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闇バイトの撲滅は可能です

闇バイトの撲滅は可能です

頻発する凶悪闇バイト犯罪

 首都圏で頻発する闇バイトを利用した凶悪な強盗事件。多くの国民は何とかならないものかと、思っているはずです。

闇バイト

 この種の犯罪は、主犯が奥に隠れて、通信テクノロジーを駆使して実行役を募集し、犯罪を実行させるという点で、極めて現代的な犯罪です。通信手段を使うことで実行可能ですから、主犯は国内にいるとは限らず、海外から指揮命令するということも十分に可能です。しかも、一定の時間が経過すると、通信の記録が消滅する、というような機能も活用しているようです。
 闇バイトの入口として多いのは「出し子」であるとされています。騙し取ったキャッシュカードを使い、ATMでお金を引き出す役割です。その多くは防犯カメラに顔が映るのですぐに捕まってしまいます。また「受け子」といって、高齢者の家に行って現金やキャッシュカードをだまし取ってくる役割の人物もいます。
 この二つは、人体に直接、物理的な危害を加えるものではありません。より一層悪質なのが、「叩き」と言われるものです。叩きとは、強盗の隠語です。犯罪として悪質性が高いので、この罪は刑罰も重く最低でも5年以上の懲役刑です。被害者を殺したような場合は、「死刑または無期懲役」となります。主犯は、犯行現場におらず指一本触れていなくても、罪状は、実行犯と全く同じで死刑または無期懲役です。
 このような凶悪犯罪が関東近県で多発しているにも拘らず、容易に主犯にたどり着かない。たどり着かないから、同種の犯罪が繰り返される。住民はただただ恐れおののき、警察は一体何をしているのかと、警察不信にもなる。これが闇バイトの実態です。

なぜ捕まられないのか

募集

 前述したように、この種の犯罪は、通信アプリの機能を駆使して実行します。犯人側は、X(ツイッター)やFacebookなどで勧誘し、興味を示して近づいてきたら、秘匿性の高いテレグラムという通信アプリに誘導するとされています。そちらで甘言を弄し、マイナンバーカードのコピーを送信させます。マイナンバーカードには住所や氏名、生年月日、写真、個人番号がついていますから、一度この情報を提供してしまうと、極めて弱い立場に立たされます。途中で逃げ出したら、本人はもちろんのこと、家族に危害を加えるとか脅されると、翻意しにくくなります。勧誘する方法は極めて巧みです。「日雇いバイト」や「副業」と言った犯罪性のないような用語で勧誘し、誘い込むのです。
 最近の通信は、海外とのやり取りも容易です。私も、自分の主宰するヨガ教室で、インストラクターと連絡を取る必要があり、ラインでインドにメールを送ったことがあります。そもそも連絡がつくのかさえ心配でした。ところが、即座に返信が来たのです。この時の驚きは簡単に表現できません。私の若い頃は、コレクトコールという手段に頼らざるを得ませんでした。アメリカから電話をするときは、先ずオペレータを呼び出し、通話先を伝え、料金をどちらが負担するかを伝え、それを確認して初めて通話開始となるのです。このように、通信手段は、日々長足の進歩を遂げています。
 最近の警察は、ハッカー対策として専門部隊も編制しているようですが、この闇バイト対策では、十分な効果を発揮していないようです。

囮(おとり)捜査を認めるべし

 現在の高度に発達した通信環境の下においては、それに応じた現実的な対策を講じなければなりません。
 有効な対策と考えられるのは、囮捜査です。現在、この囮捜査が認められるのは①薬物犯罪や②知的財産権侵害、③売春防止法違反です。薬物犯罪は、麻薬などの取引は隠密裏に行われるので、客のふりをして犯人に近づく必要があるため、特例的に認められているのです。②の知的財産権侵害や③の売春防止法違反も基本的には同じです。
 これら3つの違反形態と闇バイト事件では、大きく異なる点があります。それは、これら3つの違反事件では、通常、マイナンバーカードを提示したり予めコピーを送信するなどということはありません。

ねーいいでしょう?

 しかし、闇バイトに関しては、どこにいるのか分からない相手に対して、マイナンバーカードなど、身分を特定できる証明書を提示することを求められます。極めて危険な行為です。途中で翻意したり、犯行途中で奪った金を持ち逃げしたりしても、マイナカードの情報を握られている以上、完全に逃げ切ることは難しいでしょう。
 ですから囮捜査を行うためには、「偽のマイナンバーカード」を作成する必要が生じます。偽のマイナカードですから、顔も偽物、住所も偽物にする必要があります。住所などは、偽の住所にしても、犯人は、そのような住所があるか、Googleなどで調べるでしょうから、捜査機関用に偽の住所を用意する必要もあるでしょう。
 囮捜査の適法性については、裁判所の判例に基づいて判断されることが多いとされています。例えば、最高裁判所の判例では、囮捜査が適法とされる場合と違法とされる場合があり、その判断は具体的な状況や手法に依存するとされています。
 このように現在の法体系の下では、囮捜査の権限を行使するにはかなり厳格な要件が必要とされているようです。
 しかし、闇バイトによる事件が頻発し、国民の多くが不安におののいている現状を考えれば、国においても早急に特別立法を制定し実行すべきです。

政府も対策検討を開始

自民党初会合

 こうした中、政府も重い腰を上げました。報道によれば、自民党の高市早苗・前経済安全保障相が「治安・テロ・サーバー犯罪対策調査会」を立ち上げたのです。
 新たな立法作業を行う場合には、主犯が外国から指揮命令をすることも前提に検討を行うことが必要になります。
 嘗て、ルフィーと名乗る人物の闇組織が、フィリッピンの刑務所内から指揮命令を行っていたなんてケースもありました。犯人が外国の刑務所内から指示していたなんて、日本の常識では考えられませんが、世界は広いんです。嘗て竹村健一氏が世相講談で「日本の常識は世界の非常識」と述べましたが、世界には日本の常識が通用しない世界があるのです。
 フィリッピンのように、犯人が「犯罪人引渡条約」のある国にいる場合は、犯人の引き渡しも可能ですが、日産のゴーンCEOが逃亡したレバノンなどの場合は、それもできません。また、中国のように、賄賂社会の場合、刑務所の刑務官とつるんでいるような場合はどうするのか。また、北朝鮮のように、国交のない国の場合はどうするのか、など様々なケースが考えられます。
 高市氏が立ち上げた対策調査会においては、これらの難しい問題をクリアし、有効な対策が講じられるよう切に願うばかりです。先ずは、囮捜査に法的権能を与え、同時に、偽のマイナカードの作成を可能とするよう特別立法を整備することが必要です。そして国交のない国からの指揮命令にも対応できるよう、国際的な連携も求められるようになるでしょう。一日も早く、国民は枕を高くして眠りたいのです。(R6・11・28記)



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