時事寸評 書評コーナー

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ケチがつき通しの東京オリンピック

ケチがつき通しの東京オリンピック

はじめに

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 東京オリンピックが来年に延期されることが決定しました。年を跨いで行われるオリンピックなんて、クリープを入れないコーヒーのようなもので、私には何となく気持ちが乗らないオリンピックということになりそうです。なんせギリシャで採火式を済ませた聖火が、すでに日本に到着しているんです。競馬場の馬が、一斉スタートの号砲が鳴った瞬間に、競技中止になったようなもので、日本国民全員が、思わず前につんのめってしまいました。
 それにしてもこのオリンピック、何だか最初からケチがつき通しだったような気がします。

最初はエンブレムでケチ

 いったん決まっていた2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムが使われなくなったなんてこともありました。この騒動は、佐野研二郎というデザイナーの作品について「他人のデザインを勝手に使ったのではないか」という疑惑が持ち上がったことから火がつきました。佐野氏のエンブレムを見たベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビさんが「自分が作った劇場ロゴをまねした」として裁判を起こしたんですね。これに対して、佐野氏は「デザインを盗んではいない」と主張し対立したのです。すったもんだの挙句、再度公募して新しいデザインを選び直すなんてことになりました。スタートからけつまずいたようで、今でも後味の悪い印象が残っています。

次はボランティア制服でケチ

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 都は東京五輪に向けて、外国人観光客に道案内をするボランティアの制服を作成し、舛添知事がそのお披露目をしました。ところが、新たに小池知事に変わった途端、この制服はやぼったい、ダサいなどとケチをつけ、改めてデザイナーのコシノヒロコさんらにデザインを委託し、全く新たに作り直し、披露したのです。
 新しい制服はポロシャツや防寒着などで、青を基調とした市松模様で統一したものでした。約8千万円をかけて3千人分を制作したのです。小池知事は「コンセプトは伝統と革新。メッセージ性は一貫している」と上機嫌で語っていましたが、市松模様がそんなに革新的なのでしょうか。デザインなんて、絵画と同じで、人によって評価の分かれるものです。大好きな人の着ている洋服は、すべて素敵に見えるようなものです。わざわざデザインを変更し、税金を8千万円も無駄にしてまで変更する必要などあったのでしょうか。前任者のものは何でも「気に食わない」「変える」とする、中国や韓国の政権と同じの匂いを感じるのは、私だけでしょうか。

国立競技場設計者変更でケチ

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 国立競技場の設計にもケチがつきました。新国立競技場の基本構想案を決定するため、審査委員長を世界的に有名な建築家安藤忠雄氏として、国際コンクールが開催されました。
 細かい募集要項のもと、デザイン案が募集されました。応募件数は、国内から12案、海外から34案の計46案あり、技術調査や予備審査など、一次審査で11件(海外7・国内4)に絞られました。
 最終審査基準は、「未来を示すデザイン」「スポーツ・イベントの際の実現性」「技術的チャレンジ」「実現性」の4項目が挙げられ、最終的に3案まで絞られ、その中から最優秀賞が決定されたのです。
 この最終3案に選ばれたのは、①ザハ・ハディド、②Alastair Richardson、Cox Architectur、③SANAA事務所+日建設計で、海外2案・日本1案という結果になりました。
 そして見事最優秀賞にはザハ・ハディド氏のデザインした案が選ばれたのです。彼女の建築は男性的な直線の建築とは対照的な、有機的な曲線が美しい独特のデザインが特徴とされています。近未来的な印象を与える造形は多くの建築メディアに取り上げられており、建築やデザインが好きな人たちにとって、ザハ建築は一種の観光地化している、とされています。もともと東京オリンピック招致活動に際して、新国立競技場の計画案を国際コンクールで募集することで、国際性をアピールしたかったということもあり、それも評価対象となったのかもしれません。
 新国立競技場のデザイン案としてザハ案が選ばれた後、工事費の異常な高さが指摘され、デザイン案の白紙撤回という異例の事態が発生しました。当初のコンクール募集要項には「総工事費は、約1,300億円程度」とされていたんですが、それを大きく上回る約3,000億円の総工費の試算が出されたことが大きな問題になったんですね。
 これがもとで、結果的にザハ案を白紙撤回され、結局、隈研吾氏の案が採用されたのです。
 建設費など最初から分かっていながら、ザハ案と決定しておきながら、後から工事費が高すぎるなどというのは、難癖以外の何物でもありません。極めて後味の悪い決定劇でした。

環状道路変更でケチ

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 小池知事は2016年11月の記者会見で、築地市場の豊洲移転は最速で来年冬との見通しを示し、その際、築地市場跡地の地下を通る道路「環状2号線(環2)」の計画を変更するとの方針を示しました。東京五輪・パラリンピックまでに片側2車線で全線開通する予定だったのにです。豊洲に移転しても工事が物理的に間に合わないとして、小池氏は地下案ではなく、「地上部道路で対応することとなります」と発表したのです。
 豊洲市場への移転延期によって、築地市場のところで工事が止まっている環状2号線が担う交通量は、日に6万台と見込まれていました。東京五輪の期間中は、選手村と競技場を結ぶ専用道路とする約束も正式になされていたのです。
 環状2号線の開通が間に合わなくなれば、東京五輪の期間中、交通渋滞や利用制限で目も当てられない状況になるだろうことはあきらかでした。
 この問題は、築地市場の豊洲への移転と表裏一体の問題ですが、豊洲の地下水問題をあげつらい、「安全はあるが安心はない」など、理解不能の発言を繰り返し、環状道路の開通時期を故意に遅らせることとなったのです。その結果、新市場に投じた事業費は約5,900億円で、当初見込みから約1,500億円膨らんだのです。特に建設費は、当初計画の3倍近い2,752億円に増大したのです。これも知事が引き起こしたケチと言えるでしょう。知事お得意のカタカナ用語、「ワイズスペンディング」が泣こうというものです。

マラソンコース変更でケチ

 東京五輪のマラソン・競歩を札幌で開催するとした国際オリンピック委員会(IOC)の計画を東京都が受け入れ、会場変更が正式に決まりました。五輪開幕まで9カ月を切った段階での重大な変更であり、これもケチに含めることに異論はないでしょう。日程やコースの決定、警備計画の策定や選手の宿泊先確保など、準備をすべて変更しなければなりません。関係者にとって、本当にやり切れない思いだったことでしょう。

とどのつまりは1年延期の大ケチ

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 安倍総理は記者団に対して、東京オリンピック・パラリンピックについて、IOCのバッハ会長と電話で協議した結果、「1年程度延期し、遅くても来年夏までに開催することで合意した」と述べました。もちろんコロナ感染拡大を受けての話です。
 安倍総理によると、「開催国・日本として、現下の状況を踏まえ、世界のアスリートの皆さんが最高のコンディションでプレーでき、観客の皆さんにとって、安全で安心な大会とするため、おおむね1年程度延期することを軸に検討していただけないか」とバッハ会長に提案した。これを受けてバッハ会長は「100%同意する」と答えたというのです。さらに「遅くとも2021年夏までに開催する」ことで合意を得たということです。
 何という最後の落ち、いや「大ケチ」でしょうか。ケチの総仕上げです。近代五輪の124年間の歴史で、2回の世界大戦の戦時中だった1916年と1940年、1944年に開催が中止されたことはあっても、開催が延期されるのは今回が初めてです。
 私は、このようなケチのオンパレードを演出した最大の戦犯は、誰あろう小池知事であるような気がしてなりません。身から出た錆、いや呪われた都政、呪われた東京五輪というべきかもしれません。(R2・3・29記)

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