていた者が巷に溢れていたといいます。その混乱の中、最先端をいくド派手な衣装や髪型で街を闊歩し、ケンカ・乱暴・盗みなどの限りを尽くし、世間に背き破天荒に生きる男たちが出現しました。
つくべき仕事もなく、社会に反発し、道理に外れ勝手気ままに生きる…このような行動を傾く(かぶく・かたぶく)といい、このような男たちを称して「傾奇者(かぶきもの)」と言ったとされています。これが歌舞伎の始まりです。
この歌舞伎、男だけでの世界です。しかも、代々世襲制の世界です。このような歌舞伎の世界について、男女平等にしろ、世襲制は怪しからん、憲法違反だと主張することは正しいのでしょうか。多くの国民は、歴史と伝統を尊重し、そんな暴論は言わない筈です。
相撲も宝塚も男女平等にするのか
大相撲だって、男だけの社会です。こちらは世襲制でなく、実力の世界です。
古墳時代の埴輪である「須恵器」にも相撲が行われていた様子が描かれているそうです。平安時代になって各地から相撲人を集め、天王ご覧の下に相撲が行われるようになり、現代のような相撲に発展してきたとされています。この大相撲に、現行憲法の理念を持ち込み、男女平等にしろ、と主張することは正しいのでしょうか。
プロレスでさえ女子プロがあるくらいですから、腕力のある女性は沢山います。しかし、相撲でマワシを締めて同じ土俵で相撲を取らせろとは、いくら人権派弁護士でも言わないのではないでしょうか。
逆に、男子禁制の分野だってたくさんあります。むしろ今の社会では、あらゆる分野で女性の方が優遇されていることの方が多いのではないでしょうか。
宝塚歌劇も、女性だけで演ずる芸能です。男性を入れない理由は、歴史と伝統という理由以外、どのような理由があるのでしょう。女性を差別していると声高に言うのなら、宝塚で女性だけを募集するのは男女平等を謳った憲法の精神に反すると言わなければなりません。
歴史や伝統は尊重されるべきもの
私は、肉体的な差異に基づく区別は、あってしかるべきだと思っています。これは差別ではないからです。すべてが平等でないのは怪しからんというなら、陸上競技１００ｍ競争も男女混合でやるべきです。もちろん、水泳その他すべての競技も同じです。
男女が別々で競技を行うのは、人間という種のもっている個体差に基づく差異に由来するものであって、それは差別ではないのです。
歌舞伎だって宝塚歌劇だって、男女どちらでも演じることはできます。それにも関わらず、堂々と男だけ、女だけの世界が認められるのは、その分野が発展してきた歴史や伝統を国民が尊重し、後世にもそれを伝えて行きたいと願っているからなのです。
皇位継承も同じ
歴史や伝統を尊重するというのは、皇室問題でも同じです。現在の天皇は神武天皇を初代とすれば１２５代目です。紀元前６６０年からすでに２６００年以上もの長い歴史を持っています。世界の皇室の中でも最古参の輝かしい伝統を有し、国民からの敬愛の対象となっています。だからこそ中国や韓国は、この歴史、伝統を壊したくて仕方がないのです。国連を舞台に、「日本の天皇制は男女同権に反している」などと主張しているのはそのためです。
中国や韓国が大好きな反日日本人も、日本の皇室制度を壊したいために、「男女平等」なる錦の御旗を掲げ、これを壊そうとしているのです。直系男子に限る天皇制の下でも女性天皇は何人も存在しました。従って、現在の「直系男子に限る」皇室典範制度の下でも、天皇制を維持することは十分に可能なのです。維持することが可能だったからこそ２６００年の長きにわたって連綿と続いてきたのです。
天皇は、そこにいて頂けるだけでいいのです。災害地の見舞いや全国の植樹祭に行かないからけしからぬ。そんなことを国民は言いません。体がきつければ、公務をお休みされても一向に構わないのです。それが天皇という存在であり、存在そのものが敬愛の対象だからです。これが歴史や伝統の重みであり、日本人はこれを大事に守ってきたのです。ですから、平成天皇の退位のご意向を尊重し、一代限りの退位を認めるとの政府の方針は、基本的に正しい方向と言うべきでしょう。
頭脳を使う分野は平等でいい
私は常々、人間の頭脳を前提とする分野で、男子、女子の区別があることを不思議に思っていました。例えば、囲碁、将棋の世界です。頭脳プレーでしかないのに、なぜ女流名人とか女流本因坊なんてものがあるのでしょうか。女流があるなら、なぜ男流がないのでしょうか。
そもそも碁を打つのに、「女流の打ち方」なんてあるわけがありません。それがあるなら、男流の打ち方もあるということになります。
「女流○○」なるものがあるのは、男性から見て、同じ土俵で勝負をしたら、圧倒的に男ばかりが勝ってしまう。だから、女流というものを作って賞状や商品をもらえ機会を増やしてあげようという、男性側から見た心遣い、思いやりと考える以外にありません。
何でもかんでも男女同権でなければ気が済まない、憲法違反だというなら、女流名人も、女流本因坊も、女性専用車両も、女性専用漫画喫茶も、女性専用ネットカフェも、女性専用夜行バスも願い下げ、憲法違反を言わなければなりません。そして、オリンピック競技は、すべて男女混合でやらせろ、と言わなければなりません。ついでに風呂もすべて混浴にしろ、と言っていただきたい。私が喜んで行きます。
霞が関カンツリー問題も、会員に判断させるべき
このように、この世は様々な歴史と伝統、背景があって今日に至っているんですから、単純に男女同権を定めた憲法に違反する、なんて大上段に振りかぶった議論をするのではなく、クラブの会員の判断にゆだねる、というのが正しい判断だと思います。
それが認められないというなら、そもそも会員制によるプライベートなカントリークラブというものを一切認めないという制度設計しかありません。その行き着く先は、土地の私的所有を認めない共産主義国家ということになります。土地の私的所有を認めている以上、その土地をどのように利用するかは、基本的に所有者の自由なのです。
嘗て、北海道のあたりに羽柴秀吉なる名を名乗り、所有地内にお城を作った成金がいました。バカ殿のように見えましたが、所有地内での所作ですから、「勝手にどうぞ」の世界でした。
霞が関カンツリー倶楽部が問題になったのは、オリンピック会場として貸与することを認めたからです。貸さなければ、今回のような問題にならなかった筈です。私たちのような貧乏人から見れば、金持ち達の会員倶楽部が虐められているのは痛快と言えば痛快でもありますが、すぐに男女平等を振り回す風潮もいかがなものかと思います。
組織委員会が承知の上で借りたこと
特に、今回の問題は、元総理の森喜朗オリンピック組織委員長と霞が関カンツリー倶楽部との間で、「会員規約に文句は言わないから、そのままで貸してほしい」との約束の下で賃貸契約を結んだと報じられています。しかも、オリンピック期間中は「貸し切り」状態ですから、男も女も何の制約もなくプレーできるんです。
そうであるならなおのこと、オリンピック以外の日常の運営については、倶楽部側の意思を尊重するのは当然のことで、規約を変えろというのは、明白な契約違反であり、文字通り余計なお世話です。これを強要されるのでは、庇貸して母屋を取られるようなものではありませんか。
韓国に対して対馬から盗んだ仏像を返さないのは、法治国家として許されない、韓国には人治はあっても法治はない、などと言っていた日本も、大衆迎合、マスコミの力で法律をねじ曲げてしまう国家ということになりかねません。
大衆迎合的にマスコミの力を借りて、押し付けるのでなく、会員の意思を尊重すべきです。このような規約を持っている倶楽部が許せないというなら、他のコースを探せばいいだけのことです。連日マスコミが大騒ぎするような問題ではありません。（H２９・２・５記）
＜注＞私はしがない年金暮らしにつき、一切カンツリーさんのお世話にはなっていません。過去に一度も足を踏み入れたこともありません。念のため。
＜後日記＞
今日のニュースで、霞が関カンツリークラブの理事会で、女性の正会員を認めるということで決着がついたそうです。自主的な判断でそのような結論に至ったことは、大変結構なことと思います。私も、できればそのような結論を出してもらった方がいいとは思っていました。ただし、こういうことはあくまでも、自主的に決めることであって、政治的な圧力や第三者の圧力によって決めることではありません。
結果、オーライ。大変良かったと思います。（Ｈ２９・３・２０記）
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