時事寸評 書評コーナー

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小池知事には心底失望しました

小池知事には心底失望しました

衆議院解散

 9月28日に衆議院が解散され、各党の公約も出揃いました。野党の共産党、立憲民主党、社民党の公約は見なくてもほぼ想像がつきます。「安保反対」、「原発ゼロ」は定番で、これに「消費税凍結」や「森友・加計隠し」といった釣り球がテーマに加わってくるだけです。彼らは労組などを中心に、動員をかけて、声高に「安倍やめろ」といったシュプレヒコールを繰り返しますが、所詮、社会の主流にはなりえません。現実をきちんと踏まえていないからです。従って、ここでは、これら左翼政党の主張は一応横に置いておき、新規参入者である話題の「希望の党」の主張を中進に、話を進めていきたいと思います。

都知事の実績は何もない

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 都知事選に際し、私はこのコーナーで、小池氏を「3人の候補の中では一番望ましい」と推薦しました。鳥越俊太郎氏のような体力もなく、しかも反ボケで国家観のない人物ではどうしようもない。増田寛也氏は岩手県知事として実績を残したと言いながら、多くの墓標、すなわち負の遺産を作りました。彼の唱える「地方消滅」にも、賛同しかねたからです。
 減点方式で、小池氏を一番都知事に相応しいと考えたのです。でも、今、振り返ってみると、3人とも都知事に相応しい人物はいなかった、ということに尽きます。
 それにしても、小池都政の1年余の成果は、余りにもひどい。ひどすぎると思います。中味のないキャッチフレーズとソフトな口ぶりで行う他者への批判は強烈ですが、自らの政策は何一つ実行していません。
 就任直後に2か月後に迫っていた築地市場の豊洲への移転は、小池知事の鶴の一声で延期されました。しかも、議会にも諮らずにです。
 その後、自ら「科学的にも法的にも安全」と明言しておきながら、未だに移転の時期を明言していません。この移転延期に伴う損失額について、ジャーナリストの有本香氏は、「全業者への補償額は年間約240億円に上る」と述べています(月刊Hanada11月号)。しかも、こうしている間にも毎日6,500万円以上の公金がドブに捨てられているというのです。知事が理不尽なちゃぶ台返しをしてしまったため、築地市場の業者との信頼関係が損なわれ、新たな移転の見通しがつくまでには2年以上に及ぶ可能性があると言われています。有本氏によれば、そうなると、維持費と補償金の総額は500億円を超えるというんです。ひっくり返す必要のないちゃぶ台をひっくり返し、自ら途方に暮れているというのが実情なのではないでしょうか。
 環状2号線についても同様の問題が生じています。当初予定通りに開通できなくなったことによる損害をはじめとした諸々の仕様変更、工期短縮に伴うコスト増を計算すると1,000億規模のロスになる、と言われています。
 このように、巨額の無駄金を使い放題にしながら、変える必要のないボランティアの半被(はっぴ)を8,000万円もかけて作り直した、という話は既にこのコーナーでも申し上げました。
 やらなくてもよいことをやり、やるべきことをやらない、これこそがこの小池知事の真骨頂と断じてもよいでしょう。

希望の党で国政進出

 その小池知事が、希望の党を立ち上げました。ちゃぶ台をひっくり返して、どうにも収拾がつかなくなった都政を一日も早く放り出して、国民の眼を国政に向けさせようという魂胆が丸見え、というように私には見えます。都知事の職責だけでも激職であるというのに、国政の党首にまで顔を出すというんです。多くの国民が驚くのも無理がありません。都政でさえ務まらない人間が、国政なら務まるとでもいうのでしょうか。
 その小池知事が立ち上げた、希望の党の政策を見て二度びっくりです。これぞ正しくマスコミの荒波を乗り越えてきた、ニュースキャスターの面目躍如です。その公約を見てみましょう。先ず、公約は「3本柱」からなっています。

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① 消費税の10%引き上げの凍結、②原発ゼロ、③憲法9条を含めた憲法改正、です。
 消費税の凍結と原発ゼロは、選挙を有利にするための定番メニューです。俗耳に入りやすいからです。消費税税引き上げの凍結を言う場合には、裏付けの財源など、その実現可能性についても語らなければなりません。
 また、原発ゼロを語る時には、日本のエネルギー政策と安全保障政策について語る必要があります。原発を稼働させることは、日本国内に核エネルギー技術に関する知識を保持するということを意味します。逆に、原発をゼロにすることは、原子力に関する技術を国内に残さないということを意味します。
 従って、将来、核武装の必要が生じても、それは全く不可能になるということです。中国、北朝鮮から見ればベストチョイスです。いくらでも核兵器で脅しのきく、容易い小国ということになりからです。軍事力を急拡大させ、南シナ海はもちろんのこと、東シナ海における尖閣諸島への侵略の意図を隠そうともしない中国。長距離ミサイル、核開発に邁進する北朝鮮。そのリアリズムの世界で、日本の安全は本当に確保できるのか、責任ある政治家なら、十分に説明する義務があります。

ユリノミクスとは

 小池知事は、記者会見で、アベノミクスを批判し、「アベノミクスに代わるというか、加えてといった方が正しいかもしれないが、マクロ経済にもっと人々の気持ちを盛り込んだユリノミクスとでも称する政策を入れ込んでいきたいと思います。」と述べています。そして原発ゼロや待機児童ゼロなど12の公約を列挙しています。
 これらの項目を見て、いかにもマスコミ出身の小池知事らしい、と感じました。一応、誰も文句のつけようのない、耳障りのよい項目ばかりだからです。こんな耳障りのよい項目なら、私でも、ホームレスゼロ、ガン患者ゼロ、病院での待ち時間ゼロ、生活困窮者ゼロ、難病患者ゼロ、など、いくらでもあげることができます。
 実は、小池知事、知事に立候補した際にも7つのゼロを公約に掲げていたんです。その対比をしたのが、下表です。

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 この対比表をご覧になってどう思いますか。公約を発表するのは自由ですが、彼女が知事に就任して1年余、何を実現したというのでしょうか。実は何も実現していません。最初に手をつけたのが家庭の中でもタバコを吸うな、という例の「受動喫煙禁止」のための条例です。これとて、零細の商店主らの反対が強く、未だに実現していません。
 いずれにしろ、こういう耳障りのよい項目を羅列するようになったら、もう政治家としてはおしまいです。「実行力はないけど、耳障りのよい言葉を羅列することはできます」ということを白状しているのと同じだからです。
 例えば、「満員電車ゼロ」、なんて簡単に言いますが、具体的な中身は何なのでしょうか。私が直接聞いたわけではありませんが、ジャーナリストの櫻井よしこ氏によれば、小池知事は「電車を2階建てにする」という具体案を提示しているそうです。
 もっともらしく聞こえますが、電車を2階建てにするためには、地下のトンネルをすべて掘りなおす必要があります。首都圏の地下鉄をすべて掘りなおすのに、どれくらいの時間と費用が掛かると考えているのでしょうか。20年や30年はあっという間に経過するでしょう。工事期間中、その路線を利用している人達の通勤の足はどうなるのでしょう。既存の地下鉄のトンネルを掘りなおすのと、新たにトンネルを掘るのと、どちらが安価で工期が短いかくらいの常識もないのでしょうか。
 いずれにしろ、それほど簡単に2階建ての電車ができるというなら、早速、「都営!」地下鉄「大江戸線」で先行実施したらいかがですか。少しでもトンネル工事に着手した、というなら信用しますが、口先だけで言うのなら、全く信用しません。既に知事在職1年余、なぜ都営大江戸線で2階建て電車の具体化に取り組まなかったのですか。「早くやれよ」、というレベルの話です。

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 「隠ぺいゼロ」にも、思わず笑ってしまいました。小池知事が一番の隠ぺい体質を持った知事だからです。小池知事は、今年8月10日定例記者会見で「豊洲移転・築地再開発」を発表しました。記者から「この決定はどのような検討経過を経てなされたのか。情報公開請求をしたが資料は何もなかった」と質問された際にこう答えたんです。「それはAIだからです。人工知能とはつまり、政策決定者である私が決めたということです。回想録に残すことはできると思うが、最後の決定は文書として残していません。」
 豊洲移転は、従来からの流れがありますからいいとしても、築地を再開発するという話は初耳でした。築地の売却費を豊洲移転の財源の一部にするということが既定路線だったからです。
 でも、築地を売却せず、再開発するとなれば、オリンピック開催に向け、築地を貫通する環状2号線の計画はどうなってしまうのか、築地の再開発の費用と売却費用の差額はどのくらいあるのか、築地の再開発によってどのくらいの費用が必要になり、それはどのように調達するのか等々、大プロジェクトを実施するとなれば、検討すべき項目は山ほどあります。それなのに、その決定はAIが決めた、つまり「私の頭の中で計算した」というわけです。
 行政のトップとして、このようなやり方が通るというなら、議会などいらないし、裏方の事務局も不要です。北朝鮮の金正恩オジサンと何がどう違うというのでしょうか。彼女は、当選直後に「情報公開は都政の一丁目一番地です」と大見えを切っていました。「回想録は残すことができると思うが、最後の決定は文書として残していません。」で事が済むなら、都議会は何のためにあるのですか。小池都政は、自ら批判した「伏魔殿」そのものではありませんか。
(■参考:ユリノミクスを英語表記するとuninomicsとなります。urine(発音はユリン)は「おしっこ」という意味で、欧米人がuninomicsという言葉を聞くと「おしっこの経済学」と理解するそうです。念のため。)

都庁職員も小池離れ

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 このような独裁的な都政運営を反映してか、都職員の小池知事に対する評価は非常に厳しいものになっているようです。前記有本香氏の「都庁職員が落第点をつけたブラック小池都政」(月刊Hanada11月号)によれば、小池都政1年目への評価は、全項目の平均で46.6%と50%にも満たなかったというんです。この調査は、都政新報という都庁内における新聞の調査結果によるものです。この数字は、あの不人気だった舛添要一前知事の63・6%、石原慎太郎知事の71・1%と比べても、いかに低い評価であるかが分かります。身近に仕えている人間だからこそ、知事の采配の実態が肌感覚で分かるということでしょう。
 身近にいる人間だからこそ肌感覚で分かる、といえば、 都民ファーストとしてもてはやされた2人の都議が都民ファーストの会を離脱しました。音喜多駿、上田令子両議員です。2人とも、都民ファーストの会の中では重用されていた中心メンバーです。
 都議会議員になり、これから大いに活躍しようと思っていた矢先に、「新聞やテレビ、マスコミの取材に対し、勝手に応じてはならない」といった言論統制がなされたうえに、「荒木代表や政調会長の選任をテレビで知った後にメールで通知がきた」というように、極めて不透明な党運営がなされていたとのことです。都民ファーストの会の内部では、想像以上に厳しい言論統制、取材規制がなされていたのです。発足時からの子飼いの議員を離党に追い込むほどに、規制が厳しかったのです。このような知事が、「隠ぺいゼロ」だなんてよく言いますね。
 私はこれら12項目のすべてについて、反論することができますが、長くなるので、ここでは省略します。少なくとも小池知事の「言行不一致」の実態だけは知っていただきたいのです。

常に敵役を作るのが小池流

 小池知事の政治手法は「常に戦う敵を作り、自分は被害者」というイメージを作ることです。しかも、その敵の作り方が実にうまい。都議選に際しては、「伏魔殿の東京都を解体し明るい都政を作る」なんて言って、内田ドンこと内田茂氏を標的にしました。強面の人相からして標的としては格好の攻撃対象でした。マスコミも飛びつきました。都議会議長の川井重勇氏が、あいさつ回りにきた小池知事の求めた握手を拒否したというのも話題になり、マスコミに散々叩かれました。小池=ジャンヌダルク、内田・川井グループは、完全な悪役でした。顔も悪役に相応しい面構えをしていました。

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 握手拒否の映像は、飽きるほど繰り返し流されました。しかし、握手拒否はマスコミが握手の場面を意図的にカットした、創作報道だったのです。後日、一度だけ訂正記事も出ましたが、何百回と出た映像は取り消しの使用もありません。川井議長は悪印象のまま記憶に残されたのです。
 こうして都民ファーストは圧倒的な支持を受けました。マスコミは、後日、訂正記事を出した言い訳をするでしょうが、それならばテレビ映像で同じ回数だけ握手の場面を流し、再度、選挙をやり直すのが本来の筋というものでしょう。
 石原慎太郎元知事も敵役にされた一人です。石原知事は、豊洲移転の是非を決定するに際し、当時の浜渦武生副知事に売買交渉を任せます。地主である東京ガス側は株主対策上の問題もあり、オープンな交渉を拒みました。都側は、要所要所で都議会の承認を得るなど、必要な手続きをしていますから、役所の業務処理手法としては何の問題もありません。
 それなのに、小池知事は、わざわざ「百条委員会」まで開催し、石原氏や浜渦氏の個人責任まで追及しようとしました。こんなことで知事の個人責任が問われるなら、合理的な理由もなく豊洲移転を大幅に遅延させ、独断(AIで!)で築地の再開発を決め、更には環状2号線の開通を遅らせた小池知事の個人責任は甚大と言うほかありません。1,000億規模の無駄金を返還してもらおうではありませんか。
 小池知事は、防衛大臣の時にも敵役を作っています。防衛大臣就任間もない時期(たしか就任1月経過したくらいの時)に、守屋次官の退官と後任に官房長(警察庁出身)を内定した旨の記事が、新聞各紙に報道されたんです。この人事が事務次官本人に相談無しに行われたとして、守屋次官が猛反発し、退官を拒否します。
 この騒動の際、小池大臣は守屋次官の対応に対し「夜に2度、携帯電話に電話したが出ず、折り返し電話があったのが翌日朝だった」と説明しました。次官の仕事は、役人の人事を決めるのが最大の仕事です。その次官の人事をこんなやり方でやったら、揉めるのは当然だし、恨みを買うのも当然です。役人にとって、いや、サラリーマンにとって人事は最大の関心事です。小池さんには、人の心というものが分かっていないようです。この件は、結局、安倍総理の決断で2人とも「喧嘩両成敗」となり、2人とも辞任したのです。
 このように、小池知事は、常に敵を作り、その上で自分は弱い女、男たちから虐められている、というポーズをとるのが天才的にうまい政治家なのです。

教育無償化は「投資」の問題

 教育費の無償化について、希望の党は意思を明確にしていません。自民党は、幼児教育の無償化と低所得世帯の児童への支援強化、更に学生などへの給付型奨学金の拡充を謳っています。公明党もほぼ同様の施策と言ってよいでしょう。
 教育費の無償化について真正面から取り組んでいるのは、日本維新の会です。維新の会は、従来から教育費の無償化の重要性を訴え、実際に大阪府下においては、既に自治体レベルで実質的に無償化を実現しています。その上で、「教育無償化を実現するための憲法改正」を第一の公約に掲げていますので、単なるお題目だけではありません。
 このように、教育費の無償化は是非とも実現してほしい政策のひとつです。その財源は何か。どこの政党も触れていませんが、「教育国債の発行」です。国債の発行は、将来の子供たちにツケ回しをするだけではないか、という言い方をする人がいます。日経新聞や読売新聞など大手の新聞社の論調はすべて同じです。もちろん、財務省なども基本的には全く同じ論理構成です。しかし、これは誤りです。

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 教育とは投資です。すなわち、優良な人材を育てることは、将来の優良な納税者を育てることと同じです。優良な納税者が沢山育てば、日本の財政は安定します。その投資効果(乗数効果)は、嘉悦大学の高橋洋一教授の試算によれば、2・5倍にもなるというんです(高橋洋一著「日本の大正解」93頁)。因みに、公共投資の乗数効果は、名目ベースで1~2倍程度とされています。公共投資よりも高いリターンが得られるのです。
 しかも、子供に投資すれば学歴が上がって失業率が減ります。失業率が減れば失業給付も減ります。一般に学歴が高くなれば、給料も高くなります。子供の教育費にあまりお金がからないとなれば、子育て世代の消費は大幅に促進されます。私のように、来年後期高齢者になろうというような人間は消費意欲は余りありませんが、若い世代の消費意欲は旺盛です。
 今の日本で、アベノミクスの評価がいまいちなのは、消費が伸びないからです。雇用は堅調なのに、個人消費がどうしても伸びないのです。教育費を無償化すれば、子育て世代の所得が伸びることになりますから、消費が促され、企業収益の改善につながります。企業収益が改善すれば、給料のアップにつながります。つまり、経済全体が好循環を始めるのです。
 このように、教育費の無償化は「長期投資」なのです。長期投資ですから、短期で元は取れません。それは新幹線建設などと同じです。新幹線だって、投資を始めてから運賃で回収するまでには、20年や30年かかります。長期を要するから無駄、ではないのです。それを無駄というなら、日本の骨格をなす道路網、新幹線網などは成立の余地がありません。しかも、公共投資なら、工事期間中は、懐の豊かになった建設労務者が飲食街に繰り出し、街が活性化します。飲み屋のおかみさんが、一張羅の羽織を作り、洒落たネックレスを買うかもしれません。要するに、長期投資の過程でも、新たな消費が喚起され、景気循環に好影響を与えるんです。教育投資だって、短期的にも家庭の消費は大いに促され、経済に好影響を与えるんです。

国債発行の余力はある

 ならば、今の日本に教育国債を大量に発行する余力などあるのか、ということになります。財務省や大手マスコミは、常に日本の財政が危機的状況にあると報じます。「日本国の借金は1,053兆円、1人当たり赤ん坊を含め830万円の借金がある」という類の報道です。こんなに多額の借金があるのに、更に、国債発行で将来世代にツケを回すのか、という論調です。
 10月5日の読売新聞の気流欄に「国の借金 返済優先して」という投書が載っていました。正しく財務省や大手メディアの論調をそのまま信じた結果故の投書でしょう。国民の多くはこのように洗脳されてしまっているのです。
 私たち国民は、このような「国の借金は・・」式の説明は、国の財政について貸借対照表の右の欄、すなわち負債の部しか語っていない、という単純なことに気づくべきです。いくら借金の額が大きくても、それに見合う資産があれば何の問題もありません。新日鉄でも、大企業に成長する過程で、多くの借金を重ねてきたはずです。企業規模が大きくなればなるほど、年々借入金の額も膨らんだはずです。それでも、借入金に見合う資産、すなわち土地や工場、特許権などその裏付けがあれば何の問題もなかったはずです。
 民間企業については、常にバランスシートの右と左の欄を対照して見るのに、国のバランスシートになると右の欄しか見ない。「それはおかしい」とそろそろ気づくべきです。そのうえ財務省は、プライマリーバランスと横文字ことばを織り交ぜて、財政危機を煽るため、国民は益々心配になるのです。
 この問題について、ここで詳細に論じるのは止めます。既に何度かこのコーナーでも説明していますので、興味のある方は是非そちらを参照していただきたいと思います。

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 いずれにしろ、今の日本においては、国債は不足しており、民間から「もっと国債を発行してほしい」と渇望されているのです。誰も欲しがらない国債なら、国債の金利はグンと高くなっています。誰も欲しがらないなら金利を高くしなければ売れないからです。今は、ゼロどころかマイナス金利だというのに、国債は売れに売れているのです。そのことが国債発行が不足していることの何よりの証拠です。教育国債を発行する余力、下地は十分過ぎるほどにあるのです。

国防問題、すなわち憲法改正こそが最大の争点です

 今回の選挙の争点は、何と言っても日本の国防、安全保障の問題です。安倍総理は、選挙結果に影響することを恐れて、これを前面に出してはいませんが、これこそが最大の論点であり争点です。なぜなら、国の安全なくして、消費税も原発も社会保障もないからです。北朝鮮から核弾頭付きのミサイルが飛んできたら、東京は廃墟と化します。中国も、軍の高官が「日本の30万人以上の都市にはすべてミサイルの照準を合わせている」と明言したことがあります。
 日本人は、戦後70年以上、国の防衛をアメリカに依存してきたために、国民の中に「国防」という意識が欠落してしまいました。国防とか安全保障という言葉を使うと、右翼とか過激思想といったレッテルを張られるのを恐れて、政治家ですらあまり口に出さなくなりました。
 しかし、日本を取り巻く世界情勢は、極めて厳しいものがあります。地球儀をひっくり返してみると分かりますが、地政学的見地から見て、日本は、大陸国家から敵対的に見られる位置にあります。長い日本列島は、太平洋への出口を塞ぐ「瓶のふた」になっているのです。中国が尖閣諸島や沖縄を狙っている理由は、正にそこにあります。
 北朝鮮からの脅威についても、今更言うまでもないでしょう。常軌を逸したかのように見える金正恩の頑な姿勢は、「現体制の維持」の一言に尽きます。北朝鮮のような小国が、現体制を維持するためには、ハリネズミのような鋭い棘を持たなければ安全を守れない。その思考過程は、一応理解できます。ロシアや中国、それにアメリカが核兵器で武装しているのに、なぜ小国の北朝鮮が核兵器をもって武装することが許されないのか、冷静に考えれば理不尽です。大国の横暴と言い換えてもよいでしょう。
 同様に、日本にとっても、隣接するロシア、中国、北朝鮮が核武装している中で、日本が核武装をできないのは理不尽です。隣国韓国でも、国民の意識調査の結果では、既に50%以上が「核武装すべき」と答えています。北朝鮮が核兵器を放棄しない限り、ごく近い将来、韓国も核武装すると考えるのは常識です。
 

このままでは国民の命を守れない

 日本は国の安全保障を、すべてアメリカ任せにしてきました。ですから中国が尖閣諸島に軍事侵攻したとした場合、どのような展開になるか、想像することすらできないのです。自衛隊が出動すれば当然戦闘になります。戦闘になれば双方に多くの死傷者が出ます。
 この場合、戦闘行為ですから敵を何人殺そうと無罪です。いやむしろ、勲章ものです、と言いたいところですが、必ずしもそうは言えません。なぜなら、日本には軍法がありません。自衛隊法にそんなことは書いてあるはずだ、と思いますか。書いてありません。

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 確かに自衛隊法88条に「防衛出動時の武力行使」という規定はあります。中味は「必要な武力を行使することができる」としか書いてないのです。では、実際に戦闘行為がなされ多くの死傷者が出た場合、国としてどのように対応することになるのでしょうか。今のところ、規定がない以上、「刑法」で対応するしかありません。
 刑法の殺人罪の規定(199条)は、「人を殺したる者は、死刑または無期若しくは5年以上の懲役に処する」と定めています。最低でも5年以上の懲役です。この条文を適用するというなら、国のために戦う人間は1人もいません。軍人ならヘルメットをぶん投げて戦線を離脱するでしょう。こんな馬鹿な話はありません。
 これまで国防とか国の安全保障という用語を使うだけで右翼だ、なんて言われかねない雰囲気がありました。そのため日本では、そのような軍事行動に関するリアルな議論が一切なされてこなかったのです。マスコミと平和ボケの野党の人達が、平和憲法を護れ、安全保障法制反対、戦争法案だとひたすら連呼し、或いは森友・加計隠しだと連呼し、真に必要な国防論議を回避してきたからです。
 今年の4月25日、北朝鮮と米軍との間で一触即発の軍事衝突が起きるのではないかと、極度に緊張が高まった時期がありました。原子力空母カールビンソンが日本海に展開し、米原潜も韓国周辺に展開しました。直前にアメリカは、シリアに59発の巡航ミサイルを撃ち込み、攻撃の意欲満々であるとの示威行動を示していました。
 その緊迫した時ですら、日本の国会では森友学園問題で大騒ぎをしていたのです。日本の国会は、軍事は「語らず、見ず、聞かず」で過ごしてきたのです。先進国の中で、これ以上に平和ボケをした国は、世界に類を見ません。

憲法改正を前面に出すべき

 自民党の公約を読むと、経済再生や地方創生、社会保障などが優先され、憲法改正や国の安全保障は付け足しのように末尾の方に列挙されています。選挙戦術のしからしむるところとは思いますが、もうそろそろこれを前面に出して、国民の意識を喚起すべき時ではないでしょうか。
 希望の党は、民進党の議員を迎え入れるにあたり、「政策協定書」に署名を求めました。いわゆる「踏み絵」です。その第2と第3に次のように明記されています。

希望の党の政策協定書(一部)

2 限定的な集団的自衛権の行使を含め安全保障法制を基本的に容認し、現実的な安全保障政策を支持すること
3 憲法改正を支持すること

 希望の党から何人当選するかはわかりませんが、野党第一党になることは間違いないでしょう。民進党からの移籍組という基礎票があるからです。しかも、彼らは、昨年の集団安保国会で、シールズなどと一緒になって「戦争法だ」「人殺し法だ」と叫んでいた人達です。
 この踏み絵を踏まされた以上、安全保障法制を整備するための憲法改正に反対はできない筈です。安倍総理は、この機会にこそ国を守り抜くために憲法改正を行うことを、堂々と表明していただきたいと思います。

政権選択選挙と言いながら総理候補がいない

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 小池都知事は、希望の党の党首でありながら、衆議院選挙に立候補しません。希望の党が「絶望の党」になる予感がするからかもしれません。立候補しないばかりか、希望の党として誰を総裁候補にするのか決めようとはしていません。彼女は、「選挙結果を見てから決める」と述べていますが、自ら「政権選択の選挙である」と明言しながら、その総裁候補を決めようとはしない。何という無責任な党首なのでしょうか。ならば国民は政権選択のため、一体、何を基準として投票したらよいのでしょうか。「誰かいい人が出てくるかも」と思案を巡らせつつ投票せよ、というのでしょうか。せめて「希望の党が政権を担えるようになったらこの人を」という人物を明示するのが、政権選択選挙のイロハなのではありませんか。
 安倍下ろしのためなら何でもありだというなら、そんな政党に政権を担う資格も語る資格もありません。余りにも下劣であり、国民を愚弄しています。
 私は、勘が鋭く策士でもある小池知事は、自民党に手を突っ込む腹づもりがある、と睨んでいます。自民党に手を突っ込み、自民党内の不満分子と手をつなごうという意図がある、と考えられるのです。その狙いは石破茂か野田聖子でしょう。でも、こんなレベルの低い議論をここでするのは止めましょう。周辺国からの脅威が増し、国の安全をどう確保するかというこの時期に、こんな馬鹿々々しい、コップの中の政局論議にはうんざりだからです。

日本を託せるのは安倍総理ひとり

 小池知事の意図がどこにあろうと、私は、今の日本にとって、安倍総理が一番日本の国益に叶うと見ています。なぜなら、今、世界を見回して、安倍総理ほど多くの外国首脳と会い、良好な関係を築けている首脳はいないでしょう。トランプ大統領は、先に開かれた国連総会の昼食会の参加の条件として、「安倍総理が出席すること。席は安倍総理の隣にすること」を要求したと報じられました。日本と安全保障同盟を結ぶ首脳同士が堅い信頼関係にあるということは、日本にとって大きな財産です。トランプ大統領が国連の演説で、わざわざ横田めぐみさんに言及したのも、2人の信頼関係が前提になっています。

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 安倍総理は、トランプ大統領だけでなく、プーチン大統領とも既に19回も会い、個人的な信頼関係を構築しています。もちろん、インドやモンゴルをはじめアジア諸国の首脳との交流も深めています。フィリッピンのドゥテルテ大統領はオバマ前大統領を罵り、中国訪問時にはポケットに手を突っ込み、ガムを噛みながら習近平と会談しましたが、安倍総理に対してはきちんと敬意を表しています。
 もちろんアジア諸国に限らず、欧州、中東、アフリカ諸国とも親交を深め、安倍総理は、西側諸国で、ドイツのメルケル首相と並んで世界で最も信頼の厚い首脳になったと言っても過言ではないでしょう。
 身近で安倍総理と接し、今回の衆院選挙には引退を表明した自民党副総裁の高村正彦氏も、月刊Hanada9月号で次のように述べています。

高村副総裁の発言
 いま、この国を託せる人は安倍晋三をおいて他におりません。近年、内政、外交を見ても、これだけ大きな成果をあげてきた政権があったでしょうか。私はこれからも日本のために、安倍総理を全力で支えていく覚悟です。

 長年、身近に安倍総理を見てきた長老の発する言葉は重いと思います。私たち国民の眼から見ただけでなく、老練な先輩代議士からもこれだけの評価を受ける総理はめずらしいでしょう。
 私も、断固として、安倍総理を支持していくつもりです。そして、是非とも日本国のために、憲法を改正し、自衛隊を日の当たる存在にして頂きたいと思います。日本が確固たる防衛体制と強力な反撃能力をもてば、中国や北朝鮮とて、安易に日本に対して不当な侵略はできない筈です。(H29・10・11記)

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