時事寸評 書評コーナー

welcome to shimada's homepage

2018年、今、日本は何をなすべきか

2018年、今、日本は何をなすべきか

明けましておめでとうございます。
激動の2018年の幕が開きました。念頭に当たり、今、日本を取り巻く世界情勢はどうなっているのか。それに対して日本はこれから何をなすべきなのか、というテーマで考えてみたいと思います。

日本を取り巻く世界情勢

画像の説明

 今、世界は、人種間の争い、領土や経済をめぐる争い、宗教をめぐる対立など、国家間の対立や国内における対立など、人間の集まるところに対立の火種が尽きることはありません。これらの人間の活動は、悠久の歴史を持つ地球規模で見れば、小さなネズミの争いにも似て些細な出来事に過ぎないかもしれません。それでも、当の人間にとっては、重要で深刻な問題でもあるのです。
 日本のおかれた現状も、今、極めて深刻な状況にある、と言っても過言でないでしょう。先ず、そのあたりから話を始めることにしましょう。

日本のおかれた現状

 日本は、今、極めて危険な状況にあると思います。第一には、北朝鮮をめぐる問題です。北朝鮮とアメリカは、互いに口汚く罵り合い、いつ戦争が始まってもおかしくない、と思われる状況にあります。この姿は、小さなネズミと大形の虎が対峙している姿にも見えます。もともと喧嘩にもならない者同士が言い争っている状態だからです。
 ただ、この小さなネズミ、鋭い毒針をもったネズミですから、簡単に食い殺すことはできません。しかもこの子ネズミ、この毒針を増殖させ、ハリネズミのようにして防御しようとしています。ハリネズミになってしまえば、もはや大虎と言えども食い殺すことはできません。
 しかもこのハリネズミ、性格も悪く、この毒針を利用して、他のネズミを脅す可能性もありますし、他のネズミにも移植したりして金儲けをしようと企んでもいます。
 日本は、正にこの毒針で威嚇される立場です。イランは、この毒針をもった子ネズミを輸入して毒針を増殖させようとしている国、ということもできるでしょう。

北朝鮮は核開発を諦めるか

 北朝鮮が核開発を諦めることはあるか。この点については、ロシアのプーチン大統領も言うように、「雑草を食べてでも核開発をやめることはない」というのが正解でしょう。イラクのフセインやリビアのカダフィの悲惨な末路を見ていますし、「核こそ小国が身を護る最後の砦だ」というのは、金日成の遺訓でもあるからです。

画像の説明

 北朝鮮が核開発を止めず、しかも、アメリカをも攻撃できるICBMの開発にいそしむ先に何が待っているのか。アメリカは、当面、経済制裁によって、北朝鮮を締めあげようとしています。その抜け穴となっているのが、中国とロシアです。両国は、北朝鮮という緩衝地帯があることによって、直接、アメリカと対峙することを回避できています。その緩衝地帯がなくなることを、本能的に嫌っています。朝鮮戦争時、北朝鮮軍が韓国南部にまで侵攻した際、日本に駐留する米軍が直接参戦し、38度線を超えて北朝鮮軍を押し返した際に、突如、中国人民軍が参戦してきました。北朝鮮がなくなれば、中国とアメリカが直接対峙することになる、ということを恐れたからです。
 北朝鮮のような小国が、アメリカを相手にして強がりを言えるのは、このようなパワーバランスを北朝鮮が十分に理解しているからです。中国やロシアが、一応、国連決議に従ったふりをしながら、海洋で「瀬取り」という手法で密貿易を行っているのはそのためです。中国のような独裁国家が、こんな大型船が密貿易を行っていることを知らない筈はないのです。
 このような瀬取りも、衛星からの監視により、今後は困難になるでしょう。北朝鮮は更に疲弊するはずです。現在でも、おんぼろの木造船で真冬の日本海に出漁せざるを得ない漁民や魚取りに駆り出される軍人たちの窮状は、想像を絶するものがあります。それでも、現在の体制が揺らぐことはないでしょう。民主主義国ではないからです。厳しい相互監視社会ですし、首尾よく密出国ができても、残された家族の悲惨な末路は予測可能です。住民は、ささいな不始末でも銃殺刑にされる姿を、日常的に見させられているからです。恐怖で威嚇する独裁国家とはそういうものです。

アメリカの取りうる手段

 では、アメリカはこのような北朝鮮に対し、最終的にどうするでしょうか。トランプ大統領は、核を放棄させるための手段として、「すべての選択肢がテーブルの上にある」と言っています。軍事攻撃が選択肢の一つであることは間違いありません。その他の選択肢は、①徹底した経済制裁によって締め上げ、ギブアップを狙う、②核の保有を認める代わり、米本土に届くICBMの開発を凍結させる。大別すれば、この二つです。
 ①によって、解決できることが最善の方法ですが、無理でしょう。日本から見れば、北朝鮮は閉鎖された国に見えますが、正式な国交のある国は161ヶ国もあるのです。経済的なつながりをゼロにすることはできません。まして、それらの中にはアメリカに敵愾心を持っている国も少なくありません。

画像の説明

 となれば、②の選択肢をとるか。この選択をすることは、日本にとっては最悪です。韓国にとっても良い選択ではありませんが、打撃は日本ほどではありません。文在寅政権は、南北統一が悲願ですから、統一までの暫定的な統一国家を提案するでしょう。「ゆるやかな連邦国家」というのがそれです。でも、その実態は、南が北に飲み込まれることを意味します。北の住民は100%金正恩に投票するからです。あと数%が金正恩に投票すれば、多数決でも北の勝利です。「民主的な投票」によって、統一国家が実現するのです。文在寅も本望でしょう。
 ②の選択肢がとられた場合、一番困るのは日本です。日本は、中国に加えて、反日国家北朝鮮が核保有国になれば、日常的に、核の脅しに晒されることになります。勢い、日本でも本格的な核武装論に火がつくはずです。アメリカも、トランプ大統領と安倍総理との関係を考えれば、②のような手段を選ばないと思います。
 このように考えてくると、アメリカの取りうる手段は「軍事攻撃以外にない」、と考えざるをえないのです。

軍事攻撃の時期はいつか

 では、アメリカが軍事攻撃を行うのはいつか、ということになります。アメリカは、北朝鮮の核開発と米本土に届くICBMの開発の完成するまでが、いわゆるデッドラインと考えている筈です。その意味からすれば、北朝鮮は、すでに、ほぼデッドラインを超えている、と見るべきだと思います。
 ただ、米軍から仕掛ける、というのには、世界的な反発や米中間選挙などの国内事情、それに米国民の想定犠牲者数などから、躊躇するところです。真珠湾攻撃にみられるように、相手から攻撃を受けた、という形が欲しいのです。ベトナム戦争におけるトンキン湾事件にみられるように、陰謀によって、北朝鮮が先に仕掛けたという演出をするかもしれません。
 いずれにしろ、その時期は、常識には今年の3月末くらいまでと考えるべきではないでしょうか。そうでないと、北朝鮮の核開発はほぼ完了してしまうからです。
 ただ、金正恩が、新年所感で、韓国で開催される冬季五輪への参加をちらつかせているので、五輪開催中は、平穏に過ぎるかもしれません。五輪参加は、あくまでも核やミサイル開発のための引き延ばしにすぎませんから、何ら問題が解決されたわけではありません。

その時日本はどうするのか

画像の説明

 米軍による軍事攻撃が開始された場合、日本はどうすべきなのでしょうか。端的に言って、日本国民にとるべき手段は殆どありません。隠れるべき地下シェルターもありませんし、大都市以外、堅固な建物もありません。
 秋田県などでは、学校の体育館などへの避難訓練もなされているようですが、無駄でしょう。飛んでくるものが核弾頭なのか、通常のミサイルなのかにもよりますが、一箇所に集まっていることの利点は殆どありません。広いグランドの一画にある体育館では、むしろ、集団で死ぬ確率の方が高いとさえ言えるでしょう。
 また、この非常時に、自衛隊は、どうするのでしょう。憲法9条で国の交戦権は否定されていますから、北朝鮮に攻撃をすることもできない、というのでしょうか。現行憲法の改正手続きに従えば、どんなに早くとも、改正は、来年以降の話です。つまり、3月までに何らかの軍事攻撃がなされても、完全に手遅れなのです。もっとも、今の国会の状況からすれば、またまたくだらない「モリカケ」騒動で、国会は空疎な論争を続けそうですから、国民に救いはありません。自衛隊員に対しても、どのように反撃するのか、どこまで反撃してよいのか、明確に示されていない筈です。長い間日本は、平和憲法さえ守っていれば、他国は侵略してこない、というお花畑で暮らしてきたからです。自国を守る、という戦略が全くなかったのです。「防衛」の話をすると、「縁起でもない」という空気が満ち溢れた国だったのです。「自分の国を自分で守る」という当然の意識があれば、今のような空疎な国会論争をしている暇などない筈です。

専守防衛でも敵基地攻撃は可能

 日本は専守防衛の国ですが、「敵基地攻撃は可能」というのが、政府の正式見解です。しかし、これまで「敵基地攻撃」などという言葉を使うことすらタブー視されてきたため、現在の日本に敵基地を攻撃する軍事的能力はありません。
 このため、国は、新たに空対空及び巡航ミサイルを導入する方針を固めました。何を今更と思います。だって、今年の3月までには、北朝鮮からミサイルが飛んでくるかもしれないというのに、いまやっと導入の方針を決めたというんです。しかも、2018年度予算に関連経費を計上する、というんです。日本国民の命がかかっているというのに、今でも、こういった議論をせずに、森友・加計学園問題にかかずらっている日本の国会。これを税金の無駄遣いと言わずして、何と表現すればよいのでしょうか。

韓国は同盟国ではない

画像の説明

 朝鮮有事になった際、今から心しておくべきことがあります。それは、韓国は同盟国ではない、ということです。日米韓という表現がありますが、すでに韓国という国は、この枠組みから外れています。米韓でさえも、ほぼ同盟関係は破綻していると断言してもよいと思います。それほどに、文在寅政権は反日政権であり、親北政権なのです。
 しかも、文在寅大統領が訪中した折には、極めて冷たい待遇を受けたうえに、三つの約束をさせられたのです。その3つとは、①米国のミサイル防衛体制に加わらないこと、②日米韓安保協力を軍事同盟に発展させないこと、③THAADを追加配備しないことと現有のTHAADシステムの使用に制限を設ける、というものです。
 中国とこんな約束をする国が同盟国であるはずがありません。しかも、韓国は、北朝鮮有事に際して、邦人救出のために自衛隊が韓国に入ることさえ拒んでいるのです。これ以外にも、日本は、これまで何度も煮え湯を飲まされてきた経験があります。ですから、この国を同盟国と思って行動すると、とんでもないまちがいを犯すことは必定です。

中国のすり寄り

 北朝鮮問題は、喫緊の課題ですが、より深刻なのは中国問題です。北朝鮮は膨張主義政策をとっていませんが、中国は常に周辺国との間で、摩擦を引き起こしています。その原因は、膨張主義政策に起因しています。
 常に、隙あらば領土拡張、権益拡張を求めてやみません。チベット然り、ウイグル然り、ベトナム戦争後の中越戦争も中国の領土拡張政策によるものでした。米軍がフィリッピンのスービック基地から撤退した途端、南シナ海の南沙諸島の島に取りつき、あっという間に軍事基地化してしまいました。南シナ海ではすでに7つの人工島を造成し、軍事拠点化を進めています。日本が実効支配する尖閣諸島に対しても、国連調査で石油資源が埋蔵されていると公表した途端、領有権を主張し始めました。主張すると、直ちに領海侵犯を繰り返すなど、侵略の意図を隠そうともしません。
 歴史上、一度も実行支配したこともない台湾でさえも、自国領だと主張し、軍事侵攻しようとしました。米軍が空母を派遣し事なきを得ましたが、中国という国は、常に、周辺国に対して野心を隠さない侵略国家なのです。
 軍事力も、これまで毎年10%以上拡大し、一気に日本の防衛費を抜き去り、世界第2位の軍事大国となりました。 
 その中国が、このところ、日本にすり寄り始めているのをご存知でしょうか。その理由は、ズバリ二つです。一つは、中国経済が急減速し始めたことです。二つは、中国が目指す一帯一路への協力要請です。

画像の説明

 中国経済の内情は、すでにガタガタです。崩壊し始めたことは間違いありません。このような見立ては、中国ウオッチャーの福島香織氏や宮崎正弘氏だけでなく、国際問題アナリストの藤井厳喜、経済評論家の上念司、三橋貴明、渡邉哲也、高橋洋一各氏など、多くの専門家が等しく指摘するところです。
 中国の経済統計は信用できないというのは常識ですが、富裕層を中心に資金の海外流出が止まらず、このため、人民元相場は年間で7%も減少しました。株式市場も一時の5,000ポイントからすでに3,000ポイントのレベルまでダウンしています。貿易額も前年比6.8%減の3兆6849億ドルとなるなど2年連続で前年割れとなっています。
 このため、中国政府は、外貨両替の規制を強化したり、海外企業を対象とした中国企業の合併・買収(M&A)を締め付けたり、対策に大わらわなのです。対策という名の「取り締まり」が行われているのです。
 中国の目指す「一帯一路」構想は、膨張政策と対になるものです。一帯一路のライン上に中国の資本と人を投入し、権益拡大を図るとともに、経済の復活をしようとする明確な狙いがあります。しかし、この構想も、資金の裏付けがあってこその構想です。人民元は昨年10月に、ドルやユーロ、円、ポンドに続き、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」に組み込まれましたが、すでにその信用は大きく毀損されています。
 中国が日本に対して擦り寄りの姿勢を見せているのは、このためなのです。ですから、日本は絶対にこれに協力してはいけません。このところ、安倍総理や二階幹事長が一帯一路に協力姿勢を示しています。これは明らかに間違いです。中国という国が、膨張主義という国是をやめたわけではありません。一時的にこの看板を見えにくくしているにすぎません。経済が軌道に乗れば、再び、周辺国を脅かす存在になるのです。
 日本が、一帯一路に協力する前提は、①尖閣諸島に対する領土的野心を放棄しそれを明確にすること、②南シナ海における人工島構築をやめ、元の姿に戻すこと、③南京事件に関する虚妄の主張をやめること、最低限、この三つを実行しない限り、絶対に協力してはいけないと思います。

今後もアメリカに頼れるか

 日本は戦後、経済的にも軍事的にも、一貫してアメリカに頼ってきました。敗戦により、占領という国として恥ずべき状態に置かれたんですから仕方がありません。占領政策の一環として、アメリカが1週間で作った憲法を、独立後も指一本触れずに守ってきました。
 その結果、日本国民は、自主独立、自分の国は自分で守るという、世界共通の普遍的価値観を失ってしまいました。それでも、世界一の軍事経済大国、アメリカの庇護下にあるならば、それでもよし、と多くの国民は考えてきました。

画像の説明

 しかし、戦後70年以上も経過すると、世界の情勢も大きく変ってしまいました。米ソによる冷戦にも決着がつきました。ISに見られるように、中東の混乱も、収まる気配がありません。折角構築したEUも、イギリスの脱退に見られるように、その土台が崩れつつあります。グローバリズムという共通の価値観が揺らぎ始めたのです。代わって、中国という剥き出しの覇権主義国家が台頭してきました。
 こういった中で、日本の守り本尊であるアメリカも、オバマ前大統領の「もやはアメリカは世界の警察官ではない」という言葉に代表されるように、その力を失いつつあります。代わって登場したトランプ大統領は、すべてのマスコミを敵に回しながら、「アメリカファースト」を旗印に、ツイッターという特異な言語空間で、自らの主義主張を発信するようになりました。
 今は、トランプ大統領と安倍総理の関係が良好であるため、当面は、米国頼みも通用するかもしれません。しかし、そのトランプ大統領でさえ、いつ失脚するか分かりませんし、北朝鮮や中国と電撃的な和解をするかもしれません。トランプ氏の価値観はすべて「デイール」(取引)だからです。
 いずれにしろ、軍事的にも経済的にも、世界に占めるアメリカの重要度が相対的に減少していくことは間違いありません。韓国からの米軍引き上げも視野に入ってきました。全く信用できない政権だからです。また、日本駐留の米軍も、徐々に減少していくでしょう。沖縄駐留米軍のグアムへの移転は、既に顕在化しつつあります。
 このように見てくると、日本は、いつまでもアメリカ頼みでいることは許されないのです。

インド太平洋地域の国々との連携強化

画像の説明

 日本は、人材以外、ほぼエネルギー無資源国です。石油や天然ガスなどのエネルギー資源は、海外に頼らざるを得ません。特に、石油は、80%以上を中東に依存しています。中東から輸入するタンカーは、南シナ海を通ります。その南シナ海が、中国の国際法無視の強引な覇権主義により、近い将来、中国の海になる日が来るかもしれません。
 そうさせないよう、日本は、インドやオーストラリア、それにフィリッピンやインドネシア、ベトナムなどと、軍事的、経済的な連携を深めています。
 アジアの大国インドとの間では、戦略的グローバル・パートナーシップを構築するなど、安全保障分野での連携を強化しています。同様に、オーストラリアとの間でも、「包括的な戦略関係」を構築する目的で、安全保障協力に関する日豪共同宣言を行っています。ベトナムとの間でも巡視船の追加供与を含む大規模援助を行うなど、安全保障に関する協力体制と経済関係を築くことを宣言しています。また、直接、南シナ海に面するフィリッピンとの間でも、防衛装備移転3原則を結び、中古の防衛装備品を供与できるようにするなど軍事面での結びつきを強めています。
 このように、中国の強引な強権支配を阻止すべく、アジア各国と軍事面経済面での連携強化を図っています。しかし、これだけで十分ではありません。

エネルギー輸入先の分散化が必要

画像の説明

 日本はエネルギー小国です。日本海側に凍った天然ガスであるメタンハイドレードの存在が確認されていますが、まだまだ本格的な採掘には至っていません。当面は、石油や天然ガスの大半を中東に依存せざるを得ないのです。このような日本の姿は、国の安全保障という観点からみて、大きな問題があります。今の日本は、中東からの石油がストップしたら、文字通り「ホタルの光・窓の雪」の生活にならざるを得ないのです。
 よって、これからは、ロシアの天然ガスやアメリカのシェール石油・ガスの輸入を大幅に増やすことにより、エネルギー輸入国の多元化を図ることが必要です。ロシアとの間では宗谷海峡を挟んで樺太との間にパイプラインを引き、大幅に輸入量を増やすことを検討すべきです。
 ロシアとの良好な関係は、中国をけん制する意味からも重要です。欧州は、ロシアが一方的にクリミア半島を自国領とした際、ロシアに対して経済制裁を課しましたが、逆に、ロシアから天然ガスのパイプラインを止めれらるなど、反撃されました。エネルギーの多元化を図ってこなかったからです。ですから、日本も、中東の混乱に備えるともに、中国による南シナ海の不当な支配により、日本のCレーンが損なわれる危険に備えておく必要があります。
 この観点からも、アメリカのシェールオイル・ガスの輸入も大幅に拡大することが必要なのです。また、中東以上に石油埋蔵量があると言われるベネズエラからの輸入も、大幅に増大させる必要があります。国の安全保障という観点からも、エネルギー資源の輸入先を多様化することは是非とも必要なのです。
 他方、小資源国の日本としては、産業部門、民生部門における徹底した省エネルギー対策も、同時並行で進めていく必要があります。
 更に、原子力エネルギーについても、新潟県知事のように、イデオロギー的に論じるのではなく、純粋なエネルギ問題として議論すべきです。個人的には、現在の原発はすべて早急に再稼働を認めるべきだと思います。エネルギー政策という観点からだけでなく、原子力エネルギー専門家を長期的に維持するという観点からも必要です。

▼専門家が語る→あまりに呑気で危うい日本のエネルギー事情

早急に経済と防衛力の立て直しが必要

画像の説明

 これまで述べてきたように、日本を取り巻く国際情勢、とりわけ北朝鮮や中国をめぐる情勢は、極めて厳しい状況にあります。このため、日本は、早急に経済を立て直し、その経済力を梃子として、軍事力をはじめ社会制度全体を強化する必要があります。それなのに、これまでの日本は、ひたすらデフレの只中にどっぷり漬かってきたのです。日本の実質賃金は、橋本政権が消費増税を実行して以来、ひたすら下降してきたのです。直近の実質賃金は、ピーク時の1997年と比べるとマイナス15%と低下しています。日本はそれだけ貧困化してきたのです。一般市民が景気回復を実感できないのは当然です。
 嘗て日本のGDPが世界に占める割合は、17%を超えていました。ところが、橋本政権時に消費税を5%に引き上げて以来、わが国は、20年以上もの長い間、デフレから脱出することができませんでした。その結果、昨2016年には、世界シェアに占める割合は6.5%にまで落ち込んでしまいました。3分の1に落ち込んでしまったのです。
 他方、中国のGDPは、同じ時期、僅か2%程度だったのに、15%にまでシェアーを拡大しました。経済成長という背景はありましたが、中国は経済成長率以上に、軍事費の拡大を図ってきました。その結果、日本と中国の軍事予算の規模は20倍もの差がついてしまったのです。それでも、かの国が膨張主義の国でなければ、心配はありません。が、剥き出しの一党独裁による覇権主義国家ですから、本当に始末が悪い。
 日本の軍事費や社会保障その他の福祉予算を確保するためには、何と言っても予算規模、すなわちGDPを拡大することが必要です。パイを大きくしなければ、国民一人当たりの分け前を増やすことはできないからです。

GDPの拡大が必要

画像の説明

 では、このGDPを大きくするにはどうすればいいのか。現在の予算制度を前提とするならば、アベノミクスの唱える3本の矢、すなわち①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資を喚起する成長戦略は、正しい方向を指し示しています。
 なのになぜ日本経済は、20年以上もデフレから脱出することができないのか。それは、②の機動的な財政政策が、全くなされていないからです。機動的な財政政策とは、必要な時に必要な財政投資を行うということです。
 しかるに、国から出てくるのは、国の借金1,053兆円、1人当たり830万円の借金があるだの、この借金を返済するため、消費税を予定通り10%に引き上げる必要があるだの、診療報酬の引き下げ、介護報酬の引き下げなど、国民の収入が減る話ばかりなのです。ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授でさえ、「皆さまへのメッセージ」と題して、「研究所の教職員は9割以上が非正規雇用です。皆様の暖かいご支援をお願いいたします。」とその窮状を訴える有様なのです。
 しかも、このような緊縮財政の方向性については、日本のマスコミは軌を一にしてほぼ同じ方向、すなわち支持する方向を向いているのです。比較的安倍総理に近いとされる読売新聞でさえ、今年10月8日付けの社説で次のように書いています。

読売新聞社説
 国債発行を少しでも減らして将来世代へのつけ回しを避ける。そのためにも、消費増税の必要性に疑問の余地はない。判断すべきは「いつ上げるか」だけだ。

 読売新聞だけではありません。日経新聞のような経済の専門紙ですらそうなのです。経済評論家の上念司氏は、「日経新聞は経済問題以外は実に素晴らしい新聞だ」と皮肉たっぷりに述べていますが、正にその通りなのです。
 つまり、新聞テレビなど大手マスコミはすべて、財務省のレクチャー通りの内容を、そのまま垂れ流しているだけなのです。これでは、日本は益々デフレに突き進むばかりではありませんか。

財務省の単細胞思考に反旗を翻すべき

 私は、このコーナーで何度も、国の財政も「貸借対照表」を前提にして考えるべき、という話をしてきました。当然です。「国の借金を語るなら、頭の中に貸借対照表を想定し、負債の部を語るなら同時に資産の部を語れ」、というだけの話です。
 いくら借金が大きくてもそれに見合う資産があるなら、何の問題もないのです。個人のレベルでも、サラリーマンなら月給しか収入がありません。ですから1,000万の借金でもきついでしょう。しかし、大家としてマンション2棟を経営しているなら、1,000万程度の借金はそれほどの負担にはなりません。土地と建物という固定資産があるし、毎月の家賃収入も見込めるからです。

画像の説明

 更に、トヨタ自動車クラスになれば、13兆円超もの借金があります。従業員数は約36.4万人ですから、1人当たり3,500万円強の借金があるという計算になります。国民1人当たり830万円の借金どころの騒ぎではありません。さあ、大変だ~ということになるのでしょうか。決してそんなことにはなりません。貸借対照表の資産の部とのバランスがとれているからです。
 それなのに、なぜ国の借金となると、日本のマスコミはすべて思考停止になるのでしょうか。信じられません。嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、嘗て財務省に勤務していた頃、初めて国の貸借対照表の作成を命じられたそうです。苦労して作成した結果は、「日本の財政は極めて健全」なものであることが分かったというのです。しかし、その当時は、「健全だ」ということが分かると、消費増税や予算の作成に支障が生じるという理由で、秘密扱いにされたとのことです。つまり、役人の思考回路は、省益が最優先されるのであって、決して国民の利益が優先されるわけではありません。農水省が食料自給率を算定するときに、世界標準の生産額ベースの68%を使わず、カロリーベースの38%を使うのも同じです。予算をより多く獲得するための便法なのです。役人の役人による役人のための予算になっていることに、私たちは目を光らせ、怒りをぶつけるべきなのです。第一線でその役割を担っているのは、本来、マスメディアの役割です。しかし、今のほとんどのマスメディアは、本当の意味での報道機関の名に値しません。「真実を伝える」という、役割を果たしていないからです。

日本の財政は極めて健全です

 マスコミが頼りにならないなら、私たち自身で勉強しなければなりません。私は、これまで勉強してきた経験に照らせば、今の日本の国家財政は極めて健全だと断言できます。不健全で危険だというなら、日本の国債は暴落するのが当たり前です。そんな不健全な財政の国の国債を買うバカはいないからです。しかし、現実は全くそれと逆の現象が生じているのです。財政が健全だからです。有事の円買いと言われるのも、日本の国が信頼されているからです。
 健全ですから、大幅に国債を発行する余裕もあります。国債発行の余力について、前述の高橋洋一氏によれば、300~500兆円は可能だと言います。
 仮に、今、200兆円の国債を発行すれば、直ちに完売できるはずです。マイナス金利でさえ国債が買われているほど払底しているんですから当然です。
 日本の防衛予算は約5兆円です。倍額の10兆円にすることなど、いとも簡単にできるのです。GDP比1%を、国際水準並みの2%にすべきとの論がありますが、明日にでも実現可能なのです。
 そのほかに、日本の発展に寄与できる教育費の無償化や自然科学など基礎的研究費への予算配分も潤沢にできるのです。建設後、30年以上を経過した全国の道路や橋、トンネル、護岸など、手当てを要するインフラ(公共施設)も山積みになっています。これらについても早急に手を打たなければなりません。そして、それは十分に可能なのです。なぜなら、これらはすべて「将来への投資」だからです。できなくしているのは、「日本の借金は~!」などと言って、危機感を煽っている財務省やマスメディアなのです。

今なぜ投資すべきなのか

画像の説明

 軍事費がすべて投資ではありませんが、国の守りを固め、外国からの不当な侵略から国民を守ることができるなら、決して高い支出ではありません。それに軍事予算の拡大は、防衛装備品の開発を促し、優秀で低コストの国産品を産むことにつながります。アメリカの言うなりに買わされるよりも、はるかに安価で優秀な装備を調達できるようになるはずです。
 数か月前に、日本学術会議は、「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明文を発表しましたが、彼らは一体何を考えているのでしょうか。「戦争を目的とする科学研究」ではなく、「国民の命を守る研究」なのです。国民の生命・財産を守るための研究が、なぜ戦争の科学なのでしょうか。そもそも学術研究と軍事研究でさえ、明確に区別できない筈です。我々が今、日常的に使っているパソコンや電波などの放送システムも、最初は軍事目的によって開発されたものでした。学問と軍事を区別することなどほとんど意味がないのです。「国民の生命・財産を守る」という目的こそ、崇高な目的はありません。
 そして、今、目前に迫っている北朝鮮の明白な脅威や中国による明白な侵略の意図に対して、ハリネズミのような防御態勢をとることは喫緊の課題と言ってもよいのではないでしょうか。
 

今すぐPB(プライマリーバランス)はやめるべき

 これまで述べてきたように、今の日本は、財務省主導で、誤った道を歩もうとしています。財務省は基礎的財政収支「プライマリーバランス」の呪縛にとらわれてしまっているのです。財務省の考える「財政健全化」という方向性が間違っているのではありません。プライマリーバランス論、すなわち「単年度ベースで収入と支出の帳尻を合わせる」という家計簿的発想が間違っている、ということなのです。
 家計なら、節約節約で、収入に合わせて支出を切り詰めれば、何とか生活が成り立ちます。しかし、国のレベルでこれを始めたら、益々デフレ化が進んでしまいます。

画像の説明

 企業や国の場合は、投資によって全体のパイを拡大するという方向に舵を切らなければ、益々経済は縮小してしまうのです。経済評論家の萩原博子氏の言うように、国民みんなが節約節約と言っていたのでは、全体のパイは拡大しないのです。同じ経済評論家の三橋貴明氏の言うように、「誰かの支出は誰かの収入」という考え方が重要なのです。企業や国が積極的に投資をしなければ、国全体の経済が発展しないのは当然のことです。
 もちろん国の場合は、景気が過熱すれば、投資を抑制する方向に舵を切るのは当然です。しかし、今の日本経済は、すでに20年もの長期にわたってデフレが続いているのです。これほど長期にわたってデフレが続いていれば、若者が結婚しないのは当然です。若者は、結婚したくないのではなく「結婚できない」のです。その最大の原因は、「経済的な理由」なのです。この問題を解決せずして「少子化担当大臣」などおいても、全く意味がないのです。
 財務省=役人も、もうそろそろ、「基礎的財政収支」などという悪い宗教を放棄すべきです。彼らは、「家計の論理」から抜け出ることができないのです。タコツボの論理に嵌ってしまっているのです。タコは、後先を考えず、入りやすいタコツボに入ります。しかし、抜け出ることができません。いや本当は抜け出ることを知っているのかもしれませんが、そこに入っているのが一番居心地が良い、つまり、役人の論理で、敢えて知ろうとしないのかもしれません。
 本物のタコならそれでもかまいません。しかし、国民の生命・財産を守るべき財務省が、タコツボの発想でいてもらっては、国民が困るんです。いくらでも解決の道があるのに、わざわざデフレ化政策を推進しようとする財務省の体質。東大法学部が席巻する財務省でなく経済専門家が主流となる財務省でなければ、日本の将来はありません。
 年頭に当たり、先ず、このことを強く訴えたいと思います。国民の生命財産を守るためにも・・・。(H30.1・2記)

プライマリーバランスの大嘘」 藤井聡が西部邁ゼミナール長と『国民社会の今と未来』を考える!

藤井聡vs西田昌司 政府の借金1000兆円超!日本の財政はどこに向かう?

a:211 t:1 y:1

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional