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「専門家」という名の素人集団に振り回されるコロナ政策

「専門家」という名の素人集団に振り回されるコロナ政策

4回目の緊急事態宣言

 ホントに驚きました。またまた4回目の緊急事態宣言の発令です。「仏の顔も三度まで」という言葉がありますが、4回も同じことを繰り返されれば、いかに温厚な国民でも怒り出します。多くの国民が、怒りとともにうんざりため息を漏らしているはずです。私も、いい加減、普通の生活に戻せ!と叫びたいのを堪えています。
 菅総理は、例によって「専門家の意見を聴いて」と言っていますが、安倍総理を含め、何度このセリフを聞いたことでしょう。

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 ところで、この専門家なる集団、本当にウイルスの専門家なのでしょうか。専門家として登場する人たちを見ていると、全員「医者」です。医者の仕事は何か。「病気の治療」つまり、病気を治すことが本務です。病気を治すことが仕事の人が、ウイルスの何を知っているのでしょうか。そもそもウイルスを顕微鏡で見たことがあるのでしょうか。ウイルスを見たことがあるとして、ウイルスの種類、動態、性質、挙動など、ウイルスに関する専門知識を本当に持っているのでしょうか。私には「専門家」と称する人たちがウイルスに関する専門的知識を有しているようには到底見えません。
 これらのウイルスの専門家でない人たちが集まって、緊急事態宣言をせよ、蔓延防止措置をせよ、無観客が望ましい、などと言うのは、完全な越権行為なのではありませんか。
 政府分科会の尾身会長自身、自治医大卒後、地域医療に従事し、同大の予防生態学教室に勤務した経歴はありますが、その後は長くWHOの感染症対策部長など管理職を務めています。決してウイルスの研究をしてきた経歴の持ち主というわけではありません。
 菅総理は、こういった専門家もどきの人物たちの意見をもとに、緊急事態宣言の要否を決定しているのです。専門家の意見を聴くというなら、長年ウイルスの研究に取り組んできた宮沢孝幸京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授や井上正康大阪市立大学名誉教授など、本物のウイルス研究者の意見を聴くべきなのではありませんか。
 宮沢教授は、著書「京大 驚きのウイルス学講義」の中で、「未知のウイルスと言っている人もいますが、ウイルス学的に言えば、既知のウイルスです。既知すぎるくらい既知です」と述べています。確かに、昨年初めの段階では未知のウイルスでしたが、今は完全に身元の判明した既知のウイルスになっているのです。だからこそイギリスもドイツも、観客がマスクなしで、サッカーの試合を観戦し、感染者2,000人を出しても平気なのです。つまり、普通の風邪と認識すれば、感染してもいずれ治る、恐れるに足らない、ということです。

宣言は政治家が大局判断でするもの

 緊急事態宣言は、国民生活万般に多大な影響を及ぼします。学齢の子供たちにはマスクでの登下校や授業、課外活動や運動会、修学旅行の中止など、学業生活のすべてに大きな影響を与えています。大学生は、入学式すら行われず、丸々1年以上もリモートでの授業を強いられたりしています。ただの一度も対面授業が行われず、一人の友人さえもできないというのに、もう来年には就職活動に走り回らなければならない、という漫画のような光景が展開しています。

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 家庭の主婦も大変です。子供の送迎に難渋したり、リモートで家庭にいることになった亭主の食事を作ったり。そのうえ、非常勤の悲しさで職を失うなど深刻な影響を受けています。サラリーマンも、リモートでの勤務が増え、生活の大変化についていけない人も多いはずです。そして我々高齢者も、旅行や知人たちとの会合が激減し、飲酒やカラオケなどの楽しみも奪われてしまいました。家に籠っていれば、却って健康を損ねるのは常識というものです。
 一番深刻なのは、直接、職を奪われた飲食業や観光・輸送業従事者でしょう。7割、8割も顧客を奪われた人たちです。ANAだったでしょうか。2年連続でボーナスゼロ、なんて情報もありました。安定収入を前提に住宅ローンなど組んでいたら、大変な事態です。もちろん、音楽や芸能関係者など、生活に困窮している職種はほかにも多々あるはずです。
 生活苦から自殺者も増えています。2020年における総自殺者数は2万1,077人。男性は前年よりも減少しましたが、女性は2019年から934人増加し7,025人になりました。女性により大きな負荷がかかっているのです。若年層も、小学生が15人、中学生が145人、高校生338人の合計498人で、統計開始以来最多だった1986年の401人と比べ20%近くも増えています。2021年はまだ統計が出ていませんが、もっと深刻な事態になっていることは容易に想像ができます。
 このようなことを考えるならば、緊急事態宣言や蔓延防止措置の発出は、極めて慎重かつ限定的に行うべきものです。換言すれば、余程の事態でない限り、これらの宣言は行ってはいけないのです。
 しかるに、菅総理の行動を見ていると、自らの判断よりも「専門家」と称するウイルス素人集団、すなわち「お医者さま」たちの意見と、「煽り専門のマスコミ」の論調を最も重視しているように見えてなりません。菅総理や小池知事が多用する「専門家の意見を聴いて」というセリフは、自らの責任を回避する、責任逃れの言い訳なのです。
 政治家なら「様々な分野の専門家の意見も参考にし、自ら決断」すべきなのです。様々な分野とは、医学分野だけでなく、経済や社会政策、そして世界の情勢など、行動規制に伴うあらゆる事象を斟酌して決断することです。多くの国民の不満の源泉は、ここにあります。

世界基準で見れば本当にさざ波

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 日本の感染者や重症患者、死亡者数は、高橋洋一嘉悦大学教授に指摘されるまでもなく、さざ波程度、いやもっと言えば「凪(なぎ)」といってよいくらいのレベルにすぎません。
 日本のテレビや新聞を見ていると、感染者の数ばかり言い、重症患者の数や死亡者の数はほとんど言いません。感染者の数を前提に「感染者が増えた」と言って大騒ぎをする。重症者の数や死亡者の数は言わないか、言っても付け足し程度。多くのメディアが感染者の数ばかり強調して「大変だ」と大騒ぎをしているのです。そして「デルタ株は感染力が強い」とは言うが、「感染力が強いということは弱毒化している証拠」とは決して言わない。
 大変か大変でないかは、世界レベルで比較することが重要であるのは当然です。既にこの欄でも度々指摘したように、日本の感染レベルは「さざ波」レベルでしかないのです。そのさざ波程度が今後、どのように変化していくのか、それは誰にも分かりません。
 しかし、マスコミや「専門家」の言うように、「今後、第4波が来て、大変なことになる」というのは、常識感覚でもありえない、と考えるべきです。その理由は、次の通りです。
① 高齢者は感染すると重症化しやすいとされているが、65歳以上の高齢者を対象とするワクチン接種(2回目まで完了)は、既に43%に達しており、今後、高齢者の死亡者数は大幅に減少する確率が高いとみられること。
② 今後も、ワクチン接種は拡大していく見込みであること。
③ オリンピックで来日する外国人は、接種証明者を持参するなど、感染予防対策を講じており、日本側の水際対策も万全を期している。よって、日本の接種浸透と合わせ、外国人が感染源として日本人に拡散する可能性は低いとみられること。

東京の死亡者数は既に収束期

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 しかもです。東京都における感染者数は若干増え気味とみられますが、死亡者数は明らかに収束段階に入っています。6月20日からの死亡者数はほぼゼロか2レベルです。6月20日が3人、26日が4人ですが、それ以外はすべて1人か2人なのです。
 人口が1千万人を超える東京都において、毎日一人か二人しか死亡者がいないという状況の中で、緊急事態宣言を発するというこの感覚、私には全く理解できません。感染者数も大事な指標でしょうが、死亡者数の方が遥かに需要な指標なのではないでしょうか。なぜなら、いかに感染しようが、死ななければよいのです。どのような病気に罹っても死ななければ、決して怖い病気とは言えません。
 その死亡者数が上のグラフのように、ほぼ毎日ゼロ行進を続けているというのに、敢えて緊急事態宣言を発する理由が全く理解不能です。どうして政府の分科会やマスコミは感染者の数ばかり問題視するのでしょうか。感染者数というのは、死亡者数と違って、検体すなわち検査する人数を増やせば、いくらでも増やすことができるのです。
 なお、上図のデータは、東京都の調査をそのままグラフ化したものです。データに疑問がある場合は、ネットで「新型コロナ 東京都 死亡者数 推移」で検索すれば、生データを入手することができます。

日本の良さを知ってもらう絶好のチャンス

 日本オリンピック組織委員会は、競技終了後、選手たちには観光などを遠慮してもらい、一日も早く帰国してもらうことを考えているようです。しかも、「原則無観客」です。せっかく作った国立競技場の観客席は使用しないというのです。何という愚かで寂しい話でしょう。
 オリンピックの舞台は、日本というものを世界にアピールする絶好の機会です。報道陣に自由に取材してもらい、日本の良さを伝えることは日本にとって限りなく大きなメリットにもなります。
 競技が始まれば、感動の名場面が数多く出ることになります。それらの報道は、世界の人たちに強い印象として残ることになります。
 日本オリンピック組織委員会は、選手たちが、決められた場所以外には行かないなど、厳しい行動制限を考えているようですが、やりすぎです。今の日本の感染状況を考えれば、明らかに過剰な対応です。

無観客などもってのほか

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 このように、現在の菅政権の対応は、明らかに過剰対応です。この過剰対応の原因は、くどいようですが、「専門家」と称するウイルス素人集団の意見を基にしているからです。前述したように、世界レベルで見れば、日本の感染状況は「さざ波」程度に過ぎないのに、無観客になどしたら、文字通り世界の笑いものになります。心ある日本人の多くも、今の菅政権の対応は、余りにも過剰反応であると感じ取っていると思います。
 オリンピックを無観客で行うというなら、現在行われているプロ野球や大相撲はなぜ観客を入れているんですか。今夏、甲子園で行われる全国高校野球大会は、なぜ中止したり無観客にせよと言わないんですか。余りにもバランスを欠いているではありませんか。主催者である朝日新聞は、即刻、全国高校野球大会を中止を宣言すべきなのではありませんか。第一、高温化してきた真夏の一番暑いときに、高校生を連日、野外で競技させる大会のあり方こそ、問われるべきなのではありませんか。自らの非常識を顧みず、社説でオリンピック開催の中止を求める、朝日新聞の歪んだ体質、商業主義こそ問われるべきです。

飲酒禁止もやりすぎ

 「専門家」と称する素人集団は、酒の提供も控えよ、などと言っていますが、これも過剰対応です。現在、どこの店でも酒の提供には、こまめなアルコール消毒やプラスチックの衝立を立てるなど、慎重な対応をしています。一人の客はもちろんのこと、二人連れの客も感染源とはならないはずです。なぜなら、知り合い同士で来ているんですから、感染するなら、既に店に来る前に感染しています。店に来て初めて感染するわけではないのです。第一、感染源を飲食店だとするデータは、一体どこにあるのでしょうか。国民は、飲食店が感染源だとする基礎的なデータの説明を受けたことがありません。

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 それどころか、量子コンピュータを使って、個人の呼気がどのように拡散するか、といった画像をテレビで見たことがあります。このようにして感染が広がるのだ、ということを立証しているのでしょう。ならば、満員電車は、三密の密の塊、呼気の大集団ですから、真っ先に「絶対に電車には乗るな」「電車ほど危険な乗り物はない」と言わなければなりません。
 要するに、私たちは、「専門家」と称する素人集団から、データに基づく説得力のある説明を受けたことが一度もないのです。
 冷静に考えて見ましょう。新型コロナで大騒ぎをしていますが、それによって、日本人全体の死亡者は増えたのでしょうか。いいえ、増えていません。逆に減っています。そのことは、既に、この欄で度々説明しました。日本は「超過死亡数」がマイナスになったのです。超過死亡者数とは、例年の死亡数をもとに推定されるその年の死亡者数(=予測死亡数)と実際の死亡者数(観測死亡数)の差を示すものです。インフルエンザや結核、ガン、肺炎といった他の病気も合算した総死亡者数のことです。
 これがプラスなら予測した死亡者数よりも多い、マイナスなら予測よりも少ない。ですから「マイナスが多ければ大きいほどよい」、ということになります。その結果は、日本は、予想された死亡者数より、現実の死亡者数ははるかに少なかった。それもダントツ(=1番)に少なかったのです。コロナ対応では世界のトップランナー、最優秀国だったのです。
 この陰には、インフルエンザによる死亡者数が、例年の600分の1にまで減少したことが大きく寄与したとみられています。ウイルス同士の干渉による現象と考えられています。高橋洋一教授が「さざ波」程度といったのは、決して間違っていないのです。
 このような状態で、せっかくのオリンピックを無観客で実施したとするなら、本当に世界の笑いものになります。このような大局判断、政治決断ができないなら、菅総理は国のリーダーとして失格です。このままでは、来るべき衆議院選で、自民党は大きな痛手を受けることになるでしょう。(R3・7・9記)

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