時事寸評 書評コーナー

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改めて消費増税で日本は没落します

改めて消費増税で日本は没落します

安倍総理は消費増税を決断か

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 最近の日本の政治を見ていると、無力感にさいなまれます。行くべき方向、あるべき方向に行かない、というもどかしさを感じるのです。内政・外交など、日本を取り巻く問題は多々ありますが、外交は相手のある話ですから、日本だけで決められる問題ではありません。内政問題も憲法改正や皇統の問題、外国人労働者問題、マスコミの偏向報道問題など、挙げればきりがありません。ここでは焦点を絞り、ただ一つ、経済の問題、とりわけ消費増税の問題を取り上げたいと思います。
 結論から言えば、今年10月1日から予定されている消費税の引き上げは、日本を破滅没落へ引き込む愚策中の愚策だと断定します。私は、この「時事寸評」のコーナーでも、引き上げ反対の立場から度々取り上げてきました。が、どうやら安倍総理は消費増税を決断したように見えます。誠に残念でなりません。憤懣やるかたなしです。

何のための消費増税なのか

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 今、日本の経済は、20年以上も続くデフレ不況に喘いでいます。企業も、稼いだ利益は投資家への配当で還元するか、自社株買いなどに回しています。企業ならば、本来、事業拡大のため、新規投資に回すのが常道というものですが、それをしません。なぜか。投資すべき分野がないからです。つまり、20年以上続くデフレ経済の下、新たな投資をしても、それに見合う需要を見込めないのです。経済が発展し、新たな需要が見込めるなら、企業は当然投資をします。
 経済の本質は、需要が見込めるから投資する。投資するためには、利益が拡大し借入金の返済ができる、という経済の循環が前提となります。つまり、経済が順調に拡大するためには、需要に生産が追いつかない→生産性を向上させて需要に応える→その結果実質賃金が上昇する→賃金が上昇すれば消費も拡大する→更に、需要増に対応するため投資を拡大する→生産性が向上する、というように、経済の好循環が生じます。経済の専門家が言うところの「黄金循環」というサイクルです。
 でも、今の日本、この黄金循環など、どこを見渡しても見られません。黄金循環のサイクルがどこかで断ち切られているのです。断ち切られているというからには、断ち切っている原因があります。
 その原因は、①需要が十分にないこと、②人手不足を生産性向上で埋めようとせず、外国人労働者で補おうとしていること、この2点です。
 ①の需要不足は、デフレに原因があります。これほど長期にわたってデフレが続けば、需要が不足するのは当然です。デフレは貨幣価値の上昇をもたらします。今年の1万円が、来年は1万1、000円で使えるなら、今年使うのはやめておこうと考えるのは当然です。企業だって、需要がないなら投資拡大などしません。多くの企業が投資をせず、利益を配当に回すか自社株買いに走るのは当然なのです。
 このようなデフレ下で、需要を喚起する場合には、公的部門が出動しなければなりません。国が、国債を発行するなど積極的に資金を供給するのです。資金を供給する方法としては、公共投資や科学研究費の大幅増額、あるいは防衛費や教育費の支出など、いくらでも投資先はあります。日本は災害大国ですから、国土強靭化のため投資するのは国民的な合意も得られるでしょう。東北地方の北上山地に誘致するかどうか問題になっている国際リニアコライダーなど、即刻誘致を決定したらよいと思います。

人手不足は生産性向上で

 経済の黄金循環を達成するために必要な2番目の要素は、「人手不足を生産性向上で乗り切る」ことです。今の日本は、人口構成上、15歳以上65歳未満の人口、すなわち生産年齢人口が1990年代をピークに減少しています。この働く世代の人口が減少しているんですから、人手不足になるのは当たり前です。人手不足ですから、当然、雇用環境は売り手市場になり失業率は減少します。
 この人手不足は、人口構成上の問題ですから、必ずしもアベノミクスの成果とは言えません。この人手不足という事態を前にして、出入国管理・難民認定法の改正など、外国人労働者を入れることにより問題の解決を図ろうとした政府の方針は明らかに間違っています。なぜなら人手不足を外国人労働者の補充によって受け入れてしまえば、生産性の向上は起きません。安い労働力が得られるなら、その必要もなくなるからです。それでもコンビニなど一部の業界では自動精算システムを導入するなど、生産性向上の動きも見られますが、全体としては生産性向上の絶好のチャンスを逃しているといって間違いありません。

財務省の深謀遠慮

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 このように、政府は長期デフレの解消に際して、国債発行など公的資金を出動させず、人手不足も外国人労働者の受入れで対処したことにより、折角の経済発展のチャンスを逃してしまいました。しかも、今度は、消費税を引き上げ、消費に対して罰を加えようというんですから、もはや正気の沙汰とは思えません。消費税の引き上げは、「消費=悪いこと=罰を加える」というのと同じ効果をもたらします。
 今の日本は、長期デフレで悩んでいるというのに、消費を抑さえようという政策をとるというんですから、あきれるしかありません。このようなバカげた政策を取る理由は何か。もはやこれは財務省の深謀遠慮によるもの、というしかありません。
 私は、安倍総理は、本心は、消費税の凍結又は引き下げこそ必要と考えている、と思っています。それができないのはなぜか。最大の理由は、消費税引き上げを求める勢力、具体的には財務省の力に屈したということです。財務省は、消費税発足時から、小刻みに税率の引き上げを狙っていることは間違いありません。「省益」のためです。決して「国家国民のため」ではありません。
 引き上げを実現するために、先ず、マスコミを味方につける必要がある。地上波テレビは大手新聞の系列下にありますから、新聞各社を抑え込めば大丈夫。このため、財務省は早い段階から、新聞に対しては、8%に据え置く軽減税率の適用を確約し、マスコミ界を抑え込みました。
 うるさそうな有力代議士などには、廊下トンビよろしく、議員会館を回り、抑え込みました。彼らも、地元への利益誘導と税務調査などをちらつかされたら、大声での反対はできなくなります。
 他方、財界も、法人税率の軽減としっぺ返しを恐れ、引き上げ賛成の立場です。経済の発展を志向すべき経済界が消費増税に賛成するなど、全く信じがたいことです。

財務省が消費増税にこだわる理由

 財務省が消費増税をするための名目は、「財政健全化」「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」といった、一見もっともらしい指標です。具体的には、財政法4条です。ここには、次のように書かれています。

財政法第4条
国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

 単純にこの規定を読むと、第4条但書により公債(国債のこと)を発行できるのは「公共事業費、出資金、貸付金」の3つだけ、ということになります。しかし、嘉悦大学教授の高橋洋一氏によれば、教育費や科学技術費などもこの第4条の解釈で読めるというのです。
 その根拠については、小村武・元大蔵事務次官の「予算と財政法」(三訂版)の101ページに次のように解説されているからです。

「財政法第4条第1項ただし書きは、公共事業費、出資金及び貸付金の財源となる場合に例外的に公債発行又は借入金を許容している。これらはいずれも消極的支出ではなく、国の資産を形成するものであり、通常、その資産からの受益も長期にわたるので、これらの経費については公債発行又は借入という形でその財源を賄い、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めることを許しているものと考えられる。」(アンダーラインは筆者)

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 この解説書の著者は、元大蔵次官の個人名になっていますが、財政法の逐条解説として、財務省主計局のバイブルとされてきたものです。しかも、その後も逐次改訂されており、事実上の公式見解と言ってもよい、と高橋氏は述べています。役所には「有権解釈」という用語があります。法律を所管しているのは役所であり、その法律の解釈権限は、原則としてその法律を所管している役所にある、ということです。もちろん、法文解釈に疑義がある場合は、最終的に裁判所に訴訟という形で異議を申し立てることもできますが、通常は、有権解釈で実務は運用されています。
 そして、その有権解釈の大きな根拠は、所管省庁が作成した「○○法解説」といったもので、通常、コンメンタール形式、つまり逐条解説書が発行されているのです。法律上可能か可能でないのかといった法的判断は、通常、この逐条解釈によって判断しています。
 このような前提に立つならば、養育費や教育費、科学研究費などは、公共事業と同じく、「懐妊期間が長く、大規模で広範囲に行う必要のある投資」と位置付けることができ、国債発行で賄うのが適当ということになります。
 このように、仮に財政法の縛りがあるとしても、国債発行によって、公共事業費や教育費、科学技術研究費などを幅広く支出することによって、経済規模の拡大は十分に可能になるのです。国債発行額が大きくなるなら、消費税など引き上げる必要もなくなる、ということです。

国債発行は国防にも貢献

 国債発行により科学技術研究費が大幅に増額されれば、国防の見地からも有益であると考えられます。先端的な科学技術の研究というのは、民生部門はもちろんのこと、軍事面にも応用が可能だからです。現在、世界中に普及している電波や通信、パソコンなども、本来、軍事技術として開発されたものです。軍事技術が民生用に応用されたのです。
 北朝鮮が開発しているミサイルも、日本が打ち上げている宇宙ロケットも、使用目的が異なるだけで、弾頭に核爆弾や爆薬を搭載するか探査機器を搭載するかの違いでしかありません。日本のように、人的資源以外に特段の天然資源に恵まれない国の場合、国民が先端的技術開発の先頭に立ち、世界をリードする位でなければ、国民が豊かな生活を享受することは困難です。財政法といった一片の法律によって、国の行く末まで閉ざされたのではたまりません。もっと言うなら、財政法の縛りがあるというなら、異論の出ないように、きちんと法改正をすればよいのです。それが衆参両方で多数を占める自民党の役割ではないでしょうか。いつまでも財政法の亡霊に引きずられ、国の行く末を誤ってはいけないのです。

国債発行でも財政破綻はない

 財務省の主張する基礎的財政収支や財政健全化理論も、すでに言い古されたように、完全に誤りです。国民に分かりやすいように、というつもりかもしれませんが、国の借金は1,000兆円を超えた。1人当たりの借金額は830万円だ式の言説が今でも大新聞などにも掲載されます。
 この言い方は、家計簿になぞらえた例示ですが、国の財政は、家計とは異なります。例えるなら、せめて企業の貸借対照表レベルと対比すべきです。貸借対照表で言うなら、1,000兆円の借金は右蘭の負債であり、これは同時に左蘭に掲げる国民の資産です。負債ばかりを言うなら、同時にそれに見合う資産も言わなければなりません。しかも、発行済みの国債のうち、400兆円以上を既に日銀が買い取っています。日銀は国が55%の株を保有する子会社と言ってもいい位置づけです。国は日銀が買い取った国債について利払いをしますが、日銀は決算終了後その利払い額を「国庫納付金」として国に返還します。要するに、国と日銀を合わせた統合政府という考えに基づけば、この時点で既に国の発行済みの国債は、600兆円ほどでしかないのです。
 そのうえ、国の場合、毎年60兆円以上に達する徴税権という伝家の宝刀があります。前述の高橋教授によれば、この徴税権を企業会計理論により資産評価すると62兆円(H31年度)×15倍=930兆円となり、これだけで国の貸借対照表はプラスになってしまいます。
 それに、国の場合、家計や企業と異なり、貨幣発行権というもう一つの伝家の宝刀もあります。借金を返す必要があるなら、いつでも貨幣を発行することができるのです。この機能があるため、自国通貨建てで国債発行をしている限り、国家破綻することはあり得ないのは理の当然なのです。
 これを裏付けるように、財務省自身、国債の格付け機関であるムーディーズとS&P(スタンダード&プアーズ)が日本国債の格付けを引き下げた際、これを不服として、2005年5月3日付けの文書で、国家破綻などありえない旨強く反論しているのです。

消費税引き上げにより政権の屋台骨が揺らぐ

 私は、安倍政権が消費税を引き上げた場合、さすがの安倍政権も死に体になると思っています。私自身、仮に安倍政権が消費税を引き上げたとするなら、自民党支持を止めることになるでしょう。ただ、嘗て、自民党にお灸をすえるつもりで民主党に投票し、悪夢にうなされたあの時代の再来は二度と御免です。
 立憲民主党や国民民主党、社会民主党、希望の党など、既存の野党は余りにも現実離れをしており、とても投票する気にはなれません。日本維新の党が一番現実に即していると思いますが、まだまだ力が弱い。
 見回していたら、一番私の理想に叶う政党がありました。チャンネル桜の水島聡氏が立ち上げた「国民保守党」です。同党の綱領は次のようなものです。心ある日本人が求められているものが、すべて入っているように思われます。

国民保守党の政策綱領

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①自主憲法制定、憲法9条の改正
②移民(他民族)政策反対
③消費増税絶対反対、消費税は5%に
④皇室の皇統男系男子絶対護持、宮家の復活
⑤北朝鮮拉致被害者を全員帰国
⑥国防力強化、国防軍創設
⑦国土強靭化、防災予算を10年間倍増し、国民の生命と財産を守る
⑧デフレ脱却へ積極財政で内需拡大
⑨財務省改革し財政危機論の嘘を暴く
⑩国民の格差是正で1人の失業者もいない日本へ
⑪スパイ防止法制定
⑫食糧安全保障体制とエネルギー安全保障体制の確立
⑬日本を主語とする教育体制の構築
⑭少子化対策の戦略的体制確立
⑮アイヌ先住民法絶対反対
⑯日本台湾連携強化
⑰放送法改正、国民の手にメディアを取り戻す

 私は、これまでほぼ一貫して自民党を支持してきました。外交面での安倍総理の活躍は素晴らしいと思います。内政でもアベノミクスの理念は決して間違っていません。
 しかし、アベノミクスは金融政策以外、機動的な財政政策や成長戦略は極めて不満足です。アベノミクスは、日本国の成長戦略であったはずです。第2、第3の矢が腰折れしているというのに、追い打ちをかけるように消費税の引き上げとは何たる愚作でしょうか。陰で財務省が暗躍しているのは分かっていますが、彼らだって所詮公務員です。公務員を差配するのは、国会議員、とりわけ総理や官房長官、各省大臣です。「君たちの考えは間違っている」と明確に否定し、あるべき方向に向かわせるのが政治家の役割です。また、「法律の壁が・・」と言うなら、「将来にわたって国の資産を形成するものについては公債を以って充てることができる」旨を、政権党として堂々と明文化すればよいのです。また、財政規律は、常に、日銀を含めた統合政府の貸借対照表を元にして判断すべきことも明記したらよいでしょう。そうすれば財務省の受験秀才の難癖も排除できるようになります。
 いずれにしろ消費増税は、今の日本を間違いなく没落の道へと導きます。安倍総理が消費増税をあくまでも実行するというのであれば、私は、宗旨替えをし国民保守党に投票することにします。(令和元年6月24日記)

▶▶▶【Front Japan 桜】佐藤健志
▶▶▶国民保守党綱領発表
▶▶▶国民保守党北海道敗戦の弁

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