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選択的夫婦別姓、子からの視点を重視すべきなのでは?

選択的夫婦別姓、子からの視点を重視すべきなのでは?

賛成派と反対派の主張

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 最近のニュースで、早稲田大学の研究室と市民団体によって行われた「選択的夫婦別姓」制度に関する意識調査で、20~59歳の男女7,000人のうち70.6%が選択的夫婦別姓に賛成と回答したと報じられました。またこの調査では「別姓が選べないために結婚を諦めたことや、事実婚を選択したことがある」と回答した人が1.3%いたとも報じられています。
 これを受け、自民党内でも、選択的夫婦別姓の導入をめぐって、議論が戦わされているようです。現状のままを主張する別姓反対派の主な主張は、次のようなものです。
① 国民の賛否が割れている
② 旧姓の通称使用の拡充で対応できる
③ 制度導入が子供にどう影響するかという視点が抜けている
④ 親子で姓が異なれば、家族の関係が希薄になる
 これに対して、選択的夫婦別姓賛成派の主張は、次のようなものです。
① (双方の姓を残すために)事実婚を選ばざるを得ない例がある
②制度導入で結婚が増えれば、少子化対策につながる
③ 国民の選択肢を増やすべきだ
④ 複数の子供の姓は、どちらかの姓に統一すればよい

賛成派の論拠は薄弱

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 どちらの主張にもそれなりの言い分があるのは分かります。が、私は、選択的別姓反対派に、より親和性を感じます。賛成派の主張には、次のような難点があるからです。
 先ず、①の双方の姓を残すために事実婚を選ばざるを得ない、との主張です。結婚をしようという二人が、両方の姓を残すことを主張するものなのでしょうか。本来、結婚というのは、「手鍋下げても」という言葉に代表されるように、二人が一つ屋根の下で暮らせることを無上の幸せと感じ、するものではないでしょうか。結婚はしたいけど、あなたの姓は嫌だ、というなら男性が女性の姓を名乗ればいいだけのこと。いや、別々の姓がいいのだ、というなら、結婚なんてやめたら、と言うしかありません。
 次に、②の夫婦別姓にすれば、結婚する人が増えるとの主張。本当でしょうか。結婚しても、鈴木さんと中村さんのまま住んでいくことになるなんて、結婚直後から夫婦げんかが多発しそうな雰囲気で、私なら逆に結婚をためらうことになると思います。それに、少子化問題が夫婦別姓で緩和されるなんて思うほうがどうかしているのではありませんか。少子化問題の根本は、こんな夫婦別姓なんかで解決するようなものでなく、もっと根本的な問題に根差しているものです。
 先進国において、少子高齢化は必然の現象です。各自治体は、子育て世帯への住宅補助や現金給付、多額の出産祝い金、子供の医療費の無料化などさまざまな施策を駆使していますが、国全体としての少子高齢化は止めることができません。ましてや夫婦別姓などで少子化が阻止できるものではないのです。
 ③の国民の選択肢を増やすべきだ、という主張。「何事も選択肢の幅が広いほうが良い」という一般論の立場からすれば、一応、もっともらしく聞こえます。しかし、選択肢の幅が広いほうがいいというなら、夫婦だけでなく、生まれてくる子供も第一子が鈴木で第二子が中村でもいいではないかという議論になります。国家は家庭の集合体です。その家庭がバラバラでまとまりがないような存在になったら、国家そのものが安定感のない、弱小国家になってしまうように思います。
 最後に④の複数の子供の姓はどちらかの姓に統一する、というのも、かなりご都合主義のように見えます。例えば二人の子供がいて、親が離婚しました。妻が子供二人を引き取ることになると、母親と子の姓が異なることことも多くなります。妻は離婚すると原則結婚前の姓に戻るのが民法の原則だからです。もっとも、この場合は、妻が元の姓に戻らないという選択もできるので、一応、解決は可能ですが。

選択的夫婦別姓には反対

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 私は、選択的夫婦別姓には、基本的に反対です。その理由は次の通りです。
 ① の国民の賛否が割れているのは、事実問題としてその通りです。しかし、国民の賛否が割れている問題を、敢えて法改正をしてまで変更する実益はないと思います。
 ② 旧姓の通称使用の拡充で対応できる、という点についても、すでに多くの職場で実行されており、結婚後も名前を変えず、そのまま使用している女性は沢山います。その意味では、事実上、部分的に夫婦別姓がすでに実行されているということもできます。
 ③ 制度導入が子供にどう影響するか、という指摘は重要だと思います。子供の心は繊細です。夫婦円満の家庭の子は、精神的にも安定しますが、夫婦げんかの絶えない家庭は、子供にとって不幸です。私自身、子供のころ、軍隊から帰ってきた父親が恐ろしく、子供同士が家で喧嘩などして遊んでいても、父親が帰ってくると皆正座をしておとなしくしたものです。母親は何度か離婚すべく家を出たこともありましたが、子供たちのために戻ってくれました。子供心に、両親が揃っていることの有難さを痛感したものです。その両親が別々の名前であったなら、その違和感は決して小さくないはずです。やはり、家庭というものは、どちらの名前であれ、一方の姓を名乗ることこそ、古来からの日本の伝統であり、家庭の幸せにつながるのではないでしょうか。
 菅総理は、嘗て読売新聞の取材に対し「不便さや苦痛を感じている人がいる以上、解決を考えるのは政治の責任だ」と答えています。
 しかし、ここでいう「不便さや苦痛を感じている人」というのは誰でしょうか。当然親でしょう。子供が不便さや苦痛を感じるはずがないからです。子供の視点からすれば、親の姓が別々の方が、違和感を感じるのではないでしょうか。要するに、この夫婦別姓問題に関する議論では、決定的に子供からの視点が欠けているのです。私は、「子供からの視点こそ最重要」という立場から選択的夫婦別姓には反対です。結婚に際し、姓を変更することを嫌うなら、今でも結婚前の姓を通称として使用することが可能であり、実生活上特に困ることはないと考えるからです。

実務面での対応は必要

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 タメニ―株式会社の調査によれば、結婚に際し、姓を変えるデメリットは何かとの問いに58%の人が資格や運転免許証、パスポート、クレジットカード、銀行口座、保険などの名義変更と費用がかかる、と答えています。
 確かに、この点は重要であり、解決する必要があります。手続きが面倒なうえに、費用までかかるというのでは、これを忌み嫌うのは当然です。私も引っ越しなどに際して、各種手続きを変更する機会が何度もありましたが、その都度、煩わしくかつ腹立たしい思いをしたものです。ですから、この点が格段に是正できないならば、選択的夫婦別姓も賛成と言わざるを得ません。
 この点については、菅内閣でデジタル庁を立ち上げ、各種手続きの簡素化を推進しています。何としてもワンストップサービスを実現してもらわなければなりません。結婚に際し、婚姻届けさえ出せば、これら各種手続きが自動的に行われる、といった抜本的改善策を講じてもらわなければなりません。これがなされることを所与の条件として、選択的夫婦別姓に反対いたします。でも、これから結婚しようという若い世代が、別姓でいいと言うなら、敢えて反対はしません。それも時代の流れ、変化というべきなのでしょうから。(R2・12・19記)

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