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岸田内閣の高支持率、本当に不思議です

岸田内閣の高支持率、本当に不思議です

59%の支持率とは

グレタ

 読売新聞の世論調査によれば、岸田内閣の支持率が59%という高い水準を維持しているとのこと。過去、政権発足以降半年間で5割以上の支持率を維持したのは、細川内閣、小泉内閣、第2次安倍内閣だけだというのです。率直に言って、これほど高い支持率を維持できていることに驚きを禁じえません。確かに、総裁選時、時の権力者、二階幹事長切りのため「党三役の任期制」をぶち上げたり、令和版所得倍増計画を唱えて「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し所得を引き上げる」など、それなりに評価できる要素もあるかも、という期待を持ちました。私の意中の人は高市早苗氏でしたが、彼女でないなら岸田しかいないだろう、とは思っていました。河野太郎も野田聖子も問題外、と思っていたからです。
 さて、岸田政権発足後、どうなったか。一応、二階幹事長切りは実現しました。しかし、それ以外に目新しい評価すべき項目は見当たりません。立候補時、金融所得課税にも言及しました。「成長と分配」という大方針を実現するためには必要な政策だというわけです。しかし、経済界や投資家からの評判が悪いと知ると、途端に沙汰やみになりました。
 もちろん、この点について個人的には、「結果オーライ」だと思っています。今現在、20%の金融所得課税がかかっているところにさらに増税では、株式市場にとって大きなマイナス要因になるからです。経済専門チャンネル「日経CNBC」が実施した調査では、岸田政権を支持すると答えた人は僅か3%、支持しない人が95.7%という衝撃的な結果が出ました。銀行や郵便局に預けても金利はほぼゼロという状態で、止む無くなけなしのお金を株式投資に向け、少しでも目減りを防ごうとしている人たちに追い打ちをかけるような政策だからです。
 このほか、岸田政権は、「自社株買い制限」や「コロナ鎖国」などといった景気を冷え込ませるような発言を繰り返し、投資家の希望の芽を摘み続けました。
 また岸田政権は、いわゆる「トリガー条項」の発動に極めて消極的でした。トリガー条項とは、ガソリン価格が3か月連続で160円を超えた場合には、ガソリン税25.1円を軽減するというものです。国民の税負担を軽減する措置です。しかし、このトリガー条項、東日本大震災の復興財源の確保が必要という名目で、一時凍結されているのです。財務省は、一旦増税で確保した財源は何らかの理由をつけて、引き下げには必ず抵抗します。彼らの頭には、常に増税しかないのです。毎度繰り返されるこのような手法が政府不信、行政不信につながっていることに全く気付いていないのです。岸田政権も、減税に関する項目は、財務省の意を受け「絶対に譲歩しない」という姿勢に終始しました。つまり財務省べったりの内閣なのです。

佐渡金山問題でも

 佐渡金山をユネスコの世界文化遺産に申請するという問題についても、岸田政権は迷走しました。岸田総理は、申請することについて、一旦は「推薦見送り」を決断しました。韓国のイチャモンが予想されたし、外務省もその意向だったからです。韓国のイチャモンは、第二次世界大戦時の韓国人強制労働の現場だというものです。
 しかし、佐渡金山は、江戸時代から高品質の金が産出されていたという意味で、普遍的な価値を認められるべきもの、というのが日本の主張です。韓国が日本統治下の1944年から数カ月の、ごく短い期間の労働のあり方を理由に難癖をつけるのは、全く筋が通らないのです。このような難癖を恐れて筋を通さないというのは、悪しき前例となるばかりでなく、今後の日韓関係にも更に悪影響を及ぼします。
 安倍元総理や高市政調会長も強い異論を唱えました。更に、世論もこれを後押ししました。その結果、岸田首相は、最終的に推薦に逆戻りしました。「異論を聴いた」というわけです。もちろんこの結論については支持しますが、一国の総理として、確固たる信念のない優柔不断の政治家との印象を深めたのは確かです。

林外相の起用でも不信感

親中派

 岸田総理は、新内閣の発足時に林芳正氏を外務大臣に起用しました。林外相は、日中友好議連の会長を務めるなど、根っからの親中派です。しかも、同じ親中派の茂木敏充氏を幹事長に据えました。内閣と党の主要ポストを親中派で固めたというわけです。
 茂木幹事長は、外相時代、中国の王毅外相が尖閣諸島について一方的に領有権を主張した際、何ら反論もせず、「シェシェ」と言ったということが話題になりました。林外相も、ゼレンスキ―ウクライナ大統領の発言の最中、あくびをしたというので話題になりました。
 このようないわく付きの二人ですから、ウイグルや香港をめぐる人権抑圧に対し、世界の主要国が「対中非難決議」を出す際にも、力を発揮しました。日本は、根っからの親中派の公明党と手を組み、「中国」という文字も「非難」という文字もない、「よく読めば相手が中国だと分かる」という程度の非難決議を作成しました。ここでも岸田総理の、毅然としたリーダーシップは発揮されなかったのです。

5000円支給の優柔不断

画像の説明

 新型コロナの影響により受給額が減る年金生活者を対象として、1人5000円の「臨時特別給付金」を設ける方針である、ということが公表されました。この措置は、年金の減額分を補填するという意味合いがあります。年金の支給額は、物価と賃金の変動に応じて、毎年改定されています。新年度の4月分から、今より0.4%引き下げられることが決まっており、この5000円は、実質的にこの減少分を補填するという意味合いがあったのです。しかし、この特別給付金についても、「ゼロベースで党内で議論する」とトーンダウンしました。「参議院選向けの対策」であり、「高齢者優遇」との批判が出てきたからです。
 私も高齢者であり、年金一筋の生活ですから、有難いとは思いますが、余りにも額が少ない。本当は、国民全員に100万円ずつ支給せよ、というのが私の持論ですが、ここではその理由は省略します。いずれにしろ、この件についても、岸田政権の迷走、優柔不断ぶりが表れた事案ということが言えるでしょう。町内会の決議じゃあるまいし、これほどコロコロと決定事項を変える内閣に信はおけません。

コロナ対応の優柔不断

 新型コロナ問題についても、政府の取り組みに大いに疑問があります。データに基づく実証的な裏付けのないまま、「感染者数が増えた」「過去最高」と声高に叫び、国民の生活を制限し続けています。周知のとおり、新型コロナは、発生当初こそ死亡率は高かったものの、その率は次第に低下してきました。いや、もっと正確に言えば、死亡率だって、西欧に比べれば、日本は「さざ波」程度でしかなかったのです。その原因について、ノーベル賞受賞者である山中伸弥教授は、「ファクターX」と呼んだほどでした。だから私は、このコロナを全く恐れなかったのです。
 すでに第6波になったこの新型コロナは、変異を繰り返しオミクロン株となり、死亡率は、例年の風邪並みに下がっています。私は、日々の死亡者数を記帳しデータ化し、更に5日移動平均線を出し観察しているので、よくわかっています。その視点からすれば、むしろ今とるべき最良の対策は、先ずマスクを外し、外に出て、明るく楽しく過ごすことだと信じています。
 そしてそのためには、一日も早く、感染症法に基づく分類を第2分類から第5分類に引き下げるべきだと思いますが、岸田政権は、いまだに引き下げようとはしていません。しかも、今でもワクチン接種に拘り、5歳から11歳児にまでワクチンを打たせようとしています。これでは国の防疫対策に不信感が募るばかりです。ここでも岸田政権の決断できない優柔不断さが透けて見えます。

地球温暖化対策への不信

脱炭素

 地球温暖化を防止するため、CO2を削減するという政策。何という愚策でしょうか。文字通り地球規模で捏造されたデマ情報に振り回され、今や日本の誇るべき自動車産業も、外国の技術を窃取することに長けた中国の電気自動車に取って代わられようとしています。
 地球温暖化という現象は、地球規模の視点で見るなら、一時的な現象であり、「寒冷化に向かう過程での一時的な温暖化」に過ぎない、ということは過去のデータが示しています。この点についてはキャノングローバル戦略研究所研究主幹杉山大志氏の著書「脱炭素は噓だらけ」に詳しく記載されていますが、その他多くの科学者も、異を唱えています。日本政府が別途まとめた資料においてさえ、台風は増えてもいないし強くもなっていないなど、驚きの事実がきちんと説明されています。
 日本人は、データに基づき議論する、ということが苦手な民族なのかもしれません。例えば、株式投資をしている人なら周知のことですが、株価の上昇や下落は、短期的に見るのではなく、長期的視点で判断すべきものです。6カ月の範囲で見れば上昇中と見えても、5年単位で見れば、「下落中における一時的な上昇」ということはいくらでもあります。今の地球温暖化も、「地球規模で見れば、寒冷化に向かう途中における一時的な温暖化」に過ぎない、ということが読み取れるはずです。多くの良心的な科学者もそのような見解を示していますが、この問題を「政治的に」扱おうとする陰謀論者は、年端もいかない高校生のグレタ嬢などまで利用し、地球温暖化を非難してきました。彼女が地球温暖化を口を極めて非難する一方、米国と並ぶ最大のCO2排出国である中国を一切非難しないのか。なぜ不思議に思わないのでしょうか。彼女に資金援助をし、「排出権取引」によって利益を得ようとする利権集団が背後に存在する、くらいの常識がなぜ働かないのでしょうか。

グレタ

 そしてその結果、日本やドイツなどの自動車産業が衰退し、中国の電気自動車が世界を席巻する。中国など、技術後進国や一部の投資家の策略にまんまとはめられただけ、ということに日本は気づくべきなのです。それにも関わらず、小泉進次郎など歴代の環境相や首相は、何ら異論を唱えず、唯々諾々とCO2削減へと邁進してきました。余りにも為政者としてレベルが低すぎる、と言わざるを得ません。岸田政権も、これまでの政権と全く同じ誤りを繰り返そうとしているのです。トランプ前大統領のように、環境問題の欺瞞に敢然と立ち向かい、日本の自動車産業の隆盛を維持できるよう取り計らう。それこそが日本の総理なのではありませんか。

非核3原則は非現実的

 ロシアのウクライナ侵略による戦場の惨禍は、目を覆うばかりです。広島・長崎における原爆の惨状を思い出させるような悲劇が続いています。多くの国民が国外への脱出を余儀なくされています。
 このような状況が起きたのはなぜか。一言でいえば、ウクライナという国家が「核を保有しておらず」、「軍事同盟をもつ国がなかった」ということに尽きるでしょう。ウクライナが核を保有していたなら、ロシアは絶対に侵略することはなかったはずです。また、NATOに加盟していたなら、同様に侵略することはできなかったはずです。

画像の説明

 NATOは、米国を含む軍事同盟であり、加盟国一国に対する攻撃は、全加盟国に対する宣戦布告と見做すという規定で守られています。ですから、いかにロシアが軍事大国であったとしても、侵略することできません。NATO加盟国でなくとも、仮に、核を保有していたなら、ロシアと言えども、侵略は思いとどまったはずです。それは北朝鮮の例を見れば一目瞭然です。北朝鮮は、GDP1兆8000億円程度で、日本の鳥取県や高知県などの名目県内総生産とほぼ同額にすぎません。しかも、領土は小さく人口も少ない。資源も決して多くはない。しかし、核兵器を保有することによって、周辺国からの侵略を防いでいます。核の力はそれほどに大きいのです。
 日本は、経済力こそ世界第3位ですが、軍事力という視点で見れば、極めてぜい弱です。その日本は、技術力が高く、国民が勤勉で正直。時間に正確、団結力があり責任感も強いなど様々な特質があります。中国やロシアから見れば、隙あらば獲りたくてたまらない国なのです。
 しかし、今は、日米安全保障条約という絆によって、何とか束の間の平和が維持されています。同条約第5条では、次のように定められています。
「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」

非核5原則

 つまり、この第5条は、日本が侵略された場合に、米が「自動参戦」するという規定ではありません。この条文は、日米両国が、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」のです。我が国の施政の下にある領域内にある米軍に対する攻撃を含め、我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合に、両国が共同して日本防衛に当たる旨規定しているに過ぎません。
 尖閣諸島が奪われそうになった場合、必ずしも米軍が参戦するか否かは、アメリカの腹次第なのです。ですから政権が代わる都度、アメリカ政府にお伺いを立て、「尖閣が共同防衛の範囲に含まれる」ことを確認しなければ安心できないのです。
 尖閣については、誰も住んでいない無人島で、しかも、日本の漁民が自由に操業できない一方、中国漁民が我が物顔に操業している実態から見れば、「わが国の施政の下にある領域」と言えるのか、という根本問題があります。日本国民が、本気になって自国の領土を守るという気概がないなら、アメリカは参戦しないでしょう。米国議会が参戦を承認しない可能性があるからです。
 その意味でも、日本は、独自の核保有について、真剣に議論する必要があります。ところが、岸田総理は、「非核三原則を堅持する」などと述べ、議論すらしようとはしません。被爆地広島選出の議員という個人的事情もあるでしょうが、国の安全保障にかかわるような問題は、地元民の意向といった狭い範囲で物事を考えるのではなく、大局的立場に立って考えるべきです。この観点から見ても、野党と同じく平和ボケしたような非核3原則論を言うようでは、一国の総理となる資格はありません。

対ロ制裁が唯一の成果か

 ロシアによるウクライナ侵略は、どのように言葉を飾ろうとも許すことができません。独立国に対して、軍事力をもって侵略するなどという暴挙が許されるなら、台湾も、尖閣も、沖縄も、北海道も危ない、ということになります。橋下徹氏のように、「ミンスク合意」を守らなかったウクライナにも一半の責任がある、などと言う論者もいますが、とんでもありません。
 そもそも、ロシアや中国は、これまでそのような合意を遵守してきたのでしょうか。中国は国際司法裁判所の判決を「紙くずだ」と投げ捨てたり、一国二制度を守るとした中英の合意を一方的に破棄しました。旧ソ連も日ソ中立条約を一方的に破棄し、北方領土を侵略しました。共産主義勢力による国際間の約束事は、常に破られてきたのです。彼らは決して法の遵法者などではなく、骨の髄まで「力の信奉者」なのです。
 ミンスク合意も、ロシアを後ろ盾とする親ロ派武装勢力とウクライナ軍による戦闘の停止など、和平に向けた道筋を示したものですが、その後も断続的に戦闘が続いていました。ドネツク州やルガンスク州など、ロシアがこれらの州の反ウクライナ勢力と意を通じ、一方的な独立宣言を勝手に承認したにすぎません。そんなことが認められるなら、沖縄や北海道の一部反日団体が勝手に独立を宣言し、ロシアや中国がこれを承認し、住民救助を名目に侵攻することが認められる、ということになってしまいます。
 いずれにしろ、「武力による現状変更」という一線を踏み越えることを許すなら、世界は無政府国家になってしまいます。その意味で、岸田総理の経済制裁、外交官8人の追放、戦争犯罪捜査の支援など、対ロ制裁の基本的方向は決して間違っていません。避難民に対する緊急支援も当然であり、この点だけは評価しておきたいと思います。
 それにしても、岸田内閣に対する支持率59%という高い数字、私にはどうしても理解できないのです。(R4・4・11記)

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