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愛媛県提出の新文書は改ざんされたのではないか

愛媛県提出の新文書は改ざんされたのではないか

愛媛県が新文書を提出

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 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、5月21日、愛媛県が参議院予算委員会に新たな文書を提出しました。その文書によれば、安倍総理と加計孝太郎・学園理事長が獣医学部新設について語り合った、ということになっています。
 この点について、安倍総理も加計理事長もそのような事実はなかったと否定しています。両当事者が否定しているのに、なぜ面会したことになっているのか。誰が考えても不思議です。
 そもそも総理の動静は、逐一記録されています。大手日刊紙なら大体、「首相動静」(読売新聞の場合「安倍首相の一日」)といった欄で、日々の動きがつかめるようになっています。当然、2月25日の動静も記録されています。例えば、時事通信によれば、その日の動静は次のように記録されています。

時事通信による首相動静(2月25日)

午前7時48分、公邸発。同49分、官邸着。
午前7時50分から同8時13分まで、加藤勝信官房副長官。
午前8時52分、官邸発。同53分、国会着。同55分、衆院第1委員室へ。同9時、衆院予算委員会開会。
午後0時2分、衆院予算委休憩。同3分、同室を出て、同5分、国会発。同6分、官邸着。
午後0時54分、官邸発。同55分、国会着。同57分、衆院第1委員室へ。同1時、衆院予算委再開。
午後2時、衆院予算委を途中退席し、同3分、国会発。同5分、官邸着。
午後2時33分から同52分まで、米シンクタンク外交問題評議会のハース会長。
午後3時から同33分まで、毎日新聞のインタビュー。
午後4時9分から同43分まで、谷垣禎一自民党幹事長。
午後5時30分から同6時24分まで、戦後70年談話に関する有識者会議。同27分、官邸発。同28分、公邸着。各府省庁の副大臣と会食。菅義偉官房長官ら同席。
午後8時1分、公邸発。
午後8時18分、東京・富ケ谷の私邸着。
26日午前0時現在、私邸。来客なし。(2015/02/26-00:05)

 このスケジュールで分かるように、文字通り、分刻みでスケジュールをこなしています。この中で、加計理事長が2月25日、15分間総理と面会したというのです。しかも、その場で、加計理事長が獣医学部の構想を説明したところ、総理が「そういう新しい獣医大学の考え方はいいね」とコメントした、というのです。

秘密にする必要などなかった時期

 このように、一国の首相の動静、特に日本の首相の場合は、文字通りすべて衆人監視されているような状況に置かれています。しかも当日は、衆議院予算委員会開催中です。その中で、加計理事長がこの動静欄に載らないタイミングで密かに会うということは可能だったのでしょうか。また、それほど秘密裏に会う必要などあったのでしょうか。答えは、否です。なぜなら、2015年2月というタイミングでは、いわゆる「加計学園問題」など全く存在していなかったからです。会うことに何の問題もない時期であったのに、首相動静にすら登場しないような形で、こっそり会う必要など全くなかったのです。
 それにも関わらず会っていたというならば、それを主張する側が客観的な証拠で説明しなければなりません。警察が何の証拠もなしに、「お前は人を殺しただろう。殺していなければその証拠を示せ」と言っているようなものです。そんなことは、既に「悪魔の証明」として有名になったではありませんか。今また、悪魔の証明を強要しているマスコミ、本当にこの国の野党、マスコミは狂っているとしか言いようがありません。

首相動静に載った有本香氏の証言

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 ジャーナリストの有本香氏も「月刊Hanada」3月号で語っています。首相公邸でインタビューを行った時、インタビューを終わって退出する際、『公邸の庭を通って退出する際、われわれを追うように後ろからバタバタと走ってくる足音がした。振り返ると3人の若い男性がいて、そのうちの一人がやおら、「どこの社ですか?」と訊いてきた。』と述べています。
 一介のジャーナリストに過ぎない有本香氏との接触でさえ、首相動静欄に載るということです。つまり、首相の動静は、官邸であれ、公邸であれ、常に監視状態に置かれているのです。加計問題が生じていない時期であっても、加計理事長と総理が面会したというなら、首相動静欄に載らないのはおかしいということになります。
 テレビなどを見ていると、首相動静に表れない「密会」が日常的に行われているなんてことを言う人もいますが、前述の有本香氏の証言にもあるように、公邸でのインタビューでさえ、朝日新聞の記者が追いかけてきたというくらいですから、加計学園の理事長が出入りしたというなら、その動向が把握できない筈がありません。それでも密会していたと言い張るのなら、主張する側が具体的な証拠で証明すべきなのは当然のことです。

新文書は後日書き換えられた可能性大

 ところで、私がここで言いたいことは、面会の有無についてではありません。それは本筋の問題ではありません。問題の核心は、愛媛県が今頃になって出してきた「新文書」なるものの内容についてです。
 愛媛県が、5月21日、参議院に文書を提出しました。中村時広知事によれば、「県の担当者や関連の部署を調査し、職員の個人用ファイルなどから見つかったものを提出した」というものです。中村知事は、記者団に対し「愛媛県が文書を改ざんする必要はなく、ありのままの報告だ」と述べています。
 愛媛県が21日国会に提出した資料の中に、加計学園側からの報告として、平成27年2月25日に加計理事長が安倍総理大臣と会い、獣医学部の構想を説明したなどと記載されていたというのです。しかも、その文書の中に、安倍総理の言葉として「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とのコメントがあったというのです。

野党はやんやの大喜び

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 これに喜んだのは、野党です。国民民主党の玉木雄一郎代表など、舞い上がって、早速、5月21日のツイッターで、喜びを表現しました。『もう詰んだ。愛媛県作成の新たな文書で、総理のウソが明らかになった。2017年1月20日に初めて獣医学部を作りたいことを知ったと言うのは真っ赤なウソだ。少なくとも2015年2月25日に加計理事長と面談した時点で「新しい獣医大学の考えはいいね。」と言っているではないか。』と述べています。
 もう詰んだ、というのは、国民民主党なのではありませんか。合流前の4月時点での調査で希望の党は1.7%、民進党は1.1%の支持率でした。単純計算で2.8%あったのです。それが合流したら、1.1%になったのです。半分以下になったのです。こういうことを「もう詰んだ」と表現するのです。
 また、立憲民主党の枝野幸男党首も、『愛媛県文書は、「一部報道」や「怪文書」でなく客観的に記録されていることが前提の公文書。内容を否定するなら、反対尋問などで(虚偽であることの証明は不要ですが)合理的な疑いを生じさせる程度の反証が必要です。反証の機会を自ら否定するようでは、文書を信じるしかありません。』と述べています。
 この人は本当に弁護士資格をもっているのでしょうか。知事は、「県の担当者や関連の部署を調査し、職員の個人用ファイルなどから見つかったものを提出した」と言っているんです。公文書は職務上の権限を有する公務員が作成したものですが、だからといってそこに書かれている内容が証明力を持っているわけではありません。安倍総理も加計学園側もその日に会っていないと言っている以上、会っていることを証明するのは愛媛県側ということになります。

文書を点検してみる

 では、その新文書なるものの実物を見てみることにしましょう。安倍総理がいいねと言った部分は、下記の17ページの2①に記載されています。

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 この文書のゴシック体と表記した部分に、安倍総理の「いいねと言った」という記述がなされているのです。ところが、この文書、よく見ると、文章全体は普通の明朝体で表記しているのに、総理が「いいね」と言った部分だけが、字体がゴチック体になっているのです。その違いを、下の写真で見比べてください。

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 フォントや字体の違い、つまり、明朝体とゴチック体の違いは、うっかりすると見落としてしまいます。私も、最初、この明朝体とゴチック体の違いに気がつきませんでした。この写真は、この違いに気づいた方が、ネット上に提示してくれたものです。
 この写真で明らかなように、総理の発言の部分だけが意図的に書き換えられたか、又は書き加えられたと見ることができます。また、その後5行後に出てくる「政治的な動きは難しい旨を回答」という部分もゴチック体になっています。
 このことは、何を意味しているのでしょうか。一般に、文書を作成する場合、明朝体12ポ(ポは文字の大きさ)で書き始めた場合、特段の理由のない限り、同じ字体、大きさの文字で書き連ねます。
 もちろん、ここは特に強調すべきと思われる個所は、強調文字として、ゴチックにしたり大きな文字にしたりということはあります。しかし、この文書の作成された当時、いわゆる加計問題というのはマスコミにも一切出ていませんでした。特段強調する必要もなかったのです。強調するなら、普通に読めば見落としてしまうようなやり方でなく、アンダーラインを引くか、より大きな文字で特筆するなどの技法を用いるのが普通です。普通に見たら強調文字が分からない程度の変化しかつけない方が不思議というものです。

証人喚問するなら文書作成者こそ喚問すべき

 私は、この文書を見た時に直感したのは、これらの部分は、原文作成者以外の者が、意図的に書き換えたのではないかということです。余りにも不自然だからです。
 都道府県でも、職員は2~4年程度で異動します。国の場合は、平均で2年です。愛媛県の場合も、それほど大きな違いはないでしょう。だとすれば、この文書は、後任者に引き継がれたと考えるのが常識です。その後何代か後の後任者が数代前の前任者の文書を見て、意図的にか、文書を書き換えた可能性が高いと思われます。
 なぜなら、これらの文書は、公文書として対外発信されたものではなく、あくまでも職員の「個人用ファイル」として位置づけされているものだからです。そのレベルの文書は、書き換えることが容易です。政府の方針に反発する意図をもった人間なら、その程度の修文は朝飯前のことです。聞かれたら、「私は知りません」で通用するはずです。
 修文した人物は、多分、明朝体とゴチック体の区分すら意識せずに、修文したのではないでしょうか。この修文作業の時に、「政治的な動きは難しい旨を回答」の部分も修正または付加したのです。
 ですから、あくまで真相を究明するというなら、愛媛県の担当者、つまり当該個人ファイルを作成した当時の担当者と現在文書を保管している職員を、まず証人として喚問するのが筋ということになります。
 野党は真相究明に拘る以上、それを要求するのが本筋なのではありませんか。そうすれば、この文書の真偽がおのずから明らかになるはずです。それにしても「伝聞の伝聞」なんていう文書、しかも職員の「個人ファイル」のレベルの文書を国会で、さも大問題であるかのように大騒ぎする今の国会。これこそが日本の抱える、大きな病根なのではありませんか。(H30・5・24記)

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