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小池都知事には失望しました

小池都知事には失望しました

消去法で推薦した小池知事

 私は、都知事選に際し、このコーナーで、小池知事を推薦しました。対立候補の鳥越俊太郎氏は、公共事業=悪を唱える一方、「一体どこの国が攻めてくるというんですか」といった発言にみられるように、安全保障に関して、完全に平和ボケをしていました。また、「私は昭和15年生まれ。終戦の時は20歳です。ですから空襲のこともよく覚えています。防空壕に逃げ込んだこともよく覚えています。」といった発言にみられるように、単なる記憶違いとは考えらないような発言を、立候補に際して行っていました。私は本当に年齢からくる認知症ではないかと真剣に疑ったほどです。

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 もうひとりの有力な対立候補、増田寛也氏は、有名な「増田レポート」で「地方消滅」というキーワードを掲げ話題になりました。2040年までに全国の市町村の半数が消滅する。すべての町は救えない。よって、「選択と集中」によって、「小さな拠点5,000箇所程度」を整備し、人々をそこに集約して住んでもらう、といった内容のものでした。増田氏は、岩手県知事時代、大型開発や公共事業を推進し、1兆4,000億円もの莫大な負債をつくったとされています。その額は、知事就任前の2倍にも上っています。退任直前には、競馬組合の借金問題で揉め、結局、有効な手を打てず、借金を330億円にも膨らませ、県などに肩代わりさせたとされています。その責任をとって、彼は給料2カ月分、約200万円のカットを申し出たなんてこともありました。自治体の首長として、必ずしも十分な実績を上げたとは言えないのです。上念司氏流に言えば、大型の「墓標」を乱造した張本人と言えなくもありません。
 他方、小池知事は、私の記憶の中にほとんどありませんでした。唯一、防衛大臣時代、当時の守屋次官と対立し、喧嘩両成敗で2人とも辞任した経歴の持ち主、というくらいの記憶だけでした。所属政党もくるくると代わっていました。この点について本人は、「政党がコロコロ変わるというようなご指摘を頂いているが、それは政党の離合集散の結果であって、私の主張、思想、そして信念は一度も変えたことがない。」と弁明していました。
 3人の候補者を眺めて、相対的に彼女が一番期待できそうだと踏んだのです。政治資金の使い方も、きちんとしていたというのも加点の理由でした。要するに、消去法ではありますが、私は総合的に見て、彼女が一番都知事に相応しいと判断したのです。

豊洲移転にみるお粗末

 このように、消去法とはいえ、私が推薦した人物がこれまで行ってきた都政運営の実績、余りにもお粗末です。小池知事が当選したのは昨年の7月31日です。まもなく1年が経過しようとしているというのに、豊洲移転について、未だ結論を出さないというのは余りにも無責任です。しかもオリンピックの開催都市です。オリンピック関連道路をはじめ、さまざまな施設の建設を急ピッチで進めていかなければいけないんです。オリンピックは、開催年の前年にプレオリンピックも開催する必要があります。それから逆算すれば、もう一刻も猶予がならないのは素人目にも明らかです。

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 彼女は、当選時には、「地下水汚染の調査結果が出る3月には結論を出します」と言っていたはずです。それなのにその結果が出たというのに、一向に結論を出そうとしません。
 それどころか豊洲移転を決めた当時の石原慎太郎知事の責任を追及するだの、あらぬ方向に迷走を始めました。都議会の百条委員会に石原慎太郎元知事や浜渦元副知事などを呼んで証人喚問を行ったりもしました。が、何一つ問題解決に至っていません。当たり前です。豊洲移転に際しては、重要な局面で、その都度都議会にも図っているんですから、責任の一端は都議会にもあるんです。自分達にも責任があるのに、嘗ての知事や副知事を呼んで質問(=詰問)したって、新たな事実など出てくるはずがないではありませんか。質問するなら、その時に質問すべきだったのです。図面がないから分からなかったというなら、その時に「図面を出せ」というべきだったのです。今頃になって、脳梗塞になったようなリハビリ老人を呼び寄せて、責任を問うとかいうレベルの問題ではないんです。

地下水問題でも迷走

 地下水に含まれるベンゼンの量が環境基準の100倍を超えていた、なんてことが話題になった時期もありました。私に言わせれば、このような環境基準に振り回されること自体、大衆におもねるポピュリズム行政と言わざるを得ません。

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 環境基準というのは、「維持されることが望ましい基準」であり、行政を行ううえでの「政策目標」に過ぎないのです。政策目標ですから、今その基準に合致していないからといって、直ちに問題になるものではありません。分かりやすく言うなら、「基準の100倍検出」と騒がれたベンゼンというのは、「その水を体重50キロの人が、70年間毎日2リットルずつ飲んだ場合、10万人に1人がガンになる」というレベルの汚染です。
 この基準をクリアしていないからといって怖いですか。これが怖いというなら、東京都内のさまざまなところで地下水調査を行ってみたらよいでしょう。もっと汚染レベルの高いところはいくらでも出てきます。そういう地下水が地下にあるからといって、恐怖を感じますか。
 しかも、豊洲の地下水は、きちんと水質処理を施して域外(海)に排水するんですよ。もちろん豊洲市場関係者が使用する水は、東京都が供給する水道水です。その水道水は、ポリ容器にパック詰めして「東京水」として販売するほどにきれいで美味しい誇るべき水道水です。その水を使って、営業するというのに、使いもしない地下水の微々たる汚染を問題にするこの滑稽さ。笑ってしまう以外、ないではありませんか。

安全であれば安心なんです

 つまり、地下水に関することは、安全か否かという科学の問題です。仮に、安全でなくとも、処理して排水するんですから、環境への影響もありません。

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 豊洲移転問題について、小池知事は「安全だけでなく安心もなければいけない」なんてことを言っています。こういうのを典型的なポピュリストと言います。私はポピュリストの影がちらつくと、とたんに信用しなくなります。嘗ての美濃部知事も青島知事もポピュリストでした。
 隣国韓国のように、法ですら大衆、それも声の大きい大衆に迎合するようになると、全く信用を失うのです。安全以外に安心までも必要だというのなら、国内で行われるすべての公共事業はとん挫するでしょう。公共事業どころか、民間の大きな工場建設でさえできなくなるでしょう。住民側は、「安全かもしれないが、俺は安心できない」と言えば反対できるからです。
 前述したように、美濃部知事は、ゴミ焼却場を建設するにあたって、「たった一人の反対者がいてもつくらない」と公約し、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞など、反日マスコミの支援を受け当選しました。ゴミ焼却場を作るのに、1人の反対者も出ないなんてことはあり得ません。結局、彼は在任中、ゴミ焼却場はひとつも作りませんでした。ゴミ焼却場であれ、火葬場であれ、霊園であれ、住民にとって必要なものは断固として作る。当然、一部の住民からは猛烈に突き上げられるでしょう。しかし、それが行政に携わる者の責任というものです。
 最近は、学校だの幼稚園、保育所ですら「子供の声がうるさい」などと言って文句を言う住民が増えているようです。戦後教育の悪しき一面が出てきていると思います。自己中心になりすぎているのです。こういう人達に対しては、「あなたも子供の頃にご近所に迷惑をかけて育ってきたんです。自分が大人になったらうるさいというのは、余りにも身勝手というものです」と断固説得するのが、行政の仕事です。一部住民の好き勝手な言い分をみんな聞いていたら、まっすぐな道路一本できないではありませんか。

豊洲移転を都議選に利用するな

 小池知事は都民ファーストの会なる政党を立ち上げました。私は、都議会内部の政治力学については興味がありません。が、都政を運営する上で、議会内の多数を得ることが重要であるくらいのことは十分に理解しています。知事選で当選しただけで、即、都議会を支配できる力を得られるわけではありません。小池さんは、都民の支持の高いうちに、議会内与党を確保すべく新党を立ち上げたのでしょう。

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 でも、知事の力の源泉とは何でしょうか。それは圧倒的な都民の支持ではないでしょうか。都民の支持が高ければ、差配できる政党など持たなくても、かなりの程度都政の運営はできるはずです。歴代の都知事も、自分で作った政党を持った人はいませんでした。それでも、官選知事を除く4人の知事のうち、鈴木俊一知事と石原慎太郎知事は、それなりに強いリーダーシップを発揮しました。
 都知事は、行政の最高指揮官であり、重要な事業の最終決裁権者なんです。いくら「内田ドン」が強いと言っても、最終決裁権者が凛としてはねつければ、ドンの思うようにはならないのです。自分の政党など持たなくとも、大局への洞察力と決断力、そしてそれを実行する腕力があれば、都政は運営できるんです。議会が決定しても、知事が断固反対であれば、事業を実施することはできません。議会だって、都民の強い支持を受けた知事に対して、反対のための反対をしていたら、次の選挙は覚束なくなります。。
 小池さんは、自民党に籍を置きながら、なぜ無理をして政党など立ち上げたのでしょうか。不思議でなりません。しかも、自民党に籍を置いたままで新党を立ち上げたのです。両方に軸足を置いているのはおかしいのではないか、と問われたのに対して、「自民党に進退伺は出しております」と答えていましたね。両睨みといえば格好がいいかもしれませんが、端的にいえば、そういうのを日本語では「ズルイ」と表現します。自民党が除名処分にすれば、「自民党が一方的に私を除名処分にした」と言い、そして「私は除名処分を受けたかわいそうな女」として選挙戦を戦おうとしている底意が見えてしまうのです。まあ、最終的には、自ら離党届を出しましたけどね。

何を今更築地活用ですか

 6月に入るころから、急に、①築地残留か、②一時豊洲に移転し、築地の整備が完了したらすぐに戻る、③豊洲移転、の3案が検討されている、なんていう報道が伝えられました。
 私は、口をあんぐりさせる以外の方法を知りません。そんな方法論は、豊洲へ移転すべきかどうかの検討時に、既に克服されたテーマのはずです。この3案について検討するということは、①、②の案もありうるということでしょうか。そんなこと絶対にありえません。豊洲への移転を決定した段階で、築地残留案は完全に消えたのです。そうでなければ約6,000億円もの巨費を投じて、豊洲の土地を買収し施設建築なんてできるはずがないからです。この巨費はその多くを起債で賄ったのです。起債は借金です。この借金を返済するため、築地の売却費4,386億円を充当することを予定していたんです。
 ですから、今になってから、①②も含めて検討するなんて、ありえない話なのです。

出発点は盛り土案から空洞への変更だったはず

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 今回の豊洲移転問題の出発点は何だったのでしょうか。それは、昨年の10月頃、豊洲市場の土壌汚染対策として「盛り土」をすることを外部有識者で構成する専門家会議が提言し、都の公式発表でもそのように図示されていたにもかかわらず、いつの間にか盛り土案が反故にされ、「建物の床下部分のみ空洞」になっていた。土壌汚染対策として117億円が盛り土費用として計上されていた筈なのに、その費用は一体どこに消えてしまったのか、ということでした。頻繁に内田ドンが、マスコミに登場し、銀座での豪遊ぶりが露見したのもこの時期です。
 その地下空洞問題が一応決着したと思っていたら、今度は地下水汚染問題やら、石原元知事・浜渦元副知事の責任問題、契約上の瑕疵担保問題など、次々とマスコミを騒がす問題が噴出しました。
 これらの問題は、マスコミや都議会が火をつけ、それを大々的に取り上げるという、マッチポンプ型の大騒ぎを演じたにすぎません。本質的な問題ではありません。
 これらの問題に対処する船長の腰が定まらないからこそ、小さな問題がさも大きな問題であるかのごとく炎上していまうのです。そのうえ、小池知事は、自ら「都民ファーストの会」なる新党を立ち上げ、都議会内与党を確立しようと色気を出したため、更に混迷の度を深めることになったのです。
 もう今更、とは思いますが、一刻も早く豊洲への移転を正式決定し、具体的なタイムスケジュールを示すことです。決してブレてはいけません。築地は、オリンピック開催時に3,000台分の駐車場として確保することを予定していました。一刻も早く行動を開始しないと、文字通り、オリンピックそのものの開催が危ぶまれる、ということになります。その責任は、関係者の顔色を見ながら軌道修正をしていく小池知事の優柔不断さにすべて起因している、ということを深く肝に銘じるべきです。(H29・6・14記)
 

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