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IPS細胞、森口騒動は茶番

IPS細胞、森口騒動は茶番

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素人でも疑問に思った

 読売新聞がトップニュースで報じた、IPS細胞を使った世界初の心筋移植手術の報道。見出しを読んだ瞬間、「エエー、どうして?そんな馬鹿な・・・」というのが第一印象でした。だって、ノーベル賞を受賞した当の山中伸弥教授でさえ、「まだまだこれから動物実験の段階」だと言っているのに、既に人間、それも心臓に移植してしまったなんて、いくらなんでもそんなに早くできるはずがないだろうに!?と思ったからです。
 でも、これほど大きな記事にしているからには、きっと十分な裏付け資料もあるのだろうと思っていました。ところが開けてびっくり。とんでもない見栄っ張りで虚言癖のあるごくごく普通の与太おっさんでした。

裏をとらないマスコミ記者

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 こんなおっさんに騙された大新聞の記者は、報道の何たるかを理解していない新人だったのでしょうか。それとも誰も口出しできない超ベテランの猛者記者だったのでしょうか。だって、この人のヘラヘラ笑っている顔を見たら、もうそれだけで胡散臭い虚栄心の塊のように見えるじゃないですか。
 これだけの特筆すべき大ニュースを報じるからには、最低限、この人物は医師免許を持っているのか否か、過去にどのような論文を発表しているのか、その評価はどうなされているのか、過去の手術の実績はどうなっているのか、といったレベルの調査をするのは、イロハのイの筈です。後で調べたら、医師免許すら持っていなかったなんて、森口氏本人を責めるよりも、取材した記者の方が責められるべきでしょう。
 新人記者がこのような基礎訓練に欠けている思われる場合は、ベテラン記者、あるいは編集長が「どこまで裏をとったのか」と確認すべき事柄です。それが管理職の仕事でもあり、ヨタ新聞やヨタ雑誌との違いでもあります。

思い出したゴッドハンド事件

 私は、この森口氏の騒動を見ていて、すぐに思い出したのは、あのゴッドハンド(神の手)事件の藤村新一氏のことです。彼は元々、遺跡発掘者としては、それなりに実績を上げていた人物ではありました。しかし、発見効率の良さや発見の様態が余りに不自然であるとする疑念が生じたため、毎日新聞の北海道支社がチームを編成して、藤村氏の行動を逐一観察し、遂に、彼の疑惑の行動を暴露したあの事件です。発掘調査の直前、早朝に遺跡を埋め込んでおき、後から自分で発見するという、文字通り子供騙しの手法が明らかになったあの事件は衝撃的でした。あれこそが、真実を追求するマスコミ人の鑑となるべきものでしょう。
 今回の森口氏の行動も、文字通り幼児性が露見した事件でした。マスコミに取り上げられ、無邪気に、しかも嬉しそうに話すあの顔は、申し訳ないと言うより、得意の絶頂のようにさえ見えます。「あれ、ばれちゃったの。ゴメンネ。でもこんなにマスコミでチヤホヤされちゃって、ちょっとボク照れるな。でも、嬉しいよ」という顔です。普通の人間だったら、恥ずかしくて、とても人前になんか出られる筋合いのものではありません。ドアに鍵をかけて1月位完全蟄居し、夜陰に乗じて雲隠れする位が普通の人の感覚でしょう。

マスコミの方こそ非難されるべき

 今回の報道は、一方的に森口氏を非難していますが、もっと大きな責任はマスコミの方にこそあります。顔を洗って出直すのは、森口氏ではなく、マスコミ側により多くあることを、マスコミ人はもっと自覚すべきです。そうでなければ、また第2、第3の森口氏が登場することになるでしょう。「裏付けをとらない」という体質は、記者クラブという諸外国では見られない、特異な制度を温存し、その中で育ってきた新聞記者のDNAになってしまっているのかもしれません。役所の垂れ流す誘導記事をそのまま載せておけば、何とか生活もでき、体面も保てる。そんなラクチンな記者生活の中から自然に身に着いた体質なのかもしれません。
 「新聞はエリートが作ってヤクザが売る」という言説がありますが、「新聞は詐欺師が作ってヤクザが売る」、あるいは「新聞はオコチャマが作ってヤクザが売る」と言われないように、自ら襟を正してほしいものです。(H24・10・17記)

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