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生活保護は簡単に受給できるのか?

生活保護は簡単に受給できるのか?

国民民主党が高橋茉莉氏の公認を取り消し

高橋

 国民民主党が2月25日、柿沢未途被告の議員辞職に伴う衆院東京15区補選(江東区、4月28日投開票)に公認候補として擁立を発表していた高橋茉莉氏(27歳、以下「高橋嬢」)の公認を取り消したと発表しました。同党は26日、国会内で会見し、高橋嬢の公認を取り消したことを正式に発表したのです。
 玉木雄一郎代表は、X(旧ツイッター)で取り消しの理由について、「法令に抵触するおそれのある事実が明らかになりました」と述べたのです。
 高橋嬢は同日未明、SNS動画で「私、高橋茉莉は衆議院東京第15区補選におきまして国民民主党から、『立候補を断念しろ』と言われ、涙を飲んで引き下がることに致しました。理由は、ラウンジで働いていた過去があるからです」と投稿したのです。動画を見ると、涙を流しながら「一時期生活保護を受け、お金に困っていた時期があります。その時期に、ラウンジという夜のお店で、一生懸命働きました。私のこのような過去や、自身のセクシャリティー、生い立ち、不安に…ご相談した上、体調不良を理由に、辞退しろと指示を受けました」と述べたのです。
 この高橋嬢、2016年にミス慶応、ミス日本のファイナリストです。ミス日本の最終審査に残るほどの美貌と頭脳明晰であったことが窺われます。そして卒業後は、セントフォース所属のアナウンサー、アクセンチュア社員という異色の経歴をもっているのです。

▶▶▶高橋茉莉氏の涙の記者会見

辞退を求めた理由は何だったのか

身体検査2

 このような彼女の経歴から見て、どこから見ても生活保護を受けるような経歴ではありません。SNS上で問題になっているのは、次の視点です。
①生活保護を受ける身でありながら、ラウンジで働いていたのはおかしい。
②国民民主党がラウンジで働いていたような人物を衆議院議員に推薦したのは適切でない。
 第1の批判については、頷けるものがあります。ラウンジというのがどういうものか正確に分からないので、的を射た意見かどうか分かりませんが、これは私の若かりし頃のキャバレーのイメージだとすると、それなりの給料を得ていたはずです。その所得がありながら生活保護を受給するというのは、余りにもおかしい。制度の悪用ということになるでしょう。
 第2の批判は、正当なものではありません。国会議員であれ、地方議員であれ、過去にどのような職業についていたかは問われるべき筋合いのものではありません。バーであれ、キャバレーであれ、立派な職業です。決して違法なものではありません。「やくざ」のような反社会的職業ではありません。もっと言えば、ホームレスや物乞い(乞食)だった過去だって、決して非難されるべきではありません。
 だからこそ、玉木代表は、「過去にラウンジに勤務していたことで辞退を求めることはありません」と述べたのです。つまり、玉木代表は、①の理由で、辞退を求めたということです。生活保護制度の悪用とみられるからです。

本当に生活保護は簡単に受給できるのか

ビルの床掃除

 私の最大の疑問は、20歳代のこんな元気な女性(若者)が本当に生活保護を受けられるのか、という点です。私の若かりし頃、周辺に生活保護を受けている学生なんて皆無でした。もちろん、身体を病んで、病院暮らしをしているとか車椅子生活を余儀なくされている人はいたかもしれません。
 それほどに、生活保護を受ける若者は皆無に等しいほどに稀有な存在だったのです。まして、この高橋嬢のように、ミス慶応、ミス日本のファイナリストで、セントフォース所属のアナウンサー、アクセンチュア社員といった職歴を持った人物が、生活保護の対象になることができた、ということが大きな驚きなのです。
 そもそも論として、身体障碍者など、体の不自由な方が生活保護の対象になるのは分かります。が、普通に学生生活を送っているような人に生活保護費を支給するのは、おかしいのではありませんか。私の学生時代は、お金がないのは当たり前、親の仕送りが少ないのも当たり前、不足する分は「アルバイト」をして稼ぐのが常識でした。3畳一間の部屋で共同便所に共同炊事場、風呂はなし。
 お歳暮・お中元の配達、家庭教師、ビルの床掃除、牛乳配達など、さまざまなアルバイトをして稼ぎました。それでも不足する分は奨学金を申請して、生活費を賄いました。学生なら、皆これが常識というものでした。
 この常識が、現在では非常識になったのでしょうか。そうだとすれば、国家予算はいくらあっても足りない、ということになります。この高橋嬢のように、慶應義塾という学費の高い大学に進学し、ミス慶應にもなり、卒業後はアナウンサーにもなった。そういう人物でも生活保護を受けられる。その陰でラウンジなるところで富裕層の上客にお酒のお供をする。どう考えても生活保護制度の運用が甘すぎるのか、制度の悪用が可能なシステムになっているのか、大いに気になります。

高齢者にも乱用者が多いのでは?

 最近、Youtubeチャンネルで「年金トーク」と言った名称で、年金受給者にインタビューをしている番組を視聴することがあります。その中で気になるのは、意外に生活保護を受給している人が多いという事実です。
 年金が少ないからと言って、年金に加えて生活保護費を受給している人が多いようなんです。年金が月5万しかないから、生活保護費として5万円受給している、というような感じです。年金+生活保護という高齢者が結構いるということです。年金が少ないから生活保護費で充当してくれるなら、長年月、掛け金をかけるのは馬鹿々々しいということになります。生活保護制度の歪みがあるのではないでしょうか。

炊き出し

 そういえば、嘗て、民主党政権時、日比谷公園に「年越し派遣村」なんてものが開設された時期がありました。生活に困った人たちが、僅かな「炊き出し」を求めて行列をしたのです。
 その際、マイクで「生活に困っている方はいませんか~。困っている方はこれから生活保護の申請に行きますからお集まりください~!!」なんて呼びかけていたんです。当然、多くの希望者があり、列をなして出かける光景を見た記憶があります。民主党政権が素晴らしい「善政!」を施している、という風体の番組でした。
 でも、年越し派遣村を開催したり、生活保護の申請に団体で連れていくなんていうこと自体が、失政のつけ、政策の貧困でしかないことは明らかです。「コンクリートから人へ」なんて耳障りの良いスローガンを打ち出していましたが、多くの国民が職を失い、貧困に喘いでいたことは事実です。本来、国家予算を担う政権なら、各種政策の実現によって、国民を豊かにすることこそ、政治家の役割です。
 公共事業や研究開発、教育という先行投資によって、雇用を創出し、経済を活性化させ国富を増やす。それこそが政治家の仕事なのです。
 いずれにしろ、今回の高橋嬢の涙の訴えは、はからずも、元気な若者でも生活保護が受けられるのだ、という現実を露呈したように思えてなりません。
 その結果がどのような副作用を生むのか。引きこもりなど働く意欲のない怠惰な若者でも、「収入が少ない」という理由で生活保護を受けられるのだ、という観念を若者に知らしめてしまったように思えてなりません。
 各市町村における生活保護の担当部局に置かれては、怠惰な若者を増産することのないよう、厳格に制度運用をして頂くことをお願いしたいと思います。
 そして、一度、支給を開始しても、その後の実態をしっかりフォローし、不正受給などが生じないよう監視して頂きたい。いずれにしろ、今回の高橋嬢の立候補辞退騒動は、日本における安易な生活保護制度の実態が、はからずも一部、垣間見えてしまったように思えてなりません。(R6・2・28記)

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