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年金制度の抜本改革が必要

年金制度の抜本改革が必要

批判の多い年金制度

 日本の年金制度に対しては、多くの批判があります。マスコミの報道などを見ていると、圧倒的に批判の方が多く、現行制度の維持を望む人はほとんどいないかのような錯覚すら覚えます。しかし、いつでもそうであるように、批判する人の声は必要以上に大きく聞こえます。批判しない人達、その多くは既得権者でしょうが、これらの人達の多くはひたすら沈黙を守っているからです。

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 批判の多くは、現在の年金制度は、このままでは破綻してしまう。なぜならば、今後も続くであろう少子高齢化を見据えれば、負担と受益のバランスがとれておらず、若年層の負担が過大になりすぎ、制度そのものが破綻せざるを得ないというものです。また、簡保の宿や消えた年金の問題など、年金の無駄遣いや年金管理体制への批判も多く含まれています。

何が問題か

 一番本質的な問題は、現在の年金制度では本当にもたないのか、破綻せざるを得ないのかということです。結論からいえば、現在の賦課方式を前提とする限り、近い将来、年金制度は破綻せざるを得ないでしょう。
 その理由は、大きく分けて二つです。一つは、現在の年金制度は、現役世代の労働者に依存する方式、つまり賦課方式を前提としているからです。少子高齢化の方向性は、人口統計からみてもう何十年も前から分かっていることだったのに、何を今更という思いはあります。しかし、これは間違いない事実です。これを補正・修正するためには、人口構成を人為的に変えなければなりません。つまり、当面は外国人労働者を大量に受け入れるとともに、日本人の出生率を飛躍的に向上させることです。しかし、これらの施策は、犯罪率の増加や社会不安を煽るなど、多くの問題を含んでいます。どんどん生めと言っても、社会の環境が整備されなければ、到底無理でしょう。

 もう一つの理由は、現在、基礎年金に国費が2分の1投入されることになっていることです。従来は3分の1負担でしたが、民主党政権になって2分の1負担に嵩上げしたものです。国民にとっては有難い施策のように見えますが、必ずしもそうとは言えません。国の財政に余裕があるならばそれでも結構ですが、予算の半分以上を借金で賄っている国が、国民受けするからと言って基礎年金の負担を増額するのは明らかに間違っています。このように見てくると、現在の年金制度は遠からず、破綻の道へと突き進んでいかざるを得ないと思います。

☆☆☆ここで、映像で年金問題を考えてみることにしましょう。⇒こちらです

抜本改革の方策はあるのか

 では、抜本的に改革する方法はないのか。それはあります。現在の賦課方式を思い切って「積立て方式」に変えることです。それしかありません。テレビなどを見ていると、現在の年金制度について、未だに誤解している人が沢山います。今自分が貰っている年金は、決して自分が納めた年金を取り崩してもらっているわけではありません。自分が納めた掛け金の範囲で貰っているならば、80歳以上の年金受給者の年金額は、半分どころか、少なくとも4分の1、5分の1に減額されるはずです。

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 なぜならばこの年金という制度は、もともと昔の官吏、つまり公務員に対して支給される制度の延長線上につぎはぎで構築された制度だからです。軍人恩給法や官吏恩給法と言われた時代は、「お国のため」に働く軍人、官吏には後顧の憂いなく国家に奉仕させることを目的に、全額国費負担で年金が支給されたのです。家族が路頭に迷っているという状態では、とても敵と戦う意欲なんて湧いてこないからです。その制度が国家公務員共済組合法や地方公務員共済組合員法に引き継がれ、現在の年金制度にまで引き継がれているわけです。ですから、年金制度というのは、国家財政が、遠い将来まで円滑に運営されることが絶対的な条件になっているのです。

賦課方式から積立方式への転換を

 人口動態というものは、当時からでもある程度予測されていたはずですから、本当は制度の切り替え時に賦課方式ではなく、積立方式にすべきだったと思います。積立方式であれば、自分の積立額は初めから分かっていますから、将来、多くの年金をもらいたいと希望する人は、年金の掛け金を増やすという選択肢も出てきます。掛け金の増額も、「とられる」という意識から、「もっと取ってほしい」という意識の転換をももたらすことになります。

 もちろん、このような積立方式をとった場合でも、国の財政に余裕があるならば、一定程度助成することはあってもしかるべきでしょう。財政の余裕がないならば一切助成はしない、という当然の帰結にもなります。また、積立方式への転換時は、多くの反対論が噴出して、収拾がつかなくなるかも知れません。これまで眠っていた既得権者もムシロ旗を立ててデモ行進をすることでしょう。

 私だって、いきなりお前の年金を5分の1にすると言われれば、ムシロ旗を立てるでしょう。制度の切り替え時には、激変緩和措置として10年程度は必要になるでしょう。それでも、将来に明るい展望さえ見えるならば、人間は案外耐えられるものだと思います。
 私たちは、東日本大震災で愛する家族や家財を流されたわけではありません。被災者の方々の受けた塗炭の苦しみに比べれば何ほどのことがあるでしょうか。

改革者には支持が集まる

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 しかし、本当に必要なことは、どのような抵抗があろうと敢然と実行すべきです。毅然とした態度で、きちんと説明し、取り組んでいくならば、国民は最後は納得するはずです。大阪の橋本徹氏が、民主・自民・公明など共産党以外の野党連合の候補者を大差で破って当選したのは何故か。それは、このままのずるずると生温い体制では地方自治と言えども、もう持たない。そういう危機意識の高まり以外の何物でもなかったと思います。大阪市役所の職員などほぼ100%が反橋本派だったのではないでしょうか。なぜなら自分たちの大事な賃金や身分が危機にさらされているんですから、当然ですよね。それにも拘らず、橋本氏は圧勝した。

 本当に正しいことを敢然と実行する為政者を、日本人は本質的に見抜くことができるんです。今の日本にとって、この改革をやっておかなければダメだという思いは、日本国民なら本当は知っています。今の政治家には、本当はこのような改革こそやってほしいものと思っていますが、まあ無理でしょうね。それは現在の議院内閣制という政治制度にも原因があります。橋本知事が強いリーダーシップを発揮できるのは、直接選挙という地方自治の仕組みが前提となっているからです。
 ですから、今すぐに橋本氏を総理にしても、現行制度の枠組みでは容易に大胆な改革は実行できないでしょう。その意味では、この国を大きく変えるため、弊害はありますが、将来的には、首相公選制に移行するのが一番良いのではないか思っています。

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