時事寸評 書評コーナー

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なぜ北朝鮮有事に備えないのか

なぜ北朝鮮有事に備えないのか

開戦は目前の危機

 既にこのコーナーでも述べてきましたが、米国と北朝鮮との対立は抜き差しならない深刻な状況に立ち至っています。米原子力空母カールビンソンは、シンガポールからオーストラリアに向かう予定だったところ、急遽、進路を変更し、北朝鮮方面に向かいました。正確な情報はつかめませんが、作戦上必要となる然るべき位置に到着したはずです。
 横須賀を母港とするロナルドレーガンも、定期点検を急いでいると言われています。定期の補修が完了次第、日本海に向うはずです。米軍の原子力空母2隻が戦闘態勢についた時こそ、すべての戦闘態勢完了ということです。5月9日には韓国の新政権が誕生し、親北政権となることも予想されます。韓国国民も、事の重大性に気づき始め、米国との連携を重視する安哲秀候補が猛追しているようですが、まだ分かりません。親北政権ができれば、米韓で北朝鮮に対峙することは難しくなります。従って、デッドラインは、5月9日までということになるのです。
 米軍と韓国軍の合同訓練は、これまでは公開でなされてきましたが、今は、非公開で行われています。それだけ深刻の度を増しているということです。深刻な危機が目前に迫った時、軍事訓練は極秘裏に行うのが常識だからです。

クリントン政権時の被害想定

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 オバマ前大統領は、北朝鮮の挑発行為に対して、被害想定が大きすぎることから、「戦略的忍耐」と称する姿勢を貫いてきました。クリントン政権時に行ったシュミレーションで、開戦すれば、開戦90日間で5万2千人の米軍が被害を受け、韓国人も49万人の死者を出す。戦費は610億ドルを超え、最終的には1千億ドルを超す、との結果が示されていたからです。当時、韓国に駐在していたラック司令官は、「南北間の隣接性と大都市戦争の特殊性からして米国人8万人から10万人を含め、100万人の死者が出る」と報告していました。
 クリントン政権時と比べれば、現在の北朝鮮の軍事力、核攻撃能力は格段に向上していますから、当時のシュミレーションよりも、更に大きな被害が生じることが予想されます。
 一方、北朝鮮の独裁者は、「我々に手出しする者に最も強硬に立ち向かう」と、核兵器開発の方針をいささかも変更することはなさそうです。核大国米国としても、直接、自国への核攻撃の意図を明確にし、核開発に邁進する北朝鮮を放置することはできません。
 金正恩は、先日、4発のミサイルを同時発射した際に、「日本の米軍基地を攻撃するための特別の部隊がある」ことを明言しました。また、北朝鮮から脱北し韓国に在住する元工作員の女性が、日本のテレビ取材で、日本の攻撃目標はどこだったのかと問われ、「東京だった」と答えています。北の独裁者ならさもありなん、という気がします。
 このような客観情勢が、日本にとっての危機でなく、何と言うべきなのでしょうか。あらゆる観点から見ても、米国と北朝鮮の直接対決は不可避の状態にあると断言してもよいと思います。なぜなら金正恩にとって、核の放棄は体制の放棄と同義であり、絶対にありえない選択だからです。

テレビは浅田真央の涙の引退会見一色

 こういう深刻な状況にある中、昨12日、テレビを見ると、朝から夜のニュースまで、浅田真央の引退をめぐる報道で埋め尽くされていました。平和ボケもここに極まれり、と言うしかありません。

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 さすがに、連日、森友学園問題を報じていた「テレビ朝日」も、ぷっつりと森友学園問題を報じなくなりました。今この時期に森友学園問題を報じることへの反発を恐れたのかもしれません。一転して、今度は、11日、12日の両日にわたって、「警視庁捜査一課」や「徹子の部屋スペシャル」なんて番組に、多くの時間を割いていました。北朝鮮問題は、ニュースの中で、添え物のように、ほんの僅か報じたにすぎません。その他の各局も、浅田真央の涙の会見や回顧が中心で、似たり寄ったりの極めてのんびりした番組編成がなされていました。
 唯一、BS8チャンネルのプライムニュースで、桜井よしこ氏と森本敏元防衛大臣が登場し、北朝鮮問題を取り上げていただけです。
 これらの報道ぶりから窺えるのは、開き直りなのかもしれません。「ミサイルが飛んできたからといって一般国民に何ができるんだ」、「これまで何も対策なんて考えてこなかったんだから、今更できることは何もない」ということです。
 確かに、そうです。多くの国民は、平和憲法さえあれば戦争をすることはないのだ、と思ってきましたから、今更騒いでも仕方がない、とも言えます。
 しかし、それでは日本人は「座して死を待つ」、というのと同じです。この緊急事態に対しても、日本は、そして私たち個人は、何ができるのかを考えるのは、人間として当然のことではないでしょうか。「普通の国」の「普通の国民」ならそうします。

先ずは警報音をきちんと聞くこと

 米軍が戦闘を開始するときは、予め、北朝鮮に通告(開戦告知)することはないでしょう。敵に先制攻撃の口実を与えるからです。日本が真珠湾攻撃をした際、あれほど「宣戦布告がなかった」として「卑怯者」呼ばわりした米国ですが、シリアへの巡航ミサイルの攻撃では、何ら宣戦布告はなされていません。ロシアも「主権国家に対する侵略行為であり、明白な国際法違反である」と非難しましたが、そのロシアも、クリミア半島を一方的に占領しました。中国による南沙諸島の埋め立ても、これを違法とする国際司法裁判所の仲裁判断を「ゴミ屑だ」と切って捨てました。大国の論理とはそういうものです。武力を持つ大国、国連で拒否権を持つ大国が行う行為は、常に善なのです。
 私たち国民ができることは、先ずは、警報音をきちんと受け止めることです。秋田県の男鹿半島地区での避難訓練でも鳴り響きましたが、「Jアラート」という警報音が鳴ることになっています。スマホなどすべての携帯電話にも警報音が伝わると言われていますから、この警報音をよく覚えておくことが必要です。

ミサイルの目標地と迎撃

 ミサイルは単発では発射されないはずです。複数のミサイルを同時に発射するのでなければ、順次、迎撃されてしまうからです。

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 攻撃目標はどこか。第一には、米軍基地がある三沢や横須賀、岩国、沖縄などが攻撃対象になるはずです。特に、第一波の攻撃機が飛び立つ三沢基地やステルス戦闘機が配備されている岩国基地は、危険度が高いでしょう。
 首都東京にも防衛省がありますし、市ヶ谷駐屯地もあります。あの狂気の金正恩ならば、前述した元工作員が述べたように、首都機能の壊滅をも目標にしているでしょう。また、原発のある地域も攻撃対象になるのではないでしょうか。稼働中の原発の破壊は、未曽有の被害をもたらすからです。
 迎撃は、先ず洋上に展開するイージス艦により迎撃します。これで打ち漏らしたミサイルは着弾地点で、PAC3で迎撃することになります。しかし、軍事専門家の話によれば、同時に数発発射されれば、全弾を撃ち落とすことは不可能とされています。私たちは、打ち漏らしのミサイルの直撃を受けることを覚悟する必要があります。
 東京に向けて4発ほぼ同時発射したとして、横一線となるわけではありませんから、比較的先に到達するものから順次撃ち落とす、ということになります。最初の1,2発はどんがら又は化学兵器爆弾で、最後の一発が本物の核爆弾ということは、作戦上十分にありうることです。素人の私でもそうします。
 ミサイルは、大別して、①通常弾頭のものから、②VXガスやサリンなどの化学兵器によるもの、③更には核爆弾があります。
 通常弾頭のミサイルなら、着弾地点の人家の密集度などにもよりますが、半径50~100mくらいは確実に被害が及ぶでしょう。ですから、身を伏せるだけでも助かる確率はかなり高まります。家の中にいる場合なら、雨戸やカーテンも閉め、座布団を頭に被って身を伏せるだけでも助かる確率は格段に高くなると思われます。

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 VXガスやサリンが充填された化学兵器の場合には、直接被弾したのでなければ、助かる確率はかなり高いと言えます。VXガスの場合には、直後に、大量の水で洗い落とすだけでも症状はかなり軽減さすると言われています。サリンの場合には、酸素吸入器などの装置が必要になりますが、平和に慣れた日本にそんなものありません。緊急時には間に合わないでしょう。
 核爆弾の場合には、広範囲に、被害が及びますから、地上で直接閃光を浴びたような場合は、ほぼ絶望です。東京や大阪など、大都市に住んでいる人の場合は、地下鉄の構内、それがなければ地下の商店街、それもなければできるだけ大きなビルに逃げ込むというのが一番助かる可能性が高いと思います。
 本来、このような対処方法は、その道の専門家がテレビなどできちんと解説をすべきだと思います。しかし、平和ボケをした日本では「いたずらに危機感を煽るな」と、報道そのものが抑制されるはずです。

地下の除染装置の緊急整備と食料備蓄

 仮に、東京をはじめ大都市に核爆弾が投下された場合、地下鉄など地下空間に避難した人々の安全を確保する措置は何ら講じられていないのが実情です。
 これほど事態が切迫してきた以上、地下空間の安全を確保するため、緊急にできることを今すぐにも検討すべきだと思います。具体的には、米軍基地のある地域では、今からでも核シェルターを緊急に整備すべきだと思います。今日、明日の攻撃には間に合いませんが、無駄になってもよいではありませんか。
 営団地下鉄や都営地下鉄も、鉄道経営者と一体になり、換気口などに簡易な除染装置(フィルター)を早急に設置すべきです。また、食料や水、医薬品なども、緊急に備蓄する必要があります。札幌、仙台、大阪、名古屋、福岡など主要都市も同じです。
 日本国内には、多くの北朝鮮の工作員が紛れ込んでいると言われています。これらの工作員により、水源地や新幹線が狙われる可能性が高いと言われています。水源に猛毒のヒ素などを投げ込まれただけで、一時的に水源は麻痺する可能性があります。新幹線など、乗車時に何ら身体検査を受けない大量輸送機関も、工作員にとって、攻撃しやすい対象です。手荷物検査など一切ないんですから、先頭車両の網棚に爆発物を置き、ドアの閉まる直前に下車するなんてこと簡単にできてしまいます。平時から危機管理が必要なのです。「テロ等準備罪」は、この観点からも、必要なのです。北朝鮮工作員は、乱数表など、暗号によって指令を受けることになっているからです。
 各家庭においては、日頃から米や水、トイレットペーパーなど、最小限必要となるものは備えておくべきです。玄関などにも、非常時用の一式セットを備えることが必要でしょう。結果的に、それらが徒労になったとしても、それでもよいではありませんか。

拉致被害者の救出作戦も

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 横田めぐみさんなど拉致被害者を救出することも、国の大事な任務だと思います。過去40年以上も解決していないのですから、平時に、急に解決することは期待できません。米軍と北朝鮮が直接戦闘行為に入った時には、日本国として、これら拉致被害者をどのようにすれば救出できるのか、真剣に検討すべきだと思います。
 そのためには、自衛隊員の力だけでは無理です。米軍の協力が絶対に必要です。また、民間の医者や看護婦などの助力も必要になるでしょう。主権国家として、拉致された国民を救出するのは国家の重要な義務です。でも、これを実行するためには、それだけでも憲法違反、ということになります。いかに今の日本国憲法が、危機管理を行う上で現実離れをした障害になっているか、お分かりだと思います。

大量の難民への緊急措置

 北朝鮮と米国が正面からぶつかることになった場合、大量の難民が出ることが予想されます。常識的には、陸伝いの中国や韓国に逃げる人が多いでしょう。韓国は、元々同じ民族という意識がありますから、韓国に逃げてきた人々を無慈悲に殺すことはないでしょう。しかし、国境付近は双方の軍事施設が集中しており、有刺鉄線などの障害物もありますから、そこを乗り越えて越境することは相当の覚悟が必要となります。

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 また、中国は、国民の命を大事にしない国柄ですから、鴨緑江を渡ってくる難民(=外国人)を無慈悲に射殺することも考えられます。渡河できないとなると、逃げるのは海上しかない、ということになります。多くの難民がボートピープルとなって、日本海から押し寄せてきた時、日本はどのような対応ができるのでしょうか。中国のように、難民のボートを片っ端から撃沈するなんてことはできない筈です。日本は国際的な非難に弱い国柄だからです。しかも、そのような状況が生じたときは、日本自身も北朝鮮からの直接攻撃にさらされている混乱時なのです。
 どこかの島に一時的に大量の難民を受け入れるとしても、どこにそんな島があるのか、そこへの食糧や衣類などをどのように調達し、どのように輸送するのかなど、難題山積になるのは明らかです。
 本島内のどこかに一時預かるとしても、数十万人、あるいは百万人単位で押し寄せたとしたら、一体どうするのか。今からでも図上訓練しておく必要があると思います。

中国による尖閣奪取の可能性も

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 ここまでは北朝鮮有事という視点から述べてきましたが、忘れてならないのは尖閣列島への目配りです。米軍と北朝鮮の間に、直接、軍事衝突が生じたとしても、中国は無傷です。日本は、北朝鮮から核爆弾やVXガスやサリンなどの科学兵器により、日本国中、天地がひっくり返るほどの騒乱の中にあります。自衛隊もすべての兵力を対北朝鮮に向けているはずです。そういう中で、中国だけは無傷でいられるのです。なぜなら北朝鮮はもちろん、アメリカも、中国に対して直接、攻撃する意図は全くないからです。
 ということは、中国にとって、尖閣列島を奪取する千載一遇のチャンスが訪れたということを意味します。あの中国が、このチャンスを逃すはずがありません。必ず、尖閣諸島に上陸しようとします。このような混乱時に、日本の尖閣防衛の戦力がどれほど温存されるのか、また、米軍が尖閣防衛のためにどれほどの戦力を振り向けてくれるのか分かりません。が、この点について、ゆめゆめ油断することのないよう、願うばかりです。尖閣は、日本にとって単なる無人島ではなく、防衛の最前線なのです。

取り越し苦労になるのがベスト

 以上、私が述べてきたことは、今の日本人にとっては、想像さえしたくないようなことばかりです。想像したくない、考えたくない、だからこそこれまで日本人は何も考えずに来たのです。しかし、私たちの勝手な思いとは別に、現実の世界は極めて厳しい。ある日突然、ミサイルが飛んでくる。これも紛れもない現実なのです。

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 恐らく、本物のミサイルが国内に着弾した段階で、日本人は一気に覚醒すると思います。何千人あるいは何万人単位で犠牲者が出るからです。しかし、その時に覚醒しても既に手遅れです。
 私は、来年、後期高齢者になる年齢ですから、ある程度の覚悟はできています。「いい人生だった」と思える心の余裕もあります。でも、今、20代、30代、あるいは40代で、小さな子供を抱えているような家族にとって、人生を達観する余裕など、一切ないはずです。
 自分の子供たちの命をどうしたら守れるのか、真剣に悩むはずです。そして、今までどうして日本の安全、国を守る、ということに真剣に取り組んでこなかったのか、自己反省とともに、日本の為政者を恨むことになるかもしれません。平和憲法さえ守っていれば平和が来る、と思っていた自分たちの甘さにも気づくことになるでしょう。でも、気づいたときは、すべてが手遅れなのです。
 リアリズムの世界に住む米国は、米軍基地内にすべて核シェルターを構築しています。米軍の家族は守られるのです。日本では、核シェルターなんて発想、憲法のどこにも書いてないので、議論すらなされていません。そんな言葉を発するだけで、右翼とのレッテルを貼られかねない国柄なのです。でも、そのように手なずけてきたのは、日本の報道機関であり、民進党をはじめとする野党の皆さんです。私たち国民は、戦後一貫して、作家の百田尚樹氏の言う「カエルの楽園」で、テレビ受けのする国会質問でのんびりと過ごしてきたのです。
 戦後最大の危機と言われる今回の米国と北朝鮮の軍事的衝突、私は回避不能と考えています。平和ボケした日本人が、1人でも多く覚醒してくれることを祈るばかりです。(H29・4・13記)
 
 

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