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「日本国紀」を日本史の教科書にしたい

「日本国紀」を日本史の教科書にしたい

歴史に学ぶことが多い

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 作家百田尚樹氏の著書、「日本国紀」を読みました。ハードカバーで500ページを超える分厚い本ですが、読みごたえがありました。数日かけて読みましたが、読んでいて、日本はこんなに素晴らしい国だったのか、こんなに素晴らしい先人たちがいたのか、と驚きの連続でもありました。
昔、中学、高校の頃に学んだ歴史の教科書は、無味乾燥で、暗記物という印象しか残っていません。特に、近現代の部分は、入試に出ないということもあり、ほとんど学ぶ機会さえありませんでした。
 この日本国紀は、幕末から明治維新以降についても存分に語られており、新鮮な感覚で読むことができました。著者は淡々と史実を述べながら、率直な感想も織り交ぜています。この個人的感想も、読むものをして共感させるに十分な説得力があります。著者は、歴史は、単なる「年表の解説本」であってはいけない、と言います。歴史に客観性を持たせることは不可能であり、主観が入らざるを得ず、それが歴史というものだ、と主張します。それだからこそ、私たち読者からすると、読んでいてワクワクしたり勇気づけられたりするのかもしれません。
 例えば、幕末から開国に至る国内情勢について、著者は、次のように記述しています。

 私は、日本人は世界のどの国の国民にも劣らない優秀な国民だと思っている。これまで述べてきたように、文化、モラル、芸術、政治と、どの分野でもきわめて高いレベルの民族であり、国家であると確信している。しかし、幕末における幕閣の政治レベルと国際感覚の低さだけは、悔しいながらも認めざるを得ない。
世界情勢に背を向けて、ひたすら一国平和主義を唱え、そこに日本人特有の「言霊主義」が混ざり合った結果、このようなぶざまな事態になってしまったのだ。

 この記述は、日本がアメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスと結んだいわゆる「安政の五ヶ国条約」とよばれる不平等条約について、記述した部分です。外国に領事裁判権を認めたり、関税自主権がないなど、極めて不平等な条約だったのです。文字通り、平和ボケした当時の日本人が世界の現実を受け入れることができず、このような不平等条約を結んでしまったことを評したのです。日本は、この不平等条約を是正するため、大変な苦労をすることになります。最終的に関税自主権を回復するまでに53年もの歳月を要したのです。

縦割りの弊害は日本の伝統か

 更に日本は、大東亜戦争時にもこの愚かな失敗を繰り返しています。例えば、戦時における陸軍と海軍の対立です。日本がこの戦争に踏み込んでいったのは、アメリカから石油の輸出を停められるなど、エネルギー源を絶たれたことが主因でした。宣戦布告をしなかった日本は卑怯だ、なんて言って米国民を鼓舞していますが、当時は、宣戦布告なんてこと自体ほとんどなかったのです。
 日本は、陸軍がインドネシアの石油施設を多く確保しました。が、陸軍はその石油を海軍に渡さなかったのです。陸軍は海軍ほど石油を使わないにもかかわらずです。なぜそのようなバカなことが起こったのか。陸軍と海軍の対立がひどかったからです。見るに見かねた陸軍の士官が海軍に石油を回したところ、この士官は軍から厳しい叱責を受けたというんですね。これでは勝てる戦争も勝てるわけがありません。これは、正しく、現在の縦割り行政の弊害にも脈々とつながっています。省益あって国益なしの島国根性の典型です。
 このような弊害は、阪神淡路大震災時にも見られました。猛火に包まれた阪神淡路市街の消火に駆けつけた島根や鳥取の消防車のホースが、連結部の規格(サイズ)の違いから接続できなかったのです。そんなもの全国統一の規格で作っておくなんて常識だし、消防庁の基本的業務だと思いますが、それすらできていなかったのです。
 先人たちは、国際社会に未経験でしたからやむを得ないとして、現在の縦割り行政の弊害を見ていると、戦後70年以上経過しても、まだ日本人の島国根性や巨視的な視点が乏しい、という欠点が克服されていないことを痛感させられます。

安保反対にも見られる近視眼

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 日本国紀では、安保反対闘争についても詳しく語られています。日米安保条約は昭和35年に改訂され、これによりアメリカは有事の際に日本を防衛するという義務が生じ、さらに今後は日本の土地に自由に基地を作ることができなくなったのです。更に、日本国内に内乱が生じた時にアメリカ軍が出動できるという内乱条項も撤廃されました。
 つまり、日本にとって良いことづくめだったのです。しかし、この当時、多くの大学教授や知識人、マスメディアは大反対し、大衆も国会に押し寄せ、十重二十重に取り、内乱状態に比すべき状況にありました。その数33万人にも達したのです。当時、私は高校生でしたが、デモ隊が警官隊と衝突する様を新聞報道などで見ており、安保反対の立場でした。ですから、衝突により、東大生だった樺美智子さんが亡くなった時には、政府に対し強い怒りも感じました。
 今、冷静にこの安保闘争を振り返れば、安保改定により、日本は世界一強力な軍隊を持つアメリカに守られることになったわけですから、本当は慶賀すべきことだったのです。しかし、前述したように、当時の知識人、マスコミは、反対一色だったのです。メディアは、新聞と急速に普及し始めたテレビに限られ、特に、新聞の持つ影響力は絶大でした。これらメディアは、安保反対一色だったのです。
 今は、インターネットなどにより、常に反対意見も見聞できる環境になったので、世論が極端に一方向に流れなくなったのは、安全装置として素晴らしい時代になったと思いますが、当時はそうではなかったのです。なにせ中国の文化大革命でさえ、朝日新聞の礼賛記事により、「おお、すごいな」なんて思えた時代だったのです。

誇りと感動、勇気がもらえる

 この「日本国紀」を読み終わって感じたことは、日本人としての「誇り・勇気」がもてる、素晴らしい著作である、ということでした。著者の個人的感想も随所にありますが、決して歴史を曲げた独善的なものではなく、日本人として十分に共感のもてるものばかりです。時代を遡り、自分に幼い子供がいたとしたなら、是非ともこういう教科書で歴史の授業を受けてほしいと思います。
 随所にちりばめられた「コラム」欄も素晴らしい。歴史の中に埋もれた人材がこれほど沢山いたのか、というのが率直な感想です。歴史の中に埋没した偉人たちが、目の前に生き生きと蘇ったように感じられる筆致は、さすが当代一流のストリーテラーの技と感心するばかりです。従来の教科書では全く評価されていない人物にもスポットを当て、客観的、大局的に見れば、評価に値するという視点も、十分に納得感があります。著者の筆力により、名誉回復されたのです。新鮮であると同時に、率直に嬉しく思いました。歴史は一面からのみ見るのではなく、複眼的に見る必要があるからです。
 本書は、虎の門ニュースなどでおなじみの有本香さんが編集者として全面的に協力しています。出版に至るまでの苦労など、裏話は、「月刊Hanada1月号」に著者と有本香氏の対談「日本国紀を語り尽くす」に掲載されていますので、是非そちらもご覧ください。
 それにしても、発売前から30万部、40万部の予約が殺到したというんですから、すごいです。今の時代に、400ページを超えるハードカバーの書籍が初版本だけで40万部も売れる。日本人は、「本当の歴史書」を渇望していたということかもしれません。まだまだ日本人も捨てたものではありませんね。
 すべての国民が日本に誇りをもてる国にするためにも、是非、本書を日本史の教科書、それが無理ならせめて副読本としてでも採用されることを願ってやみません。(H30・12・12記)

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