時事寸評 書評コーナー

welcome to shimada's homepage

消費増税の延期、萩生田幹事長代行発言に快哉!

消費増税の延期、萩生田幹事長代行発言に快哉!

虎の門ニュースで発言

 私は、Youtubeで流される虎の門ニュースを、ほぼ毎日聞いています。放送時間が長いので、一度録音しておき、散歩や庭仕事、夜寝る時布団の中で聴くようにしているのです。このようなまともな番組が、地上波で放送されない今の日本、そのこと自体が「異常な国日本」であると思っています。地上波から逃げ出した人たちが、こういったまともなネット番組に逃げ込むのも、むべなるかな、と思われます。

画像の説明

 ところで、昨日(4月18日)の放送は、私が敬愛する有本香さんがメインキャスター、ゲストが萩生田光一自民党幹事長代行でした。私は、萩生田幹事長代行は、日頃から極めて常識的なものの考え方をする人物で、信頼するに足る政治家だと思っています。
 その萩生田幹事長代行が、同番組の中で、有本さんの質問に答える形で、10月に予定されている消費税減税について言及したのです。答えた内容は、「6月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)が示す景況感次第で延期もあり得る。増税が先送りされた場合は、国民に信を問うことになる。」というものでした。同時に萩生田氏は、増税判断に関し「景気はちょっと落ちている。6月の日銀短観で、この先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はありうる」と述べ、更に、「万が一(景気が)腰折れすれば、何のための増税なのか。与党としてよく見ながら対応したい」とも強調したのです。
 この発言に対して、自民党の国対委員長など、一部の幹部から「余計なことを言うな」と、強い反発もあったようです。
 しかし、この萩生田発言、決して従来の路線を踏みはずしたものではありません。安倍総理も、「リーマンショック級のことが起これば、再度、延期ということもありうる、と発言していましたし、菅官房長官も、同様の発言をしていたからです。菅官房長官など、萩生田発言の後でさえ、同様のコメントをしています。

消費増税対策はなぜ必要なのか

 消費税を引き上げるという方針の下で、新年度予算は組まれてきましたし、消費増税後の景気の落ち込みを前提に、軽減税率の設定などさまざまな対策も講じられてきました。ですから新年度予算が成立しないうちから消費増税を凍結する、との方針を明示するわけにはいきませんでした。だからこそ、「リーマンショック級の大きな経済変動でも起きない限り」、消費増税を凍結することはない、と一応外向けには、あいまいな説明を繰り返してきたのです。

画像の説明

 ところが、ここにきて、世界経済の雲行きがかなり怪しくなってきました。お隣、中国の経済状況は、アメリカから貿易戦争を仕掛けられ、最初は勇ましく反撃したものの、すぐに使うべき武器弾薬も尽き、経済は大きく減速しつつあります。大方の経済学者もそうであるように、かの国の統計は経済の専門家からは信用されていません。李克強指標と言われる電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高は、かなり信頼できるとされますが、高橋洋一嘉悦大教授は、相手国のある外国との貿易量が一番信用できる、と述べています。その貿易統計(米ドル建て)によれば、輸出額は前年同月比4%減の約24兆円、輸入額は同8%減でした。今年は更に落ちむと見られています。不動産もバブルの崩壊を防ぐため、売買すら禁止されている、と言われています。
 ヨーロッパでも、イギリスのEUからの離脱(ブレグジット)をめぐって、混乱が起こっています。離脱反対派だったメイ首相も必死になって円満離脱に向け努力していますが、誰にも先が見通せないほどに混迷の度を増しています。仮に、円満に離脱したとしても、経済の落ち込みは、10%程度あるといわれています。離脱されたEU側も、相応の打撃は避けられません。金融センターであるシティーも、フランスなど大陸側にその機能を移転することになるでしょう。もちろん、日本への影響も少なくありません。日本は、EUへの出入り口として、主要な企業が英語圏であるイギリスを進出の拠点としていたからです。
 また、日本経済自身も、極めて脆弱です。一応、独り立ちしているというものの、その中身はボロボロと言っても過言ではありません。
 内閣府は昨年12月に、有識者による景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大教授)を開き、2012年12月から続く景気拡大局面が高度成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月、57カ月)を超えて、戦後2番目の長さになったと認定し公表しました。しかし、一般国民のうち、どれだけの人がこれを信じているでしょうか。私は、全く信用していません。なぜなら、前回2014年の消費増税時に明らかに景気は後退しています。そのことはすでにこの欄でも示しましたが、再度、次の表で確認してください。
 
画像の説明

 このように、消費増税により、経済指標として挙げられている9項目のうち、7項目がマイナスに転じているのに、景気は悪化していないと強弁したのです。純粋に経済的判断というよりは「政治的判断」という以外にないではありませんか。消費税引き上げにより、景気が悪化したことの前例になってはいけないとする財務省の意向に配慮したのです。いや、財務省が、吉川座長を手なづけ、事前に行った「御進講の賜物」と言うべきでしょう。

その他の経済指標もボロボロ

 消費増税によって、大きく景気が落ち込み、すでに20年以上にわたって、初任給すら増えないという異常状態、すなわちデフレが続いているのです。これは経済統計の整った20世紀以降で世界最長のデフレなのです。それまでのデフレは、アメリカ大恐慌後の4年間と日本の昭和恐慌時の5年間とされています。
 世界金融市場ダントツに長いこのデフレ下にあるというのに、今が戦後最長の景気拡大だなんて、余りにもおかしいのです。ヘソが茶を沸かすどころの騒ぎではありません。

画像の説明

 経済指標のなかで重要な指標である名目国内総生産(GDP)は、1997年に534兆円であったものが20年を経過した現在になってやっと550兆円の水準に回復したのです。オギャーと生まれた子供が、成人式を迎えてもなお、給料は生まれた時のままという状態が続いているのです。このことを異常と言わずして何と言うべきなのでしょうか。なぜなら、政治の要諦は、「国民の生命財産を守り、国民生活を豊かにすること」です。20年以上もデフレが続いたら、豊かになりようがないではありませんか。
 だからこそ、第二次安倍政権は、3本の矢からなる「アベノミクス」を打ち出し、経済をフル稼働させようとしたのです。アベノミクスの唱える「大胆な金融政策」・「機動的な財政政策」・「民間投資を喚起する成長戦略」は決して間違っていたわけではないのです。
 間違っていたのは、財務官僚に牛耳られ、「プライマリーバランス(PB)」やら「基礎的財政収支」、「財政健全化」など、素人には通りやすい用語で足枷を嵌められ、この「虚偽」を突破できなかった政治力の弱さにあります。
 政治の要諦が、「国民生活を豊かにすること」にあるなら、消費増税など、絶対にとるべきテーマにはなりえません。なぜなら、財務省の主張するPBや基礎的財政収支、財政健全化政策は、すべて国民を貧困に導く悪の政策、デフレ政策でしかないからです。

財務省の意図通りにやると

 デフレがなぜいけないのか、ということについて考えたことがあるでしょうか。デフレはモノの価格が下落することであり、今日買うよりも明日買った方が安く買えるという状態です。年金暮らしの高齢者にとっては、有難い政策とも言えます。高齢者は、もう働く必要もないし、年金も増えない。今の生活レベルもまあまあだし、むしろデフレ歓迎だ、というかもしれません。
 しかし、国レベルでこの状態が続くと、大変なことになります。今日よりも明日の方が安いなら、急いでお金を使う人はいなくなります。物が売れなくなります。物が売れないなら、安売り競争が激しくなります。これも消費者にいいように見えますが、経済全体としては大変なマイナスになります。商品を生産する企業は、物が売れず、販売価格も下がるなら、積極的に投資する意欲もなくなります。よって、従業員の給料減、人減らしが必要ということになります。つまり、社会全体として、経済はどん底状態、負のスパイラルに陥るということです。もちろん、融資先もないわけですから、銀行などもどんどん支店閉鎖や統合、又は合併ということになるでしょう。実際、これはすでに進行中の現象でもあります。

画像の説明

 経済全体のパイが縮小していくわけですから、年金、医療、介護はもちろん、公共施設、科学技術、教育などの投資分野に回す金もない、ということになります。
 更に恐ろしいのは、経済が縮小すると、防衛費や治安維持費など、国の安全に関する分野への投資もできなくなる、ということです。もちろん、周辺諸国が、憲法の定めるように「平和を愛する諸国民」だけなら、まだ救いがあります。
 しかし、中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど周辺国を一覧すればわかるように、あからさまな領海侵犯を繰り返すなど、すでに牙をむいたり、あるいは日本人を大量に拉致しておきながら、核とミサイルで巨額の資金援助を求めるような陰険、邪悪な身代金誘拐国家ばかりというのが、厳しい現実です。中国の防衛予算は、すでに日本の3倍を超えました。主体(チュチェ)思想の信奉者と言われる文在寅左翼政権の韓国も、防衛予算を増やし続け、日本に肉薄してきました。
 つまり、経済の縮小は、国内の内政予算を制限するだけでなく、国の防衛予算をも制限することになるのです。外交において、経済力と防衛力は車の両輪です。どちらかが弱ければ、交渉力が弱くなるのは国際社会の常識です。日韓基本条約が締結されるまでの間、つまり日本に保安隊すらない時代に、韓国は一方的に李承晩ライを引き、竹島を占領しました。そのうえ、3,929人の日本漁民を不法に拿捕し、残虐な拷問を加え、ほぼ全員が栄養失調状態になり餓死者まで出る事態になりました。それでも日本は何ら実力行使をすることもできなかったのです。軍事力がないということは、そういうことでもあるのです。
 今は安倍総理の個人的力量によって、何とか面目を保っていますが、次の総理になれば、経済力の低下→防衛力の低下によって、国際社会における日本の発言力は、更に、大きく減衰することになるでしょう。

国民を豊かにするには

画像の説明

 では国民を豊かにするには、何をどうすればいいのか。それには先ず、豊かな生活とはどういう状態を言うのかをイメージする必要があります。
 国民が豊かに暮らしていける状態とは、①衣食住に困らないこと、②経済的に安定していること、③子育てや教育に不自由しないこと、④老後の生活に不安を抱かないで済むこと、⑤思想表現の自由、信教の自由など基本的人権が尊重されること。最小限、これらの願いが実現できる必要があります。ここに挙げた項目は、あくまでも個人レベルで見た豊かさです。
 他方、これらの豊かさを実現するためには、国防、治安が確保されていなければなりません。中国のような覇権主義国家に国を奪われれば、これらのすべてが失われてしまうからです。
 また、道路、鉄道、水道など公共施設が十分に整備されていなければなりません。新幹線は、東京・新大阪間が営業開始して以来、55年も経つのに、未だ四国、山陰、九州東岸には新幹線がない、という状態が続いています。更に、災害大国日本として、地震や津波、洪水など自然災害への備えも必要になります。が、地震や台風襲来時には、その都度大きな被害が生じるこの日本列島。「国土強靭化」の掛け声空しく、遅々として強靭化は進んでいません。被災地を巡って慰めの言葉をかけることも必要ですが、慰めの言葉を必要としない、災害を未然に防ぐ努力はもっと重要です。
 このように、豊かさを実現するためには、個人レベルだけでなく、社会レベルでの備えも必要になるのです。
 これらすべてを実現する方法は何か。「国全体を豊かにする」以外に方法がありません。資本主義国において、国全体を豊かにするためには、縮小経済の下ではこれを実現することはできません。経済全体のパイを大きくし、その中から、個人と社会が受け取る分け前を増やすしかありません。経済の拡大は、個人と国の両方を豊かにしてくれるからです。

消費増税で国民は豊かになるのか

 では、今、国が実行しようとしている消費増税は、国民を豊かにしてくれるのでしょうか。即座に回答できます。「絶対に!」豊かにはしてくれません。
 そもそも、この消費増税の発想は、財務省の主張する「プライマリーバランス」「基礎的財政収支」「財政健全化」という虚妄、妄信に基づくものです。日本の財政は、すでに健全化しているのに、借金大国と言い募るのは妄言以外の何物でもありません。
 財務省の言うこれら3つのキーワードに共通するのは、「収入の範囲で生活せよ」ということです。具体的に言えば、「その年の税収の範囲内で財政支出をすべきだ」ということに尽きます。
 この論理は、一般国民にとって非常に分かりやすく、新聞やテレビなどマスコミの人達もほとんどこの論理に騙されます。一般の人も、自分の家の家計収入を連想しますから、税収の範囲で生活するのは国だって同じ、と思い込まされています。
 しかし、家計と国家財政は、文字通り月とスッポン程の違いがあります。家計は、原則、安月給の亭主が持ち帰る月給以外に収入源がありません。よってその中でやりくりするのは当然です。
 国家財政も基本は同じですが、次のような点で、大きく異なります。

国家財政と家計が月とスッポン程に異なる点

①通貨発行権という絶大な国家権力がある
②徴税権という絶大な国家権力がある
③防衛、治安など、国の安全保障に対する重大な責任がある
④社会インフラの整備や教育、科学技術、防災など、先を見据えた投資は国家の権利であり義務でもある
⑤国債の発行権がある

 ざっと挙げただけでも、国家には、これらの権限と義務があるのです。我々庶民が家の中でシコシコ通貨を作ったら、即刑務所行きです。今から税金を取り立てに行ってきます、と言って隣近所を回ったら即精神病院行きです。わが家の将来のために島田債(一応、わが家の名前)を発行しますといったら、同じく脳に毒が回った疑い濃厚として、介護施設送りとなるでしょう。いや、金がないので介護施設でさえ受けれを拒否することでしょう。
 国家財政と家計とは、このように根本的な違いがあるのです。ところが、税金を徴収する段になると、財務省は、途端に「家計も国も同じ」という論理を持ち出すのです。国には、家計と異なり、経済を発展させ、「国民を豊かにする手段」が、いくつも与えられているのにです。一体何を考えているんだ、と言いたくなります。

今国が行うべきは投資によるパイの拡大

 国民を豊かにするため、今、国が行うべきことは何か。それは、国にのみ与えられている国債発行権をフルに活用することです。つまり、「投資」によって、経済のパイを拡大させることです。

画像の説明

 今、日本はデフレの圧力に苦しんでいます。黒田日銀総裁は、僅か2%の物価上昇の目標すら達成できず、毎年、その目標は未達のまま先送りされてきました。なぜ目標が達成できないのか。経済の基礎となる資金需要が絶対的に不足しているからです。つまり、お金を借りる企業・個人が少なすぎるのです。お金を借りる人が少なければ、銀行もあがったりです。銀行はこれまで借り手がいないから、というので日銀にお金を預けて金利をもらおうという姑息な手段で糊口(ここう)をしのいできました。こんな状態では、経済の発展など望むべくもありません。
 ならばどうすればよいのか。民間に資金需要がない、というのが今の日本経済の現状ですから、こういう場合は、官が資金需要を作り出すしかありません。増税というブレーキではなく、逆に、資金供給というアクセルを吹かすのです。
 具体的には、国の権限として付与されている投資のための「国債発行権」をフル活用するのです。国債発行権は、国の権利でもあり、同時に義務です。金額については、いろいろな意見があるでしょうが、最低でも年10兆円、できれば30兆円くらい発行すべきでしょう。
 これらの資金供給を、経済が完全復活するまで毎年続けるのです。全国でまだ新幹線のない地方に新幹線を作るのもよいでしょう。重要幹線道路もまだまだ未整備です。老朽化したインフラを早急に整備するのもいいでしょう。地方の防災事業に投資するのもありです。また、5兆円しかない国防予算を倍増し、将来のため、最新鋭の戦闘機を「自主開発」するのもいいでしょう。そこから派生する先端技術は、民間事業に波及し、経済発展に大きく貢献するでしょう。軍事技術というと、それだけでアレルギーを起こす人がいます。しかし、今のコンピュータ技術や電子通信技術なども、軍事技術の発展により、私たちは大きな恩恵を受けていることを忘れてはいけません。
 こういう投資がいけないと言うなら、全国に新幹線など、一本もできません。将来のリターンが見込めるなら、積極的に投資を行うことこそ、為政者の義務なのです。
 同様に、将来の優良納税者を育てるため、教育費の無償化も素晴らしい投資です。教育投資は、将来への超優良投資なのです。もちろん日本の未来の発展のために、科学技術研究費を大幅に増額するのもありです。
 このように、未来のために投資すべき項目はいくらでもあるのです。国債というのは、そのためにこそ国に発行が認められているのです。

絶対に国家破綻はしない

 そんなことを言うと、国家財政が破綻する!なんていう人が必ず出てきます。確かに野放図に発行すれば、インフレになる可能性はあります。インフレになる可能性が生じたら、発行枠を絞れがいいだけのことです。
 そもそも歴史上、自国通貨建ての国で財政破綻した国はありません。ギリシャが財政破綻したではないか、という人もいます。しかし、ギリシャは、EU加盟国として負債はすべてユーロ建てでした。自国通貨ドラクマを発行すれば返済可能ですが、ユーロ建ての負債はユーロで返済しなければならない。だから財政破綻したのです。
 国内では、夕張市の財政破綻が有名になりました。夕張市は日本円で資金調達していましたが、借りたものは円で返済するしかありません。しかし、夕張市には「通貨発行権」がありません。だから破綻したのです。
 このように、自国通貨建ての国が財政破綻した例は、全く存在しないのです。

財務省も外向けには財政破綻を明確に否定

 財務省も、対外向けには同じことを言っています。それを裏付ける証拠もあります。いささか古い文書ではありますが、財務省は、国債の格付け機関であるムーディーズとS&P(スタンダード&プアーズ)が日本国債の格付けを引き下げた際に、これを不服として、文書で次のように反論していたのです。

財務省の反論書

①日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
②格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高

◎更に、同文書では次のようにも述べ反論しています
 ①日本国債は現在95%が国内でかつ低金利で消化されている。また、2001年は、一般政府部門の赤字32兆円に対し、民間の貯蓄超過は42兆円である。更に、当面経常収支の黒字は継続し、資本逃避のリスクも大きくない。従って、資金フロー上の制約はない。
 ②近年自国通貨建て国債がデフォルトした新興市場国とは異なり、日本は変動相場制の下で、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。更に、ハイパー・インフレの懸念はゼロに等しい。

 このように、財務省は、外向けには日本の財政は健全だ、デフォルトの心配などない、ハイパーインフレの懸念もゼロに等しい、と言っているのです。にもかかわらず、同じ口で国内向けには、日本の財政は大変だ、増税をしなければ財政破綻する、などと真逆のことを言っているのです。今のようなネット社会でなければ、財務省のこのような二枚舌もバレることはなかったはずです。

IMFも日本の財政が健全であると認めた

画像の説明

 IMFリポートとして、新聞などに報じられるものを見ると、財務省べったりの記事であることが多く、何だこれは?と驚くことが時々あります。実態は、財務省からの出向者が本国(財務省)の意を受けて書いているからなんですね。いわば左翼活動家と同じレベルです。
 しかし、昨年10に発表された報告書は、刮目すべきものでした。財務省の意に反するものだったのです。すなわち、各国の財政状況をバランスシート(貸借対照表)で比較すると、日本の財政は極めて健全だと公表したのです。日本の純資産(資産ー負債)はほぼゼロで、日本の財政はG7のうちカナダに次いで2番目によい、というものだったのです。
 この報告書を踏まえ、経済評論家の田中秀臣氏は、次のようにコメントしています。

画像の説明

田中秀臣氏のコメント

日本は言われるほど財政危機ではない。しかもアベノミクス採用以降は財政状況が劇的に改善している、というのが高橋洋一氏をはじめとする我々リフレ派の主張である。
この主張を裏付ける日本だけではなく、世界各国の政府のバランスシートをIMFのスタッフが明らかにしたのである。これは重要なレポートだ。

IMFのレポートは、こちらからご覧ください。但し、田中氏により、一部簡略化されています→IMFレポート

なぜマスコミは議論を展開しないのか

画像の説明

 これまで述べてきたように、日本は、すでに財政健全国家であり、経済発展の余力のある堂々たる経済大国です。しかし、現実の一般庶民の生活は、いかにもつましい。多くの街から賑わいが消え、シャッター通りと化しています。すべからく覇気がなく、人々はうつむき加減に歩いているようにさえ見えます。
 要するに、景気が振るわないうえに、来る10月1日から新たに消費増税により、更に経済状況が悪化する。20年以上続いたデフレがまたまた伸びるのかというあきらめ、そういった複雑な感情が日本人全体を覆っているせいではないでしょうか。
 私たち日本人は、財務省の垂れ流すフェイクニュースに惑わされ、税金の僕になり果てていたのです。時々ラジオやネットニュースで流れる上念司氏の法螺貝(突撃ラッパ)、「私を日銀総裁にしてくれれば、即刻、国民すべてに100万円ずつ配ります。それも毎年です。」に、密かに溜飲を下げていました。しかし、この上念氏の主張は、決して荒唐無稽なことを言っているのではありません。今の日本にはそれを受け入れるだけの余力があるのです。
 本当は、こういった消費増税をめぐる本質的な議論をテレビなど地上波で積極的に行うべきだと思いますが、さっぱり議論がなされません。それは、最初から新聞は軽減税率の対象として、消費増税の波を乗り切れると踏んだ新聞各社が沈黙し、同時に、傘下にあるテレビ各局に対して、消費増税の是非を問う本格的な議論を回避させている、と見ることができます。
 自分の業界だけ軽減税率の恩恵を受けられるという人参をぶら下げられただけで沈黙するマスコミ。こんなものが麗々しく報道機関などと言えるのでしょうか。
 ネット情報により、真実に迫ることができるようになった今日、マスコミの信頼感は著しく低下しています。フェイクニュースを流せば、ネットですぐに反撃を受けます。今消費増税に関し、沈黙を守っているマスコミに対して、国民は「ずるい奴ら」という意識を持っています。そのことを、ゆめゆめ忘れないで頂きたい。このようなマスコミのずる賢さは、必ずボディブローのように、今後、マスコミを痛めつけることになるでしょう。

それでも頑張ってほしい安倍総理

画像の説明

 安倍政権については、このところ、ちょっと気になる動きも見られます。特に、中国への「のめり込み」が気になります。中国の覇権主義的傾向は、今も続いており、これを止めるには、中国という国の経済を止めることが最も有効です。軍事力増強は経済力の進展に伴う付随的効果です。軍事力増強を阻止するためには、トランプ大統領と足並みをそろえて、経済力を削ぐことに意を注ぐべきです。それなのに、わざわざ中国を訪問し、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」など、中国におもねるような発言をしていました。
 また、韓国に対しても、あれほどの非礼な振る舞いが続いているのに、明確にいさめる制裁行動をとっていないように見えます。二階幹事長が200名の議員団を引き連れて、韓国を訪問するなどというニュースも流れました。バカも休み休みにしてほしいものです。非礼をした方が、200名の議員を引き連れて詫びに来るなら分かります。全くあべこべではありませんか。入管法の改正や種子法の廃止、アイヌ新法の成立なども、懸念を禁じ得ません。
 私は、これまで断固として安倍政権を支持してきました。外交手腕には、他の追随を許さない天賦の才能があるとさえ思っています。歴代の総理の中でも、素晴らしい宰相だと評価しています
 しかし、それでも、今年、「消費税を予定通り引き上げ」、「憲法改正さえ発議しない」、というなら、私は、安倍政権支持をやめ、憲法改正を推進し、消費増税に反対する「国民保守党」に宗旨替えします。
 安倍総理は、本当は、問題の本質を理解している筈です。消費税を引き上げてはいけない、ということも十分に理解している筈なのです。にもかかわらず、それができないということは、「指導力の低下」ということになります。財務省ごとき小役人集団に牛耳られるようになってしまっては、真っ当な政権運営など困難です。
 萩生田幹事長代行には、是非とも、側面から安倍政権を支え、消費増税だけは何としても阻止していただきたい。そして、逆に、投資的経費となる国債の大量発行により、日本経済を大いに活性化していただきたい。日本には、それを実現できるだけの経済力と知恵が十分にあるのです。(H31・4・20記)

a:538 t:1 y:0

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional