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ポンぺオ国務長官の発言を尖閣防衛に生かせ

ポンぺオ国務長官の発言を尖閣防衛に生かせ

南シナ海や尖閣に対する侵略行為を非難

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 7月15日、アメリカのポンぺオ国務長官が重大発言を行いました。
その内容は、「アメリカは南シナ海に面するベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、フィリッピンなど、中国に領有権を侵害されている世界のすべての国を支援する。あらゆる手段を尽くす」と述べたのです。同長官はさらに、「インド山岳地帯からベトナム領海、尖閣諸島に至るまで、中共には領土問題を起こすパターンがある。」と、明確に中国による尖閣諸島の侵略行為にも言及したのです。
 アメリカはこれまで、他国間の領土問題には直接関わらない、との立場を維持してきました。ポンぺオ長官は、明確にこれを軌道修正したのです。武力を背景に周辺諸国を威嚇し、領土拡張を図ろうとする中国共産党の行為をこのまま放置すれば、世界の秩序は破壊されてしまうと危機感を募らせたのでしょう。
 ポンぺオ国務長官の言う通りです。中国は、南シナ海において、フィリッピンと領有権を争うスカボロー礁などの領有権に関し、オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所の下した仲裁判断を「ゴミくず」切り捨て、一切無視しました。この仲裁裁判所は国連海洋法条約に基づいて設置されたものであり、中国はこの条約を承認しているのです。つまり、自ら加盟しておきながら、都合の悪い判断には従わない。文字通り、ヤクザが仕切る無法国家の所為ということができます。
 中国は近年における経済力の伸長を背景に、急激に軍事力を増強してきました。そして、その軍事力を背景に、尖閣諸島において、露骨なまでに領海侵犯行為を繰り返しています。日本の弱腰につけこみ、日本漁船を追いかけまわしてさえいるのです。アメリカの加勢さえなければ、尖閣を掠め取ろうという意図は明白です。

ポンぺオ発言の好機を生かせ

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 米国の国務長官がここまで踏み込んだ発言をしたのは、文字通り歴史的発言と評価してよいでしょう。かつてペンス副大統領も歴史的発言を行いました。2018年、ワシントンのハドソン研究所で行った演説です。副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と断定し、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。「中国とはともに天をいただかない」とさえ言い切ったのです。この発言は、中国に対する明白な「宣戦布告」ともいえる内容だったのです。
 そして、今回の国務長官の演説です。外国の領土問題には関与しない、との従来の立場を翻し、中国による領土領海侵犯行為を座視しない、との立場を明確にしたのです。
 日本はこの際、このような米国の明確な意思をくみ取り、尖閣諸島に対する実効支配を形で示すべきです。具体的には、港湾施設や灯台の建設、そしてそれらを管理する公務員の常駐です。更に踏み込んで、防衛施設の建設や自衛隊員の常駐も早急に検討すべきです。
 断固たる米国の意思が示された今ならば、尖閣をめぐり多くのことが実現可能だと思います。尖閣諸島周辺において、あるいは直接尖閣を舞台にして、定期的に米国と共同の軍事訓練を行うことも可能でしょう。そのことは、米国の断固たる意志と、日本の実効支配を世界に示すことにほかなりません。
 中国という国は、相手が弱いとみればすぐにでも土足で踏み込んでくる国家です。相手の強弱は、国の指導層や国民がどれほどの丹力を持っているかで値踏みをします。嘗て、中越戦争で示されたように、ベトナムのような小国家でも、指導者や国民が断固として戦うという意思を示せば、中国といえども容易に攻撃はできないのです。

ルトワックのみる中国観

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 アメリカの軍事専門家で国防省に勤務し、ホワイトハウスの安全保障会議のメンバーでもあるエドワード・ルトワック氏は、その著「ルトワックの日本改造論」で、軍事面から見た中国観を次のように語っています。
「中国は戦争という問題に向き合っていないし、向き合うことができない。中国人は軍事力を京劇のような、象徴的なものと考えており、実効性よりもハリボテを使って周囲を威嚇することが大事だと思っている。だから、戦争に対して真の準備ができない。南シナ海でも、その戦略なさは露呈している。中国は南シナ海に人工島を次々と造成して軍事基地化しているが、これらの人工島に配置された中国軍機や艦船は地下壕や掩体(えんたい)壕がないため、戦闘が始まったら3分後にはすべて破壊されるのだ。軍事的には無価値な基地で、意味がない。これまで中国が戦争に負けてきた理由もこれで、敵は象徴的なものではなく、現実だ、という認識を欠いてきたからだ。」
 ルトワック氏の認識は適切だと思います。避難場所を持たない南シナ海の人工島は、核など使わずとも3分で消滅するというのも事実でしょう。
 しかし、現代は、直接大量の人間同士がぶつかり合う肉弾戦はありえず、ほぼすべてがAIなどを活用したリモコン操作による戦闘になる可能性が高くなるとみるべきです。南シナ海の人工島も、現実の戦闘能力というよりは、周辺国に対する威嚇、ハリボテとしての役割を担わせている、とみるべきでしょう。そんなハリボテでも、周辺国にとって、この威嚇行為はなお脅威なのです。
 また、ルトワック氏は、尖閣問題について、日中が尖閣で衝突した場合、すぐにアメリカに援けを求めるべきではない。なぜならアメリカ国民から「日本は弱い国だ」とみられ、日米同盟にひびが入るからだと述べ、具体的に次のように提言しています。
「日本政府は尖閣に、海洋環境の保全を目的とする研究所を設立・建設して、所員を派遣し、同時に彼らの保護のために部隊を常駐させるべきだ」。要するに、「無人島にしているからこそ、中国を誘い込み、衝突する危険性が高くなっているのだから、一刻も早く有人島にする必要がある」というわけです。

経済で中国を追い込め

 中国という国家は、この20世紀において極めて異常な国家ということができます。第二次世界大戦が終わり、すでに75年が過ぎているというのに、国内では共産党という非民主的体制で独裁政治が行われています。自国民を弾圧し、あまつさえ国民の臓器を組織的に売買さえしているのです。言論の自由や移動の自由、民主的な選挙制度すらもない一党独裁国家です。他方、対外的には、いまだに領土拡張にまい進する19世紀型の帝国主義を維持しているのです。このような無法国家が経済力の伸長を背景に軍事力を急拡大し、周辺国を威圧、威嚇しているのです。自由と民主主義を信奉するアメリカが怒りを示すのは当然なのです。

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 このような無法な核保有国を武力で制圧することは現実的ではありません。現実的なのは、経済力を削ぎ、軍事力を弱体化させ、内部から体制の崩壊に至らしめる、というのが現実的な手法でしょう。だからこそ米国は中国に対して貿易戦争を仕掛け、経済力を弱体化させようとしているのです。
 日本の唯一の同盟国はアメリカです。そうである以上、官民挙げてアメリカと手を携え、中国の経済力を削ぐことに全力を注ぐべきです。
 ここで障害となるのが、国会の中に巣食う二階派などの親中派議員と経団連です。二階派議員は次の選挙では、絶対に落選させなければなりません。
 経団連は、中国を巨大なマーケットと信じ、資金と人的資源を投入してきました。しかし、この度の一連の新型コロナ騒動や香港問題に見られるように、中国に入れ込んでいたことがいかに国益にそぐわないものだったのか、明白になったはずです。そして、世界にとっても、中国という国が、いかに狡猾で危険な存在であるか、ということが明白になったと思います。
 このようなことから、今は、中国を経済的に追い詰め、内部から体制の転換を図るよう全力を注ぐべきときです。また、アメリカの強い意志が示された今こそ、尖閣を日米で守るという断固たる意志を、行動で示すべき時だと思います。安倍総理、是非とも頑張ってください。我々国民も応援しています。(R2・7・19記)

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