令和の米騒動
令和の米騒動
またしても米がない!
このところ米が足りない、米が買えない、といったニュースがマスコミを賑わせています。ニュース番組などを見ると、主婦が「スーパーに行ったら米の棚が空っぽだった」と言って困っている情景を映し出しています。価格も、昨年は新米の価格が5kg当り1500~2000円程度だったものが、今年は3000円を超えているものもある、とのことです。足りないとなれば、値が上がるのは当然です。
私は、この種のニュースを見る度「またか」という、やりきれない思いを禁じえません。マスコミは常に「煽る」ばかりで、物事を分析し、視聴者に対して冷静に対処するよう求めないからです。
テレビなどで「スーパーから米が消えている」として、空になった米の棚を映し、主婦が慌てふためいているような報道をすれば、米に関心がなかった人でも、「これは大変」「少し買っておかなくちゃ」という気持ちになります。逆に、米が沢山ある映像を流し、米不足は一部の現象にすぎない、という報道をすれば、買いだめに走ったりすることもないのです。
つまり、米不足、米騒動の主因は、マスコミの報道によって引き起こされた人為的現象ともいえるのです。
米は本当にないのか
報道によれば、米不足の原因は、次のようなものだとされています。
①昨年の猛暑と渇水の影響でコメの品質が悪化したことにより、市場に出回る米の量が一部減少したこと
②訪日外国人客の増加により、外食産業の需要が増加したこと
これらの原因を聞いて、国民は納得できるでしょうか。私は全く納得できません。そもそも国民の米消費量は近年、減少の一途をたどっています。一時は一人当たり年間120kgを消費していたものが年々減少し、2020年には50.7kgまで減少しています。終始一貫減少しているのです。また、昨年の作況指数は101とされており、決して不作ではありません。
国民の米消費量が年々減少し、昨年の作況指数も不作ではなかったというのに、米不足というのは明らかにおかしい。
この原因は、何か。米業界関係者の情報によれば、「米関係業者による出荷調整」が影響している、と言われています。なぜ米業者の出荷調整と言えるのか。全国の1カ月の主食用米の消費量は60万トン以下です。対して今年7月頭の主食用民間在庫は156万トンあったんです。たっぷり2カ月分以上の在庫があったということです。しかも、8月22日には、もう新米が各地に出回り始めています。
これらの客観状況から見て、米不足などという事態が起こるはずはないのです。しかし、現実には、米不足という事態が生じている。
備蓄米を放出せよ
米も経済財ですから、さまざまな事情で、価格は変動します。「不足する」という噂だけでも上昇します。ましてマスコミがスーパーの棚から米が無くなっている、などと報道すれば、益々不安になり、価格も上昇します。
私は、上述した状況から見て、米不足などという事態は起こりえない、と考えています。農水省も、「在庫は足りている、新米も出回り始めているから価格は落ち着く」と述べています。
確かに、農水省の言っていることは間違っていません。しかし、現実に、小売店の棚から米が無くなくなり、消費者が困っている以上、何らかの対策を講じるのは、行政の責任というものです。現実を無視することはできないのです。
農水省は、当面の措置として、緊急に備蓄米を放出すべきです。現在、国には100万トンの備蓄米があります。この備蓄米の目的は、第1に、災害や凶作時の安定供給です。災害や大凶作が発生した際に、消費者に安定して米を供給するためです。第2に、市場価格の調整すなわち米の市場価格を安定させるためです。
現在の状況は、災害や凶作ではありませんが、第1の要件に合致しているとみることもできます。災害や凶作でなくても、米がなくて困っている状況は、同じだからです。
また、第2の要件には、ズバリ該当しています。備蓄米を緊急放出すれば、米業者は慌てて出荷調整していた米を市場に出してくるはずです。市場価格を安定させるためというなら、正に今こそ備蓄米を放出すべきなのではありませんか。業者の立場からすれば、「国が備蓄米を放出すれば、価格が下がってしまう」と焦って、緊急に放出することになるでしょう。当然、価格は値下がりします。文句を言う業者っもいるでしょう。でも、それでいいんです。儲けそこなった米業者に文句を言いう資格はありません。そもそも国民の主食の米で、ぼろ儲けをしようという魂胆が怪しからんのです。それこそ「罰が当たる」というものです。
農水省は、備蓄米を放出してしまえば、緊急時の米が無くなってしまうというかもしれません。しかし、米の絶対量が不足しているわけではありませんから、放出した分を新米で補充すれば足りる話です。そもそも備蓄米は古米になる前に、毎年、新米と入れ替えていたのではありませんか。
急増する米輸出
日本は、米の輸出国であるということをご存じでしょうか。2014年から輸出を始め、年々輸出量を増やしています。減反政策を廃止したのが2018年ですから、その前の2014年から輸出を始めています。そしてその輸出量は年々増加し、昨年は3万6千トンほどの米を輸出しています。主な輸出先は香港向けが一番多く、米国、シンガポールなどとなっています。日本のコメは世界一美味しいとも言われますから、今後も輸出量は拡大していくでしょう。
食糧を輸出できることは、国の安全保障上大変結構なことです。食料不足の事態が生じたときには、これを国内消費に回すことができるからです。ただ、この輸出量は4万トン足らずですから、まだまだ絶対量は少ない。この輸出量が更に多くなれば、今回のような米騒動の時には、輸出分からその一部を一時的に、国内用に回すことも可能になるでしょう。少なくとも米業界関係者の不当な値上げを阻止することはできます。
いずれにしろ、このような騒動が生じた場合、マスコミ関係者の煽り報道は厳に慎んでほしいと願うとともに、消費者も、「冷静に事態を分析し、慌てない」ようにしていただきたいものです。つまり、今起きている米不足は、完全な虚偽、捏造された米不足なのです。(R6・9・7記)
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