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沖縄知事選、今度こそ不毛の対立から脱却を

沖縄知事選、今度こそ不毛の対立から脱却を

注目される沖縄県知事選

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 沖縄の県知事選挙、いよいよ9月30日に投開票となります。今度の選挙ほど、その結果が注目される選挙はないでしょう。というのも、これまでの翁長県政は、普天間基地移設をめぐり、常に国との政治闘争に明け暮れた日々だったからです。
 私の感想を言えば、とにかく「翁長県政はひどかった」の一語に尽きます。明けても暮れても国との対決ばかり。前任の仲井真知事は、辺野古移設に関し、「審査の結果、現段階で取り得ると考えられる環境保全の措置などが講じられており、基準に適合していると判断し、承認することとした」と承認の通知をしたにも関わらず、後任の翁長知事はいとも簡単に、これを葬り去ったのです。
 行政には、継続性が重要です。既になされた行政行為が、トップが変わったとたんにひっくり返されたのでは、住民は堪ったものではありません。
 翁長知事は、この基本原則を承知していたため、一応「承認取り消し」という荒業を実行したのでしょう。その後、その取り消しの違法性をめぐって最高裁まで争われ、最終的には、国が勝訴しました。つまり、仲井真元知事の行った辺野古移設の承認手続きは、合法であり、翁長前知事の行なった承認撤回は法的にも否定されたのです。
 翁長前知事は、「最高裁の判断が出たなら、それに従う」と言明していたにもかかわらず、決してこれに従おうとはしませんでした。

翁長知事は元来普天間移設促進派だった

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 そもそもこの翁長前知事は、元自民党議員であり、普天間飛行場の移転に関し、その促進を要望していた、という事実を沖縄県民はどのくらいご存じでしょうか。翁長前知事は、1999年10月、県議会で「普天間基地県内移設可決」を推進していたキーマンだったのです。彼は、この時に次のように発言しています。

翁長前知事が自民党員だった頃に行った発言
 私たちがなにゆえにこの県内移設を早期にやらなきゃならぬのかという見地に立ったのは、県全体の立場にたっての危険性の軽減であります。

 その移転促進の中心人物が、反自民の旗のもと、知事候補として推挙されると、180度意見を変え、移設反対に転換してしまったのです。しかも、この推挙は、中国総領事が沖縄在住の華僑を糾合し、翁長前知事に働きかけた結果、実現したものだったのです。この間の事情について、裏情報に詳しい独立総合研究所代表(当時:現在は参議院議員)の青山繁晴氏は、次のように解説しています。

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青山繁晴氏の解説

 沖縄知事選に際して、福岡にある中国総領事が沖縄に飛び、華僑を集め、誰か中国に都合のよい知事候補がいないかと物色をしていた。その時、偶々、地元那覇市長である翁長雄志は不平不満の塊で、「なぜ俺が国会議員になれないのか」と、不満を募らせている、ということが分かった。
 そこで、自民党員である翁長市長に働きかけ、「知事にしてやる。そして李克強首相にも面会させてやる。その席で沖縄と福州市の定期航空便の開設も約束してやる。」という餌でもちかけたんです。
 私は、インテリジェンスの世界で、その情報はきちんと掴んでおり、裏もとっている。華僑の中には、日本が大好きな人間もおり、そういうチャンネルから情報を得ているので間違いはない。(筆者要約)

 このように、本来は移設推進派であるはずの翁長前知事は、目の前に知事職というニンジンをぶら下げられると、元来の主張をいとも簡単に変え恬として恥じない、そういう人物だったということができます。
 しかも、翁長前知事は、わざわざ国連人種差別撤廃委員会に出かけて行き、「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」、「沖縄の人々の人権がないがしろにされている」だの、沖縄の住民を先住民と位置づけ、「日本の一部になった後、独自の言語を禁止された」だのと、言いたい放題の発言を繰り返してきたのです。私には、到底まともな神経の持ち主とは思えませんでした。気がふれたのではないか、とさえ思いました。これらの発言は、すべて中国や韓国が喜びそうな発言ばかりだったからです。
 中国や韓国が喜ぶと言えば、米軍の軍人や軍属の犯罪や事故には、条件反射的に怒りを露わにしていました。その一方、中国船の尖閣列島における領海侵犯などについては、一度も文句を言ったことはありませんでした。そういう時の言い訳は「いち自治体の長が触れる問題ではない」というものでした。機関砲などを搭載した他国の公船が、沖縄県に属する島に不法な侵犯行為を繰り返しているというのに、地元知事が「いち自治体の長の問題ではない」というのは、どういう了見なのでしょう。
 それならば、普天間基地の移設問題についても、同様の反応を示してこそ、首尾一貫するというものです。米軍基地の移設問題は、日本国にとって最重要な国防問題であり、地方自治の問題ではないからです。

不毛の対立を続けるのか

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 亡くなった人の行為をあげつらっても仕方がありません。翁長前知事の後継を任ずる玉城デニー候補とは、どのような人物なのか、私には分かりません。ラジオパーソナリティ出身だけあって、しゃべりは抜群とのことです。
 彼の政策は、新聞情報程度しか分かりません。読売新聞に載った玉城候補と佐喜真候補の主張をザッと読んでみました。教育・子育て、離島振興、財源、普天間返還、辺野古移設、跡地利用などです。佐喜真候補は、さすが普天間基地を抱える前宜野湾市長であっただけに、政策に現実味があります。基本的姿勢として、「沖縄の未来を考えると今の県政を変えないといけない。対立、争い、分断からは建設的なものは生まれない。本来の沖縄らしい「和」を取り戻す。県民の暮らしを最優先する。」と述べています。
 私も、沖縄における泥沼のような不毛の対立にうんざりしていたので、今回の選挙によって、不毛の対立から脱却していただきたいものと思っています。
 玉城デニー候補の主張を読むと、「翁長前知事の主張を真摯に受け止めるべきだ」とか「辺野古埋め立て承認撤回を問いたい」など、またまた翁長時代の不毛の対立を連想するような主張が並んでいます。翁長前知事はもう亡くなったんです。玉城候補は、またまた不毛の対立を継続するつもりなのでしょうか。
 国は、これまでの流れからして、世界一危険とされる普天間基地を移設する方針にいささかも揺るぎはありません。あくまでもこれを阻止するとすれば、不毛の対立はこれからも延々と続くしかありません。沖縄の住民は、本当にそれを望んでいるのでしょうか。

周辺国は強盗と火事場泥棒のごとき国ばかり

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 玉城デニー候補は、国の防衛問題についてどのように考えているのでしょうか。世界がすべて平和を愛する国ばかりであるならば、国防という概念は必要ありません。しかし、現実は、日本の隣り合う国は、中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど、一歩手綱を緩めれば、我が国の領土に土足で踏み込んできかねない無遠慮で厚かましい国ばかりです。
 ロシアは、日本固有の領土である北方4島を、戦後、日本が武装解除した後、日ソ中立条約を一方的に破棄し、侵略してきたのです。そして戦後70年以上を経ても返還する意図は示していません。北朝鮮は、日本人男女を多数拉致し、その返還に応じないだけでなく、核とミサイルの開発に専念し、日本列島を跨いでミサイルを発射するなど、軍事的脅しをもって日本と相対しています。韓国は、共に同じ日本国として太平洋戦争を戦ったのに、戦後は一転して、自分たちは戦勝国であるかのごとき振る舞いをし、戦後、日本が占領下にある間に、竹島を一方的に占領しました。火事場泥棒とはこういうことを言うのです。そのうえ、ありもしない慰安婦問題などで、世界中に告げ口して歩いた女性大統領さえいました。
 更に、中国は、同国を攻撃しようとする国などないというのに、毎年、10%以上国防費を増額し、急速に軍事力を拡大し、周辺諸国に覇権を拡大すべく威圧する一方、日本や台湾を侵略すべく、虎視眈々と狙っています。尖閣列島に対する侵略の意図は明白で、自国領であるとさえ主張しています。中国共産党に領土を侵略されたチベットやウイグル、モンゴルなどの人民の悲劇はようやくその実態が明らかになりつつあります。
 このように、国際社会というのは、隙あらば侵略しようという獰猛な野獣達で満ち溢れているのです。

国防は国の最重要課題

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 そういう世界情勢の中で、自分の国を自分達で守るのは、国民の当然の義務ではありませんか。ヤクザやチンピラ、狂犬が家の周りをうろついていたら、戸締りを厳重にし、警戒を怠らないというのは当然のことです。戸締りを厳重にしたら、相手を怒らせるだけだ、などという論理、私には全く理解できません。
 翁長前知事は、沖縄にばかり基地負担を押し付けていると言っていましたが、それは、現在の最大の危機が中国と想定せざるを得ないからです。 
 嘗て、自衛隊は、北海道を中心に展開していました。旧ソ連の脅威があったからです。しかし、現在は、ロシアからの脅威は、相対的に減少しつつあります。米ソ冷戦が終結し、ソ連という社会主義国から、一応、形の上では自由な選挙も行われる民主主義国に政治体制が変わったからです。一般的に言えば、民主主義国というのは、戦争のしにくい政治体制です。
 他方、中国はそういう体制ではありません。共産党一党独裁、1人の独裁者が権力を握る典型的な覇権主義国家です。言論の自由の認められない閉鎖国家である中国という大国に対して、日本がどのように国を守っていくか。ということを真面目に考えれば、地政学的にどうしても南西方面に防衛力を集中せざるを得ないのは、やむを得ないということになります。
 もちろん本土側の住民もそれでよし、としているわけではありません。経済援助など、応分の負担をすべきは当然です。使途を定めない一括交付金などは、その一環です。観光でも本土の住民は協力している筈です。埼玉在住の私も、来年、石垣島への観光を予定しています。本土の住民は、基地負担の代償として、沖縄経済が発展し、住民生活が着実に向上することを心から願っているのです。沖縄を、チベットやウイグルのようにしてはならないのです。

生活向上に重点置くべき

 国防のほかに重要なテーマは、何と言っても県民生活の向上です。2015年度の1人当たり県民所得は、全国平均の319万円より100万円以上も低い216万6千円なのです。子供の貧困問題や高い離婚率など、沖縄が抱える様々な問題の根っこに、県民所得の低さがあると言っても過言ではありません。
 明けても暮れても、国と対立しいがみ合いを続ける県政であってはならないのです。無用の政治的混乱はこれを機に止め、一日も早く、自律的な経済発展が可能となるよう、沖縄県民も、本土の我々も力を合わせて努力していこうではありませんか。
 私たちは、9月30日の知事選挙を固唾を飲んで見守っています。沖縄の人達の良識ある判断を心から期待しています。(H30・9・25記) 

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