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日中間の通貨スワップ協定には断固反対です

日中間の通貨スワップ協定には断固反対です

中国の覇権主義的動きは歴然

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 安倍総理は、10月25日、中国を訪問し、習近平主席と首脳会談を行いました。その席で、日中間で人民元を互いに融通し合う「通貨交換(スワップ)協定」の再開を合意するとの報道がありました。融通額は3兆円規模に上る見通しとのことです。この合意によって、両国の関係改善を印象付けたい考えのようです。
 このニュースを聞いて、どれほどの国民が、納得感が得られたでしょうか。私は、「何を言ってるんだ。今、中国はアメリカから仕掛けられた経済戦争によって、窮地に追い込まれている。だからこそ、日本に救済を求めているだけじゃないか。それなのに何で日本が救済しなければいけないのか。」と素直に思いました。NHK番組に登場するチコちゃん風に言わせれば、「ボーッと生きてんじゃねえよ」と言いたいほどの怒りを感じます。
 そもそもアメリカが中国に対して、経済戦争を仕掛けている理由は明らかです。中国は著しい経済発展を背景に、毎年、軍事費を10%以上増大してきました。そしてその軍事力を背景に、近隣諸国はもちろんのこと、一帯一路構想を梃子として、中東、アフリカ方面にも軍事的な触手を伸ばしつつあります。オバマ政権時には、「太平洋を二分して、中国とアメリカで互いに支配するに足る十分な広さがある」などと宣いました。
 特に、南シナ海においては、南シナ海全体に「赤い舌」と言われる勝手な線(九段線)を引き、古来からの領土であると宣言し、人工島まで構築し始めました。その人工島について習近平は、当初、オバマ大統領に対して、「軍事基地化しない」と約束していたのに、その舌の根も乾かないうちに、対艦ミサイルを設置し、爆撃機も配備しました。人工島に関し、フィリッピンが国際司法裁判所に申し立てた裁判の判決にも「紙屑だ」と切り捨てたことは記憶に新しいところです。
 東シナ海においても、日中中間線付近におけるガス田開発は共同で行うとの合意を無視し、多くの掘削井を一方的に設置しました。しかもその掘削井には、レーダーさえも設置するなど、軍事転用の意図が明確になっています。
 尖閣諸島にも、ほぼ連日のように、中国海警局の「軍艦」が来船し、接続水域はおろか、領海侵犯まで繰り返しています。当然、日本は抗議を繰り返していますが、全く何の効果もありません。日本を完全になめ切っているのです。

アメリカの対中経済戦争は当然

 中国が、このような無法な振る舞いを行うことを可能にしている理由は何か。それは、世界第二位となった経済力と、それを背景にした軍事力にほかなりません。中国が自由と人権を尊重する民主主義国家であるならば、これほどの無法な振る舞いをすることはないでしょう。しかし、現実の中国は、一党独裁の共産主義国家です。国家の上に共産党が君臨する異質な国家体制です。その共産党の主席が、永年独裁体制を敷いた習近平です。
 この異常ともいえる国家体制の中国が、軍事力を背景に覇権主義を剥き出しにしているのです。世界の盟主アメリカが、この覇権主義国家中国の封じ込めを図ろうとするのは当然のことです。
 良識を欠いた独裁国家を崩壊させるには、軍事力を行使するか、経済力を使うか、二者択一です。民主主義国家であるアメリカは、国民の命を粗末にすることはできません。軍事力の行使は、双方に多くの人的損害を生じるだけでなく、経済も大きく毀損します。よって、国の経済力を削ぐ、という方法が最初にとられます。
 今、アメリは、トランプという実行力・行動力抜群の大統領が登場し、真剣に中国封じ込めを開始したのです。オバマ政権時の「戦略的忍耐」などという絵空事が通用する国でないことを知り抜いているのです。トランプ政権は、この一点に集中しているのです。そのため、本当は、本筋でない北朝鮮問題など、早期に決着させたいのです。ロシアとは融和的ムードを醸し出しているのは、二正面作戦は取れないからです。
 この政策の方向性は、極めて的を得たものです。ソ連邦崩壊の実例に見るように、軍事力を鼓舞する国家を消滅させるには、経済力を削ぐことが極めて有効です。剥き出しの覇権主義国家中国を、崩壊に追い込むには、強力な経済制裁により、徹底的に締め上げるのが最良の方策なのです。

見当違いの日本の融和的姿勢

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 このような観点から考えると、今の日本は、全面的にアメリカと協調体制を敷くべきは、当然のことです。池に落ちた犬は、一緒に叩かなければならないのです。それなのに、今の安倍政権は、真反対の行動、すなわち融和的動きをしているようにしか見えません。具体的には、次のような行動です。
①日中間で人民元を互いに融通し合う「通貨交換(スワップ)協定」の再開を合意する見通しであること
②安倍総理の訪中に合わせ、日本側から金融機関や商社幹部ら500人以上の大規模訪中団も同行する予定であること
③訪中時に、国際協力銀行と中国国家開発銀行が第三国での開発に協調融資を行うことについての覚書を結ぶ予定であること
④訪中時に、日中第三国市場協力事業の一環として、タイ東部の経済特区での情報通信技術(ICT)を導入したスマートシティ建設の覚書に署名すること

 このように、安倍政権は、あたかも覇権国家中国の窮状を救済するかのような動きを示しているのです。とんでもないことです。これら融和的な動きをするなら、中国の「覇権主義的行動」を全面的、且つ即時に停止することが前提にならなければなりません。
 海上保安庁によると、今年に入って、中国の公船(軍艦)による尖閣周辺の領海侵入は18件(10月21日現在)に及んでいます。毎回、日本側は抗議していますが、中国は全く意に介しません。接続水域への侵入は、ほぼ連日といってもよい状況にあります。
 また、尖閣諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)に中国が観測用ブイを設置し、日本側が抗議したばかりです。領空侵犯の恐れがある中国航空機への自衛隊の今年度上半期の緊急発進(スクランブル)は、前年度同期比58回増の348回にものぼっています。
 安倍総理が自国の靖国神社に真榊を奉納しただけで、「断固反対」と内政干渉を行ってきました。しかも、この国は、自国内のチベット民族やウイグル民族に対して、苛烈な弾圧を行っていることは周知の事実です。

今こそ日本の主張を通せ

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 このような国に対して、日本は、なぜ融和的な対応をとらなければならないのでしょうか。しかも、これらの融和的な姿勢は、トランプ政権の意図、すなわち「中国封じ込め」に明らかに反する行為です。
 現在の中国は、アメリカの経済制裁によって、経済崩壊も危惧される状態にあると言われています。資産価値の下落により、企業や個人が保有資産を投げ売りするが、それでも借金返済ができない状態、すなわちミンスキーモーメントと言われる状態が近づいている、とも言われています。本当にその状態になれば、短期間に経済崩壊に至りますが、社会主義国家ですから、体制維持のため、必死で支えている状態と言うこともできるでしょう。
 このような迷惑な覇権主義国家は、衰退し崩壊することこそ、日本の慶事と歓迎すべきことです。それなのに、日本に擦り寄ってきたからといって、これを支えようとさえ見られる安倍政権の対応は、一国民として全く理解できません。
 日本としては、支援の手を差し伸べる前に、①尖閣諸島周辺における不当な侵略行為を即時停止すること、②日中中間線付近におけるガス田開発井を即時撤去すること、③南シナ海の人工島における軍事基地化を即時停止すること、④靖国神社参拝に対する内政干渉を止めること、⑤東日本大震災以降続いている日本産農産物の輸入制限を解除すること、⑥チベット、ウイグル民族に対する弾圧を止めること、最低限この程度の要求は行うべきです。
 これらの要求が受け入れられないなら、日本からの援助・協力は一切行うべきではありません。もちろん、通貨スワップ協定など論外です。なぜなら、非常時に相互に通貨の交換を行う通貨スワップ協定など、中国側に利があるだけで、日本側には全く利がないからです。
 現在まで、日本側がこれらの要求を行なったとする形跡は全くありません。いつものように、猫なで声を出して中国がすり寄ってくると、すぐに協調的な姿勢をとる。この日本という国、いつからこのように国家として信念のない腑抜け国家になり下がってしまったのでしょうか。(H30・10・26記) 

▶▶▶ペンス米副大統領の対中方針演説(ノーカット版)

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