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子の犯罪、親はいつまで責任をもつのか

子の犯罪、親はいつまで責任をもつのか

清水アキラさんの息子が逮捕

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 覚せい剤を使用したとして、タレントの清水良太郎容疑者が逮捕されました。そのこと自体は、「ああ、そうですか」というレベルの話です。逮捕されたのは、9月下旬から10月10日にかけて、都内又はその周辺で若干量の覚せい剤を使用した、というのが逮捕の理由です。
 東京目黒署によると、10月10日午後1時40分ごろ、豊島区西池袋のホテルで30代の接客業の女性から「男に薬物を飲まされた」との110番通報があったということです。これはれっきとした犯罪ですから、逮捕されるのは当然です。また、芸能人ですから、自身の芸能生活に大きな打撃を受けることもやむを得ないことでしょう。
 問題は、その後、父親の清水アキラさん(63歳)が登場し、涙ながらに会見したことです。こういう事件が起きるたびに疑問に思うのは、なぜ親が出てきてお詫びの挨拶をする必要があるのか、ということです。本人が好き好んで出てきたというわけではないでしょうから、マスコミ人が親にインタビュー攻勢をかけたことは想像に難くありません。私たちも、芸能人の子供の不祥事については、いつもこのような光景が展開されるので、慣れっこになっているので、余り疑問に思わないのでしょうが、これっておかしくないのでしょうか。
 逮捕されたのは、29歳の男ですから、立派な社会人です。しかも、芸能人として、独立して働いてもいる人間です。そういう人間が覚せい剤とはいえ、犯罪を犯した場合、親が出てきて涙ながらに謝罪をしなければならないものなのでしょうか。

親はいつまで責任があるのか

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 「親の顔が見たい」という表現があります。それは未成年の子が余りにも出来が悪い、あるいは社会常識がない、という場合に、その親に対して向けられた言葉で、大の大人の行動に対して使うものではありません。少なくとも、親を引きずり出してまで顔を見るようなものではありません。
 それなのに、芸能人の親子、それも社会人として働いている立場の子供であっても、決まって芸能人の親が出てきて謝罪会見をします。このことに違和感を持たないとすれば、余りにこのような類似案件に慣れて、感覚が麻痺しているからかもしれません。
 三田佳子さんの息子の覚せい剤使用事件の時は、息子が高校生でしたからやむを得ないと思いますが、みのもんた氏の時は気の毒でした。彼の次男は当時31歳でした。路上で寝ていた男性からキャッシュカードを盗み、現金を引き出そうとしたとして窃盗未遂で逮捕された、という事件でした。被害者とは示談が成立し不起訴になったとはいえ、みの氏はTBS系の「朝ズバッ!」「サタデーずばッと」などを降板しました。こだわり続けた報道番組から一切姿を消したのです。
 現在は、一部の番組に復帰しているようですが、被った損害は半端なものではなかったはずです。自分の犯罪でなく、子供の犯罪に関し、親はいつまで責任を持つ必要があるのか、ということが問われなければならないと思います。

芸能人にプライバシーはない?

 私は、中学生の頃、父から言われました。「大学を卒業するまでは面倒を見る。その後は一切面倒をみないから、自分の力で働け」と。当然のことだと思います。この考えは、今でも十分に通用するはずです。20歳の成人を迎えたなら、刑事罰も成人と全く同じですから、社会的責任も完全に大人として扱われます。それなのに、芸能人の子息に関して、覚せい剤事件などが起きると、判で押したように親が出てきて謝罪する。覚せい剤どころか、みのもんた氏のように、窃盗未遂のような、いわば微罪に属する犯罪でも、謝罪を求め、大騒ぎをします。

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 ならば、一般人が覚せい剤事件を起こした場合、どうなっているのでしょうか。覚せい剤事件で逮捕される事件数は、一番多かったピーク時は毎年2万人以上が逮捕されましたが、ここ数年減少を続け、今は1万1千人から1万2千件レベルで推移しています。1.1万人としても、毎日30人が覚せい剤事件で逮捕されている計算になります。
 ところが、これらの覚せい剤事件がマスコミによって報道されることはめったにありません。今回のような芸能人がらみになると、大きく報道されますが、普段は見向きもされていないのです。覚せい剤がらみの事件が重大な犯罪だというなら、それも一つの見識でしょう。それならば、毎日大きく報道されるべきです。しかし、実際には毎日30件相当の覚せい剤事件は、殆ど報道されていないのです。毎日、100件の殺人事件があったら、ニュース価値はありませんから、殆ど報道されません。それと同じなのかもしれません。
 つまり、「覚せい剤を使用した」というのが重大な事件だというのではなく、「芸能人が関与した」ということがニュースなのです。なぜ芸能人が関与すると重大事件になるのか。このことを突き詰めていくと、結局、覚せい剤事件→芸能人→ワイドショー向き→視聴率を稼げる、ということに尽きるのかもしれません。

芸能人にはモラルも求められるのか

 芸能人は人様に顔を見られることが仕事です。顔を知られてなんぼの世界です。顔を知られれば知られるほど、ギャラも高くなる、という相関関係があるものと推察します。他方、芸能人は、名前に比例して高いモラルも求めらているのでしょうか。
 これについては、その人の人柄によって、高いモラルを求められる芸能人とそうでない芸能人に分かれるかもしれません。三田佳子さんや石坂浩二氏タイプの芸能人は、高いモラルを求められるかもしれません。また、横山やすし氏(故人)や間寛平氏などの例でも分かるように、芸の中でもハチャメチャな人間として売り出しているような場合は、そもそもモラルなんて求められていません。競艇にのめり込もうと、歌舞伎町通いをしようと、もうそういう芸人だということを理解しているのでワイドショーネタにもなりません。

覚せい剤だけは絶対悪か

 今回の清水アキラ氏のケースは、本当に気の毒だと思います。いえ、子供ではなく、親の方です。「何でこんなさらし物にならなければいけないんだ」、という気持ちがあったのではないでしょうか。「30歳にもなろうかという自立した社会人が逮捕されたからといって、どうして俺が謝罪しなければいけないんだ」、という気持ちは心のどこかにあったはずです。

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 マスコミが、どういう基準で、親に記者会見を求めるのか、私には全く分かりません。今回の事件でも、親が一般の人、つまりサラリーマンや年金暮らしの両親だったとすれば、親に謝罪会見を求めたりはしないでしょう。と、考えてくると、こういう覚せい剤事件がクローズアップされるのは、本人と親の双方がともに芸能人という場合に限られるのかもしれません。
 なぜ芸能人に限られるのか。芸能人の子供は芸能界にデビューしやすいからです。一般に、普通の子供が芸能人になるのは容易なことではありません。何千人の応募者の中から、たった1人か2人しか合格できない。しかも合格しても、すぐに晴れ舞台に立てるというわけではありません。長い下積みの生活を余儀なくされている芸能人の卵も多いはずです。
 そんな中、有名芸能人の子供達は、いとも簡単にそのハードルを越えていきます。明石家さんまと大竹しのぶの娘IMALUや三浦友和と山口百恵の息子2人も、ドサ回りなどの下積みを経験してはいないでしょう。本人の能力も必要ですが、ハードルの高さが月とすっぽん程に違うのは、周知の事実です。
 こういったハードルの高さの違いが、今回のような不祥事が起きると、必要以上にバッシングがきつくなる底流にあるのかもしれません。つまり、多くの国民の心の中に芸能人に対し、少なからぬ「ひがみ・ねたみ根性」があるのでしょう。だからこそこのようなバッシングが許容されるのです。芸能人にプライバシーはない、と言われる所以です。
 清水アキラさんが報道陣の前で、「何で芸能人の親だけがこんな謝罪会見をしなければいけないんだ」と開き直ることもできたはずです。でも、こういった一般国民の心情も、少しばかり理解してください。こういう場で開き直ったりすると、益々芸能活動は不利になったことでしょう。芸能人の宿命と思って諦めるしかないかもしれません。
 私は、個人的には清水アキラさんの芸が大好きです。ですから、これに懲りず、これからも私たちに楽しいお笑い芸を届けていただきたいと思います。流した涙は無駄ではありません。負けるなアキラ!!と言っておきましょう。(H29・10・17記)



後日記

 タレント・大竹まこと氏(68)が2月1日、長女で会社員の女性(28)が1月末に大麻取締法違反(所持)で逮捕されたことについて謝罪会見を行いました。
 大竹氏によると、2月28日夜、長女が都内で職務質問を受けた際に、大麻を所持していたというんです。翌日まで取り調べを受け、自宅ではなく同氏のいる実家に戻ったとのことです。その後、同氏の自宅で逮捕状が執行されたというんです。

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 大竹氏は、レギュラー出演するラジオ番組『大竹まこと ゴールデンラジオ』(月~金 後1:00~3:30)前に会見を行い、「一生懸命に育てたつもりですが」と、忸怩(じくじ)たる思いを語り「親の監督不行き届きです。お詫び申し上げます。本当に申し訳ございません」と頭を下げたんですね。
 報道にあるように、娘さんの年齢は28歳だそうです。実際に仕事を持つ社会人です。通常、28歳で社会人である子供の不始末に対して、お詫びをする親はいません。お詫びをするのは、決まって芸能人又は有名人です。政治家の場合も、多分、マスコミは放っておかないでしょうね。
 芸能人や有名人、政治家の子だったら親がお詫びをするが、そうでなければお詫びをしない、というのは極めて不思議な現象です。
 大竹氏も会見中、何度も公人と私人の違いを強調していました。長女の年齢は28歳、大学を出て社会人として6年も勤務し、実家も出て一人暮らしを行っている。
 大竹氏は、「私は公人なので話す義務も責任ある」と会見で語っていましたが、長女の性格や仕事については「一般人。私もどこまで話していいのかわからない」と多くを語らず、報道陣から質問を重ねられると「どうしてもとおっしゃるならお話します」とやんわり拒否する場面もありました。
 私は、こういう芸能人や有名人の子供の不始末に対して、親が出てきてお詫びをするたびに、強い違和感を覚えてしまうのです。親に責任があるというなら、芸能人や有名人だけでなく、一般人も同じでなければいけないことになります。芸能人や有名人だけを狙い撃ちするするような、今のマスコミに猛省を促したいと思います。
 もっとも、大竹まこと氏は、テレビやラジオを舞台に歯に衣着せぬ毒舌を振りまいていましたから、業界や視聴者から反撃を受けたと解釈することができるかもしれません。
 なお、私は、「大麻」というものを悪性の「悪いもの」と決めつけている今の法体系そのものに異論があります。大麻が悪いものになったのは、敗戦に伴い、進駐軍が日本に上陸するに際して、日本国に対して、「大麻を規制せよ」と命じた時からです。米軍兵士に大麻が広がることを危惧したからです。
 それまでは、日本国中、どこにでも大麻は栽培されていました。普通に栽培されていたんです。日常生活に深く結びついた伝統的な植物だったんです。麻で編んだ衣服は、軽くて肌触りもいいというので、夏の常備服でした。大相撲の赤房、青房なんていうのも、すべて大麻で作られています。このように大麻と覚せい剤は全く次元の異なるものなのです。
 進駐軍の命令によって悪いものになった大麻、これをもう一度見直す必要がある、ということもここで付記しておきたいと思います。(後日記のみH30・2・3記)
 

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