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森喜朗会長の発言はそれほどの大問題なのか

森喜朗会長の発言はそれほどの大問題なのか

森会長が辞意を表明

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 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が辞意を表明しました。テレビや新聞、マスコミ挙げての大騒ぎでしたから、辞めざるを得なくなったんでしょう。
 私は、基本的に森喜朗という政治家は好きではありません。総理の時から嫌いでした。しかし、個人的な好き嫌いとは別に、今回のいわゆる森会長の発言をめぐる、マスコミの非難、特に女性議員などからの非難は強烈なものがありました。
 中でも非難の矛先は、「女性を会議に入れると話が長くなる」という趣旨の発言が、オリンピックの男女平等の精神から大きく外れるという批判です。「そんな会長の下でのオリンピック開催などあり得ない」という論調まで出てくる始末です。
 2月9日には、約20人の野党の女性議員が、白い服装で衆院本会議や予算委員会などに出席しました。白はアメリカなどで女性参政権運動の象徴とされるものだそうです。私は、この姿を見たとき、「ウワ~、またか」と思いました。思わず「MeTo運動」を思い出したからです。この運動は、セクハラや性的虐待を見て見ぬ振りをするのを終わりにするための運動でした。福島瑞穂議員ら全員が、喪服のような黒い服を着てパフォーマンスをしたのです。
 今度は、喪服でなく、全員が白い服装で抗議の意思を示したというわけです。
 森氏の発言については、東京五輪のスポンサー企業からも批判が相次ぎました。スポンサーに名を連ねるトヨタ自動車も、豊田章男社長が、「トヨタが大切にしてきた価値観と異なり、誠に遺憾だ」とのコメントを発表しました。オリンピックでボランティアを予定していた人たちも、辞退するなどという報道もありました。
 こういった一連の新聞テレビなどの一斉攻撃の結果、森会長も辞任に追い込まれたということです。

発言はそれほどの重大事だったのか

得意芸

 私は、マスコミが大騒ぎするときは、一歩引いて考える習慣が身についています。これまでの経験から、大騒ぎする問題は、マスコミのミスリードによって引き起こされたことが余りにも多かったからです。特に、マスコミは、「切り取り」という得意芸に加え、「報道しない自由」を存分に活用するので、余程注意しておかないと騙されてしまいます。
 その典型例は、小池都知事が知事に当選したときです。小池知事が都議会の各党にあいさつ回りをしたとき、自民党の川井重勇・都議会議長が、小池知事が握手を求めたのに、手を引っ込めてこれを拒否したなんてことがありました。しかもその場面を連日、繰り返し放送したため、自民党はすっかり悪役にされてしまいました。その結果、次の都議選では川井議員はもちろん落選、自民党も惨敗することになりました。しかし、後日、握手を拒否したのは悪意ある「切り取り」の結果であることが判明しました。実際は、握手をしていたのです。このような悪意ある切り取りをし、都知事選の結果にまで重大な影響を及ぼし、何らの責任も問われないマスコミ。到底許されることではありません。本来なら放送免許を取り消してよいくらいの重大な捏造報道だったのです。

今回もまたまた切り取り報道だった

 今回も切り取りを行っていないのか、一応私なりに検証してみることにしました。
 そこで、少し長くなりますが、以下に、関連部分の全文を掲載します。ただし、全文と言っても、報道により、各社微妙に異なっているので、代表的な2社の報道を掲載します。先ず、日刊スポーツの掲載した関係部分の全文です。

森喜朗JOC会長のあいさつ全文(日刊スポーツ2021年2月4日より)

 これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る。そんなこともあります。
 私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる。みんな競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方ばかり、ですからお話もきちんとした的を射た、そういうご発言されていたばかりです。

この発言には、更に前後の文章がありますが、40分ほどの挨拶なので長文になります。前後を含め、全文を読みたい方は、こちらからお入りください。→発言全文

次に、同じ部分をYahooニュースは、次のように関連部分を掲載しています。

Yahooニュース

これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。
 女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。

 このように、2社ともに、「女性理事4割」という表現を使っています。更に、Yahooニュースは、「文科省がうるさく言うんですね」という表現を使っていますが、日刊スポーツは、その表現は使っていません。私たち国民は、そのどちらの記事が正確なのか、断定することは困難です。しかし、両社とも「女性理事4割」という表現は使っていますから、この部分は実際の発言でも触れたであろうと推測されます。この4割という数字は、文科省だけでなく、国会議員の定数でさえも、クオーター制で「女性議員4割を確保せよ「」というのが政府の基本方針だすから、オリンピック委員会にもこれを求めたと理解してよいでしょう。
 では、この森発言ニュースを第一報で報じた朝日新聞は、どのように報じたのでしょうか。2月3日付の「朝日新聞デジタル「」によれば、報道内容は次のようなものでした。

第一報を報じた2月3日付朝日新聞デジタルより

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)は3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言した。女性理事を増やすJOCの方針に対する私見として述べた。 この日の評議員会はオンライン会議で、記者にも公開されていた。森会長は「テレビがあるからやりにくいんだが」と前置きしたうえで、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」とも発言。「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困ると言っておられた。だれが言ったとは言わないが」などと語った。その場にいたJOCの評議員会のメンバーからは笑い声もあがった。

 このように、第一報を報じた朝日新聞の記事には、「女性議員4割」という表現も、「文科省がうるさく言うんですね」という表現も使われていません。いきなり『「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言した』と表現し、読者が反発するように誘導しているのです。
 本来なら、「女性議員4割」、「文科省がうるさく言う」という表現が添えられていれば、読者の受け止め方も随分変わっていたはずです。朝日新聞は、「何があっても政権批判」「ポストが赤いのも安倍が悪い」というような報道機関ですから、読者の反発を誘発するにはどうすればよいかを熟知しています。今回も、このように上手に「切り取り」をして、国民に反発させ、辞任にまで追い込んだというわけです。この記事を書いた記者は、社内表彰を受け、今頃は祝杯をあげているんでしょうね。
 

クオーター制は逆差別ではないのか

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「女性4割」というのは、いわゆる「クオーター制」というもので、文科省が理事会には女性を4割入れろ、と指導していることを指しているものです。森会長は、要するに、「文科省の言うように、女性を4割入れると会議が長くなる」と言いたかったということです。つまり、言わなくてもいいことを言ってしまったということです。
 最近では、このクオーター制もあり、女性が会議のメンバーになることが増えているものと想像されます。オリンピック関連団体も、会議メンバーに女性が多くなっているのではないでしょうか。森会長は、そんな実情を踏まえ、ついポロリと本音が出てしまったということでしょう。
 そもそも論として、私は、クオーター制なるものに反対です。あらかじめ女性を何割入れろということは、本人の資質能力とは関係なく、入れる義務があるということですから、逆に、「この女性は(能力はないが)クオーター制によって入ってきた人だ」と見られることになります。典型的な逆差別ではないでしょうか。普通の女性が、そんなことに耐えられるのでしょうか。

すべてが平等である必要はない

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 東京医科大の入試でも問題になりました。大学側は「男子をより多く採りたい」しかし、ペーパー試験だけでは女性のほうが多くなってしまう。そこで「下駄」を履かせることになったということが問題になりました。あの問題でも、私立大学なんですから、『当校は男子100人、女子50人』と決めて入試をすることは許されたはずです。悪かったのは、平等の振りをしながら男子を優遇したからです。逆に、東京モード学院が女子100人、男子50人の枠で入試を行ったとして、特に問題にはされないでしょう。
 何でも平等でなければいけない、というのは大きな間違いです。
すべて平等でなければ気が済まないというなら、宝塚も歌舞伎も相撲も同数ずつ採用しなければいけないことになります。女が男役をするのはけしからん、男が女役をするのはけしからん、とは言わないでしょう。男女同数でやれともいわないでしょう。
 男女平等を言う人たちは、口を極めて平等平等と言いますが、それならお聞きします。サッカーもラグビーも陸上100m競争も、すべて男女混合にすべきなんですか。トイレも公衆浴場も男女共用にすべきなんですか。女子大はあるのになぜ男子大学はないんですか。なぜ女性専用車両だけがあるんですか。きつい、汚い、危険な3K職場も男女平等に採用せよとは言いませんね。自衛隊や警官、ガードマン、レンジャー部隊も同数に採用せよとは言わないでしょう。
 私は別々であって何の不思議もないと思っています。女人禁制の場所があってもよし、男子禁制の場所があってもよし。男側でそのことを怪しからんと言ったことがあるでしょうか。家庭の財布だって、今は給料は振り込みですから、ほとんど妻側が管理しているのではありませんか。国家もそうですが、「財布の紐」を握っている者が「一番の権力者」なのです。一日ワンコイン亭主や千円亭主が、世の中にどれほどいるか想像してみてください。もっとも重要なのは「機会の平等」であって、「結果の平等」ではないのです。

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 むしろ、不思議なのは、囲碁や将棋など頭脳プレーになぜ女流本因坊だの女流名人なんてものがあるのか、不思議でなりません。肉体競技は体力差があるというのは分かりますが、囲碁や将棋は単なる頭脳・技量だけの問題です。体力差など関係ありません。女性のプロは名人でも本因坊でも挑戦可能ですが、男性は、女流名人や女流本因坊に挑戦する資格はありません。でもそんなことに一切文句など言いません。
 女性はなぜこういう問題で、「女流があるのは差別だ!」と言わないんですか。囲碁や将棋に女性特有の打ち方というものがあるんですか。あるなら女性のほうがはるかに有利なんじゃありませんか。都合のいい部分だけ取り上げて、差別だ差別だと騒ぎ立てるのは卑怯なのではありませんか。

女性議員たちの異常な人権感覚

ウイグル改訂

 女性議員たちは、黒の喪服を着てみたり、白の装束を着てみたり、いわば人権感覚が極めて発達しているようです。ならば、隣の国のチベットやウイグル、内モンゴル、香港における人権弾圧に関して、声を上げたでしょうか。寡聞にして聞いたことがありません。北朝鮮の拉致被害者の救済に関し、北朝鮮を非難する声を上げたという記憶もありません。ウイグル民族の弾圧なんて、あまりにひどく欧米ではジェノサイド認定をし、中国の冬季オリンピックボイコットなんて話も出ていますが、女性議員たちは何の反応もしていません。
 今度は、中国大使館の前で、黄色の服でも着て、「中国は人権弾圧をやめろ~」と叫び、北朝鮮に対しても「拉致被害者を返せ~」とか叫んでみたらいかがですか。
 国会議員の最大の仕事は、大局的な見地から見て、今抱える我が国の真の問題は何かを考え、国家の安全と国民の生活を豊かにすることなのではありませんか。中国や北朝鮮のミサイル、核攻撃からどうすれば日本を守ることができるのか、尖閣諸島に迫る危機をどうしたら守れるのか、30年近くも経済発展をしない日本の国家運営はどこか根本的に間違っているのではないか、その原因は何か。そういうところに頭を使ってこそ、国会議員なのではありませんか。
 財団法人であるJOCの森会長に対して、白服を新調してまで、素晴らしいエネルギーを発揮するなら、そのエネルギーの100分の1でも、これら国際問題、国内問題にも費やすべきなのではありませんか。

新聞テレビ業界の幹部は男ばかり

 森発言問題では、新聞やテレビが大騒ぎをしていますが、これら業界の幹部構成は一体どうなっているのでしょうか。
 まず、新聞業界です。国際女性デー(3月8日)に合わせ、新聞や放送、出版などの労働組合でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が、メディア業界におけるリーダー層の女性比率に関する調査を行い、その結果を発表しました。新聞労連に労組が加盟する新聞社や通信社41社や、放送12社、出版41社の状況をまとめたものです。
 それによれば、新聞・通信では、役員についての回答が得られた38社のうち執行役員を含まない会社法上の役員は全体で319人いて、このうち女性は10人(全体の3.13%)しかいなかったとのこと。上場企業全体の5.2%より低いという結果になっています。

改訂

 また、新聞は、記者の女性比率は全体で22.42%と2割を超えていますが、リーダー的ポジションでは8.50%、管理職では7.71%と1割を下回ったとのことです。そのうえ、役員に占める女性の比率は全体で3.1%。30社で女性役員は「ゼロ」だったというのです。読売新聞東京本社と同大阪本社、日本経済新聞は無回答だったとのことです。
 もっとも女性役員比率が高かったのは、東京スポーツ新聞社で50%(4人中2人)。続いて、朝日新聞社が13.3%(15人中2人)だったとのことです。
 次は、テレビ業界です。民法労連によると、2018年10月~2020年1月の任意時点で、在京・在阪のテレビ局で番組制作の中心となる3部門に女性のトップは1人もいなかったとのことです。
 役員(監査含む、顧問・執行役員は含めず)では、在阪局はいずれも女性役員「ゼロ」。在京局では、テレビ朝日、フジテレビ、日本テレビがいずれも「ゼロ」。NHKは9.1%、TBSは4.0%、テレビ東京は6.3%、東京MXは14.3%。平均では4.8%だったとのことです。
 新聞やテレビは、森会長の発言を大々的に報じ非難していますが、自らの会社の役員構成は、クオーター制どころか、女性差別の典型なのではありませんか。
 女性蔑視と世論を煽り、森会長を猛烈非難するなら、先ず隗より始めよ、自社の幹部職員に女性を4割登用し、そのうえで非難したらいかがですか。こういったマスコミの偽善性こそが、国民からの信用を失い、凋落の一途を辿っているということに、マスコミ人は気付くべきです。

最後に

 このようにして朝日新聞は、集団リンチにより、森会長の追い落としに成功しました。大成功です。がんと闘い、週3回の人工透析を受けながら頑張ってきた森会長。しかも、森会長は、就任時、会長職に与えられる給与はすべて辞退すると宣言しました。しかし、規定によりゼロにはできないとのことで、形式上、協会で最安の職員の給与と同額を頂くこととし、それを積み立てておく。
 そしてそれが溜まった段階で、職員全員の場での懇親会費として全額費消していました。会長は、その会合の時の写真を、自室に掲げ喜びとしていた。そういう一面もあったということは、記しておかなければならないでしょう。
 また、森会長の40分に及ぶ挨拶の中には、「女性は優れているので、欠員が出たら必ず(後任に)女性を選ぶ」という言葉があったということも付記しておきたいと思います。(R3・2・13記)

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