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警察のど真ん中にいる泥棒が捕まえられないのか

警察のど真ん中にいる泥棒が捕まえられないのか

警察署内で8500万円が盗まれた

 広島県警広島中央署(広島市中区)で保管していた証拠金8,500万円が盗まれた事件、覚えていますか。すでに3か月が経過しましたが、さっぱり犯人逮捕のニュースが伝えられません。警察は本気になって犯人を捜しているのでしょうか。

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 この事件は、今年の5月8日に発覚したものです。広島中央署と言えば、広島県内では一番大きな警察署ではないでしょうか。その大きい警察署の会計課の金庫に、証拠金として保管していた現金8,500万円が盗まれたというんです。しかも、金庫の鍵は会計課長が直接管理していた、というんですから驚きです。
 通常、証拠品は生活安全課が保管するんだそうですが、多額だったため、臨時的に署長の判断で会計課で管理させていたんだそうです。金庫は差し込み式とダイヤル式で二重にカギがかかり、キーの保管場所とダイヤル番号は一部の署員しか知らない。そのうえ、会計課の金庫に8,500万円の現金があることを認識していたのは、捜査に関わった生活安全課と会計課の一部署員のみだったそうです。
 臨時的に大金を預かった会計課長は、施錠可能な引き出しの中に入れて管理していたそうです。ということは、犯人が、鍵のかかった会計課長の引き出しを開け、金庫の鍵を持ち出したということになります。つまり、金庫の中身と金庫の鍵の保管場所、それに金庫のダイヤル番号を知る人物が犯人です。このすべてを知らなければ、県内最大の警察署内で、こんな大金を盗むなんてことはできないからです。

事件の経過

 この事件は、新聞やテレビの報道によれば、今年の2月に詐欺事件で押収した約9,000万円を会計課の金庫に保管した。そのお金は5月2日時点で、金庫の鍵を入れた机の引き出しに異常が見られなかった、ということが確認されています。
 その翌日の3日から5日にかけて、大規模イベントへの対応で複数の署員が会計課の部屋に出入りしたそうです。その時は、鍵を入れた机の状態は確認されていない、とのことです。
 ところが、3日後の8日至り、総額9,000万円のうち、約8,500万円がなくなっていることが分かった、というものです。
 この経過からすれば、盗難事件は、大規模イベントの行われた5月3日から5日の間に行われた、と考えるのが自然です。
 

犯人は外部の人間ではない

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 我々外部の人間は、警察署内で証拠金がどのように保管されているかなんて知る由もありません。大金の場合は、一時的に銀行に預けているのかな、程度の知識しかありません。まさか1億円近くの現金を警察署内で保管しているなんて想像していませんでした。もっとも、証拠品としての紙幣はその紙幣の番号まで証拠になることがあるわけですから、銀行に預けたら意味がないかもしれません。
 いずれにしろ、警察の内部に保管しているということを知っていたとしても、実際の保管場所が生活安全課である、なんてことは全く分かりません。今回は、その生活安全課ではなく、会計課だったんです。そんなこと、外部の人間が知るはずがありません。
 保管場所が分からないのに、のこのこ入り込んで家探しするなんてこと、いくら間抜けな泥棒でもありえない話です。しかも、場所は警察署、それも中央署内です。そんな場所に外部の泥棒が入り込んで家探しするなんてこと想像できるはずがありません。
 ということは、犯人は外部の人間ではなく、内部の警察官、又は内勤の職員ということになります。もちろん、弁当の配達業者や宅配便のお兄ちゃん、保険のおばちゃん、更には、免許更新に来た住民など、内部に出入りできる人間、なんていうことも絶対にないとは断言できません。が、いくら何でも彼らが証拠金の保管場所まで知っているということはあり得ません。まして金庫の中身、鍵の所在場所、金庫のダイヤル番号まで知っているはずがありません。これらを知っているのは、会計課長とあと数人しかいない筈です。会計課職員全員が金庫のダイヤル番号まで知っているなんてことは、通常、あり得ないことだからです。

二つの可能性がある

 つまり、どのように考えても、本件の犯人は内部の犯行、それも会計課長と同レベルで金庫の操作を行うことのできる立場の人です。例えば日常的に金庫の管理を行っている経理担当の(女子)職員、といった立場の人物しかいない筈です。もちろん、会計課で金庫の管理をしていて、所内異動で他部署に移ったような人物という可能性もあります。
 このように、会計課長本人を含め、会計課職員、及び同課勤務経験者が犯人と考えた時、次の二つの推理が成り立ちます。

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①一つ目の可能性は、会計課職員全員又は数人で裏金として着服したというケースです。
 泥棒を捕まえる立場の、清く正しい警察組織でそんなことがありうるのか、なんて思いますか。実は警察には、内部の恥部は内部でもみ消すという麗しき伝統があるんです。むしろ、他の組織よりも多いかもしれません。自分たちが捜査する立場ですから、もみ消しもしやすいからです。
 嘗て、北海道警でこんな事件がありました。組織的に裏金作りをしていたんです。
 この事件は、外部に捜査協力者がいたことにして、その費用を本部に請求し、そのお金を警視以上の幹部が私的に流用していたんです。他人名義の偽領収書まで作成したため、その名前を使われた人物が慰謝料請求訴訟まで起こし、勝訴しているんです。
 しかもこの事件、主に裏金作りをしていたのは、北海道警の本部の次席や管理官、署では次長又は副署長が担当していたというんです。要するに、幹部クラスが組織的に裏金(=税金)を作って、私的に使っていたんです。当時は大きな問題になり、時の警察本部長や警視監が定例会見で「不正経理の事実はない」と否定し、高橋はるみ北海道知事が疑惑を否定するコメントまで発表しました。
 ところが、市民オンブズマンが中心となって追及がなされ、元釧路方面本部長原田宏二氏が「自分が退職するまでは裏金が存在していた」と記者会見で告発し、更に翌月には、弟子屈警察署次長を最後に退職した元警部も、長年にわたり裏金作りをしていたことを告発したんです。そのうえ元生活安全部長も同じようなことを告発したんです。最後には、興部警察署長が裏金問題のために自殺し、遺書で「自らも裏金を作り受け取っていた」なんて書き残していたんです。しかも、後の調査で、全国の警察が大なり小なり同様の裏金作りをしていた、ということが判明したんです。
 このように、警察組織というものは、決して清廉潔白な組織ではありません。無くなった8,500万円が、そのまま裏金に回っているなんてことも、決してないとは言えないんです。もちろん、人の口の端にならないよう、数年間は一切使用せず隠し通すかもしれません。
 金庫の中身、鍵の保管場所、ダイヤル番号、この3点セットを知る人物なんて限られています。しかも、中央警察署となれば、監視カメラなど、近代的機器を装備している筈です。その警察署内でこのような盗難事件が発生したとなれば、北海道警と同様の「裏金」として使用されている可能性は十分にありうるのです。

②二つ目の可能性は、特定の1人(又は2人)が密かに盗み出した、ということです。同じ会計課に所属している人物(過去に会計課に所属していた人物も含む)であれば、全員が証拠金と鍵の保管場所は熟知しています。課長の机の構造も分かります。役所関係の机は、ほぼ似たようなものですから、仮に鍵をかけてあっても、マイナスの木ねじ回し用のバールでこじ開ければ、開けられる程度の机のはずです。

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 バールでこじ開けた場合は、複数回に分けて盗むということは考えにくいですね。会計課長がその異変にすぐ気づくからです。
 報道によれば、「引き出しには無理やりこじ開けたような跡があった」そうですから、複数回に渡って盗んだのではなく、一度の犯行と考えるのが常識です。無理やりこじ開けた痕跡を残しながら複数回に渡って盗むというのは、足がつきやすいからです。ロッカーの異変と金庫内の金額の減少という二つの要因から、会計課長などが気付かない振りをして観察しているか、あるいは臨時の監視カメラを設置しているかもしれないからです。いわゆる「犯人を泳がし」て捕まえるというやつです。
 でも、一回で全額を盗むとなるとかなり大変なようです。日本銀行によると、約8,500万円の重さは約8.5キロになるそうです。大きなカバンに入れれば一度に持ち出すことも可能ですが、かなり目立つはずです。5月3日から5日までの人の出入りは、監視カメラでチェックできます。前述した3点セットを知りうる人物で、この3日間に大きなカバンを持って出入りした人物、となれば、犯人像はかなり絞り込まれるはずです。それでも見つからないとなれば、①の「裏金」に化けた可能性が大ということになります。

警察の威信がかかっている

 いずれにしろ、警察署内、それも県警の中でも一番大きな警察署内で、いわば白昼堂々8,500万円の大金が盗まれたんです。その犯人が3か月たっても見つからない、というのは余りにもお粗末すぎます。

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 警察という場所は、監視カメラなども装着した警戒が厳重な場所です。犯行日と思われる5月3日から5日にかけての監視カメラを徹底的に精査し、犯人を逮捕していただきたい。犯罪捜査のプロ集団が、警察署内で起きたこんな大事件について犯人を見つけられない、となれば、もはや警察失格です。この程度の捜査能力で犯罪捜査に当たっているとしたら、私たち国民は枕を高くして寝られないではありませんか。その時は頭を丸めて、全員坊さんに職替えをして頂きたい。
 もし、中央署内で捜査するのは身内同士になるため、捜査がやりにくいというのであれば、県警本部から特別チームを編成し、派遣してもよいではありませんか。
 いずれにしろ、このまま迷宮入りを図ろうとか、或いは、人の噂も75日なんていう考えでいるなら大間違いです。犯人が捕まえられない時は、「やはり内部で裏金に回し、もみ消したな」と国民は思うことでしょう。警察の威信にかけ、何としてでも犯人を捕まえていただきたい。私たちは、北海道警の事件でさえ、決して忘れてはいないのです。(H29・8・11記)

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