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日本は台湾やフィリピンなどとの軍事同盟を検討すべきです

日本は台湾やフィリピンなどとの軍事同盟を検討すべきです

どうなる北朝鮮情勢

 米朝の首脳会談が、5月末か遅くとも6月初旬にかけて行われる見通しとなりました。会談の場所は、米朝以外の第三国が模索されているようです。会談場所は、板門店とかスイス、モンゴル、スウエーデン、北京といった名も挙がっているようですが、少なくとも北欧はないでしょう。金正恩は、撃墜を恐れ、飛行機での移動を嫌がっていますし、専用機が時代遅れで、遠方までの航続距離がないからです。
 それはともかく、日本にとっての最大の関心は、米朝協議の結果です。朝鮮半島の非核化が実現するか否かです。アメリカが、北朝鮮の完全非核化を求めるのは当然ですが、北朝鮮がそれに対して、段階的削減や韓国を含む朝鮮半島全体の非核化を条件とすることが考えられます。

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 アメリカは、一切の妥協なしに、「北朝鮮の即時非核化」を求め、それが受け入れられなければ、軍事攻撃も辞さない、との決意を示してくれれば、日本としてはハッピーです。次期国務長官にはティラーソンに代え、強硬派として知られるマイク・ポンペイオ中央情報局(CIA)長官を起用する方針であること、また、対中・対北朝鮮強硬派として知られるボルトン元国連大使を、国家安全保障担当補佐官に起用するなど、トランプ政権の陣容を見れば、その可能性は十分にあります。
 しかし、急遽、中国入りして、後ろ盾になることを要請した金正恩は、北朝鮮単独の非核化ではなく、朝鮮半島全体の非核化を求める可能性が高いと見られます。北朝鮮全体ということは、韓国に駐留する米軍の撤退を意味します。これは後ろ盾になっている中国が諸手を挙げて望むところですから、この可能性は十分にあります。
 朝鮮半島全体の非核化は、アメリカにとっても、十分に受け入れ可能な提案なのです。なぜなら文在寅政権は、完全に親北政権であり、米軍にとって韓国軍は信頼に値しない存在でもあるからです。トランプ大統領は軍事予算の増大を公約していますが、アメリカの経済は、嘗ての輝きを失っており、軍事予算に多くの予算を割くことは負担になりつつあります。中東シリアに対し巡航ミサイルを発射しましたが、極めて限定的でした。子供がいたずらをしたので、頬をぴしゃりと叩いたという程度のお仕置に過ぎません。ロシアが本格的に反撃してくるとは考えられません。また、国内が泥沼化しているシリアには、本格的に反撃する力がありません。
 他方、アメリカは、中東から手を引きたいというのが本音です。なぜなら、アメリカが中東に関わってきたのは、石油資源の確保という大局的見地からです。そのアメリカは、最近、ロシアやサウジアラビアを抜いて石油埋蔵量世界一(2,640億バレル)であることが分かったのです。人種、宗教、国土すべてにわたって複雑で面倒な中東に深入りしたくない、というのはアメリカファーストを掲げるトランプ大統領にとって当然なのです。北朝鮮問題も同じです。北朝鮮が完全に非核化し、南と北が連邦国家をつくるというなら、反対する理由などないのです。信用ならない文在寅政権と無理に軍事同盟を結んでいるより、はるかにアメリカの国益に叶うからです。

米軍が韓国から撤退すると

 では、米軍が韓国から撤退すると、どのような変化が生じるのでしょうか。米軍撤退後、後ろ盾となっている中国軍が半島に駐留するようになるかもしれません。

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 いや、それよりも、中国は台湾進攻を本格化させる可能性が高いと思います。既に中国は台湾は中国の一部だとして、「内政化」する動きを強めています。「一つの中国」原則を認めない台湾の蔡英文総統の頭越しに、台湾の企業や住民に対して、中国の企業・国民と同じ待遇を与える政策を発表したこともその一つです。中国の得意とする経済力で企業や人材を惹きつけ、外交圧力を強めるという硬軟両様の使い分けです。
 その一方、中国空母「遼寧」の艦隊が台湾を一周するなど示威行動を行ないました。また、4月18日には、習近平国家主席が参加して、空母遼寧を含む艦艇48隻が参加した「中国史上最大規模の観艦式」を行いました。この観艦式には艦艇48隻のほか、戦闘機76機、兵士ら1万人以上が参加したと報じられています。
 この観艦式は、台湾軍が4月13日に行った軍事演習に対抗する目的であったとみられます。台湾軍の演習は、蔡英文総統も視察する中、空、陸軍の支援も受け、海軍主力のミサイル駆逐艦、フリゲート艦など艦船20隻、F16戦闘機8機、対潜水艦ヘリコプター1機、約2,500が参加したとされています。
 このように、仮に、米軍が韓国から撤退するということになれば、これまで38度線で東西両陣営がせめぎ合っていた攻防ラインが、日本海まで下がってくるということを意味します。具体的には対馬が中国・統一朝鮮と対峙する最前線になることが予想されるのです。
 そしてその後、台湾が中国によって軍事占領されたらどうなるか。文字通り、日本にとっての悪夢です。中国の目論み通り、第一列島線はおろか、第二列島線までもが中国によって支配されることになりかねません。

中国の台湾進攻の意図が鮮明に

 中国は、台湾は中国の一部だと主張していますが、全くのでたらめ、虚構にすぎません。台湾の国家総統は民主的選挙によって選ばれており、しかも、国家として独立した国会を持っています。法制度、徴税、国防、治安すべて、独立国として自主的に運営されています。事実、台湾は、歴史上、一度も中国の支配下にあったことはありません。他国の支配下にあったというなら、唯一、日本の一部であったことがあるだけです。
 蒋介石は、毛沢東との内戦に敗れ、台湾に逃げ込んだだけの存在にすぎません。これをもって、中国の一部であることの証明にはなりません。山本家の乱暴な親父が、妻に叩き出されて吉田家に逃げ込んできたら、逃げ込まれた吉田家が山本家になるはずがないのと同じです。
 この立派な独立国である台湾に対して、中国は軍事侵攻の意図を隠しません。並外れた厚顔、傲慢というしかありません。南京軍区(現在は東部戦区)の元副司令官が中国のニュースサイト「環球網」に「ミサイルや空爆を主体とする火力戦で、台湾の軍事拠点などを48時間以内に破壊・制圧し、無力化できる」と書いています。
 習近平も昨年の党大会で「今世紀中頃までに人民解放軍を世界一流に昇華させる」と述べ、更に、今年3月の人民代表大会では「偉大な祖国の領土を一寸たりとも中国から分割させない」とも宣言したのです。自らが政権の座にあるうちに台湾統一を成し遂げ、歴史に名を残したいとの執念が窺えます。

アメリカは台湾旅行法で支援

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 台湾に対する中国の動きは、アメリカにとって、安全保障の観点から重大関心事です。アメリカは、台湾に駐留こそしていないものの、武器売却や日本各地にある在日米軍基地などにより、中華人民共和国を牽制しているのです。
 また、最近における中国の露骨な覇権主義、国際法を無視した海洋進出、さらには台湾に対する硬軟織り交ぜた侵略の意図に、アメリカは警戒感を強めるようになりました。
 3月16日に署名した「台湾旅行法」はその典型といえます。同法のポイントは、次のようなものです。

台湾旅行法のポイント

▼米政府当局者が台湾を訪問し、台湾当局者と会談することを認める。
▼台湾高官が米国を訪問し、米政府当局者と会談することを認める。
▼台湾組織の米国内での経済活動を促す。

 このように台湾旅行法は、アメリカと台湾の首脳をはじめ政府高官が自由に会えるようにするもので、事実上、台湾を独立の国家として認める、ということを意味しているのです。
 トランプ政権は、中国を「現状変更勢力」と位置づけ、安全保障や経済面で強硬姿勢に転じているのは周知のとおりです。

日本に迫りくる危機

 中国の覇権主義、膨張主義は、留まるところを知りません。南シナ海におけるサンゴ礁を埋め立て人工島を作り、巨大な要塞を建設しました。アメリカの軍事力が少しでも弱まれば、ここぞとばかり侵攻するのは、かの国の常套手段です。この人工島建設を許したのは、フィリッピンのスービック湾に展開するクラーク米軍基地を追い出した直後からです。中国は、既に7つの岩礁で人工島の建設を行っており、その勢いは止めようもありません。
 オバマ大統領を罵ったドゥテルテ大統領もたまらず、トランプ大統領との間で「比米防衛協力強化協定(EDCA)」を結び、事実上、米軍の再駐留を認めることになりました。同国最高裁がこの協定に合憲の判決を下したのです。
 南シナ海では、中国と同じ共産主義国家であるベトナムも、中越戦争の教訓から、中国に対しては強い警戒心を抱いています。
 中国は、日本に対しても、尖閣諸島に対して、あからさまな領海侵入を繰り返すなど、領土的野心を隠そうとしません。これまでは沖縄について言及することはありませんでしたが、最近では、人民日報などを通じて、沖縄も元々中国のものだ、などと発言するようになっています。
 しかも中国は、日本の排他的経済水域(EEZ)内においても、日本側の再三にわたる中止要請を無視して海底調査を行い、海底熱水鉱床やレアアースの試験採取を行っているのです。中国は、「中国の大陸棚は沖縄トラフまで続いている」と主張し、沖縄トラフまでは自国の権限がある、と勝手な自説に基づき主張しているのです。
 このような身勝手、傲慢、覇権主義の共産主義独裁国家が、日本を圧倒する軍事力を背景に、尖閣、沖縄に迫っているのです。これを危機と呼ばずして何と呼べばよいのでしょうか。

日本は関係国との軍事同盟を具体化すべき

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 このように、中国の露骨な覇権主義により、危機感を覚える国は日本だけではありません。ベトナム、フィリッピンはもちろんのこと、インドネシアやインドも強い危機感を持っています。オーストラリアのターンブル首相は親中派と言われていますが、自衛隊とオーストラリア軍の共同訓練の推進を表明したほか、中国に対しては南シナ海での埋め立ての停止を求めることで安倍首相と合意しました。また、中国企業による豪州国内の電力事業への投資を相次いで拒否するなど、中国に対する警戒感を強めています。スパイ行為やサイバー攻撃など、安全保障上の懸念がぬぐえないからです。
 日本は、中国の主張する「赤い舌」により、南シナ海が中国の海になった暁には、中東からの石油輸入ルートであるCレーンが絶たれるなど、壊滅的な被害を受けます。日本は何としてでも、これを防がなければなりません。
 また、中国の目指す第一列島線、第二列島線の野望を打ち砕かなければなりません。そのためには、自由と民主主義という基盤を共有する台湾、フィリッピン、インドネシア、インドなどと連携するとともに、中国と対立関係にあるベトナムとも連携することが必要です。
 とりわけ、台湾との関係は重要です。台湾は、嘗て日本と同胞であったというだけでなく、韓国と異なり、日本に対して極めて強い親近感を抱いています。アメリカが台湾との関係で台湾関係法を制定したのと同じく、日本も同様の法整備をすべきです。
 そして、アメリカはもちろんのこと、これら近隣諸国と結びつきを強め、最終的にはECと同様、仮想敵中国を念頭に、軍事同盟を結び、日本の安全保障体制を確立することを真剣に検討すべきだと思います。
 森友や加計、イラク日報問題などで、1年半も空費している日本の国会、本当に何とかしてほしいものです。(H30・4・15記)

 

 

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