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文在寅大統領は韓国の未来に何を見ているのか

文在寅大統領は韓国の未来に何を見ているのか

北朝鮮に乗っ取られた平壌、いや平昌オリンピック

 平昌オリンピックが開幕しました。参加している日本選手には申し訳ありませんが、さっぱり興味が湧きません。その理由の一つは、韓国で開催されている、ということです。もう一つの理由は、このオリンピックがすっかり北朝鮮に乗っ取られてしまったことです。

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 参加選手の話題よりも、北朝鮮の美女軍団の華やかなパフォーマンスや金永南最高人民会議常任委員長や金正恩の妹、金与正党中央委員会第1副部長たちの動向の方が、圧倒的にマスコミの耳目を集めています。オリンピックの選手たちの動向はすっかり脇役になったかのような扱いになってしまったのです。
 国連決議に基づく制裁も、「オリンピックに限り」という条件付きながら、なし崩し的にすっかり制裁は解除されたも同然の有様になってしまいました。
 北朝鮮に対する一連の韓国の態度を見ていると、北朝鮮さえ参加してくれれば、もうオリンピックは大成功であるかのごとき振る舞いです。もう開いた口がふさがりません。

文在寅は何を考えているのか

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 北朝鮮に対する文在寅の卑屈な態度を見ていると、この大統領は、韓国の未来に一体何を見ているのだろうと、思わざるを得ません。北朝鮮から見れば、これほど御しやすい大統領はいないでしょう。北朝鮮の核やミサイルに関する話題には一切触れることなく、北朝鮮から訪朝の要請があると、相好を崩し、即座に「今後、環境を整えて実現させよう」と応じた、と伝えられています。
 文在寅大統領の態度を見ていると、この大統領、極めて聡明にも見えるし、逆に暗愚にも見えます。半島国家、韓国という小国の置かれた立場からすると、周りは、すべて気を遣わなければならない相手ばかりです。ロシア然り、中国然り、北朝鮮然りです。唯一日本だけが自由と民主主義の国家であり、価値観を共有できる国です。いくらケチをつけ、文句を言い、国家間の合意を守らなくても、軍事侵攻される心配はありません。いわば言いたい放題が許される国家、その相手は日本しかないのです。
 しかし、文在寅大統領の基本思想は、私の見るところ、バリバリのマルキスト、すなわち民主主義を信奉する自由主義国家観ではなく、ロシアや中国などの社会主義、共産主義を信奉するマルクスレーニン主義を基本とする国家観を持っている、と睨んでいます。
 その淵源は、彼の生い立ちにあります。彼は、生まれは北朝鮮であり、今でも北朝鮮に多くの親族がいるとされています。しかも、南北朝鮮は、元々は一つの国家でした。朝鮮戦争により引き裂かれた分断国家の大統領である文在寅の究極の目標が、南北朝鮮の統一であることは、いわば当然なのです。

北に寄り添う小国の悲哀

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 他方、韓国を取り巻く世界情勢は、極めて厳しいものがあります。アメリカとつるんでTHAADを配備すれば、最大の貿易相手国中国から露骨な嫌がらせを受け、経済はガタガタ。それでも一言も口答えはできません。他方、ロシアは、北朝鮮建国の父、金日成を傀儡として送り出したいわば大叔父です。ペレストロイカによって、ソ連邦が崩壊したとは言っても、依然として、軍事大国であることに変わりはありません。
 北朝鮮は、そのようなロシア、中国といった軍事大国の狭間で、自国の体制維持を図るとなればどうすればよいか。対抗して軍事大国になるほどの経済力はありません。南からの米韓軍の侵攻を防ぎ、中ロの軍事大国からの侵略を防ぐためには、一点豪華主義、すなわち、国の富のすべてを「ミサイルと核兵器」に特化する、という政策にならざるを得なかったと考えることができます。私たちは、日本という平和国家の中で発言していますから、北朝鮮は怪しからんというようなことを言えますが、自分が北朝鮮という小国の運営者であったとしたなら、どのように対処しただろうと考えた時、金正恩の立場も、ある程度は理解できるのではないでしょうか。

統一国家として国民投票をすると

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 このように考えた時、文在寅のカメレオンのような態度も少しは理解できるのです。韓国人の本心はよく分かりませんが、心ある多くの国民は、北朝鮮のような全体主義国家にはなりたくない。自由と民主主義の国家の方がよい、と考えている筈です。しかし、同時に同胞である北朝鮮といつかは統一国家をつくりたい、という思いも少なくありません。
 文在寅大統領は、心中、在任中に南北統一の夢を実現すべく青写真を描いているのは間違いありません。北朝鮮の言い分を丸呑みするかのような卑屈な態度がそれを裏書きしています。しかし、現在の北朝鮮の体制のまま、一気に統一はできない。そのため、過渡的なつなぎが必要です。文大統領が口にする「緩やかな連邦制」とは、そのつなぎの暫定体制のことです。
 緩やかな連邦制の後に、統一国家を造る場合、最終的には、両国の国民の意思が問われることになるでしょう。国民投票という方法です。国家の首領を投票で決定する、という手続きが必要になるのです。もちろん、双方の国民が自由な意思で投票できるなら問題はありません。北朝鮮の国家のあり様からして、自由な意思を表明することなどありえません。金正恩以外に投票するときは、自分はもちろんのこと、家族、親族の命も保障されません。棄権することさえ命懸けということになります。そんな覚悟をしてまで南の指導者を是とする者はいません。北の国民は、100%金正恩に投票することになります。南の国民の中にも、北の体制に同調する者が1割から2割程度いるでしょう。
 このことを前提として、投票結果を想定して見ましょう。2016年現在の韓国の人口は5,125万人、北朝鮮は2,537万人。双方20歳以上が有権者だとすると、有権者の割合はおおよそ8割とカウントしても大きな間違いではないでしょう。そうすると韓国の有権者数は約4,100万人。北朝鮮は、2,030万人。圧倒的に韓国側が有利です。
 それにも関わらず、北が勝利する可能性はあります。韓国側の投票率はよくても80%でしょう。ですから実際に投票するのは3,280万人。北は100%投票を見込むことができますから、基礎票は2,030万票です。

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 韓国は、一応、自由に投票できますから、1割から2割の有権者が北の指導者にに投票する可能性があります。仮に、有権者の2割、656万人が北を支援すれば、北が2,686万票。南が2,624万票となります。つまり、この段階で、得票率は逆転してしまうのです。韓国側の投票率が下がれば、この差はもっと開くことになります。民主主義の国家においては、国民の意見は多様ですから、統一に強く反発して、棄権を呼びかけたりする者も少なくないでしょう。ですから、南の投票率80%という想定ですら高過ぎるかもしれません。
 自由な投票によってさえ、北の指導者が勝利する可能性は十分にあるのです。それに最終結果が出て、仮に北の金正恩が負けたとしてら、「不正投票があった。投票をやり直せ」とか言って、結果を無視することは間違いありません。あるいは、「1票の格差」が1:2だから、北の1票は1.5票としてカウントせよと迫ることでしょう。
 なぜなら、北が、自由を尊重する民主主義国家に体制転換すれば、直ちに北の国民の敵意は金正恩に向うからです。国民を貧困のどん底に追い込み、ほんの些細な罪でも銃殺刑や強制労働に駆り立てられた恨みが噴出し、一気に金正恩に向うからです。ですから、国民投票など、本当は洟から無意味なのです。北の体制が維持できる場合にのみ、国民投票は尊重されるのです。

文在寅の望んだ結果

 このように、統一国家として北の体制の下で国家の再編がなされた場合、文在寅は内心ほくそ笑むのではないでしょうか。心情的にマルキストですから、共産主義国家であることに抵抗感がないからです。
 それどころか、労せずして、「核とミサイルを保有する統一国家」として、ロシア、中国の属国とならずに済む。今のまま、事実上、中国の属国となっているよりも、よほど居心地がよいと考えることでしょう。
 このような文在寅の本心は様々な場面で露見しています。9月21日、国連による制裁中の北朝鮮に対して、韓国政府は、国連児童基金(ユニセフ)や世界食糧計画(WFP)を通して北朝鮮に800万ドル(約8億9千万円)相当の人道支援を実施することを決定しました。これは、正にその典型例です。
 米国も、このような韓国の態度に基本的には愛想を尽かせている、と見て間違いありません。米韓合同軍事演習と言っても、スキルの高い米軍の装備の機密や重要な情報は、決して韓国に伝えることはありません。情報が北に筒抜けになる可能性が大きいからです。
 日本も、心情的には、すでに韓国からすっかり離れています。朝鮮半島有事に際して、在留邦人を救助するため、自衛隊の輸送船の入港を認めるよう韓国に要請しましたが、拒否されました。こんな国と協調して軍事行動などとれるはずがありません。

韓国の若者にモテモテの安倍総理

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 安倍総理はオリンピック開会式に出席するため、韓国を訪問しました。私は、個人的には反対でした。国家間で約束した慰安婦合意をいとも簡単に反故にするような態度をする韓国に、日本として強い意志を示すべきだと思うからです。多くの国民も同様の感情を持っていたはずです。
 多分、安倍総理もそのような日本国民の気持ちを理解していたはずです。総理は、慰安婦合意をめぐる日韓の合意は1ミリたりとも譲歩しない、との固い決意をもって韓国を訪問したはずです。ですから、当然、韓国では反日感情が渦巻いて、手荒い歓迎を受けるものと思っていました。
 ところが、実情はかなり違ったようです。SNSに登載された動画などを見ていると、韓国における安倍総理に対する個人的な人気はかなり高いようです。スーパースター並みというのは誇張だとしても、安倍総理が現地韓国の人達からも高い評価を得ていることが窺われます。SNS上には、「文在寅の畜生よりも、安倍の方がはるかに優れている」だの、「安倍が韓国の大統領だったらいいのになあ」といった書き込みが溢れているのです。
 日本人の私でも、安倍総理の国家観、行動、信念に敬意を抱いているほどですから、韓国人にもそれは分かるのではないでしょうか。長期政権になったことによって、韓国人にも、安倍総理の実像がかなり理解されるようになったということです。

▶▶▶【海外の反応】平昌五輪で安倍首相 大人気過ぎ。韓国人 まるでスーパースターだ!

オリンピック後の朝鮮半島

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 北朝鮮の「ほほえみ外交」の本質は、第一に、核・ミサイル開発のための時間稼ぎです。第二は、日米韓の連帯にくさびを打ち込むことです。第三は、南から直接の経済支援を引き出すことです。
 第二の目的は、北朝鮮がオリンピックに参加すると表明した時から、既に100%実現できました。また、第三の経済援助も、文在寅大統領が北を訪問するといっている位ですから、もはや時間の問題でしょう。
 第一の核・ミサイル開発のための時間稼ぎも、文在寅の北訪問の時期を調整するという口実の下、5月頃に予定しておき、何のかんのと理屈をつけて、7月頃まで引き延ばせば、核とミサイルの開発と量産体制は実現できるようになるでしょう。
 文在寅大統領は、内々このような北の意図を知っている筈です。その程度のことも分からない大バカ者ではないでしょう。知っていながら協力していく。これが文在寅大統領の意思です。
 それを見て、アメリカが実際にどのような行動に出てくるか、その一点に絞られてきます。私は、「血」を見ないまま、北の思惑通りに進むことはない、と見ているのですが、果たしてどうなるのでしょうか。
 北が正式に核を持つことになれば、対抗上、日本も持たざるを得ません。当然、反米国家イランも、北朝鮮から核技術の供与を受けるはずです。イランが持てば、サウジアラビアやイラク、シリアなどへ伝播していくことは火を見るよりも明らかです。これらの国に核が持ち込まれれば、テロ組織にもすぐにわたっていくでしょう。核の拡散です。そのような核兵器の溢れる国際社会を制御できるのか。今が正念場でもあるのです。(H30・2・12記)

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