時事寸評 書評コーナー

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成長力を高めることが今年の最重要課題です

成長力を高めることが今年の最重要課題です

波乱を秘めた周辺国の動き

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 新しい年、2019年が明けました。後期高齢者ともなると、嬉しさはなく、あと何回正月を迎えられるだろうか、生きているうちに身の回りのものをできるだけ処分しておかねば、などと陰気臭い考えの方が勝るものです。
 それはともかく、高齢になっても、この国の行く末については、老婆心ながら思いを致さなければならないと思っています。これからを生きていく子や孫の若い世代のため、今後、日本はどうあるべきかについて考える必要があると考えているのです。
 そういう視点から、年明けのニュースを見ていると、今年も世界は騒がしい年になりそうです。米中貿易戦争は、今年も熾烈を極めることは間違いありません。習近平は政権の座から引きずり降ろされる可能性はあります。が、その時は、彼の命はほぼ絶望的です。「ハエも虎も叩く」という掛け声の下、庶民からも高級官僚からも嫌われてしまったからです。ですから、必死になって、自己保身のため主席の座を守ろうとするでしょう。そのためには、国民の不満を外に向けるため、台湾進攻や尖閣奪取の危険な賭けに出る可能性も否定できません。
 韓国の文在寅政権も、このままでは経済的に立ち行かなくなるのは必定です。左翼的思考に取りつかれ、余りにも国際感覚が乏しすぎます。慰安婦問題、募集工問題、レーダー照射問題などに見られるように、まともな政策は何もなく、虚偽、捏造の世界に浸っています。そのうえで、ひたすら北との統一を熱望し、金正恩の歓心を買うことにのみ、全神経を集中させているように見えます。そこには、国民を豊かにしようという為政者としての責務は微塵も感じられません。トランプ大統領も、すでにこのような文在寅政権に愛想をつかし、在韓米軍の引き上げを命ずる可能性はかなり大きいと思います。既に、一部の兵や軍の機能を三沢など、日本の米軍基地に移しつつあります。
 北のエリンギ将軍も、核を手放すポーズはとっていますが、トランプ後を睨んで引き延ばしを図っていることは間違いありません。その間のつなぎとして、必要以上に中国に擦り寄っています。このような金正恩の態度を見て、トランプ大統領はどう出るのか。軍事攻撃に出るか、なお一層経済的制裁によって締め上げるかの選択の二者択一でしょう。軍事攻撃に出る場合には、中国への経済制裁を緩める代わりに、軍事攻撃を黙認するといった裏取引が前提になります。弱り目に祟り目の習政権なら、可能性はあります。
 北方領土問題も、安倍政権の任期中に解決しておかなければならない、重要テーマです。他の政権では無理です。今夏に参議院選を控えていますから、きちんとした目途をつけなければ、自民党は敗北の可能性もあります。地政学的視点からみれば、ロシアとの平和条約締結は重要です。経済的に減速傾向にあるとはいえ、中国からの脅威は依然として強いものがあるからです。

読売の社説にがっかり

 さて、国内に目を転じ、日本経済はこれからどうなっていくのでしょうか。中国経済の減速、それにつられる形での韓国経済の落ち込み、イギリスのEUからの離脱に伴う政治的・経済的混乱、ドイツ経済の落ち込み、イランとアメリカの対立をはじめとする中東の混乱、といった不安定要因により、日本経済は低迷するとの予測が大勢を占めています。
 これを受け、読売新聞は、2日連続の社説で「先送りの政治に終止符を打て」「成長力高め安定軌道に乗せよ」と題する啓蒙記事を掲載しました。

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 しかし、この社説をよく読むと、経済を成長させるためには、①人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを着実に進める必要がある、②消費税率を10%に引き上げることが財政再建を目指すうえで重要な一歩となる、と言った内容のものでした。そして、とどのつまり、「日本の長期債務は1100兆円と、GDPの2倍になる。主要国で最悪の水準だ。社会保障制度の改革や予算の重点化など、財政健全化の手を緩めてはならない」と締めくくっているのです。
 私は、この社説を読み、心底ガッカリしました。これでは財務省の主張そのものではありませんか。財務省の小役人に書かせたかのような振り付けなのです。つまり、「日本は未曽有の財政危機にある」、そのためには「消費税を引き上げ、財政再建を図らなければならない」ということです。
 そもそも日本は財政危機の状態にある、という認識が間違っています。財政問題とは国のお金の出入りが健全かどうかということです。財政の健全性は、何をもって判断するのでしょうか。それは最終的に「国の貸借対照表」によって判断する以外にありません。貸借対照表こそが、一番正しく、財務状況の健全性を判断できる指標だからです。だからこそ国は法律で、企業はもちろんのこと、NPO法人のような弱小の組織でさえ、貸借対照表を作ることを義務付けているのです。一般の家庭では、わざわざバランスシートなど作りませんが、それは、お金の出入りがそれほど大きくないし、役所が家庭内にまで踏み込む必要もないからです。
 当然ですが、企業は、必ずバランスシートを作ります。第三者、特に投資家が企業の財務状況を判断する場合の尺度になるからです。巨額のお金の出入りが伴う国においては、なおさらです。バランスシートがなければ、その国を財政面で正しく評価することなどできません。ところが、わが日本国では、大蔵省の時代から、国民に対してバランスシートをはっきり示そうとしませんでした。これを示すと、財務省のウソ、つまり財政危機がウソだということがバレてしまうからです。財務省OBの高橋洋一氏が明かしたところによれば、在職中に同氏がこれを作りました。が、逆に、国の財政が健全であることが明らかになってしまったため、お蔵入りになってしまったというのです。しかし、現在では目立たない形で、財務省のホームページに公表されています。

バランスシートの右側だけ言う財務省の悪辣さ

 財務省は、国の財務内容を言う場合、常に、バランスシートの右側、つまり「負債の部」のことだけしか言いません。それで国民を騙せると思っているからです。財務省は、自ら自由に使えるお金の量が多ければ多いほど良い、という体質の役所ですから、その気持ちは理解できます。しかし、そのレベルで国民を騙せると思う、その感覚が余りにもお粗末です。
 問題なのは、このお粗末な説明に、多くのマスコミが同調してしまうことです。どうして新聞もテレビも、オウムじゃあるまいに財務省と同じセリフを言わなければならないのでしょうか。一般の民間企業でさえ、バランスシートによって、財務の健全性を判断しているというのに、どうして、国になると、バランスシートの右側(負債の部)だけを言うのでしょうか。全く理解困難です。
 前にも示した図ですが、ここで改めて高橋洋一嘉悦大学教授が、自分で作成した国のバランスシートを示します。

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 ここで「徴税権」というのは、毎年の税収を資産として評価した場合、いくらに評価されるか、という金額です。国の税収は、単年度の収入だけでなく、毎年、この程度の税収を見込めます。その税収の権利(=徴税権)を第三者が買うことができるとした場合、いくらと評価されるか、というものです。
 民間企業でも、企業買収に当たっては買収対象となる企業の資産評価を行います。例えば、マクドナルドを買収する場合、売上高、経常利益、純利益、一株当たり利益などを見、併せて「マクドナルド」というブランド(=商標)を評価し、総合評価としていくらでなら買収可能かを判断します。
 国の場合、毎年徴収される税収は大変な資産価値を持っています。しかも、この資産、憲法で徴税権が保証され、納税は国民の義務とされているんです。資産価値が高いのは当然です。
 高橋教授は、通常、この資産価値の倍率を10倍から15倍と評価するのが普通だと言います。これを国の税収に当てはめてみると、毎年の税収(一般会計予算)は約65兆円ですから、徴税権評価額は650兆円から970兆円ということになります。高橋教授の示した750兆円は、税収の約11倍相当ですから、極めて低めに評価したということになります。要するに、国のバランスシートは、決して悪くないのです。
 「日本経済は破たんする」と言われてから、既に20年くらいは経っています。私も嘗ては、財政破たん論の立場に立つ本を何冊か読んだことがあります。その当時は、「これは大変だ」だと思いましたが、以来、20年以上経過しても、一向に破たんする気配はありません。それどころか、金利は高騰せず、円も暴落どころか、円高方向に張り付いています。破綻を前提とするなら、金利は高騰し、円も円安に振れなければなりません。この経済の常識が通用しない状態が20年も続いているなら、誰だって、「これは何かが変だ」と思うのは当然です。
 この当然の疑問に、財務省や日経新聞など、マスコミは全く答えていません。それどころか、前述したように、相も変わらず、「増税しなければ日本の財政は破たんする」、と言い続けているのです。
 私たち国民は、財務省やマスコミの解説は、何かが間違っている。そうでないとするなら、間違いを知りながら、意図的にウソの情報を流し続けている。そう考えるのは、極めて真っ当な理解です。

櫻井よしこ氏までもが破綻論者

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 日本の財政危機論は、マスコミばかりか、有名言論人の間にも広がっています。一番驚いたのは、櫻井よしこ氏が、出演した「虎の門ニュース」の番組で、日本の財政が大変だ、借りたお金は返さなければ、と述べ、消費増税に賛成する論を述べたことです。私は、彼女の日頃の言論には共感するところが多く、その活躍を全面的に支持してきました。しかし、この財政危機論を聞いたときには、心底ガッカリしました。聡明な櫻井氏ですら、財務省の財政危機論に洗脳されてしまったと思ったからです。

▶▶▶虎の門ニュース「櫻井よしこ・百田尚樹出演」

本当に財政危機なら

 国の財政が本当に危機的状況にあるというなら、本来、国の外郭団体の整理や必要性の乏しい特別会計の処理から行うのが筋というものです。
 例えば、国には外国為替資金特別会計(外為特会)という予算があります。財務省は、この外為予算の情報を余り公開しようとしませんが、高橋洋一教授によれば、「公開情報からおおざっぱにとらえると、1ドル=100円で100兆円を外債投資して1兆ドル、それが1ドル=120円になったことで、円ベースで見て120兆円になっているというイメージだ。」と述べています。国家予算を超える120兆円という巨額のお金が一つの特別会計の中に存在しているのです。
 この外為特会というのは、財務省のホームページによれば、「本邦通貨の外国為替相場の安定を実現するため、政府が実施する外国為替等の売買(為替介入等)等の円滑化に資するため」設けられたものとされています。つまり、円が高くなり過ぎた時や安くなり過ぎた時に、円買いや円売り介入をすることによって、円の振れ幅を少なくしようというものです。
 しかし、自国通貨を国家予算によって、意図的に操作する為替操作は認めず、変動相場制にするとのプラザ合意により、通貨に対する介入は認められないことになっています。実際、ここ数年、円相場は大きく変動しましたが、一切介入はなされませんでした。つまり、いざという時のための外為予算などすでに必要ないのです。本来、財政危機だというなら、このような不要な外為予算こそ、真っ先に処分すべきものです。これを処分していないということは、財政危機ではない、ということの証明でもあります。財務省が外為特会に触れようとしないのは、財務省にとって、有益な天下り組織であるからにほかなりません。役人の行動原理は、国民のためではなく、あくまでも「財務省のため」でしかありません。そういう視点で、財務省の言う台詞を聞いていると、すべて胃の腑にストンと落ち理解できるはずです。

通貨発行権を大胆に行使せよ

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 そもそも通貨というものは観念的なものに過ぎません。古代は石が通貨となった時代もあります。金が通貨になった時代もあります。今は、紙幣や硬貨が通貨になっていますが、基本は変わりません。そういう観念的なものに過ぎませんから、世の中に通貨が不足するなら増刷すればいいし、過剰ならば吸い上げればいい、ということになります。
 現在のように、財政危機だというなら(本当は危機ではありませんが)、政府が紙幣を大量に刷って市中にばら撒けばよい、ということになります。経済評論家の上念司氏などは、1人当たり100万円づつ支給してあげればいい、と主張していますが、正にその通りです。お金を配って困る人は誰もいません。景気も良くなります。景気が良くなれば、税収も増えます。お金を刷って配るだけですから、若干円安にはなるでしょうが、外国に迷惑をかける話でもありません。
 大西つねき氏も、同様の主張をしています。同氏も、日本は財政危機ではないとの立場をとっています。が、仮に財務省の言うように、財政危機だというなら、究極の解決策として、毎年、政府通貨100兆円を発行することによって、財政再建は10年で解消すると言います。この場合、政府通貨は、1兆円の政府通貨100枚として発行してもいいし、100兆円の政府通貨1枚でもかまわない、と言います。この政府通貨を日銀に渡し、日銀はそれを金庫に保管しておけばそれでいい、と言うのです。

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 この大西氏の主張でも、理論上、財政再建は十分に可能です。100兆円の政府通貨が発行されて困る人はいません。貸借対照表というのは、財務の健全性を判断する帳票ですから、政府通貨がきちんと帳票に記載され、政府通貨を証する証文が金庫に入っている、という状態が100年続いても誰も困る人はいないのです。借りたのは国、政府ですから、国が通貨発行権を行使してその債務を返済しただけのことです。この通貨は、日銀の金庫の中に眠っているだけですから、市中にお金が溢れるわけでもあありません。100年後には、物価の値上がりによって、ほとんど無価値になっているかもしれません。この通貨発行権を行使したことによって、外国に迷惑をかけるということもありません。
 櫻井よしこ氏でさえ、財務省のウソに騙されるくらいですから、多くの国民も、財務省のウソに騙されるのは止むを得ません。
 今年の日本は、通貨発行権を最大限に活用することにより、財政危機という妄言を振り払って頂きたいものです。当然、消費増税などもってのほかです。消費増税に伴う景気の冷え込みを防ぐための軽減税率の適用や、ポイント還元、プレミアム付き商品券発行など、さまざまな景気失速を防ぐための方策がなされるようです。国民の眼から見れば、ややこしすぎます。消費増税によって景気が失速することが見えているからこその対策です。ならば、消費増税をやめることが最良の方策であることは明らかです。軽減税率の適用により、新聞業界だけが恩恵を受ける事実を言わず、財務省のお先棒を担ぐ新聞業界。そしてそれに連なる地上波テレビ。彼らのウソに騙されてはなりません。

▶▶▶【上念司・高橋洋一】財務省はなぜ消費税を増税したい?
▶▶▶大西つねき公式ホームページ

景気拡大なければ国を守れない

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 国家にとって最も重要な使命は、国民の生命財産を守り豊かな生活を確保することです。国防はすべてに優先する最重要課題です。また、国民に豊かな生活を保障することも為政者としての重要課題です。
 これらを両立させることは容易ではありません。が、両者は、決して二律背反の関係にあるわけではありません。両立させるためには、経済を拡大し、成長力を高めれば、相対的に防衛費の拡大も可能になるからです。つまり、経済のパイを拡大することによって防衛力を高めることが、今、求められているのです。
 政府は、昨年末の月例報告で、景気全体の基調判断について「緩やかに回復している」と発表しました。2012年12月に始まった経過拡大期間が「戦後最長に並んだ可能性が高い」との認識を示したのです。内閣府肝入りの有識者らでつくる景気動向指数研究会(座長:吉川洋立正大教授)でも、「いざなぎ景気を超えた」(因みに、景気回復期間が最も長かった「いざなみ景気」というのも別にある。)と認定したとのことです。
 この感覚、私たちの実感に合っているでしょうか。少なくとも私の実感とは全く合っていません。近くのスーパーでは毎月3日間、5%引きの安売り(アルコール類など一部商品を除く)を行っています。その3日間に並ぶ顧客の多くは高齢者です。高齢者ばかり、と言ってもよいほどの老人の群れです。もちろん、私もその一人です。僅か5%の割引でも、集中して買い溜めをするんです。

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 こういう身近な光景を見ていると、「いざなぎ超えの好景気」などという言葉が空々しく聞こえてしまいます。率直に言って、近所の居酒屋や商店の光景を見ていると、新規開店はほとんどなく「店じまい」をする店の方がはるかに多く見られます。庶民の実感としては、好景気などではなく、むしろ、不景気そのものなのです。
 実際、私たちの賃金は実質的には低下しています。ここでは細かな数字は省略しますが、物価を考慮した実質賃金は今年、1988年の水準をとうとう下回ってしまったのです。その原因は、非正規雇用の拡大と正社員給与水準の低迷とされています。30年前と比べて、むしろ実質賃金が下がってしまっている。まず、この事実をきっちり抑えておく必要があります。
 ここから言えることは、今の政治に求められているのは、本当に景気回復が実感できる政策です。そして経済のパイを大きくすることにより、防衛費や科学技術研究費、教育費、公共事業費、災害対策費など必要とする分野に大胆に投資をしていくことこそが求められているのです。消費増税を実施するため、軽減税率という飴で新聞業界(およびそれに連なる地上波テレビ)を黙らせ、ポイント還元やプレミアム付きの商品券など、姑息な手段で国民の眼を騙そうとしている。これでは国民は、家計防衛のため、なお一層節約モードに入ってしまいます。
 安倍総理には、残りの任期、自己の信ずる憲法改正はもちろんのこと、消費増税の撤廃により、真の意味での経済の活性化に取り組んで頂きたいものです。消費税には、直接税と間接税の比率の見直し、すなわち、直間比率の見直しという機能があることは承知しています。ですから、消費税そのものに反対するつもりはありません。しかし、今、経済のパイを大きくしなければならないこの時期に、敢えて消費増税に踏み切ることは、消費者心理を冷え込ませ、経済の停滞、実質賃金の低下をもたらす。よって、今はその時期ではない、ということを申し上げているのです。
 あ、もう一つ安倍総理へのお願いを忘れてました。韓国との国交を断絶していただきたい。付き合っても、百害あって一利なしの国ですから。(H31・1・12記)
 

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