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国民民主党は現実政党に脱皮せよ

国民民主党は現実政党に脱皮せよ

支持率1%政党

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 国民民主党は、4月2日、結党後初となる党大会を開き、「政策先導型」の政党を目指すとの方針を打ち出しました。「政策先導型」なる基本理念は一応良しとして、実際には何を政策として打ち出すか、ということが重要です。
 新聞報道によれば、玉木代表は、「国民民主党は、少し先の日本に必要な視点を提示し続けていく」、「政策提案型を政策先導型に進化させる」とあいさつしたとのこと。
 同党の議員数は、衆参両議院で計19人、政党支持率は1%前後と低迷しています。立憲民主党の支持率も、5%前後ですから、両党合わせても支持率は5~6%前後ということです。基本的に野党勢力は、長期低迷状態に陥っており、明るい展望は見られません。

なぜ長期低迷状態が続くのか 

枝野

 野党はなぜ長期低迷状態にあるのか。いくつか理由はあるでしょう。最大の理由は、自民党にお灸をすえるつもりで、「政権交代」を認めたのに、実際の民主党政権が余りにも無能で、党内抗争に明け暮れ、国民生活から遊離した政権であったという事実に、国民が懲りているということもあります。もう二度とこんな野党に政権を取らせてはならない、ということを国民が肌感覚で学んでしまったのです。
 もうひとつの理由は、現実政党ではなかったからです。「コンクリートから人へ」だの「事業仕分け」だのと恰好をつけることは上手でも、国民の生活向上には全く無力だった。鳩山総理の沖縄に関する一連の発言には幻滅したし、菅総理の原発処理も東電職員を怒鳴りまくるだけで、国の指導者として全く大局観がなかった。避難者に1台のバスも手配することなく、ひたすら「直ちに人体に影響の出るレベルではありません」などと宣っていた官房長官もいました。放射能が怖くて雲隠れし、京都市内に籠っていたなんて幹事長もいました。小沢一郎です。
 実際に政権を担当させてみると、全く無能であるばかりでなく、かえって有害な存在であるということが分かったのです。

飛躍の原点は国民の安全と生活の向上

 このような無能ぶりをさらした野党勢力が、起死回生の政権奪取を試みるならば、天と地ほどに異なる政策の転換が必要です。しかも、その政策は現実の世界を見つめ、どのようにすれば「国民の安全」を護り、「生活の向上」を図れるか、この二点に尽きると言ってもよいでしょう。
 第一の安全とは、すなわち国の防衛です。国民の生命財産を守るためには、国防がしっかりできていなければなりません。日本の周辺国は中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど、みな牙を剥き出だしたような国ばかりです。ロシアには北方領土を取られ、北朝鮮には国民が拉致され、韓国には竹島を取られました。そして今、中国は尖閣を取りに来ています。
 日本国憲法の定める「平和を愛する諸国民」など、どこにもいないのです。しかも、中国は、人民解放軍幹部が「300発の核ミサイルが日本に照準を合わせている」と宣い、台湾や尖閣に対する侵略の意図を隠そうともしません。人民日報では、沖縄も中国の領土だ、などとほざいています。
 このような狂犬とも言うべき無法国家群に対して、日本の野党は、具体的にどう対応していくべきか、その理念を示さなければなりません。
 また、国民の生活の向上も必須の要件です。日本は、既に30年近く、国民の所得が向上せず、そのため、中国の追い上げを受け、既に中国のGDPの3分の1の経済力に落ち込んでいます。国民生活の向上、これは国の防衛と並ぶ重要なテーマです。日本は1991年の宮澤喜一内閣以来、低成長の時代に突入しました。何と30年近くの長期にわたり、国民生活は、成長のない足踏みを強いられたのです。父親と自分の息子が同じ初任給だなんて、悪い冗談のような現実が続いてきたのです。

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 色白は七難隠す、なんて言葉がありますが、経済に応用すれば「経済成長は七難隠す」ということになります。経済が成長すれば、企業は潤い、国民の所得も向上する。国民の所得が向上すれば、税収も増大する。税収が伸びれば、国の防衛予算、公共事業、教育、科学技術振興などに振り向ける予算も増大します。つまり、これまで難しいと思われてきたことがすべて実現可能になるのです。この当たり前のことが、過去30年も実現できなかったのです。
 その最大の原因は、ズバリ財務省にあります。財政均衡主義だのプライマリーバランス論(PB論)だの、財政支出の増加に伴うインフレを極度に警戒してきたのです。「今年の国家予算110兆円、国民一人あたりの借金総額は850万円」なる見出しが、日経新聞をはじめ、大手新聞社の経済面に大きく掲載され続けたのです。一時、「日本の借金時計」なるものが、ネットにも掲示されるようにもなりました。
 しかし、これらはすべて財務省(当時は大蔵省)の意向を反映したものだったのです。本来は、このような財務省を諫め、政治主導で政策を改めるべきでしたが、従来の政権は、いずれも財務官僚に弱腰でした。
 これでは国民生活が向上しないのは火を見るよりも明らかです。リフレ派と呼ばれる一部の学者は、積極財政こそ経済発展に必要と唱えていましたが、大勢にはなりませんでした。しかし、アメリカのステファニー・ケルトン教授がMMT理論なるものを掲げ、一躍脚光を浴びました。彼女の主張は、基本的にリフレ派の主張と類似のものですが、外圧に弱い日本人には有効でした。
 いずれにしろ、彼女の理論は、財務省が固執してきた均衡財政主義、基礎的財政収支論に風穴を開けるものとして注目されました。そして、今回のコロナ騒動です。世界中に広がったコロナ騒動で、国民は活動を制限され、経済は極度に落ち込みました。各国は、財政均衡論などに構わず、大胆な財政出動を迫られました。景気悪化などに対処するために世界各国が行った財政出動の総額は、日本円で1400兆円あまりにのぼりました。
 日本も感染対策を受け、国の直接支出30・6兆円、財政投融資などを加えた財政支出は40・0兆円。民間が使うお金も含めた総額の事業規模は73・6兆円に上ります。平時の支出としては、特大の支出を迫られたのです。
 その結果どうなったか。財務省が主張するような「ハイパーインフレ」など、生じていません。はからずも財務省の言う「大幅な財政出動はハイパーインフレを引き起こす」との論が誤りであることが証明されてしまったのです。つまり、MMT理論の正しさが証明されたのです。
 玉木代表は財務省出身です。これまでの財務省の政策が誤りであったことは、十分に理解できるはずです。国民民主党には「政府の負債は国民の資産」という当たり前の財政論に基づき、国家運営に当たっていただきたいものです。

自民党を超える政策を

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 現在、自民党は各政党の中で最大の支持を得ています。数ある政党の中で、最も「現実を踏まえた政党」だからです。一応、私も自民党を支持しています。が、同時に多くの不満をもっています。その多くは、自民党内に巣くう親中派議員の暗躍や、仲間であるはずの公明党が内側からさまざまなブレーキをかけ、政権が思う方向に進めないことによります。
 本来なら自浄作用として、先ず公明党を切り捨て、二階幹事長ははじめとする親中派議員を追放することですが、難しいでしょうね。
 一般の自民党支持者も、自民党に対して多くの不満を持っているのではないでしょうか。私個人の不満は、主に次のようなものです。
〇憲法改正が遅々として進まないこと(もっと早くやれ!)
〇尖閣を侵犯している中国に対して断固とした措置がとれないこと(遺憾砲ばかり撃ってるな!)
〇親中公明党および親中派議員が政権中枢に巣くっていること(公明党も二階も切れ!)
〇財務省の財政均衡主義に毒され、大胆な財政政策がとれないこと(財務省をコントロールするのは政治家だ!)
〇新型コロナに関する対応は、エビデンスに基づき毅然と対応せよ(感染症予防法に基づく分類を現在の第2類から、早急にインフルエンザと同じ第5分類に変更せよ!)
 ほかにも多々意見はありますが、大枠としては、このようなものです。

政策大綱

 このように考えてくると、国民民主党の取るべき政策大綱は、次のようなものになるべきでしょう。

国民民主党政策綱領

●早急に憲法を改正し、自衛隊を国防軍として位置づける。
●財政政策におけるいわゆる財政均衡主義、プライマリーバランス論を破棄し、「政府の負債は国民の資産」を基本とする財政政策により、経済の発展を最重要課題と位置づける。
●尖閣を断固として守り抜く。そのため日本の施政権下にあることを示すため、灯台整備や船溜まりの建設、公務員を常駐させ、日本国旗の掲揚などを行う。
●米国と核シェアリングを行い国の防御態勢を高度に再整備する。
●北京ジェノサイド五輪をボイコットする。
●中国とのデカッップリングを早急且つ強力に促進する。
●地球温暖化を前提とした環境問題を根本から見直す。
●新型コロナについては、感染予防法上、インフルエンザと同等の第5分類とし、経済の活性化を図る。
●労働組合からの支持は受けない

項目ごとのコメント

①早急に憲法を改正し、自衛隊を国防軍として位置づける
 現在の日本国憲法は、形式上、日本国が制定したことになっています。が、実態は、米国を中心とする占領軍(GHQ)が策定したものです。つまり、占領下にあった当時の日本には、これを拒否する権能はなかった。
 本来は、占領終了後、速やかにこれを破棄し、新たな憲法を策定すべきでしたが、当時の社会情勢がこれを許しませんでした。よって、全面的に改定の必要がありますが、当面、国民民主党としては、自衛隊を国防軍として位置づけることを最優先とする。
②財政政策におけるいわゆる財政均衡主義、PB論を破棄し、「政府の負債は国民の資産」を基本とする財政政策により、経済の発展を最重要課題と位置づける
 これまで日本は、財政上の制約により、約30年近く、インフラ、教育、防衛、科学技術など、必要な分野における投資がなされてきませんでした。このため、中国をはじめ周辺国からさえも、経済発展から取り残され、国力を大幅に減退させることになりました。この元凶が財務省の財政均衡主義やPB論であることは言うを俟ちません。よって、今後は、「政府の負債は国民の資産」を基本に、経済の発展を図るため、積極的な財政出動を基本として経済政策を行う。
③尖閣を断固として守り抜く
 尖閣での日米共同軍事訓練、灯台整備や船溜まりの建設、公務員の常駐など実効支配を積み重ねる。同時に、防衛力を高めるため、日米豪印によるクワッドはもちろん、イギリス、ドイツ、フランスなど多国間の連携を強化する。そして最終的にはベトナム、フィリッピン、マレーシア、インドネシアを糾合したアジア版NATOの構築を目指す。
④米国と核シェアリングを行う
 中国の核ミサイルに対抗するためには、我が国も核ミサイルで武装することが現実的です。攻撃への最大の抑止力は最大の反撃力なのです。豪軍の司令官も米国に対して、日本との核シェアリングを提言したとされます。核シェアとは、核の配備・運用に関し日本としても独自の判断ができるということです。相手が打ってきたら打ち返すぞ、ということです。日本は、唯一の被爆国だからこそ、他のどの国よりも、核の脅威から保護される必要があるのです。

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⑤北京ジェノサイド五輪をボイコットする
 中国は、チベット、ウイグル、内モンゴルを不当に占領しました。また、香港を従来の資本主義体制や生活様式を、50年間維持するとした中英共同声明を一方的に破棄しました。更に、南シナ海を一方的に自国の海と宣言し、国際司法裁判所の判決も完全無視するなど、余りにも無法極まります。そのうえ、占領地であるウイグルにおいては、苛烈な弾圧を加え、数百万人ともいわれるウイグル人を強制収容施設に送り込み、強制避妊、性的虐待、内臓摘出およびその売買を行うなど、文字通り現在進行形でジェノサイドを行っています。このような国に、平和の祭典である五輪を開催する資格はありません。
⑥中国とのデカップリングを早急且つ強力に促進する
 前述したように、中国の暴走は止まりません。中国が日本を追い抜いて世界第二の経済大国になったとたん、習近平は牙を剝き、「中華民族の偉大な復興」をスローガンに、周辺諸国を威嚇し、勝手な領土主権を主張するようになりました。この国のすべての行動が、居丈高であり、自己中心的で、これを受け入れない国には軍事攻撃も辞さないという「ならず者国家」になりました。このような乱暴狼藉の国家と、融和的に取引することはできません。
 当然、近い将来、何らかの軍事衝突が起こることは避けられないでしょう。その時、中国に進出していた企業の社員とその家族は人質になります。日本も在留中国人を人質にすればいい、という論理は成り立たちません。中国共産党は、国民の命に何ら重きを置いていないからです。
 従って、日本は、遠くない将来に起こるであろう有事に備え、中国に進出した企業の従業員とその家族を早急に中国の国外に移動させる必要があります。米国のトランプ大統領も、米国民は早急に国外に出るように、予め何度も警鐘を鳴らしていました。
 半導体は、スマホや医療機器、自動車、戦闘機など、あらゆる分野に活用される産業のコメです。台湾のTSMCはその半導体の最大の供給企業です。同社は更に200億ドル(2兆2,000億円)を投じて、巨大半導体工場を建設中です。しかし、中国の台湾攻撃があれば、瞬時に供給ストップになります。嘗て、世界最大の半導体供給国だった日本は、中国の台湾進攻をも睨みながら、国内で自給できる体制を確保すべきです。その能力と実力は十分にあるのです。
⑦地球温暖化を前提とした環境問題を根本から見直す 
 地球は本当に温暖化しているのか、また、温暖化は本当に悪いことなのか。CO2の増加は本当に人類にとって悪なのか、これらのことについて、科学的根拠に基づき、きちんと検証する必要があります。
 高い技術を持ち、エネルギーを高度に活用する国が、公害対策も施さず、石炭電力発電所を急増させ、山や川に公害を垂れ流ししている国に、お金を出して、その国の排出権を買い取る。このような「排出権取引」は、日本の国富を、毎年、数兆円単位で海外に逃がすシステムであるということに、思いを致す必要があります。しかも、このシステムが、中国など、公害垂れ流しの国が一方的に受益し、エネルギーを高度に活用している国が多くのお金を支払う。そのシステムの欺瞞性に気付かなければなりません。日本は、国益の観点から、この温暖化対策の欺瞞性に気付く必要があります。
⑧新型コロナについては、感染予防法上、インフルエンザと同等の第5分類とし、経済の活性化を図る
 昨年2月から新型コロナは日本列島に拡散し、一部地域で死亡者が増えましたが、それすらも、「感染症全体の死亡者」という視点で見るならば、決して例年以上には増えていません。
 それどころか、日本感染症研究所の示す「超過死亡者」、すなわち感染症に関し、平年の死亡者数をもとに予想した予想死亡者数より、むしろ減少しています。これは、新型コロナの蔓延により、インフルエンザの感染が抑制された結果、と言うことができます。感染症に特有の「干渉」の結果です。
 このような事情を総合するならば、現在の第2類から、早急にインフルエンザと同じ第5分類に変更することが必要です。
⑨労働組合からの支持は受けない
 戦後の一時期、労働組合は力を持っていました。しかし、既に労組の力は、ほとんどありません。むしろ衰退する一方と言ってもよいでしょう。このような労組と「組んでいる」と思われるだけで、一般国民の票は逃げます。戦後の残滓としての労組との決別こそ、新生国民民主党の目指すべき現実的な道です。沈みゆくぼろ船にしがみつく理由はないのです。

最後に

枝野

 国民民主党は、少数野党に追い詰められた以上、立民や共産党など他の野党との連携を模索すべきではありません。増々埋没せざるを得ないからです。そのため打ち出したのが、「政策先導」型の政党への脱皮ということでしょう。
 そのこと自体は悪くありませんが、思考の基本は、「今、国民は何を求めているのか」、ということに尽きます。
 多くの国民の不安は、迫りくる横暴な中国の脅威に対し、日本はどのように対処すべきか、ということです。論理や倫理に訴えたり、外交でどうにかなるような国ではありません。一歩譲れば二歩踏み込んでくる国柄です。とにかく全力を挙げて守るしかないのです。
 これまで中国は、経済がぜい弱で、日本の後塵を拝していました。しかし、2010年に日本のGDPを抜き去り、日本の3倍のGDPをもつようになり、中国はその本性を露にしました。習隠蔽、いや習近平は、鄧小平が唱えたこれまでの韜光養晦(とうこうようかい:才能を隠して、内に力を蓄える)路線からから、周辺諸国への帝国主義的侵略をするよう方針を大転換したのです。それどころか、露骨に世界のリーダーであるアメリカの覇権にさえ挑戦するようになりました。
 その結果、両大国は、譲ることのできない厳しい対立関係に突入したのです。そういう世界情勢の中で、日本はどのように振る舞うべきなのか。責任ある政党なら、週刊誌レベルのスキャンダル追及に明け暮れる日本の国会に、多くの国民が不満を抱いていることが理解できるはずです。
 国民民主党は、従来型の批判政党から、責任野党としての自覚を行動で示していただきたいものです。そうすれば、多くの国民の共感を得、自民党支持層から移動する人たちも多く出てくるはずです。1%政党から2桁政党への脱皮は、決して遠い夢ではないのです。(R3・4・6記)

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