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ラグビーWCが終わってしまいました

ラグビーWCが終わってしまいました

全日程が終了

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 南アフリカの優勝をもって、ラグビーワールドカップの全日程が終わりました。日本人の多くが、ラグビーというのがこんなに面白いものだったのか、と気づかされた大会でもありました。私を含め、「俄かラグビーファン」が増えた、いや、激増した大会でもありました。
 日本はグループリーグA組で、アイルランド、スコットランド、サモア、ロシアと対戦しました。私は、俄かファンとしてこの4試合すべての中継を観ました。もちろんテレビでです。実際にラグビー場で見たのはもう20年以上も前の話です。秩父宮ラグビー場だったと思います。全日本の試合で決勝か準決勝くらいの試合だったと記憶しています。松尾雄治や平尾誠二が活躍していた時代です。大八木なんていう名前もなつかしいですね。その時の感想として、競技場が大きすぎて、選手個人が判別不能で、松尾がどこにいるのやらよく分からない、という感じでした。ですから、その当時は、ラグビーファンになるほどの熱は入っていませんでした。
 しかし、今回のワールドカップは違いました。愛国心もあり、日本国中、最高に盛り上がりましたね。だって、リーグ戦で全勝するなんて、ほとんどの日本人は思っていなかったと思います。サモアとロシアには勝つかもしれないけど、アイルランドとスコットランドには負けるだろう、いや、負けるかも、なんて思っていたはずです。ところが何と、初戦でロシアを30:10で撃破し、第2戦では、日本よりも格上の世界ランク2位のアイルランドを19対12で破ってしまったのです。

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 アイルランドとはこれまで9回対戦して全敗です。ですから、当然負けるだろうな、と思っていました。前半は予想通り9対12でリードを許しましたが、後半に福岡がトライを決め、逆転に成功しました。強豪アイルランドに2人がかりで止める「ダブルタックル」を何度も浴びせ、相手が得意とするスクラムでも互角で渡り合いました。日本のスクラムは世界に通用しないと思っていたのに、むしろ相手を圧倒するほどの力を発揮したのです。この試合でトライを決めた福岡選手は、来年の東京五輪の7人制が終わった後に現役を引退し、医師を目指すそうです。
 第3戦では、サモアを38対19で破りました。サモアは世界ランク15位(10月3日現在)、日本は、世界ランク8位ですから、一応、ここは順調な結果と言えます。でも、この段階でも、まだ日本のベスト8は決まっていませんでした。4戦目のスコットランドに勝つか引き分けでないとトーナメント出場が決まらない、という状態だったのです。
 そして、注目のスコットランド戦。初の8強入りがかかった大一番です。妻は、「怖くて見られない」と言って、2階の別室に逃げ込んでしまいました。私は一杯飲みながら観戦したんですが、力が入りすぎて、何をどれほど飲んだのか、何を食べたのか、ほとんど記憶がありません。
 秀逸だったのは、前半25分で奪ったチームとして2トライ目です。堀江、ムーア、トゥポウとつなぎ、最後にボールを受けた稲垣がゴール正面に飛び込んだ場面です。相手からタックルを受け、倒れながらパスをつなぐ「オフロードパス」というやつです。これは見ていて、本当に気持ちのいい爽快な流れでした。日本国中の大声援を受け、そのまま見事スコットランドを28対21で撃破してしまったのです。目標であったベスト8の完成です。

トーナメント戦で苦杯

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 でも、ここまでくると人間というものは欲の塊、欲の猛者です。さらにあと一勝が欲しくなります。あと一勝、南アフリカに勝てばベスト4入りです。押しも押されもしない「世界の強豪日本」ということになります。南アには、4年前、五郎丸の時代に勝ち、世界を驚かせたことがあります。南アは、これまでWカップで2度優勝している強豪で、優勝候補でもあります。
 前半は3対5とほぼ互角の戦いをしたと思います。しかし、後半になって、圧力を増した南アに点差を広げられ、トライを一つも奪えず3対26の大差で敗れてしまいました。
 素人評ですが、パスを出すスクラムハーフのポジションに流選手が出ていましたが、もっと早い時期に田中と交代させるべきだったのではないか、と思えてなりません。田中は、選手からの信頼が厚く、田中が出てくるとチームが引き締まると言われます。後半になってもなかなか田中が出てこないことにイライラしていました。私も少し、ラグビー通になってきたのかもしれません。

日本以外の出身国も多彩

 今回の大会で初めて知ったんですが、日本チームの選手になれるのは、純粋な日本人でなくてもいいんですね。出身国は、ニュージーランド、トンガ、南アフリカ、サモア、韓国、豪州と多彩でした。キャプテンのリーチマイケル選手もニュージーランドから15歳で来日し、日本の高校、大学を経て日本国籍を取得しています。
 今回の大会で初めて知ったんですが、代表になれるのには次の3つの要件のどれかに該当すればいいんですね
①自分自身が日本国籍を有すること
②父母又は祖父母が日本人であること
③他国の代表として出場したことがないこと
 こういった緩やかな出場資格のため、レベルの高い選手を集めることができたのでしょう。

決勝戦ミスの目立ったイングランド

 11月2日、ラグビーワールドカップの決勝戦を観ました。もちろん、テレビでです。戦前の予想では、イングランドが有利ということでしたが、結果は32体12で南アフリカの勝利でした。
 イングランドは、ミスが目立ちましたね。ラインアウトのボールを取られたり、味方のいないところにパスを出したり、前に落としてしまうノックオンをしたり、とても常勝軍団とは思われない小さなミスが目立ちました。それだけ南アの圧力が強かったということかもしれません。
 後半で、あと1mのところまで押し込み、何度もトライを試みましたが、南アに阻まれ、どうしても得点に結びつきませんでした。この場面では本当に力が入りました。でも、日本が直接戦っているわけではないので、かなり余裕をもって見ることができました。あのキン肉マンのように分厚い胸で、肉弾戦を繰り広げるんですから、本当に迫力ありましたよね。

後味悪いイングランドチーム

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 後味が悪かったのは、イングランドの選手です。表彰式で銀メダルを受けた時に、何人かの選手がメダルを首にかけてもらうことを拒否したり、あるいは首にかけてもらった直後に首から外したりして不満の意思を表明したのです。
 イングランドの選手からすれば、ラグビー発祥の地のイギリスチームが優勝せず、アフリカのチームに負けたのが悔しかったのかもしれません。しかし、スポーツというものは、そういうものです。必ずしも発祥の地のチームが勝つわけではありません。特にラグビーは、試合が終わればノーサイド。互いに相手のチームを称え合う紳士のスポーツのはずです。ラグビー発祥の地の選手たちから、こんな紳士の姿が見られなかったのは極めて残念です。
 それにしても、今回のワールドカップ。日本で開催したことは非常に有意義でした。私のような「俄かラグビーフアン」が雨後の筍のように、日本全国に増えたと思います。これからは、社会人ラグビーや大学ラグビーも注目されるようになるのではないでしょうか。それによって、ラグビー選手の裾野が広がれば、日本ももっともっと強くなることでしょう。これからしばらく楽しみがなくなってしまったようで、幾分放心状態です。 

最高の観客数

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 今大会は、台風19号の影響で3試合が中止になりましたが、これを除く計45試合が、国内12会場で行われました。組織委員会の発表によると、観客数は、計170万4443人、1試合平均3万7877人だったそうです。南アとイングランドの決勝(横浜国際総合競技場)には、7万103人が訪れたとのことです。この観客数は、これまで最高だった2002年のW杯決勝を上回りました。
 大会後、日本大会組織委員会と国際統括団体ワールドラグビーは、記者会見を開きました。ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「最も偉大なW杯として記憶に残ると思う。日本は開催国として最高だった。」と述べました。
 組織委員会の御手洗富士夫会長は、「想像がつかなかったラグビーのうねりを巻き起こした。日本のみんながスクラムを組んで成し遂げたオールジャパンの成果」と称賛しました。
 一気に俄かラグビーファンを増大させた日本選手の活躍こそが、大会を成功に結びつけた原動力でした。8強入りという輝かしい結果を残し、「桜の戦士」達は私たち日本人に強烈な印象を残してくれました。これからは、ラグビーのテレビ中継も増えるものと、大いに期待しています。(令和1・11・5記)

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