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経団連会長のズレた経済感覚

経団連会長のズレた経済感覚

中西会長が病気療養から復帰

nakanisikaityou

 経団連の中西宏明会長が9月9日、約3か月半の病気療養から復帰し、定例記者会見を行いました。その席で財政再建や社会保障制度改革をめぐる議論の進展状況について、「政権に盾突くわけではないが経済界として不満はある」とし、更に、「社会保障制度改革や財政健全化」に取り組むべき、と述べたと報道されています。
 中西会長は、これまでも財政健全化について何度か言及していますから、今回の復帰会見でも整合がとれています。同会長が財政健全化を言う前提は、何か。それは、現在の財政状況が健全ではない、という前提に立っているということです。
 これを裏付けるように、経団連のホームページを見ると、経団連副会長の職にある人たちも、次のように述べています。

経団連幹部たちの意見

石塚邦雄(経団連副会長、生活サービス委員長/三越伊勢丹ホールディングス特別顧問)
 アベノミクスが始まって6年になる。経済の確実な好循環までには、まだ時間が必要だ。他方、人口減少や高齢化・財政健全化という大きな問題が先送りされている印象は否めず、2050年ぐらいを見据えた長期の取り組みが必要だ。(以下略)
進藤孝生(経団連副会長、産業競争力強化委員長/日本製鉄会長)
さらなる税率引き上げの可能性も視野に入れつつ、まずは秋の消費税増税をしっかりやりきり、財政再建につなげてほしい。財政健全化は、私たちの子孫のためだけでなく、日本の国際的な信用を維持するという面でも、絶対にやらなくてはならない。(以下略)

 このように、経団連という組織は、会長も、副会長も、皆、財政再建をやれ、消費増税もやり切れ、という立場であることが読み取れます。特に、新藤孝生副会長など、秋の消費増税だけでなく、更なる引き上げの可能性も視野に入れよ、という主張です。

日本の財政は不健全ではない

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 日本の経済を牽引すべき経済界の重鎮たちが、揃いも揃って、財政再建をやれと宣うこの日本という国。私には、不思議でなりません。財政再建が必要、すなわち、日本の財政は不健全である、という根拠は一体どこにあるのでしょうか。
 財政不健全論の信奉者は、財務省自身です。国の借金は1053兆円に達した。国民一人あたり830万円である。大変だ~!という聞き慣れたセリフです。
 改めて考えてみると、この経済界の重鎮たちの主張は、すべてこの「財務省様」の主張と同じであることが分かります。監督官庁である「お上」の言うことには逆らえない、ということでしょうか。いや、そうではなく、自己の信念として本心から、日本の財政は大変だと認識しているのでしょうか。本当にそうだとするなら、この経営者たちは、経済というものが全く分かっていないと断ぜざるを得ません。
 財政の危機感は国の貸借対照表で判断することができます。これまで何度も繰り返し述べてきたので、ここでは省略しますが、資産と負債のバランスが取れていれば、何の問題もないのです。国の借金はイコール国民の資産である、という基本認識に立つべきなのです。
 国の貸借対照表を最初に作った嘉悦大学教授の高橋洋一氏の説明を借りるまでもなく、国の財政のバランスは全く問題ないレベルであり、投資的国債を発行できる十分な余裕があるのです。
 財界の重鎮の言うように、消費増税を確実に実施すれば、日本の経済は長期的に確実に低迷することは間違いありません。今の日本は、過去20年以上にわたるデフレに悩まされ、庸として上昇軌道に乗れずにいるのです。政府も「せめて2%の経済成長」を目標にするものの、この低水準の目標さえクリアできず、黒田日銀総裁はこの目標を口にすることさえなくなりました。
 このような状況下において、さらに消費増税をすることが経済に大きなダメージを与えることは経済の素人ですら、容易に理解できます。打撃を与えることが分かっているからこそ、複雑な軽減税率やポイント還元制度などが採用されるのです。打撃がないなら、こんな対策は全く必要ないのです。同じ店で買ったのに、8%の税率のものと10%のものが混在するなど、消費者泣かせ、店主泣かせの悪法、いや悪制度と断じてよいでしょう。
 それなのに、これら経済界の重鎮たちは、消費増税を促し、財政再建を叫ぶ。この経団連幹部たちは一体何を考えているんだ、と言わざるを得ません。

内部留保は膨らむ一方

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 財務省が今年9月2日に公表した法人企業の内部留保額は、前年度比3.7%増の約463兆円です。国家予算の約4.5倍強です。この膨大な内部留保額は、7年連続で過去最高を更新したのです。しかも、すう勢的に、2004年度からほぼ一貫して右肩上がりに増加し、2004年度の200兆円から2.3倍にも膨らんでいるのです。
 この内部留保というのは、売上高から人件費や原材料費などの費用を差し引き、更に、法人税や配当金を支払った後に残った利益を積み上げたものです。
 つまり、企業はもうかっているのです。2018年度も企業業績は好調で、経常利益は、前年度比0.4%増の83兆9177億円、6年連続で過去最高を更新したのです。
 このような数字と、経団連幹部の主張とを対比してみると、大企業にとって、今の経済状況は決して悪くない、これでいいじゃないか、という結論になるのでしょう。だからこそ、財務省様の主張をそのまま受け入れているのかもしれません。

賃金増えず、財政も出動しない

 企業収益が増え、内部留保も年々増加している一方、従業員の賃金は増えていません。賃金には名目賃金と実質賃金があります。名目賃金は額面だけを見た賃金であり、実質賃金は、物価の上昇分などを差し引いた賃金のことです。ですから経済的な豊かさを実感できるのは、実質賃金ということになります。

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 実は、この名目賃金も実質賃金も、右のグラフに見られるように、1990年を100として2015年までの25年間で100以下、つまり名目賃金も、実質賃金も25年前を下回っているのです。これでは、労働者の購買力が上がらないのは当然です。
 本来なら、企業経営者は、内部留保として貯め込む余裕があるなら、賃金に回すべきだと思いますが、そうはしていません。なぜか。リーマンショックの恐怖から、企業の体質強化のため、賃金に充てず、経済不況などに備え、内部留保を手厚くしているからです。
 本来なら、ここは財政が出動し、需要を喚起すべき局面です。しかし、国は、「財政再建」、「プライマリーバランス黒字化」という誤った認識に拘泥し、思い切った財政出動ができないでいるのです。その結果が20年以上続くデフレ不況というわけです。
 これでは、経済が発展しなのは当然です。労働者の賃金を上げ、購買力を増やし、消費を拡大するという「正の景気循環」が止まったままになっているのです。

経済人なら経済成長を主張すべき

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 経団連が企業の発展と国民生活の向上を願うなら、経済規模の拡大を志向すべきです。経済の規模が拡大しないと、隣国の中国のように、経済の拡大と軍事力の増強によって、日本を圧迫する勢力に対抗することができないからです。経済は、国の安全保障とも密接に関連しているのです。
 ですから、経団連幹部には、自らの配下にある各企業に対して、投資拡大の大号令をかけるほか、国に対しては、国債の発行などによる積極財政を働きかけるべきです。
 ところが、経団連が実際に行っているのは、真逆の「財政再建=緊縮財政」を唱えているんですから、正気の沙汰とは思えません。
 察するに、経団連がこのような珍妙な主張をするのは、①傘下の大企業は企業収益が増大していること、②内部留保が容易であること、更には、③財務省から法人税の税率引き下げなどの「飴玉」をしゃぶらされていること、がその背景にあるのかもしれません。

中韓におもねるな

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 経団連幹部が、中国や韓国におもねっている姿も気になります。経済人ですから、近隣の中国や韓国と友好関係を築きたいという気持ちは十分に理解できます。しかし、中国は経済力の拡大により、日本を圧迫する存在になっています。サラミ作戦により、日常的に尖閣諸島への領海侵犯を繰り返すほか、人民日報では、沖縄に対する領土的野心も隠さなくなりました。左翼沖縄県知事も、これを黙認し一言の抗議もしません。中国では、進出企業の知財権は保護されず、ソースコードの要求にさえ、唯々諾々と従っていると聞きます。また、資本移動の自由もありませんから、利益が出ても日本に持ち帰ることもできません。中国内で利益を積み上げ、丸々太ったとして、それが日本の国益になるのでしょうか。相互主義が確保できない国に進出することは、長期的に見て、決して正しい判断とは言えません。
 韓国についての融和の姿勢も気になります。文在寅政権は、日本がいくら対等の友好関係を築こうとしても無理です。文在寅は月刊Hanada10月号で暴露されたように、北の金正恩に対し、「敬愛する金正恩将軍様に謹んで捧げます」という誓詞を出しているほどのコテコテの北の信奉者、チュチェ思想の持主です。この体質から導かれるのは、強烈な反日です。融和は困難なのです。日頃の彼の一連の行動を見ていれば、そのことは容易に察しがつくはずです。
 中韓への友好の働きかけは、決して日本の国益に沿わないものであることを経団連幹部は、十分に認識すべきです。経団連には、日本の経済発展のため、単に企業利益のためだけでなく、より高い立場から経済の現状、日本の立場を俯瞰し、判断して頂きたいものです。(令和元年9月11日記)

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