ウイグル人弾圧の実態と日本人拘束
ウイグル人弾圧の実態と日本人拘束
またまた日本人を拘束
中国上海でまた日本人が拘束されたことが明らかになりました。拘束されたのが昨年12月というんですから驚きです。2か月もたってからやっと拘束の事実が判明したというんです。もう「野蛮な国」という以外に表現のしようがありません。
現地の総領事館が、拘束者に関する情報や健康状態について問い合わせをしているが、詳しいことは分からないようです。外国人を拘束して、それが誰なのか、健康状態はどうなのか、具体的にどのような容疑なのか、「50台の男性」という以外全く分からない。面会すらできない。とても文明国家の仕業ではありません。これでは北朝鮮による日本人拉致と何ら変わるところがありません。
このようにして拘束された日本人は、2015年以降、この男性以外にすでに15人もいるのです。
他方、中国でスパイ活動を行ったとして、懲役12年の実刑判決を受けて服役していた70歳代の日本人男性が2月7日、搬送先の北京市内の病院で病死したとのニュースも伝えられています。この男性は2015年に北京で拘束され、18年12月に北京市の第2中級人民法院(地裁)で有罪判決を受けたというんです。しかし、今日に至るまで、具体的な罪状は全く明らかにされていなかったんです。
外交関係に関するウィーン条約
第29条 外交官の身体は、不可侵とする。外交官は、いかなる方法によつても抑留し又は拘禁することができない。接受国は、相応な敬意をもつて外交官を待遇し、かつ、外交官の身体、自由又は尊厳に対するいかなる侵害をも防止するためすべての適当な措置を執らなければならない。
招待しておいて逮捕の例も
そう言えば、2019年にも腹立たしい事件がありました。北海道大学の岩谷將教授が中国社会科学院の招きで北京を訪問した際、「国家機密に関わる資料を保持していたとして、刑法と反スパイ法違反で逮捕」されたんです。政府機関がわざわざ招待しておいて逮捕するっていうんですから、もう無茶苦茶です。国家の体をなしていません。非文明国家の所業そのものです。
岩谷教授は比較的早く解放されましたが、帰国後、一切事情を話そうとはしません。現地で拷問など厳しい扱いを受けたか、逆に、拘束される前にハニトラなどの罠にかかり、証拠写真を撮られ、それを公開するといった脅しを受けたか、事実を話せば自身や家族に何らかの報復を受けるなど、脅されていたと考えるのが常識でしょう。そうでなければ「招待しておいて拘束するとは余りに不当だ」と怒り心頭、中国当局の非道ぶりをぶちまけてよいはずです。それなのに一言も話さない、というのは、よほど怖い思いをしたのではないでしょうか。この事件も、すべて闇の中でした。
大使館員まで拘束
私がこの原稿を書いているまさにその最中、在中国大使館の職員が拘束されたとのニュースが飛び込んできました。大使館職員は、2月21日に拘束されたというのです。大使館職員は、ウイーン条約により、事務・技術職員を含む外交官の不逮捕特権や大使館の不可侵権などを認められています。こんなことは世界のすべての国に共通の普遍的原則です。
その国際間の常識をいとも簡単に平気で無視する国、それが中国という無法国家です。外務省の森健良事務次官は22日、楊宇駐日中国大使館臨時代理大使に対し、外交関係に関するウィーン条約の明白な違反だとして厳重な抗議をするとともに謝罪を要求。再発防止策も強く求めたということですが、この臨時代理大使は謝罪せず、「本国に報告する」と述べただけだというのです。
本当にふざけた話です。外務省によると、過去にも日本の外交官が中国当局に拘束されたことはあったが、「近年では例がない。抗議に値する拘束時間の長さだった」ということです。
ウイグル人への迫害も鬼気迫る
怖いと言えば、中国政府の自国民である他民族への虐待は鬼気迫るものがあります。チベットや内モンゴルはもちろんのこと、ウイグル人への虐待は凄まじいものがあるということは、この欄で度々述べてきました。
その具体例は、清水ともみ著「命がけの証言」、「私の身に起きたこと」や、亡命政権ジュネーブ支局著「チベット侵略 中国共産党100の残虐行為」、ペマ・ギャルポ著「祖国を中国に奪われたチベット人が語る侵略に気づいていない日本人」などで、その実態を知ることができます。
更に、ここではウイグル人への弾圧の実態を、「証言に基づき」映像で見てみることにしましょう。この証言は、幸運にもウイグルの強制収容所から出られた女性が、そも生々しい体験を語ったものです。次の動画でご覧ください。そしてよろしければ、この実態をネットなどで拡散していただきたいと思います。
▶▶▶【独占インタビュー】中国による弾圧・民族大虐殺の実態をウイグル女性が告白
政府は日本人全員に即時帰国を促すべき
上の証言からも分かるように、中国はヒットラーも真っ青になるほどのレベルで、組織的にウイグル人虐待、ジェノサイドを行っています。
加えて、日本人など外国人も、正当な理由もなく拘束し、弁明の機会も与えない。仮に与えられても、形式だけ。その実態は、香港で行われた抗議活動を見れば明らかです。
このような国に希望はありません。今すぐ、すべての中国在住の日本人を帰国させるべきです。なぜなら、中国は、数年以内に台湾や尖閣諸島に侵攻する可能性が高いと見られているからです。どちらが先になるのかは分かりませんが、仮に台湾進攻が先になるとしても、日本は戦火に巻き込まれることは必定です。台湾進攻の場合、中国による攻撃は、艦砲射撃など中国本土方向からの攻撃にとどまらず、必ず、台湾の裏側、すなわち、東側に回り込んで攻撃を加えることになるからです。
台湾は九州ほどの大きさの島国でありながら、標高3000mを超える山々が200座以上もあり、日本に百名山があるように、台湾には百岳と呼ばれる山々があります。台湾は、中国本土からの直接攻撃に備え、これらの山脈の裏側に軍事基地を構築しています。
従って、中国は東側に回り込んで攻撃を仕掛けることになります。その際、日本の与那国島などを避けての攻撃は現実的ではありません。地理的に余りにも近すぎるのです。つまり、日本は嫌でも戦争に巻き込まれるのです。それが「台湾有事は日本有事」の意味でもあります。
もちろん「台湾有事は日本の有事」の真の意味は、南シナ海、東シナ海が日本のエネルギーの輸送路に当たっており、中国に台湾を奪取されると、エネルギーコストの大幅上昇は避けられない、といった事情によるものです。
経済界も有事に備えよ
このような非文明国家と武力衝突が生じた場合、その代償は甚大です。経団連など経済界は中国との経済取引を重要視していますが、余りにも軽薄です。経済界の態度を見ていると、「儲かるならどれほど卑屈になろうとかまわない」という態度が見え見えなのが、本当に腹立たしい。
松下幸之助の言葉に「正当以上の卑屈な努力までする必要はない。」というのがあります。今の経済界は、金儲けのためならどれほど卑屈になってもいい、という態度に見えます。このような非人道国家と円満な商売などできるはずがありません。日本企業は、商売のためならと、多くの犠牲を払っているはずです。その努力も正当な努力なら構いませんが、中国という国の在り様は余りにも常軌を逸しています。
しかもです。経済界の人たちの考える利益とは何か。それは中国で商売ができる、すなわち利益を上げられるということです。ならば、中国であげた収益は持ち帰ることができるのか。できません。中国には資本移動の自由がないので、中国への投資で得た利益は、再度、中国で投資するしかないのです。確かにこれによって企業のバランスシート(貸借対照表)上は利益計上できますが、その利益を日本に還元できないのであれば、日本人としては少しも嬉しくありません。中国に投資し、中国人を雇用し、利益を中国国内で再投資する。そんな企業を日本人が歓迎できるはずがありません。そのうえ、有事の際には、多くの日本人は人質となり、日本政府に助けを求めることになるのです。そのあたりの現実感覚が平和ボケした企業人には全く欠けています。
日本はこのような野蛮で非人道的な国家が、経済的に成長することを許してはなりません。中国において経済の成長は、軍事力拡大に直結しているからです。日本政府は、一刻も早く中国大陸から、日本企業と日本人の帰還を促すべきです。(R4・2・23記)
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