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無料パス不正、根本的な防止策を講ぜよ

無料パス不正、根本的な防止策を講ぜよ

議員時代が忘れられなかった

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 旧民主党の元参議院議員が国会議員用のJR無料パスを悪用して逮捕されたという事件、本当に驚きました。議員資格を失った後でもこんなことができちゃうんだ、という驚きと同時に、自分の名前でなく他の国会議員の名前を騙ってさえ不正ができてしまうということに対する二重の驚きです。
 更に驚くべきは、この人物、参議院議員在職中にJR無料パスの紛失届を参院事務局に提出していたんです。つまり、引退後もこれを使おうとして紛失したことにしていた、というわけです。この無料パス、それほど安易に使えるということを知り抜いていたということです。
 この不正を働いたのは、元国会議員の山下八州夫(79)という人物です。この男、2010年に参院選で落選するまで、衆院議員を4期、参院議員を2期務め、逮捕時には立憲民主党岐阜県連の常任顧問に就いていたということです。衆議員議員を4期、参議院議員を2期も務めれば、相当知名度が高くなっても不思議ではありませんが、特に私の印象には残っていません。多分、特段の見識もなく、国家国民のために奉仕するという意識もない人物だったんでしょう。
 山下容疑者の不正行為は、今年4月27日、JR東京駅の駅員に偽造した国会議員用の申込書を提出して、東京-名古屋間の新幹線特急券・グリーン券2枚を詐取したというものです。この際、同じ岐阜選出の自民党参院議員の名前を書いて、JRを無料で利用できる「鉄道乗車証」を手に入れたというんです。
 自分の名前でなく、現職の自民党参議院議員の名前を使ったのは、現職議員の名前なら、乗車資格があるから、ということでしょう。立憲民主党議員の名前を使わなかったのは、岐阜県で立憲民主党選出の参議院議員がいないということかもしれません。

家族や秘書にも横行しているでは?

 この山下容疑者、逮捕された後「昔の経験が忘れられなかった」と述べたそうです。しかも、これまでも度々利用していたと言うんですから、更に驚きです。
 事件が発覚したのは、この山下容疑者が、東京~名古屋間の往復グリーン切符二枚を申し込んだところ、駅員が東京→名古屋の切符2枚を交付してしまったためとのこと。後から誤りに気づいた駅員が、名前を騙られた自民党議員に謝罪の連絡をして犯行がバレた、というわけです。つまり、駅員が間違わず、往復切符を交付していればバレなかったということです。何ともお粗末な話ですが、国民が驚いたのは、無料パス券がこんなにも簡単に取得できるという事実です。
 このことは、何を示しているか。議員本人が無料パスを取得し、秘書や家族に渡した場合は、全くバレないということではないでしょうか。正規の方法で無料のグリーン券を取得しているわけですから、乗車中に誰何され、身分を確認されることはないはずです。私は来年80歳になる高齢ですが、グリーン車など一度も乗ったことがありません。ですから実態は分かりませんが、グリーン車には「議員専用の座席」というものがあるわけではないでしょう。ということは、家族や秘書などが、議員から渡された無料パスでグリーン車に乗っている場合、いちいち身分証明書の提示を求められず、バレることもない、ということです。
 いやそれどころか、日常的に秘書がグリーンパス券を購入に行く、なんてことも多いのではないでしょうか。誰何されれば、「議員に頼まれたのだ。これが秘書の本来の仕事だ」と言えばいいだけのことです。
 これでは、無料パスの悪用を奨励しているようなものです。無料パスはあくまでも議員本人に限定した特権ですから、家族や秘書などが使用できないようにする、抜本的な防止策を講じる必要があります。

国会議員には特権が多すぎる

 そもそも今の国会、議員特権が多すぎます。憲法では「不逮捕特権」(第50条)や「発言の免責特権」(第51条)、「歳費特権」(第49条)が認められています。憲法で保障された特権ですから一応納得できますが、無料パス券のことなどどこにも書いてありません。憲法の精神に照らせば、本来、そのような特権など認める必要すらないのです。国会議員と言えども、特別職の国家公務員であるかどうかの議論はあるとしても、「公務員」、すなわち「国民に奉仕する役職」という範疇から逃れることはできないからです。

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 更に、この憲法で保障された特権でさえ、腹立たしいことが多々あります。例えば、予算委員会です。予算委員会は、本来、「国の予算を審議する場」です。ところが、その実態は、嘗て「モリカケ桜」に代表されるように、連日、朝から晩まで、予算と関係のない「森友」「加計学園」「桜を見る会」など、スキャンダル追及の場に成り下がっています。多くの国民がウンザリしていることに気づかないほど、国会議員の感覚は麻痺しているのでしょうか。こんな低劣な議論に一日の大半を費やす与党議員や国会対応に時間を費やす国家公務員には同情を禁じえません。
 余談ですが、「発言の免責特権」を利用して、一民間人の名誉を侵害し、恬として恥じない、なんて国会議員もいます。立憲民主党の森ゆう子参院議員です。国会質問で、毎日新聞の記事をネタ元にして、民間人である原英史氏の顔写真を掲載した顔写真を掲げ、「国家公務員だったら、斡旋利得、収賄で刑罰を受ける」と述べました。朝日新聞や毎日新聞がいかに偏向しているかは、一応、横に置くとして、これらの新聞に掲載されたことが絶対の真実であるかのごとく、国会の場で顔写真まで掲げ、議員でもない一般の国民を追及するというのは、いかに議員に「発言の免責特権」があるとはいえ、やりすぎです。そもそも免責特権とは、イギリスの権利の章典から発した制度であり、その根本精神は権力者から議員を守るための制度です。決して国会議員が都合が悪いときに逃げるための制度ではありません。
 制度の趣旨から考えれば、すべての国民に「権利の濫用」が認められないのと同様、国会議員と言えども、「特権の濫用」は認められません。国会には懲罰委員会もあるんですから、当然、森ゆう子議員は懲罰委員会できちんと裁かれるべきなのです。

維新の会が抜本策を提案

 話が脱線しました。本論に戻り、本件のような不正を防止するためには、抜本策を講じる必要があります。その抜本策を提案したのは、日本維新の会です。維新の会は、「現在、紙で発行されている無料パスのICカード化」を求めたのです。ICカードであれば、乗車記録が残りますから、事後確認ができるだけでなく、使用時に本人確認もできるからです。
 ただ、本人確認ができると言っても、顔写真がついてなければ、確認のしようがありません。国会議員の無料パスについては、最低限、「顔写真付き」とすべきでしょう。無料パスという絶大な特権を行使するんですから、当然のことです。
 なお、このような方策を講じても、家族や秘書がこの無料パスを使った場合、その不正を見抜くことはできないでしょう。グリーン車の乗客について、いちいち身分証明書の提示を求めることは困難だからです。議員が自分で購入し、家族や秘書に渡してしまえば、不正を見抜くことは事実上困難なのです。

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 このように考えてくると、そもそも「グリーン車での無料パス」を交付することの不合理さに行き着きます。何ゆえに、国民の公僕たる国会議員が、国民の上位に立つてグリーン車に乗らなければならないのか、何ゆえに、自由席では議員活動ができないのか、という疑問です。つまり、「グリーン車による無料パス」そのこと自体が特権意識を醸成する元凶であり、極めて不合理な手前勝手、お手盛りの制度なのです。国民はそのことにもっと怒る必要があります。
 事件を受け、立民の泉健太代表は、「事実ならば決して許される行為ではありません。皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。直ちに山下氏の常任顧問職を解任し、除籍処分も発表したとのことですが、またしても立民お得意の「トカゲのシッポ切り」です。決して許される行為ではないというなら、不正防止の抜本策をどうして提案しないのか、いや、どうしてこのような特権意識を醸成するような制度を廃止しようとしないのか、本来、そのこと自体が問われるべきなのです。(R4・5・18記)



<後日記>

やはり抜け穴だらけの防止策

 今回の無料パスの再発防止策については、大した防止策は出てこないだろうと思っていました。案の定、腰だめのような生ぬるい対策が出てきました。

対策の中身は、次のようなものです。
①パスを使う際にJRから求められた場合は、顔写真付きの身分証明書を提示する。
②秘書が代理で議員用に指定席券などを買う際にも、JRから求められれば、参議院発行の身分証明書を見せて、秘書であることを証明する。

 このような対策で、再発防止になるのでしょうか。これでは従前と何も変わっていないではありませんか。JRから求められた場合には、顔写真付きの身分証明書を提示する、なんて常識中の常識です。私はグリーン車など乗ったことがありませんから、分かりませんが、通常、グリーン車に乗っている場合に、身分証明書の提示など求められることがあるのでしょうか。JRの側からすれば、グリーン車の利用客は「上客」であり、「身分を証明せよ」などと誰何するはずはないでしょう。
 また、秘書が代理で指定席などを買う場合、JRから求めれれば参院発行の身分証明書を見せて秘書であることを証明する、なんてことも国民をバカにしています。再発防止策が出る前から、「秘書が代理で指定席を買う場合、JRから求められれば、身分証明書を示して秘書であることを証明する必要がある」んです。議員でない者が無料パスを使うんですから、当然です。つまり、この再発防止策は、現行の方式と何も変わらないのです。
 最低限の改革は、日本維新の会が提案したように、「現在、紙で発行されている無料パスのICカード化」です。ICカードであれば、乗車記録が残りますから、事後確認ができるだけでなく、使用時に本人確認もできるからです。
 今回の対策は、国民のほとぼりが冷めるまで待ち、「一応、改革はしました」というアリバイを作ったに過ぎません。

JRは抜本的な対策を講じるべき

 JRにお願いです。国会議員の無料パス使用時には、列車の車掌が「この人物が無料パス使用者であるか否かの識別ができる」ようなシステムを構築していただきたい。国会議員は、必ず既得権にしがみつき、悪事を働く種族である、ということを前提にシステムを構築していただきたいのです。無料パスは、国会議員にのみ認められた特権です。今回の防止策では、秘書や家族による不正使用を防止することは、絶対にできません。(R4・5・26記)

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