時事寸評 書評コーナー

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世界に蔓延する脱炭素化という欺瞞

世界に蔓延する脱炭素化という欺瞞

CO2ゼロは日本弱体化の陰謀

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 最近におけるCO2ゼロ、脱炭素化(カーボンニュートラル)への流れは、とどめようのない大きな潮流になっています。この同調圧力に掉をさす人間は、環境に背を向けた極悪人とさえ呼ばれかねない雰囲気があります。
 日本政府も、菅前総理がポストコロナ時代では未来を先取りする社会変革が重要だとして、「従来の2013年比で26%減を46%減に引き上げ、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」との考えを強調しました。
 岸田現総理もCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)に出席して演説し、「50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするために、30年度に13年度比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向け挑戦を続ける」と宣言しました。併せて、百億ドル(1兆1千億円)の後進国支援を公約し、お土産として化石賞をもらって帰国しました。化石賞というのは、温暖化対策に後ろ向きの国に与える賞です。
 また、小泉進次郎前環境大臣も、レジ袋の有料化をしたばかりなのに更に、「次はスプーン、フォーク、ストローだ」と悪乗りする始末です。馬鹿丸出しとは、このことです。

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 財界も、負けてはいません。経団連は2021年11月8日に「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする政府目標の実現に向けた行動計画」を公表しています。つまり、世界はもちろんですが、日本の政界、財界の潮流は全面的に脱炭素化への流れを支持しているのです。もちろん、日本のマスコミもほぼこれに同調し、批判的な論調はみられません。
 このように、すべてのベクトルが温暖化防止、CO2削減へとまっしぐらに突き進んでいるのです。

CO2

 しかし、私は、このコーナーでも度々述べてきましたが、敢えてこの脱炭素化、CO2削減というテーマに大きな疑問を感じ、日本の取り組みに反対してきました。
 なぜなら、これらの環境問題すなわち脱炭素化の問題は、明らかに地球気象に関する科学的なデータおよびその分析が前提となるものであり、冷静な科学的議論が必要であると考えるからです。
 しかし、COP25やCOP26における各国の議論は、温暖化とその深刻な影響は100%証明された疑う余地のない大前提として、対策が論じられています。つまり、「CO2をいつまでに、どれくらい削減するのか」ということが最大の焦点になっているのです。
 この当然の前提に異を唱える者に対しては、中学生レベルの知識しかないと思われるグレタ・トゥンベリ嬢が登場し、世界の大人どもを激しく非難し、対策を加速せよと迫るのです。彼女が胡散臭いのは、それほど科学的知識があるとも思えない中学生の頃から、地球環境の危機を叫び、CO2を削減せよと激しく叱責しながら、なぜ最大のCO2排出国である中国に対しては一言も非難しないのか、ということです。この一事だけでも、裏で誰が彼女を操り、資金を出しているか、という合理的な疑念が生じるのは当然でしょう。

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 国連もIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)と軌を一にしています。グテレス事務総長は、「我々はもはや、気候危機から目を背けられない」と述べ、気候温暖化問題は、一刻も早く解決しなければならない世界の重要課題である、との認識を示しています。
 このように、本来、地球温暖化問題は「科学の問題」であるはずなのに、いつの間にか大きな政治問題と化してしまっているのです。
 そしてすべての流れは、「国別にCO2削減目標を定め、今後どのように削減していくか」「削減量は排出権取引によっても達成可能である」という流れが定着してしまいました。
 日本の大学の研究者たちも、この流れに乗り遅れまいと、温暖化対策のための研究開発予算を獲得しようと活動しています。各省庁も、予算獲得のため、敢えて否定的な意見には蓋をし、予算獲得競争を展開しています。

失われる国費

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 この温暖化対策に要する費用はどれくらいになるのでしょうか。この費用の内訳の第一は、先進国が途上国に拠出する支援資金です。先進国は既に毎年(!)約1,000億ドル(約11兆円)を拠出すると約束しています。岸田首相も英国で開催されたCOP26で、2025年までの5年間、毎年、2,800億円(総額1兆1,400億円)、官民合わせた総額で700億ドル、約7兆9,800億円を支援すると表明しました。
 この支援金のほかに、実際にCO2ゼロを実現するために必要になる金額はいくらになるのか。これには経産省の研究機関であるRITE(地球環境産業技術研究機構)が算出した試算があります。仮に日本の温室効果ガスを8割削減するという前提で試算すると、2050年におけるコストは、何と年間43兆円から72兆円とされています。コストに30兆円もの幅が出るのは、原子力の利用をするか否かによるとされています。
 目標の8割削減するだけで、年間43兆円から72兆円の負担をすることになる。10割削減なら54兆円から90兆円になります。もはや国家予算に匹敵するレベルです。こんなことが現実に起こりうることなのでしょうか。もはや狂気の沙汰と言ってよいでしょう。
 地球温暖化対策に要する費用、すなわち失われる国費については、定説がないようです。科学者で中部大学教授の武田邦彦氏は、この意味のない温暖化対策のために国費が年間12兆円失われる、と述べています。

<関連動画>
▶▶▶武田邦彦の「ホントの話」①
▶▶▶武田邦彦の「ホントの話」②

地球温暖化の弊害はデータで証明されていない

 地球温暖化をめぐっては、少なからぬ良識ある科学者たちは異論を唱えています。例えば、東京大学生産技術研究所副所長の渡辺正氏、前述した武田邦彦教授、東工大の丸山重徳教授などです。武田邦彦教授は、「地球誕生時にはCO2は95%もあった。それが現在では0.04%にまで減少してしまっている。むしろCO2は増やすべきなのだ。」とさえ述べています。
 京都大学大学院人間・環境学研究科の鎌田浩毅教授も、その著「資源がわかればエネルギー問題が見える」(PHP新書)で、温暖化そのものについて疑問を呈し、次のように述べています。

鎌田浩毅

 現在はふたたび緩やかに氷河期に向かいつつある時期にあります。じつは、人類史的に考えると、温暖化よりも寒冷化のほうが、生物には打撃が大きいのです。もし気温が下がりつつけて北半球の多くが氷河に覆われるようになると、穀物生産が激減して食糧危機が到来する恐れがあります。
 さらに、大気中の二酸化炭素が減ると、今度は光合成が抑えられ、植物の生産量そのものが減少するといった現象も起こりえます。
 前作「次に来る自然災害」でも述べたように、現在は、長期的には寒冷化している途上にあります。いま世界中で話題になっている地球温暖化問題とは、地球が寒くなりつつある最中の局所的な温暖化なのです。(同書221ページより)

 このように、地球温暖化問題に関しては、そもそも論として、「仮に地球が温暖化しているとして、その温暖化は本当に人類にとって耐えがたいレベルのものなのか」、といった根本的な議論がなされていないのです。

著書「脱炭素は嘘だらけ」を発見

脱炭素

 そうした中、地元の書店で「脱炭素は嘘だらけ」(産経新聞出版)という本を見つけました。著者は、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏です。彼の経歴を見ると東大理学部物理学科卒、電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などに勤務したほか、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員会等のメンバーを務める、とあります。
 あれ?IPCCのメンバーも務めているなら、体制側、つまり地球温暖化の事実を認め、その対策を講ずべき、という側の人間ではないかと疑いました。しかし、本のタイトルはもちろん、内容も、文字通り脱炭素は嘘だらけ、脱炭素は国民経済を破壊する、気候危機はリベラルのプロパガンダ、危機を煽るNHKと環境白書、CO2ゼロは中国の超限戦など、脱炭素化という世界の潮流に反旗を翻す項目が並んでいます。
 以下、同書を基に、杉山氏の主張を少し見てみることにしましょう。

気候危機を煽る環境白書

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 私たちは、地球温暖化が問題なのは、温暖化により海水面が上昇するとか、台風、猛暑、豪雨が多発するといった情報を植え付けられています。
 著者は、令和2年版の環境白書にはこれらの台風、猛暑、豪雨が多発すると書きながら、それを裏付ける観測データすら掲載されていない、と述べています。例えば、「台風」「激甚化」と繰り返し書いてあるが、台風のデータが全くない、というのです。では、そのデータはどこにあるかというと、日本政府が別途まとめた資料にはきちんと掲載されていて、台風は増えてもいないし、強くもなっていないことが記述されている、というのです。
 詳しくは著書や下記の動画をご覧いただくとして、私たちの頭には、地球温暖化により、台風が増え、しかも激甚化していると刷り込まれていますが、先ず、この初歩的な事実からして、データと異なっているというのです。

杉山大志氏が示す実際のデータをご覧になりたい方は→こちらから
 
 このことは、小泉進次郎が環境大臣であったことと軌を一にしている、と考えることもできます。事務方が、事実に基づいて書こうとしても、小泉大臣が地球温暖化は所与のものとして「レジ袋有料化」だと騒ぎ、「次はスプーン、フォーク、ストローもだ」、と言っているのに、事務方として「台風も豪雨も、猛暑も激甚化などしていませんよ」とは言えなかった。愚昧な大臣の気持ちを忖度し、併せて世界の潮流に乗ったと、いうことなのかもしれません。

地球温暖化で人類は困らない

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 著者は、地球が温暖化しても、人類は困らない、とも述べています。80歳を目前に控える私の個人的な実感としても、子供の頃、私の育った北関東は、毎冬、何度か雪が積もった記憶があります。度々雪道を長靴で登校した記憶があるからです。今は、ほとんど雪が降りませんが、地元の人はむしろ喜んでいます。
 著者も、この点について、「IPCCは地球の平均気温は産業革命前に比べて約0.8°C上昇したと述べているが、この0.8°Cの上昇で特段困ったことは起きていない」と述べています。逆に、「この緩やかなCO2の濃度上昇と温暖化は、むしろ人の健康にも農業にもプラスだった。豪雨、台風、猛暑などへの影響はなかったか、あったとしてもごくわずかだった。そして何より、この170年間の技術進歩と経済成長で世界も日本も豊かになり、緩やかな地球温暖化の影響など、あったとしても誤差の内に搔き消してしまった。」とも述べています。
 このように肌感覚として緩やかな温暖化はむしろ歓迎すべきことであり、決して忌避すべきことではないと考えられます。
むしろ、ツバルや北極の白熊の例に見られるように、過度に温暖化を恐ろしいことと演出することによって、誰かが損をし、誰かが得をする、という壮大な欺瞞が生じているのではないか、と疑うべきなのです。

中国の高笑いが聞こえる

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 それを象徴するかのように、著者は、中国の高笑いが聞こえるといいます。「中国の現行計画では、今後の5年間で温室効果ガス排出量は1割増える」というのです。中国の経済成長が年率5%とすると、2025年の排出量は2020年に比べて10%増大することになるからです。開発途上国は経済開発の権利があり、先進国は過去のCO2排出の責任を負って率先してCO2を減らすべきだ、というわけです。そしてこのような手前勝手な主張は、G77と呼ばれるアフリカ諸国をはじめ、中国が手なずけた77か国によって支持されるというわけです。

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 それだけではありません。トヨタはや日産、ホンダをはじめとする日本の自動車産業を斜陽化させ、300万人と言われる労働者の雇用を奪うことにもつながるのです。逆立ちしても日本の自動車産業に太刀打ちできない中国にとって、地球環境を口実に、先進国から支援金を引き出し、自動車産業競争の舞台すら変えることのできる地球温暖化問題。これほど美味しい話はありません。
 著者は、「先進国が自滅し、中国に棚ぼたが転がり込む。気候変動という、先進国に蔓延る奇妙な新興宗教の顛末に、中国は高笑いだ。」と述べますが、正しくその通りの事実が進行しつつあるのです。
 詳しくは本書をご覧いただくとして、多くの良識ある科学者が、この地球温暖化の欺瞞を指摘しているにもかかわらず、先進国を含めた多くの国々がCO2削減へと大きく舵を切っているこの現状を、どうして変えようとしないのか、私には全く納得ができません。正に、「地球にはびこる奇妙な新興宗教」と表現する以外に言葉がありません。是非一人でも多くの人に、本書を読んでいただき、その壮大な地球規模の欺瞞に気づいていただきたいものです。(R3・11・27記)

<関連動画>
▶▶▶渡辺正東大名誉教授「地球温暖化説」を冷静に見るための11の視点
▶▶▶【国連のデータ捏造発覚!】知らないのは日本人だけ?東大名誉教授が語る"地球温暖化の嘘"
▶▶▶【環境問題は嘘だらけ】酸性雨・温暖化・ダイオキシン…根拠はありません!
<関連書籍>
▶▶▶「EV推進の罠」(加藤康子・池田直渡・岡崎五郎著)ワニブックス

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