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野党は統計不正の追及より天下国家を論ぜよ

野党は統計不正の追及より天下国家を論ぜよ

不適正統計は公務員削減が根源

 野党は、厚労省による毎月勤労統計の不適切な調査をめぐって、政府を追及しています。この毎月勤労統計は、厚労省が毎月公表する雇用、給与、労働時間などに関する労働統計のことです。各産業に属する事業所が対象で、全国調査と都道府県が集計を行う地方調査があります。この統計のルールでは、従業員500人以上の事業所は全数を調査することと定められていました。が、2019年1月に、全数調査をすべき500人以上の事業所について約3分の1の事業所のみを対象にして行ったということも明らかになったというものです。全数調査でなく、抽出調査になっていたというわけです。また、2018年からは、調査対象事業所のうち、一部の事業所を入れ替えたということも明らかになりました。この変更により、前年比の実質賃金の伸び率が高く出る傾向があった、とされています。
 このような統計調査の変更が適正でないことは明らかです。しかし、このような統計に関する変更について、連日、国会で大議論するほどに重大な問題なのでしょうか。

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 野党は、2018年から調査対象事業所を入れ替えたということについて、不正だとか隠ぺいだとか、あるいは、アベノミクスの効果がないから意図的に入れ替えたとか主張しています。しかし、調査対象事業所なんて、経済状況や業界動向の変化に応じて入れ替えていくことは、むしろ自然なことではないでしょうか。例えば、日経平均株価は日本を代表する企業225社の株価を前提に算出していますが、この225社は定期的に入れ替えがなされています。2015年9月には、新しくプロ野球でも有名なDeNAとマンション建設の長谷工コーポレーションが入り、日東紡や平和不動産といった企業が除外となりました。これは業界の動向、個別企業の盛衰によって、企業そのものの実態が絶えず変化しているからです。最初に225社に採用されたからといって既得権にはならないのです。
 私は、500人以上の事業所について、全数調査をしていたという点について、逆に驚きました。なぜなら、これほどデジタル化が進んだ時代に、全数調査するなどという、昔ながらの手法をとっていたことの方が時代遅れだと思ったからです。マスコミの行っている世論調査だって、全国民の調査など行いません。僅か3,000とか多くて1万といったレベルのサンプル調査で、全体の世論動向を推計しています。特にそれで問題はありません。厚労省の担当部局も、全数調査しなくとも、3分の1だけ調査すれば足りると考えたようです。理論上、3分の1だけ調査し、それを3倍すれば、ほぼ所期の目的は達成できるからです。省力化の観点からすれば、それで十分に所期の目的は達成できたはずです。
 このような省力化の背景には、公務員の人件費削減、定員削減など、社会的要請があったと考えられます。厚労省は、この要請にこたえるため、統計部門という地味な部門から優先的に人員削減をしていったものと思われます。統計数値の結果は、特段の人的被害は生じさせませんから、特段問題意識は持たなかったはずです。

全数調査こそ時代遅れ

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 問題は、本来、3倍すべきところを、3分の1の事業所のデータをそのまま使ってしまったというところにあります。大企業と中小企業では賃金水準が違います。母数として大企業のシェアーが大きくなれば、全体の賃金水準は高くなります。3分の1しか調査せず、それをそのまま使えば、全体の賃金水準が低くなるのは当然です。
 野党の非難は、この賃金水準が低く抑えられたことにより、「この統計結果を元にして算出された失業手当や保険給付額が低く抑えられた」、というところにあります。たしかに、その限りにおいて、野党の追及は間違っていません。
 しかし、常識的に考えて、失業手当や保険給付額を低くするために、国が直接指示したとか、ましてや安倍総理が意図的に指示したなどと言うのは難癖以外の何物でもないでしょう。第一、総理がそんな行政の細部まで承知している筈がありません。
 それに、アベノミクスの成果を過大に見せるために不正に操作したということとも矛盾します。成果を強調するなら、500人以上の企業の全数を前提にする方が、賃金水準は高くなるからです。

567億円支給するために800億円が必要

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 いずれにしろ、この統計の問題は、不正なのではなく不適切という範疇の問題にすぎません。不適切な統計のため、本来、支給すべき失業手当、保険給付額の総額が567億円低く、つまり、567億円分過小に給付されしまったということです。
 では、この過小給付された分を個人ごとに算出し、追加給付するための費用はいくらかかるのか。政府の試算では、何と800億円かかるというのです。567億円を追加支給するための事務経費が800億円。過少支給の対象者は2,000万人といわれていますから、1人平均2,800円です。1人平均2,800円支給するために、800億円の税金を使う、ということです。国民の多くが思わずウ~ンと唸ってしまう数字ではないでしょうか。
 政府与党は、過少給付という事実がある以上、「支給しない」と言うことはできないので、国会答弁的には、「再計算してきちんと支給します」と言わざるを得ません。それが筋論だからです。
 この過小支給問題をめぐって、立憲民主党など野党側が、安倍政権を強く批判していますが、それは少しお門違いというものです。大規模事業所に関する誤った調査は、すでに14年間も続いてきた問題です。その間に民主党も鳩山、菅、野田首相によって政権を担ってきました。その民主党政権時に露呈しなかったのに、偶々自民党政権時に露呈したからと言って、鬼の首を取ったように非難するのは、お門違いではないでしょうか。私の感覚なら、恥ずかしくて、とても非難などできません。

国会では根本問題を議論すべき

 つまり、統計の不適切問題は、単に一内閣、一政権の問題ではありません。国会で議論するなら、統計業務のあり方はどうあるべきかについて、根本的に議論すべきです。根本的な問題として考えられるのは、次のような事柄です。
①統計業務を扱う政府職員は、現在1940人とされており、人口比で見ると欧米各国より少ない。これの要員確保は可能か。
②現在、統計業務は各省庁が所管分野ごとに分散して行っている。各省とも統計部門は中心的業務ではなく、小さなセクションで片手間的に行っている。よって、予算や人員配置も優先度が低い。統計の専門家が配置されても、キャリアアップの機会がない。各省庁の統計部門を統合した統計庁を設置するなど、統計を一元管理する抜本的な対策が必要ではないか。
③デジタル化の社会において、現在の統計手法は時代遅れになっている。既に、現代社会では、企業収益や所得、物価など、各分野において様々なデータが蓄積されている。全数調査のような前近代的な手法でなく、サンプリング調査でも十分にデータとしての信頼性が得られる。調査手法を時代に合わせて見直すべきではないか。

野党に望みたいこと

 立憲民主党など野党は、何でも安倍が悪い、自民党政権が悪いと非難中傷ばかり行っています。しかし、このような非難・中傷ばかりでは、日本の明るい未来は何も見えてきません。
 国会議員の役割は、国家・国民のため、国のあるべき方向、行く末について考え、それを実現することにあります。つまり、現下の日本にとって、今、日本で最も大事なことは何か、何が優先されるべきことなのか、それを考えるのが国会議員の仕事です。今の国会議員、特に野党議員たちを見ていると、党利党略、私利私欲の塊にしか見えません。野党議員から見識の欠片すらも見えてこないのです。正しく党利党略、私利私欲の集団にしか見えないのです。
 統計の問題は、誤りを正したとしても、せいぜいコンマ以下、誤差のレベルの違いしかありません。つまり、いくら口角泡を飛ばしこのことを論じたとしても、天下国家に影響はないのです。
 今、多くの国民が国会で議論してほしいと願っているのは、次のような事柄ではないでしょうか。

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①アメリカが中国に仕掛けている貿易戦争に関連し、中国が日本に擦り寄ってきている。安倍政権は、そのすり寄りに前のめりになっている。一般的に、経済力と軍事力は比例するとされている。日本は、国の安全保障の観点から、中国の国力を削ぐべく、トランプ大統領と足並みをそろえるべきなのではないか。
②大局的に見て、米軍は世界各地から手を引きつつある。在日米軍も徐々にグアムへの移転を進めており、決してその例外ではない。防衛力の空白を生じた時、自衛隊はこれをカバーすることができるのか。また、それとの関連で、沖縄の基地問題を速やかに解決するにはどうすればよいか。
③日本の安全保障及びエネルギー確保の観点から、フィリッピン、ベトナム、インドなどアジア諸国、特に台湾との連携が欠かせない。アメリカの「台湾関係法」に倣い、日本も、台湾に関し同様の立法措置を講じるべきではないか。
④北朝鮮は、日本人を拉致していることを正式に認めている。それにもかかわらず、国権の発動すらできないとする現行憲法はおかしい。自主独立の防衛力を確保し、拉致被害者を取り戻すこともできるよう憲法改正に努力すべきではないか。
⑤独自のエネルギー資源のない日本にとって、原発問題は避けて通れない。安全なエネルギー資源は、どうすれば確保できるか。国の安全保障の観点から3ルート、すなわち中東ルート、アメリカルート、ロシアルートなどを検討すべきではないか。
⑥消費増税は、景気を後退させ、逆に国家財政を危うくする。消費増税は即刻中止を宣言し、逆に、この際消費税を5%に戻し、経済を活性化すべきではないか。
⑦慰安婦問題、応募工(韓国では敢えて徴用工と呼ぶ)問題、レーダー照射問題、天皇に対する非礼な発言等々、韓国の文在寅政権の日本に対する対応は、国際常識を無視し、日本人の感情を逆なでしている。日本として断固とした対抗措置をとるべきではないか。
⑧北方領土問題に対し、日本はどのような対応をすべきか。
⑨離島を含め、地方の少子化は深刻。地方にも人が積極的に住むようになる施策はないか。

 このように、国会で与野党が討論すべき問題は、いくらでもあります。しかし、国会中継など見れば、モリカケ問題となるとモリカケ一色。統計問題になると、これまた統計一色。しかも、いずれの問題も、国家にとっての根本的な問題ではありません。それどころか、常に、「お友達だから」「忖度があったはず」など、推量や憶測に基づく追及ごっこばかりで、馬鹿々々しくて国会中継など、見る気にもなれません。
 正しく野党の国家観、大局観の欠如、政策能力の欠如にその原因がある、と言わざるを得ません。なぜなら政権党は、どれほど阿保らしい馬鹿な質問にも付き合わざるを得ないからです。日本の現状を憂い、国を建て直す気概のある真の野党よ出でよ、と言いたい。(H31・3・17記)

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