時事寸評 書評コーナー

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都内感染最多は、恐れるべき事態なのか

都内感染最多は、恐れるべき事態なのか

都内感染224人で大騒ぎ

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 7月10日のテレビ報道を見ていたら、東京における新型コロナの感染者数が急激に増加したとのニュースが流れていました。
 これまでの感染者数の最高が4月17日で206人であったのに、今回7月6日の感染者数はこれを超えて224人に達したというのです。すわ、一大事!大きな二次感染の波が一次感染を上回る勢いで始まった、という感じでした。NHKのニュースでも、街頭インタビューで、「東京の感染者数が過去最高で初めて224人に達したということですが、どう思いますか」なんて質問していました。インタビューされた人は、驚き「怖いですね~」なんていう答えをしていました。民放各局の報道ぶりは、基本的に全く同じで、「怖いですね~」「大変です」という不安を煽る放送ばかりで、冷静に分析した報道はほとんど、いや皆無といった状況でした。
 しかし、私は、以前からこの時事寸評のコーナーで、「感染者数にはあまり興味がない。大事なのは患者数と死亡者の数だ」と述べてきました。全国に感染者がどれくらいいるのかについて、政府の専門家会議の尾身茂座長が参院予算委員会で答弁したことがあります。その時の答弁は、「感染者すべてを捕捉しているわけではない」とし、さらに、「実は10倍か、15倍か、20倍かというのは、今の段階では誰も分からない」と語っています。安倍総理も「現在の感染者が、PCR検査で確定している感染者数よりも多いだろうと考えているが、どれぐらいいるかは申し上げられない」と答弁しています。
 感染者数というのは、本来、このような性質のものなのです。ですから今回の過去最高の224人の感染者が出た、という報道には基本的に関心がありません。政策当局が、感染者数が増えることを望むなら検体数を増やせばいいし、逆なら検体数を減らせばいいだけのことです。小池知事は、これをうまく利用して、東京アラートだのステイホーム、三密だのソーシャルディスタンスなどと言って都民を怖がらせ、マスコミへの露出度をあげ、断然有利に知事選を勝ち抜いたではありませんか。
 感染者数というものは、本来そのようなものですから、感染者数の増減に一喜一憂すべきものでないことは自明のことです。

検査人数が全く違う

東京の感染者数グラフ

 では、今回の感染者数の前提となった検体数、つまり母数は何人だったのでしょうか。それは右の表に示すように、3,734人です。ということは陽性率は5.9%ということになります。7月に最高の感染者を出した4月17日の検体数は同じ表で示す通り919人です。ということは、陽性率は22.4%ということになります。
 つまり、陽性率は、4月時点が22.4%で7月時点で5.9%ですから、陽性率は、4分の1に減少しているのです。激減したといってよいでしょう。このように、都民のコロナ感染者の比率は明らかに減少しているのです。しかも、今回、7月時点の検査は、東京の中でも、感染者の密度が高いとみられる歌舞伎町などホストクラブの従業員などを集中的に調べたとされています。それでもこの数字なのです。検査対象が、一般の都民を対象とした検査なら、もっと陽性率は下がったとはず、と考えることもできます。
 このように、感染者数の絶対数は高いものの、陽性率(感染率)は明らかに大幅減少です。つまり、決して怖がったりするようなレベルではなく、大局的にみれば、確実に収束に向かっているということになります。

その他の数値も大幅に改善

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 次に、その他の指標について、東京都が公表したデータに基づき見てみましょう。まず、重症患者数です。感染者のうち、一定数重症患者に移行する人がいます。これが重症者数というわけですが、これも7月時点で56人いましたが、7月6日時点では僅か6人と、これまた大幅に減少しています。約10分の1に減少しているのです。
 さらに、入院患者数は4月時点の2,679人から7月6日には441人と、これまた6分の1にまで減少しています。
 つまり、これまで見てきた数字は、東京都の公表した数字であり、かつ、マスコミでも取り上げられた数字です。
 さらに言えば、死者の数もこれまで一貫して減少しています。直近の東京で、一日最多の死者が出たのは5月24日の9人で、これ以降急速に死者の数は減り、6月24日に2人亡くなっだけで、以降は一人の死者も出ていません。
 これらのデータを見れば、中学生レベルでも、これなら大丈夫だと判断できるのではないでしょうか。どう考えても、「怖い、大変だ」という結論が出てくるはずがないのです。

恐怖心を煽るだけのNHK

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 ところが、地上波テレビなどを見ていると、どの局も感染症の専門家なる医師が出てきて、「大変だ」「これ以上増えたらまた非常事態宣言せざるを得ないかもしれません」といったコメントばかりするのです。
 東京都医師会の会長など、わざわざ記者会見をし「東京は繁華街を中心に、これまでのような行動自粛をする必要が出てくるのではないか」といった危機を煽るような発言さえしていました。行動自粛というのは、医学上の判断と経済情勢などを分析し、行政が判断すべき事柄です。医師会長のような立場で、勝手に言うべきものではありません。あまりにも判断力の欠如した医師会長と言わざるを得ません。
 もっと腹立たしいのは、NHKです。前述したように、NHKは街頭で「昨日、東京では感染者が224人になり、最多になりました。どう思いますか。」式のインタビューを行っていました。当然、事情が分からない一般の都民は、「え~!そんなに増えたんですか~?怖いですね~」という反応になります。
 NHKは、公共放送です。公共放送というのは、いたずらに国民を恐怖に陥れるのではなく、感染者の数がどのように算出されたのか、母数との関係はどうなっているのか、全体の傾向として、収束に向かっているといえるのか、逆に、増加傾向を示しているのか。安易に放送をする前に、日ごろから客観的なデータに基づき分析し、放送することが使命だと思います。
 民放と同じレベルで国民を怖がらせ、視聴率を稼ごうという魂胆なら、NHKの存在意義はありません。最近のNHKは、分析力が余りにも欠如しています。こんなNHKなら、私も本気で「こんなNHKならいらない!」と叫ぶことになるでしょう。(R2・7・11記)

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