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「103万円の壁」突破は国民の権利だ

「103万円の壁」突破は国民の権利だ

103万の壁とは

 国民民主党は、前回選挙に比べ、比例の得票数ベースで357万票も増やしました。138%の増加です。圧倒的な勝利です。自民党支持を忌避した有権者の受け皿として、格好の立ち位置にいたのです。
 これは同党が「手取りを増やす」という極めて現実的で分かりやすい主張を掲げたからです。年収が103万円を超えるとどういうことが起こるのか。所得税はもちろんのこと、扶養控除、社会保険料の免除、住民税の非課税などのメリットがなくなるのです。だからパート労働者などは、年収ベースで103万円を越さないように、労働時間を調整し、ぎりぎり103万円を越さないようにしているのです。つまり、103万円以下であれば、夫の扶養家族となるなど様々な恩典が受けられる、という訳です。

外国人労働者受け入れと矛盾

言いにくいこと

 このように、103万円の壁は、「働けるのに働かない」労働者を大量生産しているのです。働ける、あるいは働きたいという労働者を、働かない労働者に誘導しているのです。
 しかも、海外からの労働者受け入れは、伝統、文化、生活習慣などの違いなどから、地域住民との間に様々なトラブルを生じ、住民同士の軋轢になっていることは多くの国民が知るところです。その実例は、ヨーロッパの先例をみれば明らかです。ヨーロッパは、嘗て、アフリカなどを植民地にした歴史があり、ある程度旧植民地から受け入れざるを得ない、という負い目もあります。しかし、日本にはそんな負い目もありません。
 自国の労働者を働かせないようにしておきながら、一方で労働者が足りないからと外国人労働者を受け入れ、さまざまな軋轢を生みだしているのです。

103万円の壁は年々上昇させていくべきもの

 そもそもこの103万円という壁は、どうして生まれたのか。そして国民民主党が主張する178万円という中途半端な数字はどこから出てきたものなのか。多くの国民は知らないはずです。
 この103万円という金額は1995年に設定されたものです。実に35年も前に設定された金額です。当時の全国平均の最低賃金は611円でした。その最低賃金が現在は1055円です。
 この103万円という金額は、前述したように、扶養控除、社会保険料の免除、住民税の非課税などのメリットがあります。103万円を超えてしまうと、これらのメリットが受けられなくなってしまうのです。
 ですから、本来は、この最低賃金の引き上げにスライドさせて、毎年103万円の金額をげ上げる必要があったのです。毎年スライドさせておけば、

103万を178万に引き上げるべき合理的な理由

103万×最低賃金611円(1995年)=1055円(2024年)
 つまり、ほぼ1.73倍となります。
非課税となる金額は、現在103万ですから、
103万×1.73=178万となるのです。玉城代表が主張する178万円とは、この金額のことです。

 ところが当時の大蔵省(現在の財務省)は、国民が知らないことをいいことに、このスライドさせるべき金額を、知らぬ顔の半兵衛を決め込み、一切引き上げることをしてこなかったのです。つまり、実質的なスライド増税(ステルス増税!)を毎年実施してきたのです。
 その点を財務省出身の玉木代表が突いて、本来の姿に戻そう、もう噓をつくのはやめよう、と述べたのです。
 ですから一般国民の立場からすれば、嘘つき財務省の怠慢に対して、当然文句を言える筋合いのものです。文句どころか、過去30年間、国民をだましてとりすぎた税金をまとめて返せ、と言ってもよいのです。
 プライマリーバランス(PB)を主張する財務省は、増税こそすべて、国が滅んでも財政収支こそが大事と言う役所です。減税はイコール国民の所得です。そして、国民の所得増は購買力の増加となり、企業の収益向上になります。企業の収益が向上すれば、そこで働くサラリーマンの収入も増え、消費が促されます。その結果、税収は増加します。
 財務省は、このような経済の正の循環を認めないのです。いや、認めていても、予算の単年度主義に拘り、今年、来年の予算しか見ないのです。「ザイム真理教」という深刻な病に侵されているのです。近視眼役人の典型です。
 玉木代表は、きちんと問題提起をし、「手取りを増やす」という分かりやすい政策を掲げて選挙戦を戦ったのです。自民党支持層が見切りをつけ、この国民民主党の支持に流れたのは当然というべきです。

火消しに走る財務省

 財務省は、必ず火消しに走ります。マスコミや財務省の御用学者はもちろん、政界などにも働きかけ、103万円の壁を突破すれば税収が7.6兆円も減る、などと言いふらし、この減収分をどうするのか、などと言い始めています。
 読売新聞も社説で「予算のバラマキに陥らないか」と題し、減収分を国債発行で賄えば、将来世代にツケを回す結果になる」と、財務省の論理そのままの論を展開している。それを言うなら、マスコミはなぜ、103万円を設定した段階で、「最低賃金を引き上げる都度、103万の壁を見直すべきだ」となぜ主張してこなかったのか。社会を善導すべき立場なら、その事実を伝え、都度都度この金額を見直すべき、と主張すべきだったのです。35年間もの長期に亘り、国民の不知をいいことに放置しておきながら、その責任を問わず、「将来世代にツケを回すな」とは何事か。(R6・11・7記)

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